立ち仕事への就職・転職を考えている方は、身体への負担が気がかりではないでしょうか。この記事では立ち仕事のメリットや、デメリットとなる身体への負担を軽減する方法についてまとめました。立ち仕事で健康的に働いていくためのコツについて知りましょう。
立ち仕事とは
立ち仕事に明確な定義はありませんが、世間一般的には「業務内容の大半を立って行う仕事」というイメージが強いでしょう。
これから就職転職をする方で、業種や職種、給料や福利厚生などはチェックしても、立ち仕事と座り仕事などの労働環境においては、そこまで重視していない人が多いのではないでしょうか。
働き方において、立ち仕事か座り仕事かは大きな差です。立ち仕事のイメージがしやすいように、代表的な立ち仕事を3つご紹介します。
接客業
接客業は立ち仕事が中心となる働き方です。特にお客様との関わりが多い仕事ほど、立ち仕事の割合が高い傾向にあります。
代表的な接客業は、飲食店スタッフや店舗の販売員です。基本的にお客様が店内にいなくても立っていることが多くなります。ただしこれは世界共通ではなく、海外では、スーパーのレジなどで店員がもともと座っていることも少なくありません。日本のお店で店員が立ちっぱなしであることが多い理由は、以下が考えられます。
- 「店員が座っているとやる気がないように見える」というイメージ
- 「お客さまを迎える立場として立っているべき」という風潮
これらの理由から、接客業の仕事は基本的に立ち仕事の職種であるといえるでしょう。
工場勤務などの現場作業員
工場などの現場作業員も立ち仕事の多い職種です。同じ姿勢で作業を続ける人から動き回る人まで様々ですが、工場で行われる仕事は「休憩時間が来るまでずっと立ちっぱなし」ということもめずらしくありません。
ほかの職種と比較すると事務作業などをする時間も少ないため、座り仕事と比較すると、体力的にハードなことも多い職種です。
介護士や保育士
医療福祉業界では、子どもや高齢者を相手にした接客業に近いものがあり、業務も立ち仕事が多いです。その代表的な職業は介護士や保育士でしょう。
立って行う業務が多いことに加えて、利用者や子どもの世話をする際にある程度の体力も必要です。「体力が必要×立ち仕事」なので、肉体的には見た目よりもハードな仕事です。
立ち仕事のメリットとデメリット
立ち仕事についてのイメージを持っていただけたところで、、立ち仕事のメリットとデメリットについてお伝えします。これから就職転職で立ち仕事を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
立ち仕事のメリット
立ち仕事のメリットは、大きく以下の3点です。
健康的
立ち仕事による1つめのメリットは、立ち仕事は座り仕事に比べると健康的ということです。健康的な理由は大きく2つあります。
- 立ち仕事はカロリーを消費しやすい
- 立ち仕事は運動不足になりにくい
あくまで目安ですが、立ち仕事と座り仕事の消費カロリーの差は、1時間あたり50kcal程度といわれています。コンビニのおにぎり1個が約180kcalなので、つまり1日労働したらおにぎり約2個分のカロリー差が開いているのです。単純に、立って仕事をしているほうがエネルギーを消費しやすいのは確かでしょう。
また座っている時間が長いと、ずっと同じ姿勢になるため、どうしても運動不足になりがちです。立ち仕事は歩いたり身体を動かす時間がおのずと長くなるため、その心配がありません。
仕事に集中しやすい
立ち仕事による2つめのメリットは、立っている時の方が脳が活性化されやすく集中しやすいことです。緊張感を保ちやすいため、集中力を上げる交感神経が優位になるからです。また交感神経が優位なことに関連して、眠気も起こりにくくなります。
座り仕事だと途中で集中力が散漫になったり、眠くなったりして仕事の生産性が落ちそうになることは、どうしてもあるでしょう。
健康的な姿勢を保ちやすい
立ち仕事による3つめのメリットは、健康的な姿勢を保ちやすいことです。立ち仕事においては、座りっぱなしで仕事をすることによる姿勢の悪化を防ぐことができます。座り仕事では猫背や肩こりなど、姿勢が悪くなるリスクが高いからです。
また、座り仕事は足の筋肉をあまり使わないため、筋力低下によってますます姿勢が悪化する可能性もあります。立ち仕事でも変な立ち方をしていれば当然姿勢は悪くなりますが、座り仕事に比べると意識が高くなるため、やはり姿勢は悪くなりにくいでしょう。
立ち仕事のデメリット
立ち仕事の大きなデメリットは、以下の3点です。
足への負担が大きい
立ち仕事による1つめのデメリットは、足への負担が大きいことです。足への負担が大きくなる理由は、長時間同じ姿勢でいることにより、脚の筋肉が硬くなって血行不良やむくみが生じるからです。
これは運動量の多い工場勤務や介護職よりも、移動距離の少ない販売員などに起こりやすいかもしれません。誰でも長時間立ち続けていると足が痛くなってきますが、これは足への血行不良によって生じていることもあるのです。
腰痛になりやすい
立ち仕事による2つめのデメリットは、腰痛になりやすいことです。腰痛は座り仕事によってなるイメージが強いですが、立ち仕事でも腰痛になるリスクは十分にあります。
とくに介護士や保育士、引っ越し作業員などは動作時に腰へ負担がかかることが多く、特に腰痛になりやすい職種といえるでしょう。
疲労度が大きい
立ち仕事による3つめのデメリットは、疲労度が大きいことです。普段から運動習慣のある人や立ち仕事に慣れている人は大きな疲労を感じないかもしれませんが、多くの人は丸1日立って仕事をすると、大きな疲労を感じるでしょう。
立ち仕事のほうが体力を消耗することは確かなため、体力に自信のない人は慣れるまでが大変かもしれません。
立ち仕事で負担がかかりやすい部位とは
立ち仕事は、座り仕事よりも身体への負担が大きいと考えられます。とくに負担がかかりやすい部位を、それぞれ順番にご説明しています。
首
人の頭は数キロあり、その重みを支えているのが首だからです。立ち仕事で首を傾けるような状態が続くと、負担はさらに増大するといわれています。常にまっすぐ前を向いた姿勢で作業をすることは少ないため、1日立ち仕事をすると首には相当な負担がかかっているといえるでしょう。
この状態が悪化すると、人によっては首から肩にかけての痛みやしびれが出て、病院にかからなければいけなくなる可能性もあります。
腰
立ちっぱなしの姿勢が続くことで、上半身を支えている腰に負担がかかるからです。特に様々な骨とつながっている脊椎に負担がかかると姿勢が悪くなり、さらに疲れがたまりやすくなってしまいます。
腰に負担が蓄積した結果、腰痛などの症状が起こります。腰痛は放置して悪化させてしまうと再発しやすい体になってしまうため、予防と早期改善に努めたい症状です。
足
長時間同じ姿勢で立ちっぱなしの仕事をする人は、足への負担がかかりやすいです。下半身の筋肉に疲労が溜まることで身体全体の調子が悪くなることもあるため、足への負担はできるだけ減らしておきましょう。
足への負担が増大すると足の血流が悪くなったり、膝の骨がすり減って痛みが出たりすることがあります。悪化すると立ち仕事に支障が出てしまうため、そうならないようにケアする必要があります。
立ち仕事の負担軽減はストレッチ
立ち仕事で身体を大切にするポイントは、定期的にストレッチをすることです。その理由は、長時間同じ姿勢でいることによって、多くの健康被害が生じるからです。つまりストレッチなどでこまめに身体を動かす習慣がつくと、身体への負担を大きく減らすことができます。
今回は立ち仕事の合間にもできる、手軽なストレッチを3つご紹介します。身体への負担がかかりやすい首腰足でそれぞれ1つずつご紹介しますので、参考にしてみてください。
首のねじりストレッチ
立ったまま場所も取らずに行えるため、立ち仕事の合間に手軽に行うことができます。
手順としては下記のとおりです。
- 立って姿勢を伸ばした状態から、真上を見る
- 首をゆっくり回す(1周を4秒くらいかけて)
首をゆっくりと3周ほどしたら、今度は反対方向に3周してみましょう。全部合わせても1分程度で終わる、とても簡単なストレッチです。このストレッチを行うだけでも、首の疲労はかなり軽減されます。
腰をひねるストレッチ
手順としては、以下のとおりです。
- 足を肩幅ほどに開いて立ち、姿勢を伸ばした状態になる
- 足の向きはそのままで、腰をひねって真後ろを見る
- ⑵の姿勢を10秒キープする
- ゆっくりと元の位置に戻る
⑵~⑷の動作を、左右交互に3回ずつ行いましょう。こちらも立ったままできるストレッチであり、かつ全部合わせて2~3分ほどでできる手軽なストレッチです。腰への負担が大きい仕事をされている方は、ぜひ積極的に取り入れてみてください。
片足ずつの前屈ストレッチ
手順としては、以下のとおりです。
- 立って姿勢を伸ばした状態から、片足のつま先を上げる(かかとは地面についたまま)
- 片方の手で上げたつま先を触る
- 上半身を前屈させて10秒キープする
この一連の動作を左右交互に3回ずつ行いましょう。ふくらはぎがしっかり伸びることにより、足への血流が大きく改善されて疲労を抑えることができます。立ちっぱなしかつ同じ姿勢でいることの多い仕事をされている方は足への負担が大きいため、ぜひ積極的に取り入れてみてください。