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ニートの割合は?割合の推移と年齢別・学歴別のデータを紹介

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ニートとは、働いておらず、就学や職業訓練にも参加していない15歳~34歳の若年層を指す言葉です。

本記事では、ニートの割合やその推移を年次データで紹介し、年齢別・学歴別に分けた詳細な統計情報をご紹介します。

社会全体でニートの課題に対する理解を深めるためのデータとともに、今後の対策についても考察しますので、ニートの方はぜひ将来を考える際のz参考にしてください。

日本におけるニートの割合【2024年最新版】

ニートについては、厚生労働省と総務省統計局が下記のように定義づけしています。

15~34歳の若者で、仕事に就かず、家事も通学もしていない人

参考:ニートの就労を支援する「地域若者サポートステーション」11カ所を追加選定|厚生労働省

15~34 歳の非労働力人口のうち家事も通学もしていない者

参考:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要|総務省統計局

ニートと似た言葉に「若年無業者」や「失業者」が挙げられますが、それぞれ定義は異なります。

ニート・就学、就業、職業訓練に従事していない人々
・特に若年層(15~34歳)が対象
・家事や育児を行っていない人も含まれる
・働く意欲がない・または求職活動をしていない点が特徴
若年無業者・15歳から34歳の間で、就業せず、学校にも通っていない人々
・求職中である人も含まれる
・ニートより範囲が広いことが特徴
失業者・現在仕事をしていないが、働く意思があり、積極的に職を探している人
・年齢層を問わず、職探しを行っていることが特徴

失業者は、働く意思と求職活動がある点で、ニートや若年無業者と比べて、仕事に対し最も積極的な状態を指します。

ニートと若年無業者は対象の年齢層は同じですが、若年無業者には求職中など、働く意思がある人も含まれるため、若年無業者という定義の中にニートが含まれていると理解しましょう。

総人口に占めるニートの割合

総務省統計局の「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、日本におけるニート人口は2023年時点で59万人、各年齢階級における若年無業者の人口に占める割合は2.4%です。

若年無業者数総人口割合
2013年60万人2,687万人2.2%
2014年56万人2,647万人2.1%
2015年56万人2,614万人2.1%
2016年56万人2,590万人2.2%
2017年54万人2,571万人2.1%
2018年53万人2,551万人2.1%
2019年56万人2,531万人2.2%
2020年69万人2,516万人2.7%
2021年58万人2,492万人2.3%
2022年57万人2,456万人2.3%
2023年59万人2,425万人2.4%
出典:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要|総務省統計

2022年と比較すると、0.1ポイント上昇していますが、割合は10年前とあまり差異がありません。

労働市場の変化が限定的で、特に若年層にとって非正規雇用や不安定な労働環境が続いていることや、政府の対策はあるものの、効果が限定的で、ニート層に十分なアプローチができていないことなどが理由として考えられます。

年齢別ニートの割合

年齢別のニートの割合は、総務省統計局による「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要」で、以下のように報告されています。

年齢層総人口ニートの人口ニートの割合
15歳~34歳2,458万人59万人2.4%
35歳~44歳1,488万人37万人2.5%

参考:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要|総務省統計局

前項でご紹介した割合の推移を見ると、35歳~44歳のニートの人口は、2023年平均で 37 万人と、前年に比べ1万人の増加となっています。

15歳~34歳の対象者を「15歳~24歳」「25歳~34歳」に分けて見ると、若年無業者の人口に占める割合は15歳~24歳が2.2%であるのに対し、25歳~34歳は2.6%です。

35歳~44歳の割合よりも、25歳~34歳の年齢層の割合が高いことが特徴といえます。

20代でニートの状態にある人の就職に関する情報は「20代のニートでも就職可能?末路やおすすめの仕事も解説!」の記事でも解説していますので、参考にしてください。

学歴別ニートの割合

労働政策研究・研修機構「非求職無業者(ニート)の経歴と意識、世帯の状況」によると、ニートの学歴別割合(※)は、次のようになっています。

※「15~34歳で仕事に就いていない人」の最終学歴の割合

最終学歴割合
中卒18.1%
高卒57.2%
短大・専門学校卒10.9%
大学・大学院卒13.2%

このデータを見ると、ニートの最終学歴は高卒が半数以上と、もっとも多いことがわかります。その理由として「高卒で就職したが早期離職した」「学歴がないため就職が困難」「大学や専門学校などを中退後高卒扱いになりそのままニートになった」なども考えられます。

各国のニートの割合

OECD(経済協力開発機構)の「就労教育や訓練を受けていない若者(ニート)」の調査によると、2014年の時点で下記のように報告されています。

年齢層1位2位3位日本
15歳~29歳トルコ(31.56%)ギリシャ(28.31%)イタリア(27.71%)27位(9.82%)
15歳~29歳・男性ギリシャ(26.89%)イタリア(26.67%)スペイン(24.44%)33位(7.28%)
15歳~29歳・女性トルコ(45.97%)メキシコ(35.08%)ギリシャ(29.74%)14位(12.5%)

参考:就労、教育、訓練を受けていない若者(ニート)| OECD

この調査では、日本のニートとは定義が異なり、年齢層は15歳~29歳となっていますが、日本のニート率は世界と比較すると、低いことがわかります。

2024年8月12日付の「下野新聞 SOON(スーン)」では、

国際労働機関(ILO)が12日発表した若者の雇用動向に関する報告書によると、2023年に世界の15~24歳の20.4%が就業や就学をせず職業訓練も受けていない「ニート」だった。(中略)若者のニートのうち、女性の割合は28.1%と男性の13.1%に比べ2倍以上だった。23年の失業者数は約6,490万人で、失業率は13.0%。世界全体では新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうにつれて改善傾向にあるが、アラブ諸国や東アジア、東南アジア・太平洋地域はコロナ以前の19年より失業率は高かった。

引用:若者5人に1人がニート 国際労働機関、将来不安高まる|全国のニュース|下野新聞 SOON(スーン)

と報じられています。

若者の5人に1人がニートという調査結果に、ILOは、若者の将来への不安が高まっているとして、就職や社会保障など労働市場の変化を通した支援が必要だと指摘しています。

ニートの人口推移とその割合

ニートの人口とその割合は、どのように変化しているのでしょうか?

過去10年間の割合推移や、年齢別、近年のニート数の推移についてご紹介しましょう。

過去10年間のニート割合の推移

Yahoo!ニュース「15~39歳の42人に1人が該当…「ニート」人口比率の推移と現状をさぐる(2024年公開版)」によると、過去10年間のニート割合の推移は、以下の通りです。

15~39歳の総人口に占めるニートの割合

ニートの人口割合は、ここ10年間は2%台で推移しています。

15歳~39歳の総人口に対し、100人中2人程度がニートだと考えると、少数派ではあるものの、常に一定数存在しているといえるでしょう。

なお、2020年は過去10年でもっとも高い割合となっていますが、感染症拡大によるパート・アルバイトで働く若年層の解雇が要因と考えられます。

年齢別ニート人口の推移

Yahoo!ニュース「15~39歳の42人に1人が該当…「ニート」人口比率の推移と現状をさぐる(2024年公開版)」では、年齢別ニート人口の推移も報告されています。

15歳~19歳20歳~24歳25歳~29歳30歳~34歳35歳~39歳
2019年9万人15万人14万人18万人18万人
2020年19万人18万人14万人18万人18万人
2021年11万人16万人14万人17万人17万人
2022年9万人17万人15万人16万人17万人
2023年10万人16万人16万人16万人18万人

参考:15~39歳の42人に1人が該当…「ニート」人口比率の推移と現状をさぐる(2024年公開版)|Yahoo!ニュース

2019年から2020年にかけては10代後半~20代前半のニート人口の増加が目立っています。一方で20代後半~30代は、過去5年間でニート人口に大きな変化はないことが特徴です。

近年のニート数の推移

2020年、世界中で感染症が広がり、多くの国でニートの数が急激に増加しました。

ロックダウンや経済活動の制限により、就業機会が減少し、特に若年層の就職が困難になったことが大きな要因です。

また、職業訓練や教育機関も一時的に停止されたため、学生や若者が新しいスキルを習得する機会を失いました。

その結果、世界各国でニート人口が増加し、特に不安定な労働環境に置かれた若年層が大きな影響を受けたと考えられます。

日本では2020年にニートの割合が上昇しましたが、その後、徐々に労働市場が回復するとともに、ニートの数も減少傾向になると考えられていました。

しかし、翌年の2021年に減少したものの、2023年時点ではまた増加傾向にあります。

以前の水準に完全に戻っていない国も多く、特に非正規雇用の増加やメンタルヘルスの問題が、長期的にニートの数を増加させるリスクを抱えています。

ニートになった理由/ニートを続ける理由の割合

ニートになった理由と、ニート生活を続ける理由・その割合について、それぞれ見ていきましょう。

ニートになった理由

現在ニートの人がニートになったのは、そもそもどのような理由があるのでしょうか。厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(概要)調査」(※)とその他のデータも元に、ニートになった理由を紹介します。

※以下「厚生労働省のデータ」として紹介

学校でいじめられた

ニートになった理由のひとつが、いじめられた経験です。以下のデータから、学生時代にいじめを受けていた人は、ニートとなる確率が高いと考えられます。

厚生労働省のデータによると、ニート全体の55%が「学校でいじめを受けた経験がある」と回答しています。

内閣府「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」の結果「小中学校時代にいじめられた経験がある」と答えた割合は以下の通りです。

  • 引きこもり:42.4%
  • 一般群:22.9%

つまり引きこもりやニートは、一般の人に比べおよそ2倍〜2.5倍の割合でいじめにあっていることが分かります。

人間関係のストレスによってニートになる人も多いですが、特に学生時代に周りからいじめられた人は「いじめられたこと」がトラウマになっている場合が多く、人間関係に苦手意識を持ってしまうようです。

学校を中退した

厚生労働省のデータによると、ニートのうち中退者の割合は、高校から大学、専門学校まで含めて約30%という結果でした。

学校を中退する理由として、以下が考えられます。

  • 学校になじめなかった
  • 学費が払えなくなった
  • 友人ができなかった
  • 勉強についていけなかった

いずれにしても中退した後、明確な目標が持てなかったり、ストレスで外出できず引きこもりがちとなり、結果としてニートになってしまう人も多いようです。

精神的な病気

精神的な病気をきっかけに、ニートとなる人も一定数います。病気を発症する要因としては、家庭環境や学生時代、就職先でなんらかの強いストレスを経験したことなどが考えられます。

精神的な病気は、決して本人のせいではありません。しかし治療に時間がかかったり、再発率も高く、がんばって就職しても、病気が再発して辞めざるを得ないケースもあります。

厚生労働省職業安定局:障害者雇用の現状等」を見てみると、特に精神障害者の働く環境は厳しく、1年以内の定着率は約5割程度です。精神的な病気により「働きたくても思うように働けない」という状況に陥ってしまう人も多いのです。

仕事のストレス

厚生労働省のデータによると、仕事に対する意識の質問では、ニートの多くが以下の苦手意識を持っていると答えました。

  • 仕事をしていく上での人間関係:80.9%
  • 仕事を覚える:57.2%
  • 仕事で失敗を繰り返さない:59.8%
  • 教えてもらわなくても、周囲のやり方を見て覚える:60.2%

社会人として一度は就職したものの、高圧的な上司から怒られ続けたり、同期にいじめられたりして人間関係がうまくいかなくなると、仕事を辞めてしまったり、ふたたび働くのが怖くなったりすることがあります。

自分に厳しすぎる傾向がある人も、ニートになりやすいといえます。ささいなミスなどで自分の能力に自信を失くしてしまい、働くことから距離を置いてしまうことがあるのです。

ニートになりたいと考えている方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

ニートになりたい?ニートになりたい人の理由とニートとかかるお金とは?

ニートを続ける理由

就職を希望している・希望していないニートのそれぞれの理由について、データをもとに解説します。

就業希望ニートがニートを続ける理由

Yahoo!ニュースの「2023年時点で76万人…「ニート」数の推移と現状をさぐる」によると、就職希望ニート(就職したいと思っているが、就職活動はしていない状態)がニートを続けている理由の上位5つは、以下の通りです。

もっとも割合が多かったのが、病気やけがなどの理由です。

就職活動をしたいと思っていても、体調などの理由でできていない人が多いことがわかります。

一方、なんらかの理由で自分に自信をなくしていて「就職しなければ」と思ってはいるものの、不安で就活に一歩踏み出せないという人も一定数いることが考えられます。

非就業希望ニートがニートを続ける理由

Yahoo!ニュースの「2023年時点で76万人…「ニート」数の推移と現状をさぐる」では、非就職希望ニート(就職したいと思っておらず、就職活動もしていない状態)がニートを続けている理由についても公表しています。

非就職理由と同じく、病気・けががもっとも多い理由となっています。

ただし「病気」は必ずしも肉体的なものとは限らず、精神的な病である可能性も高いといえるでしょう。

「仕事をする自信がない」という回答があるように、過去にいじめに遭ったり、職場でハラスメントに遭ったりして心を病み、働く意欲を失ってしまっている人もいると思われます。

ニートが就活成功する割合

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の公表した「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③」によると、1年前に「無業・非家事非通学・無配偶で卒業者」(非求職無業+求職者)であった者の現状は以下のように報告されています。

正社員非正規雇用(※)求職中非求職無業者
15歳~34歳・男女計18.0%19.1%17.6%40.5%
15歳~34歳・男性18.3%15.5%19.7%42.9%
15歳~34歳・女性17.4%24.8%14.5%36.9%

※パート・アルバイト、派遣社員、契約・嘱託・その他の合計
参考:若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③|独立行政法人 労働政策研究・研修機構

この調査でもっとも注目すべきなのは、正社員や非正規雇用よりも、圧倒的に非求職無業者が多いということです。
仕事の決まっていない求職者も含めると、約半数の人がニートの状態を続けているということになります。ニートを続けていると働く気力が失われてしまい、社会復帰から遠ざかってしまうことになりかねないということがわかります。

ニート期間別ニートの就職率

厚生労働省「正社員?フリーター?何が違うの?〜将来の進路について悩んでいる方へ~」によると、ニート(フリーター)期間別の就職率は、以下の通りです。

その理由は、以下のフリーター歴別就職率データを参照ください。

  • 6ヶ月以内:64%
  • 7ヶ月〜1年:58.3%
  • 1年〜2年:52.2%
  • 2年〜3年:58.9%
  • 3年以上:48.9%

定職に就いていなかった期間が半年以内であれば6割以上が就職に成功できていますが、1年以上で半数程度、3年以上で半分以下と、どんどん下がっていることがわかります。つまり、ニート期間が長ければ長いほど就職が難しくなるということです。

ニート期間が長かった人に対して企業が懸念することとしては、以下があります。

  • 業務についていけるか/すぐに辞めないか
  • 人間性に問題はないか
  • 職場での人間関係を築いていけるか

ニート期間が長いほど、ブランクも長いという事実は避けられません。企業からすると、しばらく社会から離れていたことによるズレが仕事に支障をきたさないかどうか、常識的な対応ができる人物なのか、などを気にする可能性が高いのです。

まとめ

日本におけるニート人口は2023年時点で59万人、各年齢階級における若年無業者の人口に占める割合は2.4%になります。

世界へ目を向けると、若者の5人に1人がニートという調査結果もありますが、病気や失業などの「やむを得ない事情」などでない限りは、就職活動をした際に厳しい目で見られてしまうことが考えられるでしょう。

しかし、ニートから就職に成功し、現在企業で活躍している人がたくさんいることも事実です。

ニートからの就職は、早めの行動がおすすめ。これから正社員就職を目指したいニートの方は、ぜひ弊社ジェイックへご相談ください。

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池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」