高卒で公務員になって後悔しているという方もいるかもしれません。この記事では、高卒で公務員になって後悔する人の3つの理由とともに、その後悔を抜け出す方法についても解説します。ただ後悔するのではなく、状況を変える努力をしましょう。大卒公務員との給料の差などについても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
高卒公務員は勝ち組?-うらやましがられる理由とは-
高卒公務員は、一般的に「勝ち組」と呼ばれることもよくあります。その理由を、次の2点をもとにお伝えします。
- 高卒就職で公務員になれる人の割合
- 高卒公務員の年収(民間企業との差)
それぞれについて、見ていきましょう。
高卒就職で公務員になれる人の割合
人事院「2020年度 一般職試験(高卒者試験)」採用予定合計1,469名÷文部科学省「令和2年3月新規高等学校卒業予定者の就職内定状況」就職内定者167,021人という計算で考えると、高卒就職者のうち、公務員になれる人の割合は約0.9%です
高卒で公務員になった人(なれた人)は、100人に1人もいないことがわかります。
高卒公務員の年収-民間企業との差とは
高卒国家公務員(一般職)の年収は、卒業したばかりの18~19歳の頃は約264万円となっています(※1)。一方で、高卒で民間企業に就職した人の平均年収は約228万円です(※2)。
つまり、およそ30万円の差が入社のスタート段階からつくことが分かります。
※1 人事院「平成30年国家公務員給与等実態調査の結果〔参考1〕行政職俸給表(一)の年齢階層別、給与決定上の学歴別人員及び平均給与月額」(賞与は内閣官房内閣人事局発表「平成30年12月期の期末勤勉手当を国家公務員に支給」より年間4.39月分で試算)
※2 厚生労働省「賃金構造基本統計調査『年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額』(産業計産業別)』」
高卒で公務員への就職はすごい!
一般的に高卒で就職すると、肉体労働を伴う仕事、いわゆる「ブルーカラー」の仕事に就く人が多い傾向にあります。一方で公務員は、基本的にはオフィスワークが中心の「ホワイトカラー」の仕事です。
公務員の場合には基本的には待遇もよく、安定しています。そもそも公務員は国や地方自治体に勤務する仕事のため、国や地方が破綻しない限り、職を失うことはまずありません。つまり自分から辞めない限り、失業の可能性はほぼゼロということです。
一方でブルーカラーをはじめとする民間企業の場合は倒産のリスクが必ず伴うため、場合によってはリストラや、希望退職の声を掛けられるなどの可能性もあります。
また前述の通り、公務員の場合にはオフィスワークがメインとなり、残業などが比較的少ない職種や部署もあります。ある程度落ち着いて働きたい人にとっては、環境によっては理想に近い働き方もできるでしょう。
こういったことから、高卒同士で比較をした場合、民間に進んだ人よりも公務員になった人が「勝ち組」に見えてしまいやすいことがあるのです。
高卒公務員を後悔……‐負け組だと感じてしまう理由とは-
周囲からは勝ち組だと思われがちな高卒公務員ですが、高卒で公務員になった人のなかには、自分自身を「負け組」と感じてしまう人も少なくありません。
なぜなら、公務員になった当初は民間に進んだ高卒との比較では優位に立てる場面は多いものの、時間が経つにつれて大卒で公務員になった人と比較し、劣等感を持つ場面が出てくるケースもあるからです。
大学に進んだ人や大卒公務員と自分を比較して、自らを「負け組」だと思ってしまう高卒公務員もいます。
具体的には次の3つの現実を知ったときに、後悔を感じる人が多い傾向にあります。
- 大学進学している友達のキャンパスライフ
- 大卒公務員との年収の差
- 大卒公務員との待遇や昇進の差
それぞれについて、見ていきましょう。
大学進学している友達のキャンパスライフ
高校時代の同級生で、大学に進学している友達からキャンパスライフの様子を聞くことがあるかもしれません。アルバイトや恋愛、旅行など、大学でのびのびと過ごしている様子を聞くこともあるでしょう。
一方で高卒で公務員に就職した場合には、週5日の勤務が原則です。もちろん有給休暇などは取得できますが、平日は基本的には時間がなく、やはり大学生ほどは自由な時間が持てません。
さらに、仕事には責任も伴います。その点、大学生の場合には個人としての責任はあるものの、社会的な責任を負う場面はほとんどない段階です。こうした場面においても、大学に進んだ友達にうらやましさを感じてしまう場面が多いのです。
大卒公務員との年収の差-高卒公務員は給料が安い
高卒公務員は多くの場合、大卒公務員と比べると給料が低く設定されています。具体的には、高卒国家公務員(一般職)の年収は20~23歳で約304万円となっていますが、大卒の場合は同年齢の人で約353万円です。高卒と大卒では約50万円の差が開いていますが、この差は、年齢を重ねるごとに広がります。
生涯年収で見ると約1000万円以上の差、退職金に関しても約1700万円の差が出るともいわれます。学歴の差が、年収や退職金に大きく影響してしまう現状が見て取れます。
参考:見出し「高卒公務員の年収-民間企業との差とは」内の参考資料を参照
大卒公務員との待遇や昇進の差
高卒公務員と大卒公務員は、その待遇や昇進にも差があります。たとえば、前述したように退職金などの待遇面では、大卒のほうがもらえる額が多い傾向にあります。
また、大卒公務員の場合には「幹部候補生」として採用されるケースが多く、出世のスピードが早い傾向があるため、結果的に高卒公務員との昇進の差となって表れています。
なお、基本的には40歳くらいまでは出世や昇進は高卒大卒ともに同じペースで進んでいく傾向があります。ただし高卒の場合は課長級以上の役職に出世することはほぼなく、どんなに頑張っても天井が見えてしまうという点は、高卒公務員のデメリットといえるかもしれません。
役職が就くほうが給料の額は高くなるため、結果的に大卒公務員で課長級以上の役職に就いている人と比べると、同じ年齢でも、もらえる給料の額に差がついてしまうのです。
高卒公務員を後悔のままにしない方法
高卒公務員になったものの後悔の気持ちがある場合には、まずはその理由を明確にすることが大切です。理由を明確にしないと、たとえ別の進路に進んだとしてもその後悔が続いてしまう可能性が高いからです。
たとえば「自分ももっと自由な生活がしてみたい」という本音があるのに、その本音に目を向けず「大卒公務員より給料が低い」ということを気にしたケースを考えてみます。
この場合、給料が高い会社を目指し、営業職でインセンティブが多く支払われる会社に転職したとします。インセンティブとは仕事で成果を上げた分だけ給料に反映される報酬部分のことですが、これは逆にいうと、成果を上げ続けなければ収入が少なくなることも意味します。
そのため、結局は公務員として働いていたとき以上に自由がなくなり、給料は高くなったとしても本来の「自由な生活がしたい」という希望を実現することができず「これなら公務員を続けていたほうがよかったかも」と、再び後悔する可能性があるのです。
高卒で公務員になった人のなかには、やりがいを持って日々公務員の仕事に取り組んでいる人もいれば、「公務員にならなければよかった」という後悔を持っている人もいるかもしれません。
ですが厳しい言い方をすると、後悔の想いをずっと引きずり続けてクヨクヨしていても、何の意味もありません。そもそも、高卒で公務員になれたこと自体は素晴らしいことです。当然誰でもなれるわけではありませんし、それだけの能力があるということです。
高卒で公務員になってから「こうしたかった」「ああすればよかった」という気持ちが芽生えているなら、それを解消・解決する方法はないか考え、行動につなげればよいだけです。
まずは自分の後悔とは具体的に何なのか、そして「本当に解消したい後悔」は何か、といったことを冷静に考えてみてください。そのうえで、それらの後悔を解消する方法を試してみましょう。
具体的には、次の3つの方法がおすすめです。
- 大学や専門学校に入り直す
- 民間企業へ転職を行う
- 第三者に相談をしてみる
それぞれについて、見ていきましょう。
大学や専門学校に入り直す
高卒で公務員になって後悔している場合には、大学や専門学校に入り直すのがひとつの手といえます。
たとえば「自由がない」と後悔している人の場合には、大学の4年間でのびのびとした時間を過ごせることで、理想の生活を送れるかもしれません。専門分野について授業やゼミ活動のなかで学びを深め、自分の興味のある領域への就職を目指すことも可能でしょう。
専門学校の場合には2年間の通学が基本ですが、そこで専門的な知識を学べば、就職に有利に働きます。公務員の仕事は基本的にはルーティンワークが中心で、人によっては飽きてしまうこともありますが、本当に自分がしたいことを専門学校で学び希望の仕事に就職できれば、公務員以上のやりがいを持って仕事に打ち込める可能性もあります。
民間企業へ転職を行う
民間企業への転職を目指すのもおすすめです。「公務員のほうが安定している」とは言われますし、公務員以上に安定している職業はないのも事実です。しかし、民間企業のなかにも売上を安定的に伸ばしている企業や、景気に強い業種も少なくありません。
また、民間企業の場合、高いスキルを持つ人には相応の高い給料を出す会社も多く存在します。一方で公務員の場合には、どれだけ熱心に仕事をしていても、基本的には年功序列の世界のため、若くして中堅社員よりも多くの給料をもらうことはまずありません。
その点、民間企業であればスキルや実績次第で、ほかの中堅社員よりも多くの給料をもらうことも夢ではなく、高卒公務員として勤め上げる以上の生涯賃金が手に入る可能性もあるでしょう。
スキルの面でいえば、公務員として働いてスキルを大きく伸ばすことは期待できません。なぜならば、警察官や消防士などの職種は別として、公務員のなかでもオフィスワークなどの仕事をする場合、事務作業がメインだからです。事務作業は「マニュアル仕事」ともいわれ、それを正確にこなせる人であれば問題ありません。
公務員はある意味特殊なため、公務員という世界のなかでは普通に働くことができていても「一般の転職市場では相手にされないレベル」のスキルしかない人もいます。
定年まで公務員でいることを決めているのであれば問題ありませんが、どこかのタイミングで民間への転職を希望した場合、それがハンデになることもあります。
一方でIT技術に関わる仕事や、経理や財務に関わる仕事などの仕事の価値は相対的に高く、高卒であっても実務を通じてスキルを磨き、プロフェッショナルとしての地位を築いている人も少なくありません。
スキルを日々磨きながら、社会から期待される人物になっていきたい場合には、民間企業でスキルアップを目指すのもひとつの手といえるでしょう。
第三者に相談をしてみる
高卒公務員に後悔している場合には、第三者に相談してみるのも有効な手段といえます。
そもそも後悔している人のなかには「自分が何に後悔しているのか」といったことがわからない人も多いかもしれません。特に若いときは、自分の人生に対して希望とともに、多くの不安も抱えがちなものです。
しかし勢いだけで公務員を辞めてしまうと、結局はさらに後悔する可能性もあります。そのため「まずは何に後悔しているのか」といったことを突き止める必要があります。自分では難しい場合には第三者に相談し、客観的な意見をもらうようにしてください。
【まとめ】高卒公務員で後悔している理由を見つけよう
繰り返しになりますが、高卒公務員で後悔している場合には、まずはその後悔している理由を探すことから始めてみてください。多くの場合、その後悔は「他人との比較」が生み出しているものであることに気づくはずです。
たとえば大学に進学した友達や大卒で民間企業に進んだ先輩、または大卒の公務員と自分を比較をしていませんか?こうした比較は、自分の立ち位置を理解するうえでは有効ですが、一方で、そうすることで焦りや後悔が生まれてしまうリスクもあります。
いま後悔している場合には、誰かとの比較ではなく、自分がこの先どうなっていきたいかを考えつつ、今後のキャリアを選択していきましょう。自分の価値観と照らし合わせ、公務員の仕事を続けていくという選択肢以外に、たとえば大学への進学を目指すことや、民間企業への転職も検討してみてください。
ジェイックでは公務員から民間企業への転職を考える求職者の方に対し、研修のなかで民間企業で働くうえでのビジネスマナーも教えています。「高卒公務員として働いているけれど、民間企業で仕事をしてみたい」と考えている方は、ぜひご相談ください。
「高卒 公務員 後悔」によくある質問
高卒公務員は「勝ち組」と呼ばれることもよくあります。その理由は「高卒就職で公務員になれる人の割合の低さ」と「高卒公務員の年収(民間企業との差)」の2点です。詳しくは「高卒公務員は勝ち組?-うらやましがられる理由とは-」の章をお読みください。
周囲からは勝ち組だと思われがちな高卒公務員ですが、自分を「負け組」と感じてしまう人も少なくないようです。その理由は「高卒公務員を後悔……‐負け組だと感じてしまう理由とは-」で詳しくご紹介しています。
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