高卒でも資格を取れば大卒以上の給与になるのか、また、資格は今後の就職や転職に有利になりやすいのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、高卒就職時に取得するとよいおすすめの資格に加えて、転職時に有利になりやすい資格についても解説していきます。
また、中卒の方のなかには「高卒資格」と「高卒認定」の違いがよくわからないと感じている人もいるでしょう。両者の違いについても徹底解説していますので、理解したうえで、資格か認定のどちらを取得するか検討していきましょう。
この記事の目次
高卒就職で資格があると有利になりやすい理由
高卒で就職する場合、資格を保有していると有利になりやすいといわれることがあります。その3つの理由について、まずはご紹介します。
理由1.資格取得を努力の証として見てくれるため
資格を取得するには、少なからず時間をかけて勉強する必要があります。つまり、試験に受かって資格を取得したということ自体が「一定の努力をした証明」と、企業に評価されやすいのです。
大卒の場合はそれだけで一定の学力レベルを証明できますが、高卒は、学歴自体ではあまり有利にはならないことが多いといえます。
資格を持っているから採用されるというわけではないものの、たとえば同じレベルの応募者がいた場合、資格がない高卒と資格がある高卒を比較したときに、資格があることが選考においてプラスになることはあり得ます。
理由2.入社後に資格取得をさせる企業もあるため
職種によっては、働くうえで資格が必要なものもあります。特にIT系の技術職や金融系の仕事の場合、入社前、または入社後に資格取得を求める企業もあります。
資格を持っていると手当がついたり、企業が資格取得を奨励したりしている場合、早い段階で資格を取得しておいたほうが、メリットが大きくなります。
在学中に仕事で必要な資格を取得しておくことで「すでに一定の専門知識がある」とみなされる可能性が高くなります。具体的に就きたい仕事が決まっている場合、就職活動の前に必要な資格を取得しておくのもひとつの手です。
理由3.履歴書に記載でき、面接が有利になりやすいため
履歴書には、資格を記載する欄が必ずあります。誰でも取得できるようなものはあまり評価対象にならないかもしれませんが、一定レベルの資格を取得している場合、採用の場で有利になる可能性があります。
高卒で就職する場合、たとえ優秀な人材であっても、面接だけで具体的に自分の能力をアピールするのはそう簡単ではありません。しかし資格があれば、面接官の目に留まる確率も高くなるはずです。
面接でも、資格に関する質問をされる可能性は高いでしょう。保有している資格を仕事にどう活かせそうかを伝えることができれば、採用の可能性もアップします。
高卒就職で取るべきおすすめの資格を紹介
高卒者が就職の際に持っていると、有利になる資格を4つご紹介します。すべて高校に通いながら、独学で勉強しても合格可能な資格です。
簿記
簿記の資格は、さまざまな企業の経理業務に活かすことができる資格です。就職に有利な理由は、経理などお金を扱う仕事は、すべての企業でほぼ必ず存在するからです。
民間企業は営利団体のため、必ずお金のやりとりが発生します。簿記の資格を持っていると、このお金の流れがくわしく把握できるのです。
簿記の資格(日商簿記)は1〜3級まで存在し、それぞれの知識レベルは以下になります。
- 3級:商店や小規模企業の経理がわかる
- 2級:中小企業から大企業までの、財政状態と経営成績が財務諸表から理解できる
- 1級:様々な企業の経営分析を行い、コンサルティング業務に活かせる
高卒時点で2級まで取得できていると、就職において有利になりやすい傾向があります。
MOS
MOSとはマイクロソフトオフィススペシャリストの略称で、Office(WordExcelPowerPoint)のスキルを証明できる資格です。MOSが就職に有利な理由は、Officeを使っている企業がほとんどだからです。
受験資格も特にないため、高校生でも受験ができます。ただし未成年の人が受験する場合は、保護者の同意が必要です。
レベルはスペシャリスト(一般)とエキスパート(上級)に分かれており、高卒時点ではスペシャリストレベルまで取得できていれば十分です。
ITパスポート
ITパスポートは、ITの基礎を習得しているとみなされる資格です。
ITパスポートが就職に有利な理由は、多くの仕事でITの知識・技術が必要とされるからです。さまざまな職種に活かせるITの基礎が学べるため、IT企業への就職はもちろん、事務職などにおいても役立つ資格といえるでしょう。
ITパスポートの試験内容は大きく、以下の3分野に分かれています。
- ストラテジ系(経営戦略やマーケティング)
- マネジメント系(システムやソフトウェアの管理)
- テクノロジ系(セキリュティ、ネットワーク、データベースなどのIT技術)
受験資格も特になく、高校に通いながらでも独学で勉強を進めることが可能です。
危険物取扱者(乙種4類)
危険物取扱者とは、消防法に定められた「火災の危険性が高い物質」を取り扱える資格です。危険物取扱者には甲種、乙種、丙種の3種類があり、そこからさらに1〜6類の全6種類に分かれています。
高卒時に持っていると就職で有利なのは「乙種4類」です。なぜなら乙種4類は、幅広い実務で役立つ資格だからです。主にガソリンスタンドで取り扱う引火性液体(ガソリン、灯油、軽油、重油など)が対象ですが、石油メーカーや化学メーカーなどに就職する際も有利になります。
高卒就職について、以下の記事でもくわしくご紹介しています。
高卒就職の現状やおすすめの業種など、高卒の就職全般について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
高卒転職で取っておくと便利な資格を紹介
「高卒で一度は就職したが、転職したい」という方向けに、高卒で転職する際に有利になりやすい資格を5つ紹介します。
やや難易度は高いですが、勉強次第で十分合格を目指せる資格です。
基本情報技術者
基本情報技術者は「IT技術の基礎レベルを証明する資格」で、ITエンジニアへの転職を考える人は取っておきたい資格です。なぜならば、IT企業への転職が有利になるからです。面接の際は、ITエンジニアとしての基礎知識を習得していることをアピールできます。
以下の仕事などで幅広く活かせる資格になるため、取得しておいて損はないでしょう。
- プログラマー
- システムエンジニア
- Webデザイナー
独学でもきちんと学習すれば、十分合格の可能性がある資格です。
宅地建物取引士(宅建士)
宅地建物取引士(以下「宅建士」)は、不動産会社では必要不可欠とされる資格です。なぜなら、宅建士でないとできない仕事が多数あるからです。
具体的には、以下の業務が該当します。
- 不動産契約前に行う重要事項の説明
- 重要事項説明書面への記名押印
- 契約内容を記載した書面への記名押印
宅建士は、不動産業界への就職や転職を視野に入れるならばぜひ取得しておきたい資格です。面接の際には、即戦力で活躍できることを伝えられます。
行政書士
行政書士は法律系の国家資格で、許認可申請や会計業務などの幅広い業務に携わります。行政書士が作成できる許認可書類は10000種類以上もあるため、需要が大きいです。
士業の資格には受験資格が定められているものも多いですが、行政書士は受験資格に学歴条件がありません。高卒であっても十分な勉強をすれば合格できます。
近年の行政書士には、コンサルティング力の高さが求められます。面接では行政書士の資格を持っていることに加えて、対人スキルをセットでアピールできると効果的です。
電気工事士
電気工事士はその名の通り、電気工事の従事者に必要な資格です。電気工事は欠陥があると感電事故や漏電火災などのリスクを伴うため、工事の取り扱いには資格が必要とされています。 電気は誰もが使うため、今後しばらくは、需要がなくなることは考えにくいといえます。
近年IT業界の成長が著しいですが、パソコン、スマートフォンをはじめとする通信機器、AIなどは電気がなければ使えません。こうした伸びている産業に関連づいていることも電気工事士の強みです。面接では「一つひとつの仕事を丁寧にこなす姿勢」をアピールできると効果的です。
電気工事士の資格は「第1種」「第2種」に分かれており、違いは以下の通りです。
- 第1種:高圧電力を必要とする電気設備の工事ができる(ビルや工場など)
- 第2種:600ボルト以下で受電する電気設備の工事ができる(一般住宅一般店舗)
ただし第1種の取得には実務経験が必要なため、高卒で未経験の人は、まず第2種の資格を目指すのが一般的です。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小企業の経営コンサルタントの資格です。中小企業診断士が就職に有利な理由は、近年経営に問題を抱えている中小企業は多く、さまざまな経営課題を解決できる人材は重宝されるからです。
- 経済学
- 財務
- 経営理論
- 運営管理
- 法務
- 情報システム
中小企業診断士の試験勉強をすることで上記の分野が幅広く学べ、経営資源を横断的に見ることができ、面接の際は「経営全般の高度な知識があること」をアピールできます。またあなた自身が転職をする際にも、優良企業を見極められるようになるでしょう。
高卒転職における資格について、以下の記事でもくわしくご紹介しています。
高卒で転職した場合の給料などについても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
【高卒女子向け】産休・育休等の将来を踏まえた資格取得
高卒の方のなかでも、女性が取っておくとよい資格を紹介します。高卒の女性が資格取得を考える際に押さえておいきたいポイントと、子育てをしながら働きやすい仕事に必要な資格を4つまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
ポイント:将来を考えたキャリア設計
女性と男性では、キャリア設計を考えるうえでのポイントが異なります。
女性の多くは結婚・出産・子育てというライフイベントが少なからず仕事に影響し、働き方が変化する可能性が高いからです。子どもが産まれる前と産まれた後とで、まったく同じ働き方ができる女性は少ないといえます。
需要が高い資格を取得しておくことで、出産後に一定期間休んだり、子育てと両立しながら再び働きはじめる際にも安心です。途中、家庭の都合で職場を変えたいという希望が出てきた場合でも、資格があれば比較的スムーズに転職できる可能性も高くなります。
高卒で資格取得を考えている女性は、将来結婚して子どもが産まれた後の仕事や働き方なども視野に入れたうえで、検討することをおすすめします。
高卒女子におすすめの資格
高卒女子におすすめの4つの資格とその理由を、それぞれご紹介します。
保育士
保育士資格を取っておくと、ひとまず就職先に困ることはありません。人材不足の職場が多いからです。
「職場のスタッフ全員が女性」というケースもあり、産休や育休からの復帰も比較的スムーズにしやすいなど、女性が働きやすい環境であることも多いでしょう。
一度離職した場合でも、再就職のために活用できる支援制度が多数用意されています。具体的には以下のものです。
- 保育士就職準備金貸付
- 潜在保育士向けの研修
- 保育士・保育所支援センター
- 保育士専門のキャリアアドバイザー
現在は、大学や短大などのほか、専門学校を卒業して保育士になるルートが一般的です。高卒で保育士資格を目指す場合は養成学校へ通う方法のほか、高校の卒業年月日が平成3年3月31日以前であれば、通信講座などで勉強し受験することも可能です。
医療事務
医療事務の仕事をするにあたって資格は必須ではありませんが、資格を持っていることで就職が有利になります。
医療事務の資格としては、主に以下の4種類です。目指す働き方に合わせて、受験する資格を検討してみましょう。
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
- 医療事務管理士技能認定試験
- 診療報酬請求事務能力認定試験
- 医療事務認定実務者
最近ではさらなる高齢化の加速により、医療業界は年々忙しくなっています。そのため、医療事務の求人数も増えています。
女性が多い職業のひとつで、一定期間専業主婦だった人が社会復帰後の仕事に選ぶケースもあります。働いているのは女性が大半となるため、産育休後の復職にも理解がある職場も多く、その点では働きやすいといえるでしょう。
登録販売者
登録販売者は、薬局などで医薬品を販売できる資格です。これまでは薬剤師でないと販売できなかったものでも、登録販売者の資格を持った人が取り扱えるようになりました。そのため現在では、多くの薬局から重宝される資格です。
薬局のみならずホームセンターなど、第二類・第三類医薬品を扱う場であれば働くことができるため、職場選びの選択肢も広いといえます。
元々は学歴や実務経験などの条件がありましたが、2015年以降は制限が撤廃されて誰でも受験ができるようになりました。また登録販売者の通信講座や資格スクールも多数存在するため、未経験の人でも無理なく合格を目指せる資格です。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、就職や転職の希望者に対して、職業選択や能力開発の相談に乗るキャリア形成の専門家です。近年転職をする人が増えて、職業の幅も昔に比べて広がったことから、需要が高まっている資格です。
就職においても幅広い職種で活かせる資格となっており、具体的には以下の環境で力を発揮できます。
- 企業内の人事部
- 企業の管理職
- 人材紹介/人材派遣会社
- 就職支援をする公的機関(ハローワークなど)
- 各種教育事業(塾やスクールなど)
このようにキャリアコンサルタントは、今後も活躍できる環境が増え、就職に有利な資格となっています。
自身が復職や子育てと仕事の両立に関する知識をもっているため、子どもが産まれた後のキャリアなどについてもビジョンを立てやすいでしょう。
高卒女性の資格について、以下の記事でもくわしくご紹介しています。
高卒女性におすすめの仕事などについても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。
高卒者が資格を取る際にやるべきステップを解説
高卒で資格取得を考える前にやるべきこと、資格取得の成功例と失敗例についてご紹介します。
資格を取るためのステップを解説
資格を取る際は「資格を取ること」が目的にならないようにしてください。資格を取ったとしても、仕事自体が合わなければ意味がないからです。
具体的には、下記の順序で考えるとよいでしょう。
- まずは将来どうなりたいか考える
- 理想の将来に近づける仕事を調べる
- その仕事に資格が必要であれば取得する
場合によっては、資格を取らなくてもよい可能性もあります。資格を取ることが目的になると本末転倒になりかねないため、注意しましょう。
STEP1.まずは将来どうなりたいか考える
自分が将来どのように生きていきたいのか、どんなキャリアを積んでいきたいのかについて、具体的に考えてみましょう。
たとえば、以下のような観点からです。
- 10年後、20年後にはどうなっていたいのか
- 仕事において何を優先したいのか(やりがい、給与、働き方など)
- 安定した仕事がいいか/やりたいことへのチャレンジを優先したいか
今後、考え方が変わっていっても問題ありません。現時点で思いつくことを書き出すなどして、イメージを深めていきましょう。
STEP2.理想の将来に近づける仕事を見つける
理想の将来をイメージできたら、それを実現できそうな職業はないか、探してみましょう。たとえば「全国どこにいてもできる仕事がしたい」などの場合、将来的にはリモートなど自宅でも働けるようなIT・Web系など、パソコンを使ってできる仕事を探してみるとよいでしょう。
逆に「たくさんの人と接することができる現場で働いていたい」という場合、接客業などのほか、福祉系の仕事なども選択肢として考えられます。
自分の理想から逆算して考えることで、自分にマッチした職業を見つけられる可能性が高まります。
STEP3.その仕事に資格が必要であれば取得する
STEP2で自分に合いそうな仕事を見つけたら、そこではじめて、資格が必要なのかどうかを調べます。たとえば「子どもとかかわる仕事がいい」と考えた場合、保育士資格を取得したほうが、就職の選択肢は格段に広がります。
逆に、その仕事に必ずしも資格が必要ではない場合、無理に取得する必要はありません。
たとえば営業の場合は「営業士」、小売業の場合は「販売士」の資格などがありますが、これらの職種は、資格を持たずに活躍している人もたくさんいます。
資格取得の成功例
明確な目的を持って資格を取得することで、就職の際にもプラスに働くことが多くなります。
資格取得の成功例をご紹介します。
IT系の仕事に関心があり、ITエンジニアの仕事に就きたいと考えた。「就職する前に基礎をしっかりと身につけておきたい」と考え、基本情報処理技術者試験を受験し、無事合格。就職活動では資格があることが有利に働き、無事に志望企業に内定。就職後も資格手当がつき、仕事面でも収入面でも、自分なりに納得のいく就職ができた。
やりたいことがはっきりしていて、目標を叶えるための手段として資格取得をするのであれば、非常に意味があります。
資格があることで専門知識のベースがある状態から仕事をスタートできるため、ほかの人と比べても仕事を吸収しやすく、成長ペースも早いことが期待できます。
また、高卒で就職する場合、なかには大卒に対してコンプレックスを感じる人もいます。資格を保有していることが自信となり、仕事に集中できる可能性も高まります。
資格取得の失敗例
ただ資格を取得するだけになってしまうと「こんなはずではなかった」と感じる可能性が高くなるため、注意しましょう。
資格取得の失敗例をご紹介します。
「資格があれば安心だから」という理由で医療事務の資格を取得。しかし.いざ医療事務の仕事に就いてみたところ業務に興味を持てず、仕事にも身が入らず、すぐに辞めることを考えはじめた。子育てと両立しやすい仕事であるとは感じたものの、やりがいを感じない仕事を続けることに疑問を感じ、早期離職してまったく別分野の仕事を探すことにした。
もちろん、一生懸命勉強して資格を取得したこと自体は意義のあることです。しかし、結果的にその資格を活かす仕事をしなかった場合、せっかくがんばって勉強にかけた労力や時間がもったいないともいえます。
「将来どうなりたいか」「自分に向いているのか」などを考えたうえで資格を取らないと、上記のような失敗をしがちです。まずは自分が将来どうしたいのかや、適性などから考え、資格取得にはある程度慎重になりましょう。
高卒資格と高卒認定資格の違い
最後に、高卒資格と高卒認定資格の違いとそれぞれの特徴をご紹介します。現在中卒や高校を中退した方のなかには、高卒の資格がほしいと考えている方もいるかもしれません。
高卒資格と高卒認定資格は、言葉は似ていますが「まったく違うもの」です。違いを理解したうえで、検討しましょう。
高卒資格とは-取得条件も紹介-
高卒資格は、以下いずれかの高校に最低3年間在籍し、条件を満たして卒業することで得られます。
- 全日制
- 定時制
- 通信制
これらの高校を卒業した場合、いわゆる一般的な「高卒」扱いになります。
高卒資格を取得するためには、主に以下の条件があります。
- 出席日数を7割以上満たしている(全日制、定時制)
- 学校が定める一定の成績を収めている
- 単位認定試験に合格し、74単位以上取得している(通信制)
基本的に、全日制と定時制は学校へ登校して授業を受けることになります。一方、通信制のあり方はさまざまで、登校とオンライン授業を組み合わせるケースもあれば、オンライン授業やレポート提出などが主で、ほぼ登校しなくても単位を取得できることが可能なコースもあります。
定時制や通信制の場合、生徒の年齢層はバラバラということもめずらしくありません。事情があり高校へ進学しなかった・一度は高校を中退したなどの場合でも、高卒の学歴を得るための再チャレンジができる場です。
高卒認定資格とは-取得条件も紹介-
高卒認定資格は、文部科学省が実施する高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)に合格した人のことを指します。
合格すると「高校卒業者と同程度の学力がある」と見なされるため、この資格があると、大学や公務員試験、国家試験などを受験できます。
高卒認定資格の取得条件は、以下の通りです。
- 高卒認定試験に合格すること
文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」によると、高卒認定試験の概要は、以下の通りです。
- 試験日:毎年8月と11月の年2回
- 全国47都道府県の試験会場で受験が可能
- 教科:国語、数学、公民、地理歴史、理科、外国語(計10科目)
- 8~10科目に合格すればOK/合格した科目は次回免除
- 受験料は4500~8500円(科目数により異なる)
一度に10科目まで同時に受けられるため、早ければ一回目の試験で合格し、高卒認定資格を取得することも可能です。たとえば高校に一年以上通って中退した場合などは、受験科目を一部免除できるケースもあります。
少数派かもしれませんが、たとえば「高い学力があるが、高校へ行くのはむずかしい」という人などは、高卒認定資格を取得したのちに大学を受験し、高校へは行かずに大学へ進学するという手段もあります。
高卒資格と高卒認定資格の違い
高卒資格と高卒認定資格には、以下のような違いがあります。
高卒資格 | 高卒認定資格 | |
---|---|---|
高校への在籍 | 必要(3年以上) | 不要(在籍者も可) |
高校の卒業 | 必要 | 不要 |
対象年齢 | 15歳以上 | 満16歳以上 |
大学などの受験資格 | あり | あり |
費用 | 3年分の学費 | 受験料のみ |
最終学歴 | 高卒 | 中卒 |
高卒資格と高卒認定資格のもっとも大きな違いは「最終学歴」です。
高卒資格はその名の通り「高卒」扱いになりますが、高卒認定資格はあくまで資格に過ぎないため「中卒」扱いになります。ただし、履歴書などに書く学歴は「中卒」ですが、資格欄に高卒認定資格を取得している旨を記載することはできます。
また、高卒認定資格は、いわゆる「高校生活」は体験できないという点も大きいといえます。
高卒認定資格は、誰にでもおすすめの資格ではありません。ただし、以下のような人にはメリットがあります。
- 高校へ行く気はないが、大学は絶対に行きたい
- どうしても高校へ通えない事情がある
逆に以下のような人は、高卒認定資格ではなく高卒資格を目指したほうがよいでしょう。
- 高卒の学歴が欲しい
- 高校で学び直したい
- 学生生活をやり直したい
高卒資格と高卒認定資格は同じではないということは、理解しておきましょう。
まとめ
資格はその道の専門性を持っていることを客観的に伝えることができ、高卒での就職にも活かせます。しかしあくまでも「資格を取ることはひとつの手段」ということを忘れないようにしましょう。あなたの望む働き方を考えたときに、資格が必要ならば取得に向けて勉強をすればよいのですし、不要ならば、資格にばかりこだわる必要はありません。
「自分ひとりでは資格を取得すべきか判断がつかない」という方は、就職/転職エージェントに相談してみるとよいでしょう。プロのキャリアカウンセラーが客観的なアドバイスをくれるため、自分に合った今後のキャリアを考えていくことができます。私たちジェイックもキャリア相談に対応していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
「高卒の資格」に関するよくある質問
たとえば保育士など、需要があり子育てとの両立もしやすい資格を取得していると、高卒女性は結婚・出産後も働きやすくなるといえます。詳しくは、本記事の内容をご覧ください。
高卒資格は高校を卒業していること、高卒認定資格は高卒と同等の学力を証明する資格があることを指します。高卒資格は高卒扱いですが、高卒認定資格は中卒扱いとなるため要注意です。
資格は、取ればいいというものではありません。就きたい仕事や向いてる仕事を見つけて、その後、必要ならば資格取得をするという方法が効率的です。高卒での資格取得に迷っている方は、ジェイックの「就職相談」にお申込みいただければ、プロのキャリアアドバイザーがアドバイスいたします。
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