ハローワークを通じて就職先が決まった場合、採用証明書の提出が必要なことを知っていますか?この記事では採用証明書が必要な理由や書き方について解説しました。再就職手当の受け取りにも関わるので、失業保険を受給している人はぜひ知っておきましょう。
ハローワークの採用証明書とは
採用証明書とは、失業保険を受給している人が再就職したことを証明する書類です。ハローワークを通じて再就職先が決まった場合、この採用証明書の提出が必要になります。
採用証明書を提出すると再就職したことが認められ、再就職手当がもらえます。採用証明書を提出するまでの流れは以下の通りです。
STEP1:ハローワークに報告する
就職先から内定を受け取ったら、まずはハローワークに報告をします。報告手段は、管轄のハローワーク営業時間に電話するのが一般的です。
「早く連絡をしてしまうと、その分早く失業保険の給付も止められてしまうのでは?」と不安に思う人がいますが、ハローワークに報告をした時点では失業保険の支給は止まりません。失業保険は就職日の前日まで受け取れます。そのため内定をもらったら、できるだけ早くハローワークに報告しておきましょう。
STEP2:採用証明書を準備する
次に採用証明書の原本を準備しましょう。採用証明書は失業保険の申請時にハローワークから受け取る「受給資格者のしおり」の中に同封されています。
もし見当たらない場合は、ハローワークのホームページからダウンロードすることができます。採用証明書をダウンロードする際の注意点として、自治体によって書類の様式が異なります。そのため管轄となるハローワークの様式のものかどうかを確認して、ダウンロードしてください。
STEP3:就職先に採用証明書の記入を依頼する
採用証明書を準備できたら、次は就職先に採用証明書の記入を依頼します。最もスムーズなのは、内定をもらったタイミングでどのように採用証明書の記入を進めたらいいかを確認することです。もし内定連絡の際に聞きそびれてしまったり案内がなかった場合は、就職先に電話をして、どのように対応したらいいかを確認しましょう。記入を依頼する箇所については、後ほど説明します。
STEP4:採用証明書をハローワークに提出する
就職先の企業に採用証明書の必要事項を記入してもらったら、ハローワークに採用証明書を提出します。ハローワークで採用証明書が受理されれば、手続きが完了です。
提出期限は内定が決まってから入社日の前日までですが、早めに提出しておきましょう。その理由として、採用証明書は内定が決まったらすぐに提出できるのと、入社日直前は忙しくなることが多いからです。
もしハローワークに行く時間が取れない場合は、郵送でも提出が可能です。郵送する場合、採用証明書と一緒に失業認定申告書と雇用保険受給資格者証の同封も必要となるため、注意してください。
万が一就職先の都合で提出が間に合わない場合は、分かった時点でハローワークにその旨を伝えましょう。採用証明書の提出期限を延ばしてもらえるなどの対応をしてもらえます。
ハローワークの採用証明書が必要な理由とは
採用証明書は再就職が決まった場合に必要ですが、そもそもなぜ・どのような時に必要となるのでしょうか。理由は大きく2つあり、順に説明します。
失業保険の受給を停止するため
理由の1つめは、失業保険の受給を停止するためです。ハローワークが失業保険を給付する目的は以下の2つです。
- 失業期間中、安定した生活を送れるようにするため
- 再就職までにかかる期間を短縮させるため
つまり失業保険は、失業中の人がスムーズに再就職できるようサポートをするための制度です。再就職が決まれば失業保険を受け取る権利はなくなるので、失業保険を停止する必要があります。採用証明書・雇用保険受給資格者証・失業認定申告書を持って、ハローワークの窓口で手続きをしましょう。
再就職手当の申請に必要だから
理由の2つめは、再就職手当の申請に必要だからです。先ほども説明したとおり、再就職が決まると失業保険の受給は止まりますが、代わりに「再就職手当」が支給されます。これは早期の再就職を促すための制度で、同じく再就職を証明するのが採用証明書です。
再就職手当は、失業保険を申請してから入社日までの期間が短いほど、給付金額が大きいです。そのため早く次の内定が決まった場合、速やかに申請することをおすすめします。
再就職手当の受給対象者、受給金額、申請方法については以下に解説します。
再就職手当の受給対象者
再就職手当を受け取るには条件があり、以下8つの項目すべてを満たす人が対象です。
- 失業保険受給手続き後、7日間の待期期間を満了した後に再就職した
- 失業保険の支給残日数が、1/3以上残っている
- 再就職した会社が、以前退職した会社とつながりがない
- 自己都合退職により3か月の給付制限がある場合、1か月目はハローワークまたは人材紹介会社・エージェントの紹介で就職が決まっている
- 再就職先に1年以上勤務する見込みがある
- 雇用保険の被保険者となっている
- 過去3年以内に再就職手当、または常用就職支援手当の支給を受けていない
- 受給資格決定後に内定が決まった
再就職手当を受け取ることを考えている人は、必ず8つすべての項目に当てはまっていることを確認しましょう。特に失業保険の受給残日数が所定給付日数の1/3未満である場合、再就職手当は受け取れませんので注意してください。
再就職手当の受給金額
再就職手当の受給金額は、以下3つの状況によって決まります。
①基本手当日額(上限あり)
基本手当日額は、失業保険の基準となる金額です。雇用保険受給資格者証に基本手当日額の項目があり、そこに記載されています。
②失業保険の支給残日数
失業保険の支給残日数は、所定給付日数から就職前日までの支給日数を引いた残りの日数です。所定給付日数は以下の要素によって決まり、90〜360日の間で決められます。
- 離職の日における年齢
- 雇用保険の被保険者であった期間
- 離職の理由(自己都合か会社都合か)
③給付率
給付率は以下の基準が設定されています。
支給残日数が所定給付日数の2/3以上の場合:基本手当日額の70%
支給残日数が所定給付日数の1/3以上の場合:基本手当日額の60%
これらの条件から、例えば基本手当日額が4500円、失業保険の支給残日数が50日の人の場合、再就職手当は次の金額になります。
4,500(円)×50(日)×0.6(給付率)=135,000円
再就職手当の申請方法
再就職手当の申請方法は、次の手順です。
①ハローワークに報告する
②採用証明書を準備し、就職先に記入してもらう
③採用証明書をハローワークに提出する
④就職日の前日に、ハローワークで最後の失業認定を受ける
⑤就職後、就職先に再就職手当支給申請書を記入してもらう
⑥就職日から1か月以内に、採用証明書・再就職手当支給申請書・雇用保険受給資格者証の3点をハローワークへ提出する
申請に必要な書類は全て失業保険の申請時にもらえるので、保管をしておきましょう。もし新しい就職先が土日休みで平日の日中に時間の取れない人は、郵送で提出することもできます。
ハローワークの採用証明書の書き方
採用証明書の書き方は、ハローワークから受け取る「受給資格者のしおり」に記載があります。基本的に事業主(就職先の企業)に書いてもらう部分が大半ですが、一部本人が記載しなければならない箇所もあり、それぞれ説明します。
本人記入欄
本人が記載しなければならない箇所は「支給番号」です。本人しか把握できない情報のため、就職先の企業には分からないからです。
支給番号は「雇用保険受給資格者証」に記載されているので、確認して記入しましょう。支給番号を記載したら就職先の企業に提出し、記入を依頼します。
事業所記入欄
採用証明書の「支給番号」以外の項目は、基本的に就職先の企業(事業所)に記入を依頼します。
- 氏名
- 生年月日
- 住所
- 電話番号
- 入社予定日
- 従業員数
- 就職先企業の業種・職種
- 過去に同じ就職先で就業経験があるか
- 採用経路
- 雇用形態
- 雇用期間
- 就業先の会社名
- 就業先企業の代表者氏名と印鑑
- 就業先の所在地
- 就業先の電話番号
- 雇用保険の適用事業者番号
様式は自治体によって異なるものの、基本的にはこれらの項目を記入します。
採用証明書は就業日の前日までに提出となるため、スケジュールに余裕を持って依頼するようにしましょう。
「ハローワーク 採用証明書」によくある質問
「失業保険を受給している人が再就職したことを証明する書類」です。ハローワークを通じて再就職先が決まった場合、採用証明書を提出すると再就職手当が受給できます。採用証明書を提出するまでの流れは「ハローワークの採用証明書とは」の章でご参照ください。
「失業保険の受給を停止するため」「再就職手当の申請に必要だから」という2点が主な理由です。それぞれの理由について、詳しくは「ハローワークの採用証明書が必要な理由とは」の章で解説していますので、ぜひお読みください。
こんな方におすすめ!
- 自分に合った仕事が見つかるか不安
- ハローワークのサービスに物足りなさを感じている
- ハローワークしか利用したことがない
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