「ハローワークは資格取得もサポートしてくれるのかな」と思っていませんか?この記事では、ハローワークの資格取得支援、また、取得する際のポイントを詳しく解説していきます。これを読んで、資格取得に向けた1歩を踏み出しましょう。
- ハローワークで受けられる資格支援【求職者支援制度、教育訓練給付制度】
- 求職者支援制度とは、月10万円をもらいつつ、無料で職業訓練を受講できる制度
- 教育訓練給付制度は、資格取得などの受講料の一部が支給される制度
- 支援制度を利用する際は「就きたい仕事に必要な資格か」を考え、受講を決めたら取得できるまでしっかり取り組むことが重要
ハローワークで受けられる資格支援
資格取得に向け、ハローワークでは大きく次の2つの制度に対応しています。
- 求職者支援制度
- 教育訓練給付制度
そもそも「ハローワーク」とは、国が運営する職業紹介所のことです。企業に対して人材を紹介することが主な役割ですが、そのサポート範囲は広く、求人の紹介や面接対策、失業保険の事務手続きなどもおこなっています。
そして今回紹介するように、ハローワークは資格取得を目指す人をサポートする窓口としての機能も担っています。では、2つの資格取得支援について詳しく見ていきましょう。
求職者支援制度
求職者支援制度とは、月10万円をもらいつつ、無料で職業訓練を受講できる制度です。利用者は限られますが、金銭面でのサポートを受けつつ、さらに無料で資格取得を目指せる制度のため、条件に当てはまる場合にはぜひ利用を検討してみてください。
では次のポイントに分け、求職者支援制度について具体的にお伝えします。
- 対象者
- 制度活用の主な要件
- 訓練内容
- 申し込み方法
対象者
求職者支援制度は、「失業保険の手当てを受けられない人」を対象とした制度です。たとえば
以下のような人が該当します。
- 働いたことがない主婦やニート
- 以前の職場で雇用保険に未加入の人
- 離職中の失業保険の受給が終わってしまった人
- 自営業を廃業した人
上記のような人は「特定求職者」と呼ばれ、さらに「働くことに対する意思」があることが制度利用の前提とされます。
また10万円の求職者支援給付金を受けずに訓練だけを無料で受講することも可能です。この場合は、次のような人が対象となります。
- 離職者(親や配偶者と同居していて一定の世帯収入がある人など)
- 在職者(フリーランスで働きながら正社員への転職を目指す人など)
制度活用の主な要件
求職者支援制度の適用を受ける際は、さまざまな要件を満たしていることが必要となります。
まず10万円の給付金を受講できるのは、次の条件を全て満たしている人です。
- 本人収入が月8万円以下(※)
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席(やむを得ない理由がある場合も8割以上出席)
- 世帯のなかで同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
また、訓練受講に必要な要件は次のとおりです。
- ハローワークに求職の申込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援をおこなう必要があるとハローワークが認めたこと
※シフト制で働く人などは月12万円以下 (令和3年までの特例)
訓練内容
求職者支援制度を使うと、民間の教育訓練機関が実施するコースを無料で受講できます。コースによって異なりますが、基本的には2~6ヶ月で講座は終了します。また、テキスト代などは自己負担です。
なお、コースは大きく分けると次のふたつが用意されています。
基礎コース:社会人としての基礎能力、また短時間で習得できる技能などを習得する訓練
実践コース:就職を希望する職種に必要な実践的な技能などを習得する訓練
具体的なコース内容、取得できる資格については「ハローワークで取得できる資格一覧」のなかで紹介します。
申し込み方法
求職者支援制度は、主に次のステップで申し込みをおこないます。
- 求職申し込み(「仕事を探したい」とハローワークに申し出る)
- コースを選択
- ハローワークに申し込み
- 受講コースごとの面接や選考を受ける
- 就職計画書をハローワークにつくってもらう
- 受講開始
なお、受講開始後も月に1回はハローワークに行き、受講状況や就職活動状況を担当者に伝える必要があります。
求職者支援制度の詳しい内容、また申し込みまでの流れを知りたい場合には次のサイトも参考にしてみてください。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク|求職者支援制度・訓練受講のしおり
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度も、ハローワークが資格取得を支援している制度の1つです。
資格取得などのために専門のスクールに通ったりした場合の受講料の一部が支給される制度で、受けられる給付金の種類によって次の3つに分かれています。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金/教育訓練支援給付金
それぞれで取得できる主な資格は、「ハローワークで取得できる資格一覧」でお伝えします。なお、受給できる条件や申し込みの流れは給付金ごとに多少異なります。詳しくはお近くのハローワークに行って確認するか、次のサイトを参考にしてみてください。
では、教育訓練給付制度の3つの給付金について解説します。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座などを受講し、その受講を修了すると支給される給付金のことです。一般教育訓練給付金の場合、支払った額の20%(最大10万円)が還元されます。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金とは、「訓練前キャリアコンサルティング」を受け、所定の手続きを済ますことで支給される給付金のことです。支払った額の40%(最大20万円)が戻ってきます。
厚生労働大臣指定の講座などを受講し、その受講修了後に受講料の一部が還ってくる点は一般教育訓練給付金と同じですが、特定一般教育訓練給付金の場合には訓練前に指定のキャリアコンサルティングを受講しないといけません。
専門実践教育訓練給付金/教育訓練支援給付金
専門実践教育給付金とは、長期間の受講が必要な分野に対し、その講座を修了した場合に支払われる給付金のことです。なお、2022年度までの時限措置のついた制度として「教育訓練支援給付金」も用意されています。教育訓練支援給付金は、昼間通学制の専門実践教育訓練を受講しているなど、特定の条件を満たす場合に支払われる給付金です。
専門実践教育給付金の場合、受講料の50%(年間上限40万円)が最大3年間支給されます。そして訓練を終えたあとに資格などを取得し、1年以内に就職できれば残りの20%の追加支給が受けられます(年間上限56万円)。
教育訓練支援給付金の場合には、離職する直前6ヶ月間に支払われた賃金額をもとに算出した基本手当に対し、その日額に相当する額の80%が原則支払われます。
ハローワークの支援制度で取得できる資格一覧
ここまでお伝えしてきた次のふたつの制度について、それぞれで取得可能な資格を一覧にして紹介します(2021年5月時点)。
- 求職者支援制度
- 教育訓練給付制度
求職者支援制度
求職者支援制度で取得可能な資格は、主に次のとおりです。
- 情報処理技術者資格
- 介護職員初任者研修修了
- 第一種電気工事士
- 介護福祉士
- 保育士
- 建築士
なお詳しいコース内容や、そのほかの資格については「求職者支援訓練 認定コース情報」を確認してみてください。
教育訓練給付制度
教育訓練給付制度で取得できる資格は、かなり広範囲にわたります。そのなかでも特に代表的な資格について、次の3つの給付金ごとに紹介します(※)。
- 一般教育訓練給付金
- 特定一般教育訓練給付金
- 専門実践教育訓練給付金
※それぞれの給付金で重複している資格もあり
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金で取得可能な資格は、主に次のとおりです。
- 宅地建物取引士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 簿記
- 社会福祉士
- 調理師
- 保育士
なお詳しい講座内容や、そのほかの資格については「教育訓練講座検索システム」から検索可能です。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金で取得可能な資格は、主に次のとおりです。
- 介護支援専門員
- 国家資格キャリアコンサルタント
- 移動式クレーン運転士免許
- 電気主任技術者試験
- 大型自動車第一種免許
より詳しい指定資格については、「特定一般教育訓練指定講座一覧(2019年10月~2021年4月指定)」のなかで詳しく紹介されています。
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金で取得可能な資格は、主に次のとおりです。
- 介護福祉士
- 看護師
- 理学療法士
- 建築士
- 美容師
より詳しい指定資格については、「専門実践教育訓練指定講座一覧(2019年10月~2021年4月指定)」のなかで詳しく紹介されていますので、参考にしてみてください。
ハローワークの支援制度で資格を取得する際のポイント
ハローワークの支援制度を使って資格取得を考える際は、次のポイントに注意するようにしましょう。
- 就きたい仕事に必要な資格かどうか考える
- 受講が終わるまでしっかり取り組む
就きたい仕事に必要な資格かどうか考える
まず大切なのが、就きたい仕事に必要な資格かどうかを考えることです。
ハローワークではさまざまな資格取得のサポートが受けられますが、その一方で「どの資格を目指そうかな……」と悩んでしまう人が少なくありません。こうした人は、数ある資格を比較するのが面倒に感じてしまい、「なんか役に立ちそう」「聞いたことがあるから」といった軽い気持ちで取得を目指してしまう傾向もあります。
しかし、そもそも資格を取得する理由は「就職に役立つから」「キャリアップにつなげたいから」といった理由のはずです。そのため資格取得を考える場合には、目的から逆算して必要な資格を考えなければいけません。たとえば不動産の仲介業に就きたいから「宅建」を、介護職として働きたいから「介護福祉士」を、といったように目的を明確化したあとに資格取得を考えるのが正しいステップです。
くれぐれも「宅建は国家資格のなかでも意外と簡単らしい」といったウワサを鵜呑みにし、不動産業界への就職を考えていないにも関わらず何となく目指す、といったことはやめましょう。
受講が終わるまでしっかり取り組む
資格取得にあたっての給付金をハローワークから受け取ることを目指す場合には、受講修了を目指してしっかりと資格取得に励みましょう。なぜなら講座への出席率が低かったり、修了要件に満たなかったりすると、給付金を受け取れない可能性があるからです。
たとえば求職者支援制度の場合には、「全ての訓練実施日に出席(やむを得ない理由がある場合も8割以上出席)」と定められています。
一方で教育訓練給付制度の場合には、それぞれの教育機関が定める修了要件を満たすことが必要です。たとえば、次のような修了要件を定めているスクールもあります。
- 修了日までに出席率80%以上
- 修了試験の正答率60%
参考:
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク|求職者支援制度のご案内
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク|求職者支援制度・訓練受講のしおり
「ハローワーク 資格取得」によくある質問
ハローワークで取得できる資格支援は、2つあります。求職者支援制度、教育訓練給付制度の2つです。詳しくは、「ハローワークで取得できる資格支援」で解説を行っております。気になった方は是非読んでみてください。
ハローワークで資格を取得する際のポイントは、2つです。就きたい仕事に必要な資格かどうか考える、受講が終わるまでしっかり取り組むの2つです。詳しくは、「ハローワークで資格を取得する際のポイント」で解説を行っております。
こんな方におすすめ!
- 自分に合った仕事が見つかるか不安
- ハローワークのサービスに物足りなさを感じている
- ハローワークしか利用したことがない
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- ハローワークのサービスに物足りなさを感じている
- ハローワークしか利用したことがない