「フリーターが、正社員として就職するのは可能なの?」と疑問をお持ちの方はいませんか?
実は、フリーターから正社員への就職は可能です。なぜなら、フリーターを求めている企業もあるからです。
こちらの記事では、フリーターからの正社員就職が可能なのかどうかの解説や、就職するための方法を解説しています。
正社員になりたいフリーターの方は、ぜひ最後までお読みください。
フリーターから正社員就職は可能
フリーターから正社員として就職することは可能です。よく「実績や他の人にはないスキルを持っていないと就職できないのでは?」と思っている人がいますが、そんなことはありません。なぜなら以下の3つの理由があるからです。
- 求める人物像であれば採用したい企業があるから
- 多くの企業が採用に困っているから
- 正社員登用制度を設けている会社もあるから
「スキルや資格は入社してから身につければいい」と考える企業は珍しくありません。一方、価値観・性格などの人間性を教育するのは困難でしょう。そのため、採用時は「会社が求める人物像」を最優先している企業も多いのです。
また、有効求人倍率を見ても、近年は多くの企業が採用活動に苦戦しています。有効求人倍率とは「企業が出している有効求人数を、ハローワークに登録している求職者数で割った値」です。
- 1より大きい場合:採用したい企業の方が多い(求職者は就職しやすい)
- 1より小さい場合:働きたい求職者の方が多い(求職者は就職しづらい)
それぞれ、このように読み取れます。2022年9月時点では、有効求人倍率は全業種の合計で1.34でした。つまり、求職者数よりも求人数の方が多いので、就職しやすいタイミングといえるでしょう。
他にも、正社員登用制度を設けている会社もあります。正社員登用制度とは文字通り、契約社員・パート・アルバイトのような非正規雇用の人を正社員として登用する制度です。令和4年2月に厚生労働省が行った調査によると、正社員の登用実績は以下の通りです。
正社員登用制度 | 登用制度あり | 登用制度なし |
---|---|---|
登用実績あり | 37% | 7% |
登用実績なし | 38% | 16% |
75%もの企業が、正社員登用制度を設けていることが分かります。考えてみれば、これは自然なことと言えるのではないでしょうか。なぜなら、どういう人か分からない人材をいきなり正社員として採用するよりも、アルバイトとして実際に活躍している人を登用する方が安心感は大きいからです。もし仕事ぶりに不満があれば登用しなければいいだけなので、企業にとってはリスクの低い採用方法といえるでしょう。
また、以下の業種は正社員登用制度を設けている企業が多い傾向にあります。
- 医療、福祉
- 金融
- 製造
- 販売など一般消費者向けサービス
応募先企業を選定する際の参考にしてください。
参考「厚生労働省:一般職業紹介状況(令和4年9月分)について」
フリーターとは
厚生労働省の資料によると、フリーターは「以下3つの条件にすべてに当てはまる人」と定義されています。
- 15〜34歳
- 雇用形態が「パート」もしくは「アルバイト」
- 専業主婦(夫)や学生でない
世間であまり知られていない点は、フリーターには年齢の定義があることです。原則として「34歳までの人」を指し、35歳以上のパートやアルバイトで働いている人はフリーターとは言わず「非正規労働者」と呼ぶのが一般的です。
フリーターでいるメリット
フリーターでいることのメリットは、主に以下の3つがあげられます。
- プライベートの時間を自由に取れる
- 正社員に比べて責任が少ない
- 仕事の掛け持ちができる
先ほど「フリーターから正社員になることは可能」とお伝えしましたが、正社員就職は必ずしも全員におすすめできる選択肢ではありません。フリーターのメリットも存在するので、フリーターから正社員になろうか迷っている人はメリット・デメリットを比較しながら検討してください。
メリット1:プライベートの時間を自由に取れる
自由にプライベートの時間が取れるのは、フリーターでいることの大きなメリットです。正社員になると、基本的に就業時間を自分で決めることはできません。就業時間が「平日の9:00-18:00」と決まっている場合、有給でも使わないかぎり平日に休むことは難しいでしょう。
しかし、フリーターであれば「この日はシフトに入れません」と勤務希望を出すだけで基本的に休みが取れます。これはプライベートでやりたいことが決まっている人にとっては、メリットといえるでしょう。
例えば「バンドで定期的にライブに出たいから、あえて時間的自由の効くフリーターとして働いている」という人がいます。他にも「子どもが小学校に上がるまでは、なるべく一緒に過ごす時間を増やしたい」という人も、フリーターであることがメリットになります。
また、正社員であれば残業を断りづらい雰囲気もあります。断る権利はあったとしても、堂々と断れる人は少数派ではないでしょうか。一方、フリーターなら勤務終了時間になれば帰っても構いません。
このように、時間的な融通が利くのは大きなメリットといえるでしょう。
メリット2:正社員に比べて責任が少ない
正社員に比べればフリーターの職責は少なく、これをメリットと感じる人もいます。責任の大きい仕事は、基本的には正社員が担当します。そしてフリーターは、正社員の指示に基づいて仕事をするケースがほとんどです。正社員であれば達成目標やノルマなどのプレッシャーがありますが、フリーターはそのような責任がないので気軽に働けます。
そのため、ニート生活が長かった人や病気やケガなどで一時的に休んでいた人が社会復帰として働く際には、フリーターから始めるのも良いでしょう。他にも「来年から海外留学に行きたいので、それまでは気軽に仕事を辞められるフリーターとして働く」という人もいます。
メリット3:仕事の掛け持ちができる
仕事の掛け持ちがしやすいのも、フリーターのメリットです。正社員のようなフルタイム勤務の場合、兼業するのはなかなか大変です。副業をしたとしても、その時間が限られるのは間違いありません。
フリーターであれば、仕事を掛け持ちすることで以下のようなメリットを得られます。
- シフトを調整して正社員以上の月収を稼げる
- 幅広い経験ができる
正社員は就業時間が決まっており、近年は働き方改革で残業にも制限がかかるなど、給料を増やすことが難しいのが現実です。一方で、仕事を掛け持ちして正社員以上の月収を稼いでいるフリーターも珍しくありません。
また、さまざまな仕事をすれば、幅広い経験が手に入ります。仕事を掛け持ちすることで、自分の適性に気付けたり、将来を考える上でのヒントが見つかるかもしれません。
フリーターでいるデメリット
フリーターでいることにはメリットもありますが、もちろんデメリットも存在します。大きくは以下の3つです。
- 仕事が安定しない
- 給与が低い
- 福利厚生がないこともある
実際、フリーターをデメリットに感じる人の方が多いのではないでしょうか。それぞれの詳細を解説していきます。
デメリット1:仕事が安定しない
仕事の安定性でいえば、正社員に分があります。正社員は「無期雇用」であり、簡単にクビになることはありません。会社が社員を辞めさせられるのは、以下のような条件に該当する場合です。
- 禁錮以上の刑に処せられた
- 無断欠勤など、勤務態度が著しく悪い
- 会社情報を故意・過失によって漏洩した
- 意図的に会社の名誉を傷つけた
- 会社の注意指導に従わない
- 経営悪化により、人員整理がやむを得ない
企業が正社員を解雇できるのは、このように重大な問題行動が見られる場合に限られます。「社員が仕事で成果を出してないから」というような理由では、解雇できません。これが正社員の雇用が安定しているとされる根拠です。
一方、フリーターは「有期雇用」であり、雇用契約を更新されなければ解雇となります。また、直接的に解雇されなくても「シフトを減らされるなどの解雇に近い状態」となる可能性もあります。
ある程度は仕事で結果を出さないと解雇の対象となり、その場合はすぐに次の仕事を探さなければなりません。さらに、仕事を長く続けていないとスキルアップもできないため、短期間でアルバイト先を転々としている人は次の就職先を見つけるのに苦労することもあります。
デメリット2:給与が低い
給与についても、フリーターと正社員では大きな差があります。厚生労働省の調査によると、正規雇用(正社員)の給与は平均32万3,400円に対し、フリーターを含む非正規雇用の給与は平均21万6,700円でした。
なぜ、このような差が生じるかというと、フリーターには昇給・昇格・ボーナスを受け取れる機会がほとんどないからです。先ほど「責任ある仕事は、基本的に正社員が行う」とお伝えしましたが、責任ある仕事をしている分、評価される機会にも恵まれます。入社当初は正社員もフリーターも賃金に大きな差はありませんが、年数を重ねるにつれて、賃金格差は広がっていくので注意しておきましょう。
賃金構造基本統計調査の資料の中には、年齢別の平均給与データもあります。
年齢階級 | 正規雇用(正社員)の 賃金(千円) | 非正規雇用の 賃金(千円) |
---|---|---|
~19歳 | 183.9 | 167.9 |
20~24歳 | 216.6 | 183.0 |
25~29歳 | 250.9 | 204.9 |
30~34歳 | 283.7 | 207.6 |
35~39歳 | 315.9 | 208.3 |
40~44歳 | 341.8 | 210.2 |
45~49歳 | 361.3 | 209.9 |
50~54歳 | 388.4 | 212.0 |
55~59歳 | 393.0 | 210.5 |
60~64歳 | 329.8 | 248.8 |
65~69歳 | 299.2 | 224.2 |
70歳~ | 280.1 | 205.6 |
年齢 計 | 323.4 | 216.7 |
年齢を重ねるにつれて、正規雇用と非正規雇用で賃金格差が大きくなっていくことが分かります。正社員が昇格して昇給していく一方で、フリーターは基本的に「働いた時間分」でしか給与が支払われません。そのため、年齢を重ねても収入が伸びづらく、年齢を重ねるにつれて正社員との給与格差が開いていくのです。
デメリット3:福利厚生がないこともある
給与面の差があるだけでなく、正社員とフリーターでは福利厚生にも大きな差があります。福利厚生とは、基本給以外にも従業員や家族に対して行うサービスで、代表的なのは以下のものです。
- 住宅手当(家賃の一部を会社が負担する)
- 健康診断や人間ドック
- ジムなど運動施設の利用補助
- 結婚祝い金
- 出産祝い金
- 短時間勤務制度
- 託児所や保育施設の設置
- 育児休暇
- 資格取得の支援(受験料を会社が負担するなど)
- テレワークの導入
- 確定拠出年金制度の導入
- 財形貯蓄制度の導入
どのような福利厚生を導入しているかは会社によって異なり、個々の会社が独自に設けている制度もあります。
会社が福利厚生を充実させる目的は、従業員やその家族の満足度を上げて、少しでも長く働いてもらうことです。つまり会社からすると、福利厚生は「役職者や長く働ける正社員ほど手厚くしたい」と考えるのが自然でしょう。
このような狙いがあるため、フリーターは受けられる福利厚生が少ない、あるいは無い場合も珍しくありません。正社員に比べると、受けられる福利厚生が少ない事は間違いないでしょう。
福利厚生は、実質的に収入に直結します。例えば、家賃を月に2万円負担してくれるなら、実質月の給料が2万円アップしたようなものです。先ほど「正社員とフリーターの給与には差がある」とお伝えしましたが、それ以外にも生活水準ベースで見ると、より大きな差があると考えられます。
フリーターと正社員の違いについて知りたい人は、こちらの記事も参考にしてください。
フリーターから正社員就職する方法
フリーターでいることのメリットとデメリットを比較して、あなた自身は正社員とフリーターのどちらで働きたいかのか、方向性が見えたでしょうか。
ここからは、フリーターから正社員に就職する際に活用したい3つの方法を紹介します。
- ハローワーク
- 就職サイト
- 就職エージェント
以下で、それぞれの方法について解説します。ぜひ「自分に合う方法はどれか?」を考えながら読み進めてください。
方法1:ハローワークを利用する
ハローワークは、厚生労働省が設置する「公共職業安定所」の愛称で、求職者や人を採用したい中小零細企業に国が無償で支援を行っています。求職者に対して提供しているサービスは、具体的に以下のものです。
- 職業紹介
- 就活の進め方相談
- キャリアコンサルティング
- 就活セミナー
- 職業訓練
中でも「職業訓練」はハローワークならではのサービスで、数か月間にわたって就職に役立つ知識やスキルを学べます。無料で学べる上に、さまざまなコースがあるのも特徴です。
ハローワークの主な対象者は「地元の中小企業への就職を検討している人」です。そのため大企業の取り扱い求人は少なく、これはハローワークの大きな目的でもある「地域の総合的雇用を活性化すること」に関連しています。
ハローワークを利用する際の注意点は、主に以下の3つです。
- 住んでいる地域の管轄となるハローワークで手続きが必要
- 主体的に行動しないと就職しづらい
- ブラック企業が紛れている場合がある
ハローワークは全国各地に設置されており、登録をすればどこに行ってもサービスを受けられますが、求職者登録だけは管轄のハローワークで行う必要があります。
他にも、ハローワークは民間の就職支援サービスに比べて、数多くの求人情報を取り扱っているのが特徴です。多くの求人があることはメリットですが、自分の中である程度「働きたい会社像」が明確でないと、結局どこの会社に応募すればいいか迷ってしまう可能性もあります。
そして、もう1つ注意したいのは「ブラック企業が紛れている場合がある」ということです。ハローワークは求職者だけでなく、企業側も無料で求人を掲載できます。国が設置している機関であり、公平性を担保するために審査も比較的に厳しくはないようです。そのため、採用活動にお金をかける余裕がない企業や、採用した人が次々に辞めてしまう企業が一定数紛れている可能性があることは理解しておきましょう。
これらの点を踏まえると、ハローワークの利用は以下の人におすすめです。
- 地元の中小企業で働きたい
- 自己分析や企業分析ができており、働きたい会社像が明確である
- ブラック企業を自分で見極められる
参考「厚生労働省:公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」
方法2:就職サイトの利用
就職サイトとは、インターネット上でさまざまな求人情報を閲覧できるサイトです。業種や職種・勤務地・年収などの条件を入力すれば該当する企業を検索でき、気に入った求人があれば応募できます。
就職サイトごとに得意とする分野が異なるため、対象者は就職サイトによって異なります。
- 幅広い求人を掲載しているもの(doda、リクナビNEXTなど)
- 対象年代を限定したもの(マイナビ転職、キャリトレなど)
- 業種や職種に特化したもの(Green、クリーデンスなど)
- 女性向けのもの(女の転職typeなど)
大きくはこのように分類されています。あなたの属性に合った就職サイトを選んで登録しましょう。
「自分に合うサイトがよく分からない」という人は、まずは複数のサイトを組み合わせて使ってみるのも良いでしょう。中でも、幅広い求人を掲載している大手の就職サイトに1つ、年代に合ったサイトに1つ、興味のある仕事に特化したものに1つなど、バランスよく組み合わせるのがおすすめです。
また、就職サイトを利用する際の注意点は、以下の3つです。
- 自分で企業を見極める必要がある
- 書類選考を通過できないことも多い
- 日程調整など企業とのやりとりは全て自分で行う
ハローワークと同様、求人情報を見て応募を判断するのはあなた自身です。自分で企業を上手く見極められないと、適さない企業や職種に就職してしまう可能性もあります。
企業側から「求めている人材とマッチしない」と判断されれば、書類選考を通過できないことも多くあります。この点、転職エージェントでは、企業側と求職者側の情報を把握していることもあり、マッチングを考慮した上での応募になるため書類選考を通過しやすいのですが、就職サイトで就活を成功できるかは、個人の実力や経歴による部分が大きくなります。
また、企業と直接やりとりをすることになります。このあたりも手続きを代行しているハローワークや就職エージェントと比べて、面倒に感じる人もいるでしょう。
一方で、就職サイトはインターネット上で24時間365日利用できるため、自分のペースで就活を進めたい人にはおすすめです。
方法3:就職エージェントの利用
就職エージェントは、専任のキャリアアドバイザーが求職者の相談に応じて適した企業を紹介したり、就職までの一連のサポートを行います。就職エージェントも就職サイトと同様、エージェントによって得意分野が異なります。
- 幅広い求人を取り扱う大手のもの(リクルートエージェント、マイナビエージェントなど)
- 業種や職種に特化したもの(レバテック、MS-Japanなど)
- 年代や属性に特化したもの(UZUZ、ビズリーチなど)
上記のように大別されており、自分と相性の良い就職エージェントに登録することが重要です。
就職エージェントを活用する際の注意点は、以下の3つです。
- 自分のペースで就活しづらい
- 応募できる求人の選択肢が少ない
- 担当者との相性によっては、ストレスを感じる可能性がある
基本的にはエージェントから紹介された求人に応募するスタイルです。「担当者との相性がよくない」と思う場合は、変更を申し出ましょう。大抵の場合は応じてもらえます。
就職エージェントは手厚い支援が強みなので「就活をどう進めたら良いか分からない」「専門家に相談しながら就活を進めたい」という人におすすめです。フリーターの人は就職活動の経験が少ないので、フリーターから正社員を目指す人にとっては相性の良いサービスと言えるでしょう。
私たちJAIC(ジェイック)も、就職エージェントを行っています。20代のフリーター・既卒者・第二新卒の就職支援を得意としており、フリーターから正社員への就職においては数多くの成功事例があります。「正社員就職したいが、何をしたらいいか分からない」という方も安心してください。
就活の基礎を学べる就職講座も提供しています。
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まとめ
フリーターから正社員就職が可能なこと、フリーターでいることのメリットとデメリット、具体的な就活方法について解説してきました。
まず、このままフリーターでいる方がいいのか?それとも正社員への就職を目指した方がいいのかを考えてみてください。そのうえで「フリーターから正社員になりたい」と思う人は、今回紹介した3つの方法を使って就職活動を進めていきましょう。
私たちJAICもフリーターから正社員への就職支援を得意としています。よろしければ、まずは情報収集にご活用ください。