中年ニートの期間が長いと、就職が難しくなるのを知っていますか?
この記事では中年ニートが就職しづらい理由と就職を成功させる方法についてまとめました。
自分にできそうな方法を見つけて、再就職に向けた行動を起こしましょう。
中年ニートはニートとしての継続期間が長い
厚生労働省ではニートのことを「15〜34歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者」と定義しています。35歳以上で無職の人は「中年ニート」と呼ばれるのが一般的です。
ではなぜ35歳でニートが区切られているのかというと、35歳以上になると就職へのハードルが一気に上がるからです。その実態については、以下で詳しく解説をしていきます。
中年のニート継続期間
ニートをしている期間と割合に関して、35歳以上と20〜24歳で比較しました。35歳以上における、ニート期間と割合は以下の通りです。
- 1年以下:44.4%
- 5年以上:38.9%
「1年以下」と「5年以上」の割合に大差は見られませんでした。しかし20〜24歳のニートでは、期間と割合が以下のように変わります。
- 1年以下:71.1%
- 5年以上:2.2%
20〜24歳では、ニート期間1年以下の人が大多数を占めています。この理由は、年齢が若く再就職しやすいからといえるでしょう。
結論、若い世代と比較すると、35歳以上の中年は「平均ニート期間が長い」という結果になりました。
参考「財団法人 社会経済生産性本部 ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」
中年のニート割合
年齢別に見ると、中年ニートは比較的大きな割合を占めています。内閣府が行った平成27年のデータによると、年齢別分布は以下の通りです。
- 全体:約76万人
- 15〜19歳:約8万人
- 20〜24歳:約14万人
- 25〜29歳:約16万人
- 30〜34歳:約18万人
- 35歳以上:約20万人
全体の人数から考えても、35歳以上でニートの人は比較的多いといえるでしょう。中年からニートになる主な原因としては、以下のものがあります。
- 仕事でのストレスから、働くのが嫌になってしまった
- 周りが家庭を持ち、プライベートで仲良くできる友達が減った
- 離婚をして家庭がなくなり、働く気力がなくなった
ニートは決して若い人だけの問題ではなく、中年期においても深刻な問題となっています。
参考「内閣府:平成27年版 子供・若者白書(全体版)第2節 若年無業者・フリーター・ひきこもり」
ニート歴が長いほど就職は難しくなる
ニート歴が長いほど、就職は難しくなる傾向です。ニートに関する詳しいデータがなかったのでフリーターに関するデータを紹介しますが、参考になるところは多いでしょう。以下はフリーター期間別、正社員に就職した人の割合を示したデータです。
フリーター継続期間 | 正社員になった割合 |
---|---|
6か月未満 | 64.0% |
6か月~1年未満 | 58.3% |
1年~2年未満 | 52.2% |
2年~3年未満 | 58.9% |
3年以上 | 48.9% |
このようにフリーター歴が長いほど、就職率は下がっています。ニートの場合はこの間全く職歴がないので、就職率はさらに下がるでしょう。
参考:「厚生労働省:正社員?フリーター?何が違うの?〜将来の進路について悩んでいる方へ〜」
中年ニートが就職しにくい原因3選
年齢とともに、正社員移行率は低下します。フリーターから正社員になった人の割合を、年齢別にまとめました。
- 15〜19歳:16.4%
- 20〜24歳:21.9%
- 25〜29歳:18.3%
- 30〜34歳:13.0%
- 35〜39歳:10.9%
- 40〜44歳:10.2%
20代前半をピークに、それ以降は年齢を重ねるにつれて、就職が難しくなるといえます。そこで中年ニートが就職しにくい主な原因を3つ紹介しました。
参考:「労働政策研究・研修機構(JILPT):若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状③」
長期的な活躍が見込めないから
1つめの原因は、長期的な活躍が見込めないからです。例えば30歳の人を採用した場合、最大で30年ほど活躍が見込めます。しかし50歳の人を採用すると、活躍できる期間は長くても10年ほどしか見込めません。
企業は人材育成や教育に多額のコストを投じます。そのため投資した時間や予算を回収できる人でないと、当然採用はできません。面接では将来性をかなり見られると思っておきましょう。中年はただでさえ採用のハードルが高いうえに、ニート期間が長いと「すぐに辞めてしまうのでは?」といった不安要素が追加され、さらに就職が難しくなっています。
「何か問題のある人」と疑われてしまうから
2つめの原因は「何か問題のある人」と疑われてしまうからです。中年と言われる時期は多くの人にとって、管理職に就くなど社内で最も活躍している時期です。しかしそのような時期にニート期間が長いと、企業側はその理由が気になります。面接の際にニート期間が長い理由を上手く答えられないと、以下のような疑問が生じてしまいます。
- 社会に上手く馴染めない人ではないか?
- 何か問題があるのでは?
これらは偏見から生じている見方かもしれませんが、中年ニートにとって就職しにくい大きな原因の1つです。
「社内の人間関係が築けるか」を不安に思われるから
3つめの原因は「社内の人間関係が築けるか」を不安に思われるからです。基本的に新人研修に参加する人たちは、年齢の若い人が中心です。しかし新人グループの中に1人だけ中年者が交じっている場合、あなたもこの中年者が上手く馴染めるのか不安に思いませんか?
また中年者を採用した場合、年下の上司がつく可能性も高いです。仕事をするうえで年齢が関係ないとはいえ、やはり年上の部下には気を遣う場面も多く、採用を懸念されることが多々あります。
中年ニートが就職を成功させる就活の戦略
ここまで「中年ニートは就職が難しい」と話してきましたが、上手く戦略を考えれば就職することはできます。そこで中年ニートが就職を成功させる就活戦略を紹介します。主な戦略は以下の3つです。
就職しやすい仕事を選ぶ
1つめの戦略は、就職しやすい業界を選ぶことです。これは言い換えると「人手が足りていない業種や職種」になります。具体的には、以下の6つが就職しやすい仕事に当てはまります。
IT業界
IT業界は人手不足かつ、高い専門性を身につけられる業界です。また今後市場の拡大も期待できるため、長期的に見ても働きやすい業界といえるでしょう。
IT関連の資格やスキルは、ハローワークの職業訓練や無料のプログラミングスクールなど、無料で学べるところがたくさんあります。気になる人は、まずスキル習得の方法を考えてみてはいかがでしょうか。
営業職
営業職も転職しやすい仕事です。なぜなら、未経験から始められる職種だからです。必要なのは「コミュニケーション能力」だけなので、特別な資格やスキルがなくても始めやすく、中年の人でも転職できる可能性があります。
ただし、ノルマがあるため、合う合わないが分かれやすい仕事でもあります。人と会話するのが得意な人は検討してみましょう。
介護・福祉業界
介護・福祉業界は高齢化が進んでいることもあり、働き手が追いつかず人手不足に悩まされている求人が多いです。長期的に見れば、資格を取得して大きくキャリアップすることもできるため、この先長く働いていきたい人にはおすすめな業界といえるでしょう。
ただしその反面、離職率の高い業界でもあります。離職する主な理由は、以下の通りです。
- 労働と収入が割に合わない
- いろんな利用者と関わるためストレスが大きい
介護・福祉業界はいろんな求人がある分、求人を探す際はよく検討して考えましょう。
清掃業
清掃は特殊なスキルを必要としないため、未経験でも歓迎される業界です。夜勤などの不規則勤務ができると、応募できる求人が一気に増えます。
また離職率も低い業界なので、しっかり仕事を覚えて淡々と作業をこなせる人には向いている仕事といえるでしょう。
飲食・小売業
飲食店のスタッフやアパレルの販売などの小売業は人材不足な職場が多く、比較的就職しやすい業界です。サービス業は全般的に離職率が高いですが、接客などを得意とする人には向いていて長く続けやすい仕事といえるでしょう。
また企業によって働き方も大きく異なるため、自分に合う就職先を探しやすいことも飲食・小売業の強みです。ただし飲食店など体力的にハードな職場も多いので、求人を探す際はしっかり自分の適性を考えるようにしましょう。
工場での作業員
工場の作業員も人材不足な職場が多く、比較的就職がしやすいです。特に新型コロナウイルスが流行して以来、日用品や医療器具などを取り扱う工場は、常に人手が足りていません。
また工場のライン作業は人との会話も少ないため、コミュニケーションが苦手な人にもおすすめな仕事です。ただしこちらも肉体的にハードなことが多いため、ある程度の体力が必要とされるでしょう。
スキルや経験を積む
2つめの戦略は、スキルや経験を積むことです。中年ニートは就職が難しいと書きましたが、それは何もスキルを持っていない人の場合です。重宝されるようなスキルや経験があれば、多少ニート期間のある中年者でも十分採用されます。そこでスキルや経験を積むためにおすすめの方法を3つ紹介します。
ハローワークの職業訓練に参加する
ハローワークでは、無料で資格やスキルを習得できる職業訓練コースが用意されています。職業訓練は無料で就職に役立つ資格やスキルを習得できるうえに、条件を満たせば訓練期間中、給付金まで支給されます。就職したい業種や職種がある程度決まっている場合は、ハローワークの職業訓練コースに参加してスキルアップを目指すのも1つの手です。
紹介予定派遣制度を利用する
紹介予定派遣とは、最長6か月の派遣期間を経て双方が合意すれば、企業と直接雇用を結ぶ働き方です。「安定した雇用形態で働きたいが、直接雇用は様子を見てから考えたい」という人におすすめな制度です。
ただし前提条件は「直接雇用」であって、必ず正社員になれるわけではありません。そのため紹介予定派遣を利用して正社員を目指す場合は、求人情報をよく確認しましょう。
正社員登用制度を利用する
正社員登用制度とは、アルバイトやパートなどの非正規雇用から正社員に雇用転換する制度です。正社員になるハードルは企業によって大きく異なり、ある程度の勤続年数と本人の意思だけで正社員になれる場合もあれば、難しい社内試験に合格しないと正社員に登用されない場合もあります。まずはアルバイトから仕事を始めて、ゆくゆくは正社員になりたいという人にはおすすめの制度です。
就職・転職エージェントに相談する
3つめの戦略は、就職・転職エージェントに相談することです。自分1人でどう就職先を見つけていいのか分からない人には、最もおすすめな方法です。就職・転職エージェントに相談すると自己分析も効率的に行うことができるため、自分と向き合う良い機会にもなります。
- 今の自分で就職できる業種や職種があるか知りたい
- 希望する仕事に就くために不足していることを教えてほしい
上記の悩みがある人は、中年でニート期間が長い人であっても就職に向けた戦略を一緒に考えてもらえるため、1度就職・転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。