20代で引きこもりとなっているが、どうやって社会復帰したらいいのか分からず悩んでいませんか?
この記事では、20代で引きこもりになる原因や、引きこもりの脱出方法を紹介しています。
効果的な方法を知って、できそうなことから取り組んでいきましょう。
そもそも引きこもりとは
内閣府の調査によると、若年層(15歳〜34歳)の引きこもり人数は69.6万人(推定)です。若年層だけでこれだけの人数がおり、引きこもりは大きな社会問題となっています。厚生労働省は、以下3つをすべて満たした状態を引きこもりと定義しています。
- 仕事や学校に行っていない
- 最低限の外出しかしない
- 家族以外の人と交流がない
以下、詳しい解説をしていきます。
仕事や学校に行っていない
1つめは、仕事や学校に行っていないことです。職場や学校に籍があっても、以下のような人は「仕事や学校には行っていない人」としてカウントされます。
- 仕事を休職している
- 学校を休学している
20代で引きこもりとなる多くの人が、仕事を休職したり学校を休学することを経験しています。
最低限の外出しかしない
2つめは、最低限の外出しかしないことです。就職活動やプライベートの予定がないことはもちろん、近くのスーパーやコンビニまで行く程度の外出しかしていない人も引きこもりに該当します。
実家暮らしで引きこもりをしている人の中には、トイレやお風呂以外は全く部屋から出ない人もいます。20代だとまだ両親も健在なことが多く、家事なども家族がしてくれるため、引きこもって生活できます。
家族以外の人と交流がない
3つめは、家族以外の人と交流がないことです。仕事をしていなくても、継続的に他人との交流があれば引きこもりではありません。
ただしオンライン上のみでつながっている人は除きます。なぜなら引きこもりから社会復帰するうえで、効果的なつながりとはいえないからです。後ほど詳しく説明しますが、家族以外の交流がないと、引きこもりから脱出することがさらに難しくなります。
引きこもりが起きてしまう原因は?
引きこもりが起きてしまう原因はさまざまですが、主に以下5つの理由があげられます。
- 勉強や仕事で挫折した
- 人間関係がうまくいかなかった
- 病気が悪化した
- 将来に希望が持てなかった
- 悩みを相談できる人がいなかった
また原因は必ずしも1つではなく、複合的に影響している場合がほとんどです。詳しくは以下で解説していきます。
参考「内閣府:長期化するひきこもりの実態|令和元年版子供・若者白書(概要版)」
勉強や仕事で挫折した
1つめの原因は、勉強や仕事で挫折したことです。特に20代の引きこもりに多く、具体的には以下のようなきっかけで引きこもりとなっています。
- 受験に失敗した
- 勉強についていけず退職・退学した
- 就職活動に失敗した
- 仕事ができなかった
特に20代のような若い時期は、精神的にも不安定になりがちです。この時期の失敗や挫折を機に、引きこもりとなる人は多くいます。
人間関係がうまくいかなかった
2つめの原因は、人間関係がうまくいかなかったことです。具体的には、以下のようなできごとです。
- 学校や職場に馴染めなかった
- いじめにあった
- 友人とトラブルになった
引きこもりになったきっかけで最も多かったのは「職場に馴染めなかった」で、全体の23.7%を占めます。20代は多くの人が学生生活を終えて社会人になります。変化の多い時期に人間関係がうまくいかず、退学・退職してそのまま引きこもってしまう人が多くいます。
病気が悪化した
病気が悪化することも、引きこもりになる原因です。原因として多い病気や障害は、以下のものです。
- うつ病
- 不安障害
- パニック障害
- 統合失調症
- 双極性障害
このような病気や障害が悪化した結果、外出が困難になったり、人と接することへの苦手意識が増大し引きこもりになります。
将来に希望が持てなかった
将来に希望が持てなくなったのを機に、引きこもりになる人もいます。
- 自分にとっての幸せが分からない
- 今の仕事はつまらないが、特別やりたいこともない
- 明るい未来がイメージできない
このような将来に対する漠然とした不安から「生きることを辛い」と感じてしまい、引きこもりになるケースです。
悩みを相談できる人がいなかった
悩みを相談できる人がいないと、引きこもりになりがちです。自分の気持ちに共感してもらえたり、受け入れてもらえることが減り、後ろ向きな気持ちになるからです。反対に、悩みを相談できる人が身近にいれば、引きこもりになる確率を減らせます。
引きこもりから脱出する対処法
引きこもりから脱出する主な対処法は以下の3つです。
- 生活リズムを整える
- 医療機関を利用する
- 支援団体を利用する
詳しくは、以下に解説していきます。
生活リズムを整える
まずはじめに、生活リズムを整えることから始めましょう。生活リズムが整うと、前向きな気持ちになりやすいからです。人によってはそれだけで引きこもりから脱出できる人もいます。
引きこもりの多くは昼夜逆転の生活をしていたり、食事が不規則であったりと生活リズムが乱れています。すると、ますます不健康な状態になりやすく、引きこもりが長期化する原因になります。具体的には以下3つのことを心がけましょう。
- 早起きする
- 外出時の服に着替える
- 1日のうち15分以上は外に出る
現在引きこもりで生活リズムが不規則になっている人は、少しずつでいいので生活リズムを整えることが大切です。
早起きする
生活リズムを整えるには、早起きをして朝日を浴びることが大切です。朝に日光を浴びると脳が目覚め、身体は覚醒モードに入ります。日中に脳が活動モードになっていると、夜になれば自然と眠たくなり、生活リズムが整いやすいです。もしそれでも夜眠れないという人は、日中に適度な運動をすると効果的です。
外出時の服に着替える
引きこもりとなって1日中家にいると、身なりを気にしない人が多いです。家の中にいても外出時の服に着替えることで、以下のメリットがあります。
- 生活にメリハリがつきやすい
- 外出しようと思った時に、すぐ外出できる
特に「すぐ外出できる状態」にしておくことはとても大切です。また服装以外の身なりについても以下のことを意識しましょう。
- 髭を剃る
- 毎日お風呂に入る
- 定期的に散髪に行く
このように「いつ人と会っても大丈夫な状態」を作っておくと、引きこもり脱出に効果的です。
1日のうち15分以上は外に出る
1日のうち、15分以上は外に出ることを心がけましょう。1日ずっと家の中にいると生活にメリハリがつかず、生活リズムを整えることが難しくなるからです。中でも最も効果的なのは、朝日を浴びるために、起きたらすぐに散歩に出かけることです。15分程度、近所を散歩するだけでも、1日を前向きな気持ちで過ごせるでしょう。
医療機関を利用する
病気や障害を患っていて引きこもりになっている人は、医療機関を利用するのも1つの手です。具体的には以下のメリットがあります。
- 家から出るきっかけになる
- 専門家によるアドバイスが受けられる
- 自分の状態を客観的に見ることができる
特に精神疾患を抱えている人は、精神科デイケアを受けることも効果的です。精神科デイケアとは、精神障害を抱えた人が社会復帰するために受けられるプログラムです。具体的には、以下のような活動を行います。
- 手芸やお絵かきなどの趣味体験
- 軽い運動
- 季節ごとの行事イベント
- 簡単なパソコン作業
施設にはさまざまな医療関係者がいるため、専門家の治療を受けながら社会復帰を目指せます。
引きこもり支援団体を利用する
引きこもり支援団体を利用することも効果的な方法です。行政施設や医療機関が行っている団体が多いですが、他にも以下のような民間の支援団体もあります。
- 自助会
- 自立支援施設
- フリースペース
また団体によっては、訪問支援が受けられるところもあります。引きこもりの度合いによっては、訪問支援の利用を検討してみてください。
20代の引きこもりは外部の刺激が必要
20代の引きこもりに大切なのは、外部からの刺激です。なぜなら以下の理由があるからです。
- 安心感を得られる
- 価値観が広がる
引きこもりになって誰とも関わらないと、ますます引きこもりからの脱出が難しくなります。
安心感を得られる
外部からの刺激があると、安心感を得られます。なぜなら人と会っていると、必ず同じような悩みを抱えている人と出会うからです。
例えばあなたが「店員さんに話しかけられるのが怖くて、1人で服屋に入れない」という悩みを持っていたとします。友達が同じ悩みを抱えていると分かったとき、安心感を得られませんか?
安心感を得られることで、人は前向きな行動を起こすことができます。引きこもりに悩んでいる人こそ、悩みを吐き出せる居場所が必要です。
価値観が広がる
外部からの刺激を受けることによって、価値観が広がります。なぜなら自分が経験していない話を聞くと、新たな発見があるからです。