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ニートとは?ニートになる原因や末路、脱出方法を紹介

ニートとは?ニートになる原因や末路、脱出方法を紹介

ニート増加は深刻な社会問題となっています。自身がニートであったり、家族にニートがいたりする家庭も多いことでしょう。ニート生活を長く続けるほど問題が増え、事態もさらに悪化してしまいます。

この記事では、現在ニートであり将来に漠然と不安を感じているものの、どうすれば現状を打破できるのか分からないという人に向けて、ニートから就職する方法や活用できる就職支援サービスを紹介します。
どうにか現状を変えたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。

記事のPoint
  • ニートには、社会に出る以前の段階でつまずきを経験している人も多い
  • ニートから脱したい人には、公共・民間さまざまなサポート体制が用意されている!
  • 具体的な「ニート脱出法」は【アルバイト、ハローワーク、就職支援サービス】。あなたがいちばんトライしやすい方法から試してみよう
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ニートとは

ニートとは

ニート(NEET)は、もともとイギリスで生まれた言葉です。就学・就労しておらず、職業訓練も受けていないという意味の「Not in Education,Employment or Training」の頭文字を取ったものです。就労意思のない16~19歳の若者を指す言葉として、1999年から使われるようになりました。

この言葉が日本に伝わり、2003年頃から国内でも使用されることになったわけですが、日本におけるニートの概念はイギリスよりも広義です。日本ではニートに関する公的な定義はなく、最もニートに近いのが、国が公的なデータに用いている「若年無業者」という概念です。厚生労働省では、若年無業者とは「15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人」と定義しています。

内閣府によるニートの定義

内閣府では「若年無業者に関する調査」において、若年無業者を次の3つを満たす者と定義しています。

  • 高校や大学などの学校や予備校などに通っていない
  • 配偶者のいない独身者
  • 日常的に仕事で収入を得ていない15~34 歳以下の個人

さらに、就労意思や求職活動を軸に、若年無業者を以下の3パターンに分類しています。

  • 「求職型」:就職を希望しており、かつ求職活動も行っている
  • 「非求職型」:就職を希望しているが、求職活動は行っていない
  • 「非希望型」:就職を希望していない

このうち「非求職型」と「非希望型」が、日本におけるいわゆるニートに該当すると考えられます。

フリーターとの違い

フリーターとニートとの違いは、「働いているか」どうかです。正社員でなくても、週に1~2回でもパートやアルバイトをしている人はフリーター扱いとなり、ニートにはカウントされません。また内閣府の定義の通り、失業中であっても働く意思がある求職者は、ニートとはみなされません。

いわゆる引きこもりの状態の人はニートにカウントされます。ただし、日本においてニートとみなされるのは、15~34歳までの若年無業者です。35歳以上の引きこもりの人には別の呼び名があります。

ニートとフリーターの違いとは?定義や印象、就職活動上の違いを解説

ニート(若年無業者)の数

ニート=若年無業者(15~34 歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない者)として、総務省による「労働力調査(基本集計)2020年」の結果の一部を紹介します。

ここ数年間は、若年無業者の数は平均53~56万人の規模で横ばいで推移してきました。しかし、2020 年平均では 69 万人と、前年に比べ 13 万人も増加しています。人口に対する割合も、前年の2.2%から2.8% と 0.6 ポイント昇しました。

2020年平均の内訳では、15~24歳が37万人、25~34歳までが32万となります。25~34歳までの無業者は前年の32万人から変化していませんが、15~24歳までの無業者は前年の24万人から37万と大幅増となっており、全体数増加の要因となっています。

新型コロナウイルスの感染拡大によってパートやアルバイト先が時短営業や休業となり、職を失った若年層が増えたことが、大幅増の背景にあると考えられます。

35歳以上のニートの呼び方

一般的に、ニート(若年無業者)とは、15歳から34歳までの人たちを指します。35歳以上で、仕事をしておらず通学も家事もしない人たちは、「高齢ニート」または「中年無業者」と呼ばれることが多いでしょう。

厚生労働省では、中年無業者について、「35~44歳の非労働力人口のうち、家事も通学もしていない人」と定義しています。前述の総務省による「労働力調査」において、中年無業者は2020 年平均で 39 万人となっており、ここ10年間において40万人前後の規模でほぼ横ばいで推移しています。若年無業者が働かないまま中年となり、そのまま中年無業者化するケースも少なくありません。

ニートが就職しない理由

総務省の「平成24年就業構造基本調査結果」によると、ニートが就職しない理由として最も多いのは、「病気やケガ」です。

若年無業者の中でニートに該当するのは、就職を希望しているが求職活動は行っていない「非求職型」の人たちと、就職そのものを望んでいない「非希望型」の人たちです。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

非求職型が就職しない理由トップ5

  1. 「病気やケガのため」26.5%
  2. 「その他」24.0%
  3. 「学校以外で進学や資格取得などの勉強中」12.3%
  4. 「探したが見つからなかった」11.0%
  5. 「知識・能力に自信がない」10.5%

非希望型が就職しない理由トップ5

  1. 「病気やケガのため」29.7%
  2. 「その他」27.8%
  3. 「特に理由はない」15.8%
  4. 「学校以外で進学や資格取得などの勉強中」12.1%
  5. 「仕事をする自信がない」6.4%

若年無業者が求職活動や就職をしない理由については、年齢層別の特徴も見られます。「その他」を除けば、25~34歳では「病気やケガのため」、15~19歳では「学校以外で進学や資格取得などの勉強中」が最も多くなっています。

参考:内閣府「 令和4年版 子供・若者白書」「 平成27年版 子供・若者白書

ニートになってしまう原因

ニートというと、どうしても「怠け者」というようなネガティブなイメージを持たれがちですが、「ただ働きたくない」というだけがニートになる原因ではありません。社会に出る以前の段階でつまずきを経験している人も多いのが実態です。

2007年に厚生労働省が発表した「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究」を基に、ニートになる3大原因について解説します。

原因1.学校や会社に馴染めなかった

同調査によると、ニートの状態にある若年者の半数以上が、「学校でいじめられた」経験を持ちます。また、全体の4割近くが不登校の経験を持ち、高校以降の進学先での中退率も3割を超えています。

さらに、多くのニートに共通する特徴として、「対面コミュニケーションへの苦手意識」が見られます。こうした苦手意識が学校でのいじめや不登校などのネガティブな体験につながり、苦手意識が増幅された結果、ニート状態に追い込まれてしまうケースも少なくありません。

コミュニケーションが苦手なため、就職しても会社組織になじめなかった、面接になかなか受からずブラック企業に就職してしまい退職を余儀なくされた、というケースも多いと思われます。

原因2.働かなくても生活できる

親などに生活を頼ることができ、経済的に自立しなくても生きていけるため、ずるずるとニートを続けてしまうパターンもあります。いくら家にいたくても、親にニートを養う経済力がなければ、必然的に働きに出るしかありません。

前述の調査によると、ニートの状態にある若年者の家庭の経済状況については、「ふつう」が47.1%、「やや余裕がある」が10.8%、「余裕がある」が3.3%、という結果でした。すなわち、経済面で大きな問題のない家庭が全体の6割以上を占めており、一人程度であればニートの子どもの面倒を見られる状態にあると想定されます。

ニートの8割程度が何らかの就業経験を持っていますが、全体としては経済的な自立は難しいアルバイト就労が目立ちます。

原因3.家庭環境に問題があった

親との関係がいびつであると、成長してから周囲と良好な人間関係を構築するのが難しく、結果としてニートになりやすいともいわれています。

たとえば、何をしても否定されるという環境では、自己肯定感が低くなります。また、親が自分に無関心な場合では、自分に価値がないと思ったり、頑張る意欲が湧きづらくなったりするものです。

また、親が過保護・過干渉すぎる家庭で育った子どもにも、独り立ちする年齢になっても精神的に自立できない、受動的で積極性に欠けるなど、ニートの特徴との親和性の高さが見られます。

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ニート生活を続けた場合の5つの末路

ニート生活に慣れきってしまうと、身の回りに起きている変化に鈍感になり、気付いたときには深刻な状況に陥っている可能性があります。ニートを脱出できなかった場合の5つの末路を知っておきましょう。

末路1.就職できなくなる

ニート生活を続けることで、就職の道が遠ざかります。一般的に、働いていない期間が長くなればなるほど、正社員での就職は難しくなる傾向にあります。ブランク期間が長い人に対して企業は、「何かしら問題があるのでは」「就職してもすぐに辞めてしまうだろう」といったマイナスのイメージを持ってしまうためです。同じような経歴・スキルの人がいた場合には、ブランク期間のない人を優先的に採用するでしょう。

たとえそれが、「親の介護」や「病気の治療」といった正当な理由であっても、ブランク期間が長引くほど就職には不利です。期間の長さや年齢によっては、面接はおろか書類選考の段階で落とされてしまう場合も多々あります。ニートの場合は、いきなり正社員を目指すのではなく、まずは受かりやすいアルバイトやパートの職を得て、とにかく無就業の状態から脱却するのが得策です。

末路2.結婚ができなくなる

就労・就学していないニート生活では、人間関係の範囲も極めて限定的です。出会いの場がなく、相手を紹介してくれる友人もいなければ、結婚相手を見つけることは難しいでしょう。

また、共働き世帯中心となっている現代では、男女関係なく生活力がない人との結婚は避けられるようになっています。「令和 2年版 厚生労働白書」を見ると、平成30年間で共働き世帯と専業主婦世帯の割合は逆転し、年々その差が拡大しています。2019年の時点では、共働き世帯が専業主婦世帯の2倍以上という結果となっています。

たとえパートナーがいたとしても、生活力のなさで相手に結婚には二の足を踏まれる、相手の家族に反対される、などの可能性が高いでしょう。

末路3.生活が苦しくなる

いつまでも親に頼れず、生活が苦しくなっていくことも予想されます。経済的に支え続けてくれた親もやがて年を取り、年金生活となるでしょう。今までと同レベルでの金銭的な支援は期待できなくなります。

加えて、日本においては少子高齢化が顕著です。今後は年金の支給額が引き下げられると見られており、引退後の親に子どもまで養う財力がなくなっていきます。年金だけでは、親自身の生活すら厳しくなってしまう可能性も否定できません。

親が亡くなり、家の貯金も尽きた困窮状態から自身の老後が始まるリスクを十分考慮しておくべきでしょう。

末路4.生きる楽しみを見失う

ニートの場合、生きがいを持ちにくいという問題もあります。働いている人では仕事へのやりがいや出世がモチベーションとなり、子育て中の人では子どもの成長が自分を鼓舞してくれるでしょう。しかし、ニート生活では、生涯をかけて打ち込むものが見つかりにくいといえます。また、趣味を持つにもそれなりのお金がかかるものです。

他人との交流が少ない分、傷つくこともないかもしれませんが、楽しみもありません。メリハリのない毎日が続くことになります。年を重ねても自身に成長がみられないと、ますます自信もなくなり気持ちも沈んでいくものです。老後への不安だけが増し、「何のために生きているのかわからない」というところまで思い詰めてしまう恐れがあります。

末路5.孤独死する

最終的なニートの末路は、孤独死です。家族もいなくなり、誰とも連絡をすることがなくなると、孤独死をする確率は高まります。社会とのタッチポイントがない状態では、亡くなってからしばらくの間、誰にも発見されないといった悲惨な状況も起こり得ます。

男女を比較すると、男性のほうが孤独死しやすいといわれています。一般的に男性のほうが、女性と比べてご近所付き合いが苦手な傾向にあり、社会的に孤立しやすいためです。また、従来の価値観や傾向として、本当に困ったときでも助けを求めることに抵抗があり、手遅れになってしまうケースも多々あるとされています。

無念な状態で最期を迎えないためにも、少しでも若くハードルが低いうちから、ニート脱出に向けた対策を取っていくことが大事です。

ニートを脱出する方法

その気になれば、ニートから抜け出すことは可能です。ニートを脱出できる現実的な方法を3つ紹介します。

方法1.まずはアルバイトから始めてみる

まずは、アルバイトから働き始めてみる方法があります。ブランク期間が長くても、アルバイトやパートであれば採用してもらえる可能性は高まります。業務内容も比較的単純であり、正社員のようにフルタイムではなく、週に2~3日、1日数時間といった負担の少ない働き方を選ぶことが可能です。まずはリハビリも兼ねてアルバイトから始め、働く感覚や収入を得る喜びを味わってみましょう。

将来的に企業に就職したいと考えているのであれば、正社員につながるアルバイトやパートにするのも一つの方法です。たとえば、アルバイトやパートからの正社員登用がある求人に応募したり、アルバイトで実践経験を積みながら正社員に求められるスキルや実績を身に付けたりすると効率的です。アルバイトの収入で、即戦力としてアピールできる資格を取得することも考えてみましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが普及したため、在宅でできる仕事の幅も広がっています。対面でのコミュニケーションが苦手という人は、在宅勤務可能であり基本的にひとりで完結できるウェブ関係・データ入力などの求人をチェックしてみるのも手です。

方法2.ハローワークを活用する

ハローワークも積極的に活用しましょう。ハローワークとは、厚生労働省が全国に設置している公共職業安定所です。職業紹介のほか、面接対策や履歴書の添削をしてくれます。2021年からインターネットサービスも充実し、オンライン上で職業紹介や直接応募もできるようになるなど、利便性が高まっています。

参考:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス

公的な職業訓練制度もあり、希望する就職を実現するために必要なスキルや知識を原則無料で習得することが可能です。雇用保険を受給できない求職者も対象となり、要件を満たす場合には職業訓練受講給付金も受けられます。

加えて、「わかものハローワーク」では正社員就職を目指す若者(おおむね35歳未満)を対象に、さまざまな就職支援を行っています。具体的には、担当者制によるマンツーマンでの個別指導や正社員就職に向けたプラン作成・職業紹介などが受けられます。

方法3.就職支援サービスを活用する

引きこもりから就職を目指す場合は、そこに特化した就職支援のプロに相談することもおすすめします。社会人経験のない引きこもりの人が正社員として就職するためには、一般的な就職活動とは異なる動きやサポートが必要な場合が多いためです。

たとえば、いきなり面接を受けるのではなく、「選考に受かる履歴書の書き方の指導を受ける」、「社会人としての一般常識やマナーを身に付ける」といった準備が必要になります。こうした事前準備なしに引きこもり状態から就職活動をしても、人一倍苦戦するのは目に見えています。また、第三者の視点は、自分に本当に向いている仕事を見つけるうえでも役立つはずです。

あまり多くはありませんが、社会人経験のない引きこもりやニートの正社員就職支援に特化したサービスも存在します。力強い味方をつけて、就職活動をスムーズに進めていきましょう。

ニートが就職を成功させる3つのポイントとおすすめの就職先をご紹介!

まとめ

新型コロナウイルスの影響もあり、国内のニートはさらに増えています。特に20代前半までの若いニートの増加が顕著です。ほんの短期間、ニートでいることは大きな問題ではないかもしれません。しかし、働いていない状態が長引けば長引くほど、さまざまな面で就職に不利となり、将来への不安も色濃くなっていきます。

ニートでも、その気になれば正社員就職も夢ではありません。できるだけ短期間でニートから正社員就職を叶えるには、ハローワークなどの公的サービスやそれに特化した就職支援サービスを利用するのがおすすめです。ノウハウを持つプロのアドバイスを取り入れて、就職の成功率を高めましょう。

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池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」