大学院を卒業できない理由は?卒業できないと今後に影響はある?という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。大学院を卒業できない理由はいくつかありますが、自分から大学院をサボって留年するケースだけでなく、退学になってしまうケースもあります。
この記事では、大学院が卒業できない理由や卒業するメリットやデメリットについて紹介しています。大学院を卒業できない人に多い原因などを知ることができ、卒業できない場合の今後の行動について考えることができるようになっていますので、是非最後までご覧ください。
大学院を卒業できない理由
まずは、大学院を卒業できない理由として考えられるものを5つ、ご紹介します。
※通常は、大学院を終えることを「修了」と呼びますが、今回の記事では「卒業」という表現を使用しています。
理由1:授業の単位が足りていなかった
大学同様、大学院も、必要な単位を取得しなければいけません。必要な単位数は大学院によって異なりますが、たとえば東京工業大学の「卒業要件・修了要件」を見てみると、大学院の修士課程は「30単位以上の単位取得」、博士後期課程は「24単位以上の単位取得」が必須条件になっています。
もちろん、単位が足りていなければ卒業はできないことになります。たとえば大学のように、単位を落としてもレポートなどを提出することで単位をもらえる、などという措置はあるかもしれません。ですが「単位は足りないが、研究などでは成果を出していたからOK」などということはないのです。
理由2:卒業できないほど研究が進んでいない
研究が進まないという悩みは、大学院生に比較的多いものです。研究を続けても結果が出ない、周囲の学生の研究が進んでいるなどのケースだと、焦ってしまうことがあるでしょう。
特に以下の場合、なかなか研究が進まないことが多いようです。
- 研究で悩んでも人に相談しない
- 研究テーマに興味が持てなくなっている
- 研究テーマに見切りをつけられない
- 研究テーマへの知識が足りていない
研究が進まなければ、成果を報告したり論文を書いたりすることもできず、最悪の場合卒業も遠のいてしまいます。
理由3:人間関係が上手くいっていない
基本的に、大学よりも大学院のほうが人間関係は狭くはなりがちです。大学のほうが人数や学部・学科も多いほか、人によって授業の組み方なども異なり、ゼミなど決まったメンバーで過ごす時間も限られています。
一方で大学院は、一日中研究室にこもって過ごすという生活になることも珍しくないでしょう。そのため、以下のようなことが気になる人もなかにはいます。
- 研究室のメンバーと合わない
- 指導教授が苦手
- 閉塞感を感じる
学校は勉強をする場ですが、人間関係も大事です。こういったことがあると、人によっては通うことがつらくなって休みが増えたりして、卒業に影響するケースもあるのです。
理由4:修士論文の審査に合格できなかった
大学院の多くは、前述した単位取得のほか、論文の審査と最終試験に合格することが卒業の条件になっています。そのため、修士論文(※博士課程の場合は博士論文)に不合格になってしまうと、卒業はできないことになります。
修士論文では、研究テーマの考察や、自分が取り組んできた研究成果などについて書くことが多くなり、数十枚にも及びます。人によっては徹夜をしたり、研究室に泊まり込んだりしてまで仕上げることもあります。
しかし、どんなに時間をかけたとしてもその内容が合格基準に達していなければ、不合格になることはあります。可能性はそこまで高くないかもしれませんが、どんな修士論文でも合格するというわけではないでしょう。
理由5:何らかの問題を起こし退学
大学院在学中に以下のような問題を起こすと、退学処分になることがあります。
- 不適切な発言を繰り返す
- 犯罪行為(窃盗、傷害など)
- 情報漏洩、ネットへの悪質な書き込みなど
実際に、過去には名古屋市の大学院に通っていた学生が教授らに暴言を繰り返し、退学処分になった事例も存在します。(参考:日本経済新聞「退学の元大学院生、逆転敗訴 暴言で処分「やむなし」 名古屋」)
退学になるほどのことをしてしまう学生は、基本的にはほぼいないでしょう。ただし、たとえ大学院生であっても、不適切な行動や発言をした場合には、退学という厳しい処分が下されることも当然あります。
大学院を卒業するメリット
大学院を卒業できないかもしれない人にとって、大学院を卒業するとどんなよいことがあるのかは、知りたいことのひとつではないでしょうか。ここでは、大学院を卒業するメリットを3つ、ご紹介します。
メリット1:就職活動を有利に進められる
大学院卒業は、もっとも高い最終学歴です。仮に大学院を中退しても、そもそも「大卒」ではあるため、大学中退ほど学歴がハンデになることは少ないかもしれません。しかし、やはり大学院中退よりも卒業している人のほうが、就職活動上はプラスになるでしょう。
特に研究・開発系の仕事の場合、理系の大学院卒であることが応募条件になっているのが一般的です。大学院卒が必須の企業でなくとも、一定の専門知識などを要する仕事では、関連の大学院を卒業している人のほうが有利といえます。
大学院でしっかりと学び、それなりの成果を出してきた人であれば、就活の場でもその深い学びや努力を評価されるでしょう。大卒では入社が難しい企業・職種も、大学院卒ならば叶うことはあり得ます。
メリット2:学校推薦を活用できる
学校推薦とは、あらかじめ企業に採用枠があり、大学院内で教授などから認められた、推薦された学生のみが応募できる求人のことです。条件をクリアする必要はありますが、学校推薦には以下のような魅力があります。
- 採用される可能性が高い
- 希望の職種に就くことができる
- 学校を通しているため、信頼できる企業が中心
学校推薦だからといって100%採用されるとは限りませんが、自力で応募するよりも圧倒的に採用の可能性は上がります。また、最初から自分がやりたい仕事に就くことができたり、きちんとした企業であることが大半である点も、学校推薦を利用して就職するからこそといえます。
大学院を中退してしまえば学校推薦はまず使えなくなりますから、推薦で就職を目指したい人にとっては、大学院を卒業するメリットは大きいといえます。大学にも学校推薦はありますが、大学よりも大学院の学校推薦のほうが、より学びと関連度の高い専門的な仕事に就けるチャンスがあるといえるでしょう。
メリット3:初任給が高い
厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」によると、大卒と大学院卒の初任給は、それぞれ以下の通りです。
- 大卒:22万6000円
- 大学院卒:25万5600円
大卒と大学院卒の初任給は、約3万円程度違うことがわかります。この金額だけで見れば、単純計算で大学院卒のほうが、1年間で約36万円、40年間では約1440万円、大卒よりも収入が多くなるということになります。
スタートラインで一般的な新卒より高い給料をもらえることは仕事へのモチベーションが上がることにもつながるため、「大学院を卒業しておいてよかった」と感じる可能性はあるでしょう。ただし、給与水準が一律・または大学院卒と大卒の給料が同じという企業も多くあり、大学院卒が必ずしも大卒より稼げるとまではいえないことは把握しておきましょう。
大学院を卒業するデメリット
大学院を卒業したことは当然マイナスにはなりませんが、大学院卒だからこその注意点はあります。ここでは、大学院を卒業している人に起こり得るデメリットを3つ、ご紹介します。
デメリット1:企業からの期待が大きい
以下のような場合は特に、就職後に企業からの期待が高くなる可能性が高いでしょう。
- 難関・有名な大学院の出身である
- 初任給が大卒よりも高い
まず、レベルの高い大学院を卒業した学生ならば、より専門的な分野で貢献してくれると考えられることが多いでしょう。また、給料が高めに設定されているのは、その金額に見合った働きを期待してのことです。
そのため、あきらかに仕事に適性がなかったり、慣れてきてもなかなか成果を出せなかったりすると「大学院まで出ているのに、こんなこともできないのか」などとがっかりされてしまうかもしれません。大卒よりも希少な大学院卒のほうが期待値が高かったり、よくも悪くも職場で目についてしまうことはあるかもしれません。
デメリット2:2年間の社会人経験の差が出る
大学院を卒業する場合、修士課程のみでも2年間はかかるのが一般的です。つまり、大卒と大学院卒は、スタートラインの時点で最低でも2年間の差があります。
大学院卒の学生は、就職してから自分よりも先に働いている大卒の社会人を見て、以下のことを感じるかもしれません。
- 学生気分が抜けてしっかりしている
- すでに仕事を任されていて、職場の戦力になっている
- ビジネスマナーなどの立ち振る舞いが上手
たった2年と思う人もいるかもしれませんが、若いときは特に成長もめざましく、いろんなことを吸収できる時期です。たとえ同い年でも自分とはかけ離れているように見えてしまい、焦りやコンプレックスを感じてしまうことがあるかもしれません。
デメリット3:スケジュールの管理が大変である
ここでいうスケジュールの管理とは、主に就活のことです。大学生の場合、基本的には3~4年で就職活動をしますが、そのころにはある程度単位を取り終え、学校の勉強はそこまで忙しくないという人も少なくありません。そのため、ある程度就活に集中できる環境が整っているといえます。また、時間をかけて就活を進めることもしやすいでしょう。
一方で大学院生は、研究や論文作成などの時間を縫って、その合間に就活をすることになります。就活への時間も、大学生ほどはかけられないでしょう。
大学院が忙しいなかでの就活は肉体的・精神的にも大変で「いつ何をするのか」「いつまでに何をしなければいけないのか」などがわからなくなり、混乱してしまうこともあり得ます。
大学院を卒業できなかった時の内定の行方
留年などが決まって大学院を卒業できないことが判明し、その時点で就職の内定が決まっていた場合には、基本的には内定は取り消しになるのが原則です。
企業側は、学生が大学院を卒業することを見込んで採用を決めています。入社時期が1年伸びてしまうことになれば、その間、欠員の状態でキープしておくということは、現実的にはなかなか難しいといえるでしょう。
ただし、内定取り消しにならない能性はゼロとも言い切れません。企業に事情を話して「来年は絶対に卒業する」と伝えることで、考慮してもらえるケースもあるかもしれません。最終的に判断するのは企業ですが、どうしてもその企業に入社したいのであれば、一度相談してみたほうがよいでしょう。
大学院を卒業できなかった人の今後について
大学院を卒業できなかった場合、もう1年通って再び卒業を目指すか、中退するかのいずれかの選択になります。基本的には、特に中退する理由がないのであれば、時間・お金はかかっても卒業を目指すのが望ましいでしょう。その場合には、研究などを続けながら、再び就活をすることになります。
大学院を留年した学生が就活をする場合、そうでない学生よりも企業の目が厳しくなることは残念ながらあるでしょう。しかし、きちんと卒業できるように努力すれば、留年は就職に多少マイナスになるかもしれませんが、そこまで大きなダメージを与えるほどでもなさそうです。そもそも大卒ではあるため、一定の学歴があることは証明されているからです。
ただし、大学院を留年した2度目の就活では、就活のやり方がよくわからず難航したり、どんなキャリアを描きたいのかが見えにくくなってしまうことはあり得ます。また、留年すると金銭的に厳しくなるため、中退して就活せざるを得ない学生もいるかもしれません。
留年した大学院生は、自力で就活するよりも、就職エージェントなどの専門機関に相談することをおすすめします。弊社ジェイックは、社会人経験がない・少ない未経験者の就職に強いエージェントです。正社員就職実績豊富な中退者向けの就職支援サービスもありますので、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
大学院を卒業できない可能性はあります。特にレベルの高い大学院では、そう簡単には卒業できないこともあり得ます。また、大学院に入学したものの途中でついていけなくなったり「合わない」と感じたりして行かなくなり、留年することもあるかもしれません。留年して卒業を目指すにしても中退するにしても、大学院を出てからのことは早めに考えておくことをおすすめします。
「大学院を卒業できないことになり、中退するか迷っている」「留年できず中退も検討しているが、中退後の就活をどうすればいいかわからない」などのお悩みがある方は、ぜひジェイックのキャリアアドバイザーへご相談ください。
大学院を辞めたいと考えている方や大学院の中退について知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
こんな方におすすめ!
- 学歴に自信がないから就職できるか不安
- 就職について、誰に相談したら良いか分からない
- 中退しようかどうかを迷っている
- 学歴に自信がないから就職できるか不安
- 就職について、誰に相談したら良いか分からない
- 中退しようかどうかを迷っている