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中卒でも弁護士は目指せる!2つのルートを解説【厳しい現実も紹介】

中卒でも弁護士は目指せる!2つのルートを解説【厳しい現実も紹介】

中卒でも弁護士は目指せるの?」

結論からお伝えすると、中卒からでも弁護士は目指せます。ただし、その道筋は決して平坦ではなく、多くの勉強時間が必要になることは覚悟しましょう。

この記事では、中卒から弁護士を目指すルートを2つに分けて紹介するとともに、弁護士を目指すメリット・デメリットをお伝えします。厳しい現実も包み隠さず解説しますので、「弁護士のリアル」を知りたい方もぜひ参考にしてみてください。

中卒から弁護士を目指す方法

中卒から弁護士を目指す方法

中卒から弁護士を目指す方法は、大きく次の2つのパターンに分かれます。

  • パターン1:司法試験予備試験→司法試験→司法修習
  • パターン2:ロースクール→司法試験→司法修習

結論からお伝えすると、中卒の方におすすめなのは「パターン1」です。理由は、費用が安く済むこと、そして上手く行けば弁護士として早く働けるからです。

では、それぞれのパターンについて紹介していきます。なお、司法試験予備試験と司法試験の違いは? 司法修習とは何か?といったことについては、後述する「中卒が弁護士を目指す時に知っておきたい知識」の中で詳しくお伝えしていますので、こちらもあわせて確認してみてください。

パターン1:司法試験予備試験→司法試験→司法修習

パターン1は、「司法試験予備試験」を受験するコースです。具体的には、次の流れで弁護士を目指します。

(1)司法試験予備試験

(2)司法試験

(3)司法修習

(4)弁護士

そもそも、どのステップで弁護士を目指しても(2)~(4)、つまり「司法試験」の受験を経て「司法修習」を実施し、弁護士として働く流れは変わりません。しかし、その司法試験を受けるまでのステップ(1)に違いがあり、まず代表的なのが司法試験予備試験の受験です。

また、司法試験予備試験を目指すにしても、中卒者の場合には次の3つの方法が考えられます。

  • 司法試験予備試験合格をすぐに目指す
  • 高校卒業(高認取得)を目指す
  • 大学に進学する

では、それぞれについて解説します。

司法試験予備試験合格をすぐに目指す

まずは、司法試験予備試験の合格に向けて今すぐ勉強を始める、というルートです。この場合には、先ほどの流れは以下のようになります。

(1)司法試験予備試験合格をすぐに目指す

(2)司法試験

(3)司法修習

(4)弁護士

司法試験予備試験についてはこの先で詳細をお伝えしますが、何と言っても「受験資格がない」ことがメリットです。学歴関係なく受けられるので、中卒者でも受験できます。費用が最も安く済む可能性もあるため、最短かつ最安で弁護士を目指したい場合には、真っ先に候補に入ってくるルートとも言えるでしょう。

高校卒業(高認取得)を目指す

次は、高校卒業、もしくは高認取得を目指してから司法試験予備試験を受けるルートです。この場合、次のような流れになります。

高校卒業(高認取得)を目指す

(1)司法試験予備試験

(2)司法試験

(3)司法修習

(4)弁護士

後ほどお伝えしますが、司法試験予備試験は日本のあらゆる試験の中でもトップクラスに難しい試験です。そのため、もしも学力に自信がなければ、その高過ぎるハードルを前に挫折してしまう可能性もあります。

そのため多少遠回りにはなりますが、まずは高校に進学して学力レベルを上げる、または「高卒者と同等の学力レベルがある」と認定される高等学校卒業程度認定試験、通称「高認」の受験を目指す中で、学力を高めていくのも手と言えるでしょう。

なお、高卒の肩書を手にすると、大学に進学できる道が開けたり、場合によっては中卒者よりも就職で有利になったりと、さまざまなメリットを得られます。

大学に進学する

中卒者が弁護士を目指す道として、大学に進学するのも一つの手です。この場合、高校卒業または高認を得て、大学進学を目指す、といったルートが基本となります。

高校卒業(高認取得)を目指す

大学に進学する

(1)司法試験予備試験

(2)司法試験

(3)司法修習

(4)弁護士

このルートのメリットは、後述する「ロースクール進学」への道も開かれることです。また、大学在学中でも司法試験予備試験は受験できるので、自分の学力レベルに応じて「ロースクール進学」、または「司法試験予備試験の受験」の二択を選べるのも利点と言えるでしょう。

一方で、大学進学に向けて高卒の肩書きを手に入れる必要があるなど、すぐに弁護士目指したい人にとっては遠回りのルートとも言えます。もちろん費用もかかってくるので、司法試験予備試験の合格をいきなり目指す人と比べると、経済的な面で苦労する可能性があるかもしれません。

パターン2:ロースクール→司法試験→司法修習

司法試験予備試験を目指すルートを紹介してきましたが、弁護士になるには次のような道を進む方法も考えられます。

(1)ロースクール

(2)司法試験

(3)司法修習

(4)弁護士

詳しい説明は後に譲りますが、ロースクールとは「法科大学院」のことで、弁護士や検察官などの「法曹」を育成するための専門機関です。ロースクールを修了すると、司法試験にダイレクトに挑戦できます。つまり、司法試験予備試験を受験する必要がないのです。また大学の学部によってロースクールの通学期間は異なり、「法学部卒」は2年、「それ以外の学部」は3年と定められています。

なお、基本的には「大卒」であることがロースクール入学の条件です。そのため中卒者の場合には、まずは高校卒業または高認を取得し、その上で大学で学び、その後でロースクール進学、という道が基本の流れとなります。

司法試験にそのまま挑戦できるのは大きなメリットですが、その分、弁護士までの道のりは長く、また学費などの面でかなりの負担がかかる可能性があるのはデメリットです。そのため中卒者の場合には、ロースクールには進まず、司法試験予備試験の合格を目指すほうが、時間的にも経済的にも効率的と言えるかもしれません。

中卒が弁護士を目指す時に知っておきたい知識

中卒から弁護士を目指すルートはイメージできましたか?では、ここからは弁護士を目指す際に知っておきたい知識について解説していきます。

  • 司法試験予備試験とは
  • ロースクールとは
  • 司法試験とは
  • 司法修習とは
  • 弁護士の仕事内容とは

試験に関しては、それぞれの合格率なども紹介しますので、難易度などが気になる方もチェックしてみてください。

司法試験予備試験とは

司法試験予備試験とは、ロースクールの修了生と同等の学力レベルがあることの証明として実施される試験です。司法試験予備試験に合格すると、ロースクールに通わなくても司法試験を受験できます。

ここまで紹介してきた通り、ロースクールを修了するまでには時間も費用も必要です。たとえば中卒者の場合、高認を1年で得て、大学の法学部で4年学び、ロースクールを2年で修了したとしても、およそ7年もの月日が流れます。学費も大学とロースクール両方で必要となるなど、経済的にも余裕が必要です。

一方で司法試験予備試験は、最短で1年での合格を目指せます。もちろん簡単な試験ではないので、準備期間を考えるとそれ相応の年数は必要ですが、ロースクール進学を目指すよりも弁護士に早く、そして経済的にも楽に目指せる可能性があるのです。

受験資格

司法試験予備試験の受験資格は、特に定められていません。そのため誰でも挑戦でき、もちろん中卒者でも受験可能です。「受験期間の制限もなし」と定められているので、何度でも挑戦できるのも特徴の一つです。

なお、一般には2回ほどの挑戦で合格を勝ち取る人が多い傾向にありますが、東京大学や慶応義塾大学出身者など、いわゆる「高学歴層」がデータに含まれている点には留意しましょう。

試験内容合格率

司法試験予備試験は、次の流れで構成されています。

短答式試験

論文式試験

口述試験

例年、短答式試験は5月、論文式試験は7月、口述式試験は10月に行われ、たとえば短答式試験を合格しないと論文式試験には進めません。また、仮に論文式試験まで進めても、そこで不合格になった場合には、来年はまた短答式試験から受験をスタートする必要があります。

司法試験予備試験の合格率は、例年4%前後です。試験ごとに見ると、おおよそ次の合格率となっています。

  • 短答式試験:約20%
  • 論文式試験:約20%
  • 口述試験:約95%

令和3年に実施された司法試験予備試験の結果を見ると、受験者11,717人に対し、最終合格者は467人で、合格率は3.98%でした。100人受験したら4人も受からない試験のため、かなりの難関試験であることが分かるでしょう。

ロースクールを修了すると、司法試験予備試験を受験する必要はなく、司法試験にそのまま進めます。難関の司法試験予備試験を“回避”できるのはメリットとも言えますが、これまた難関の司法試験が待っていることに変わりはありません。また、通学期間や学費が掛かる点はデメリットとも言えるでしょう。

入学要件期間

ロースクールに入学するためには、基本的には大学の卒業見込みがあることが条件です。よって、中卒者の場合には「大卒」を目指すことがまずは必要ですが、ロースクールによっては大学を卒業していなくても受験できる場合があります。

その他、大学3年生以上の優秀者に限り「飛び級」で進学できるコース、または大学3年+ロースクール2年の一貫したコース、いわゆる「法曹コース」を選択できる場合もあるなど、ロースクールによって入学要件はさまざまです。

なお通学期間は、大学の学部によって以下のように変わります。

  • 法学部卒業:2年(法学既修者コース)
  • 法学部以外を卒業:3年(法学未修者コース)

入学の際に必要な受験科目なども、各ロースクールによって異なります。どのような学校があるか気になる場合には、「法科大学院一覧|文部科学省」も参考にしてみてください。

勉強内容

ロースクールによって違いはありますが、授業は少人数で行われ、教授と生徒で学び合う、いわゆる「双方向」のスタイルが取られるのが一般的です。また、実際の現場で働く弁護士が教壇に立つケースや、研修の機会もあるなど、実務面での理解が進むカリキュラムが組まれている点も特徴と言えるでしょう。

また、弁護士をはじめ、同じ「法曹」という目標を志す仲間が集まっているのもロースクールならではの特徴です。勉学の面で刺激を受けられるだけでなく、法曹界にも人脈も広げられるなど、人によってはロースクール進学によって大きなメリットを手にできるでしょう。

司法試験とは

司法試験とは、法曹資格を付与するために実施される試験です。司法試験に合格することで弁護士への道が開かれ、その先の「司法修習」へと進めます。逆に言うと司法試験に合格しなければ、弁護士として働くことはできません。

なお、司法試験について調べていると「新司法試験」という言葉に出会うかもしれません。新司法試験とは、平成14年に司法試験の改正があった後の試験を一般に指し、改正前の試験はそれと対比する形で「旧司法試験」と呼ばれます。

詳しく知りたい方は、「司法試験|法務省」も参考にしてみてください。

受験資格

司法試験の受験資格は、次のように定められています。

  • 法科大学院(ロースクール)を修了した者
  • 司法試験予備試験合格者

また、司法試験には受験年数に制限があります。具体的には、受験資格を取得してから「5年間」です。5年経つと受験資格は失効し、改めて上記のいずれかを満たさないと受験できません。

試験内容合格率

司法試験は、例年5月に4日間かけて実施され、短答式試験、論文式試験の両方を受験します。

合格率は年によって差がありますが、2017年(平成29年度試験)は25.9%であるのに対し、2021年(令和3年度試験)は41.5%と上昇しています。これは受験者が右肩下がりで減少している一方で、合格者数がそこまで減っていないためです。

また2021年の「司法試験受験者」という点でみると、合格率(最終合格者)には次のような違いがあります。

  • 予備試験合格者:93.50%(374名)
  • 慶應義塾大法科大学院:55.07%(125名)
  • 早稲田大法科大学院:49.78%(115名)
  • 京都大法科大学院:61.62%(114名)
  • 東京大法科大学院:48.24%(96名)

このように、予備試験を経由して司法試験を受験した人のほうが、ロースクール修了生に比べると合格率が高いことが分かります。理由はさまざまですが、予備試験と司法試験の出題範囲が多くの部分で重複していることが最大の要因と言われています。

「司法試験の結果について|法務省」も参考にしてみてください。

司法修習とは

司法修習とは、弁護士としての実務を始める前の「実習期間」のことです。期間はおよそ1年で、例年9月~翌年12月頃まで実施されます。

司法修習の内容は、次のとおりです。

  • 導入修習
  • 分野別実務修習
  • 選択型実務修習
  • 集合修習
  • 司法修習生考試(二回試験)

7月頃までは、講義形式で実施される「導入修習」に始まり、民事裁判刑事裁判などの配属庁に分かれ、約2か月間の研修を行う「分野別実務研修」を受けていきます。

8月以降は、興味ある分野の研修を2週間ほど受けられる「選択型実務修習」、そして模擬裁判などを実施する「集合修習」を経て、通称「二回試験」と呼ばれる司法修習生考試を受験します。

なお、この二回試験に合格しないと弁護士にはなれませんが、落ちる人は毎年10人以下と言われているため、ほとんどの人が合格し、弁護士への道へと進んでいきます。

弁護士の仕事内容とは

いざ弁護士として働き始めると、どのような仕事をすることになるのでしょうか?あくまで一例ではありますが、主に次のような仕事に就く可能性があることは理解しておきましょう。

  • 民事事件の代理人
  • 刑事事件の代理人
  • 会社内で法務面をサポート

そもそも裁判は「民事裁判」と「刑事裁判」に分けられますが、それぞれの裁判で代理人として弁護を行うのがメインの役割です。一方で、民間の会社の中で法務知識を活かす弁護士も少なくありません。

では、それぞれの仕事について解説します。

民事事件の代理人

民事事件とは、たとえばお金の貸し借りに関わるトラブルや、離婚、相続などの争いごとを指します。弁護士としては「依頼者の代理人」として、相手方との交渉などに臨みます。

なお、弁護士の仕事と聞くと裁判所で戦っているイメージが浮かぶかもしれません。しかし、実は裁判に至る前の話し合いで解決できるケースも多く、それでも解決できない事案に関してのみ、法定の場で弁護を行っていきます。

刑事事件の代理人

刑事事件とは、窃盗や殺人などに関わる事件のことです。弁護士は被疑者側の弁護人として、被害者や検察側と話し合いを進めていきます。

民事事件と同様に、刑事事件でも、裁判に至る前に示談などで決着がつくケースが少なくありません。そして話がまとまらない場合に限り、被告人の無罪や減刑を求め、検察官と法定で争っていくことになります。

会社内で法務面をサポート

裁判所だけではなく、「会社」というフィールドでも多くの弁護士が働いています。たとえば社内の法務部に所属し、契約内容が正当なものか目を光らせたり、M&Aなどの企業間のやり取りにあたって法務面でサポートをしたり、といった仕事をする弁護士も大勢います。

また、会社には直接は属せず、「顧問弁護士」として働く道もあります。この場合、株式上場にあたってのアドバイスや、特許などの知的財産を守るためのアドバイザリー業務など、自分が得意とする分野に絞り、その専門の弁護士として働くケースが一般的です。

中卒が弁護士を目指すメリットデメリット

ここからは、中卒から弁護士を目指すにあたって知っておきたいメリット、そしてデメリットをお伝えします。

弁護士は国家資格のなかでも「最難関」と言われ、それに合格することはいわゆるエリートの証明とも言えます。さらには、法定で戦うその姿に憧れを抱く人も少なくないでしょう。一方で、特に中卒者の場合には、目の前にたちふさがる壁が想像以上に高いのも事実です。

では、メリットからお伝えします。

中卒が弁護士を目指すメリット

中卒から弁護士を目指すメリットは、主に次の2点です。

  • 高収入が期待できる
  • 手に職をつけることができる

では、それぞれについて解説します。

高収入が期待できる

弁護士は、高収入の仕事として知られます。事実、「弁護士白書 2018年版」を見ると、弁護士の収入の中央値は1,200万円です。一方で厚生労働省が発表した「2020家計調査」では、日本人の年収の中央値は437万円となっています。つまり弁護士として働くと、一般的な年収の3倍近い額をもらえる可能性がある、ということです。

なお中央値とは、数値を低いものから高いものへと順に並べ、ちょうど2等分した時の「境界値」のことで、より実態に近い数値を算出する際に使われる指標です。

そして「令和元年賃金構造基本統計調査の概況」を見ると、中卒者の平均年収はおよそ298万円となっています(※)。こちらは平均のため、中央値とは若干異なりますが、平均は実態よりも上振れする傾向があることを考えると、中卒者の実際の年収は298万円より低い可能性もあります。つまり中卒から弁護士になった際の年収が1200万円だとすると、一般的な中卒者と比べ、およそ4倍近い給料を手にできる可能性があるのです。

※平均年収は平均月収を単純に12倍したもの(賞与などは含まず)

手に職をつけることができる

弁護士として働くと、手に職をつけることができます。そもそも弁護士は次のような業務を独占して行えるので、すぐに仕事がなくなる、ということはありません。

  • 折衝(利害関係者同士の合意を目指す交渉)
  • 裁判所への出廷(家庭裁判所、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所)
  • 刑事事件の弁護人になれる

そして、法務知識や弁護経験などを活かしつつ企業内で働く道もあるなど、その専門性を活かしてさまざまなフィールドで働けるのも、弁護士として働くメリットといえるでしょう。

中卒が弁護士を目指すデメリット

次に、中卒から弁護士を目指すデメリットを解説します。

  • 弁護士になるまでに多くの時間が必要になる
  • 弁護士になってからも安泰とは言えない

では、それぞれについて解説します。

弁護士になるまでに多くの時間が必要になる

まず挙げられるのが、弁護士になるまでに多くの時間が必要になる、ということです。

弁護士を目指すルートとしては、司法試験予備試験の合格、またはロースクールの修了が第1ステップとお伝えしてきましたが、一般に司法試験予備試験の合格までには3000~10000時間が必要と言われ、そこから司法試験合格までには2000時間ほど必要とされています。年数で言うと5~6年はかかる計算で、弁護士になるのは簡単な道ではないことが分かるでしょう。

そしてロースクールに通う場合には、中卒者の場合、基本的には高認を得た後に大学進学、そしてロースクールを修了してから司法試験、という道を歩んでいきます。ロースクール修了までにおよそ7年、そしてそこから司法試験合格を目指すとなると、ざっくり10年ほどかかる計算です。ロースクールに飛び級で進学するなどの例外もありますが、かなりの年数がかかることは間違いないのです。

弁護士になってからも安泰とは言えない

「弁護士になったら一生安泰」とも言えません。理由としては、弁護士が毎年増えているからです。「弁護士白書 2020年版」を見ると、次のように増加している様子が見て取れます。

  • 1960年:6,321人
  • 1980年:11,441人
  • 2000年:17,126人
  • 2020年:42,164人

こうした状況から、弁護士同士で仕事を取り合う現状が生まれつつあり、近年のAIの進展などによって、弁護士業務が機械に置き換わっていく、との推測もあります。このように、弁護士が「安定した職業」とは言えなくなっているのです。

そのため長い年数をかけてようやく弁護士になれたとしても、むしろそこからがスタート、という気持ちを持っておかないと、仕事探しに苦労する可能性もあるでしょう。

高収入を目指したい場合は他の国家資格も検討してみよう

中卒から弁護士として働くメリットデメリットをお伝えしてきましたが、「一般的な中卒者の約4倍」の年収が手に入る可能性がある、というデータは希望が持てるものかもしれません。

しかし実は、弁護士以外にも高年収を得られる国家資格は多く、特に次の資格は学歴不問で受けられるので検討してみる余地はあるでしょう。

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士
  • 中小企業診断士

では、それぞれの資格について紹介します。

司法書士

司法書士は、法律事務の専門家です。会社の設立や土地の購入に関わる登記の申請代行や、裁判所に提出する書類の作成などを請け負います。また、簡易裁判所の訴訟の代理を行えるのも特徴の一つです。

司法書士は学歴関係なく受験でき、独立すれば年収1000万円以上を稼ぎ出す人も珍しくありません。一方で合格率は例年4%前後のため、しっかりとした準備は必要です。

司法書士試験の詳細を知りたい方は、調べてみましょう。

行政書士

行政書士は、書類作成のスペシャリストです。市役所や町役場に提出する書類や、遺言書の作成、または手続きの代理をメインに行います。

行政書士の合格率は例年10%前後と、難関資格の一つに数えられますが、司法試験予備試験や司法書士と比べると目指しやすい資格とも言われます。学歴関係なく受験できること、また個人で事務所などを開くと年収1000万円超も夢ではないことから、選択肢の一つとして考えてみても良いかもしれません。

行政書士試験が気になる方は、公式情報などを見てみましょう。

宅地建物取引士

宅地建物取引士(以降、宅建士)は、不動産取引の専門家です。主に土地の売買や賃貸物件のあっせんなどを行い、不動産会社で勤務するのが一般的です。

宅建士には「重要事項の説明」などの独占業務があり、さらには事務所の人数によって宅建士を設置することが義務付けられているため、宅建取得者に対して給料を上乗せする会社も少なくありません。ここまで紹介してきた国家資格に比べると合格率も例年15~17%ほどと高く、人によっては1年での合格も可能です。学歴問わず受験できるので、宅建士を目指すのも手と言えるでしょう。

気になる方は、宅建試験について詳細を調べてみることをおすすめします。

中小企業診断士

中小企業診断士は、コンサルタントの国家資格です。中小企業を対象に、財務や労務、生産などの面からアドバイスを行い、企業経営をサポートするのが主な役割です。

中小企業診断士も難関資格に分類され、最終合格率は4%前後とも言われますが、1年の勉強で合格する人も多く、働きながらでも合格を目指せる資格として知られます。企業内で働く診断士も少なくありませんが、独立すれば会社員時代を上回る年収も期待できます。こちらも受験資格がないので、中卒者でも目指すことが可能です。

興味がある方は、中小企業診断士試験の情報などをチェックしてみましょう。

弁護士は働きながらでも挑戦できる!

中卒から弁護士を目指す場合には、最低でも5年は覚悟する可能性があります。一方で、なかには働きながら司法試験に合格する人もいます。もちろん仕事をしながら勉強をするのは並大抵のことではありませんが、一つの選択肢として次のような道があることを知っておいて損はないでしょう。

  • 安定して働ける「正社員」を目指す
  • 夜間や土日のロースクールに通う
  • 専門学校に通う

では、それぞれについて解説します。

安定して働ける「正社員」を目指す

まずは、正社員として働きつつ、司法試験予備試験合格に向けて勉強する道が考えられます。正社員の場合、派遣・契約社員と比べると、同じ週5日勤務だとしても収入や雇用の面で安定して働けます。

正社員の仕事と弁護士の試験勉強の両立は相当ハードですから、誰にでもできることではないでしょう。しかし、「本気で弁護士を目指すかはまだ迷っている」人、または勉強の途中で「やっぱり弁護士を目指すのはやめよう」と考えたとしても、正社員経験があれば、その後の方向転換がスムーズにできます。

なお私たちジェイックでも、就職エージェントを運営しています。正社員求人の紹介や、応募書類や面接対策などのサポートを一貫して無料で行っており、中卒の方でも18歳以上であればサポート可能です。仕事探しに不安が残る方は、まずはお気軽にご相談にお越しください。

夜間や土日のロースクールに通う

ロースクールの中には、夜間や土日に開講しているところもあります。

夜や週末であれば、平日の日中は仕事をしている社会人でも通いやすいので、司法試験予備試験ではなく、ロースクールから司法試験への道を考えている場合には、こうしたロースクールへの進学も考えてみると良いでしょう。

専門学校に通う

司法試験予備試験を目指す場合には、専門学校に通うのが王道のスタイルです。そもそも「最難関」に分類される試験のため、独学での挑戦はまず不可能といえます。特に「学力に自信がない……」という場合には、試験に詳しい講師から直接学べる専門学校への通学を検討してみましょう。

働きながらでも通いやすい時間に授業を実施している学校も多いので、正社員として日中は働きつつ、夜は弁護士に向けて勉強を重ねる、といった日々を送る人も少なくありません。

まとめ

中卒から弁護士を目指すルートについて、司法試験予備試験、そしてロースクールを目指す道を中心に解説してきました。

お伝えのとおり、弁護士は夢のある仕事ですが、一方で中卒者が目指すにはハードルがかなり高いのも事実です。受験勉強にはお金の問題もどうしても絡んでくるので、まずは正社員として安定した給与を得たあとに、腰を据えて勉強に取り組む、といった選択肢を考えてみても良いでしょう。

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高藤 薫キャリアアドバイザー
株式会社ジェイック:キャリアコンサルタント|就活情報、お役立ち面白情報を発信|就活YouTube「ジェイック就職カレッジ®」配信中|資格:キャリアコンサルタント・ポジティブ心理カウンセラー・7つの習慣®︎ファシリテーター