
「既卒でも大手企業への就職は可能なの?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
実は既卒者でも大手企業への就職は可能です。なぜなら「新卒の採用枠」で既卒者も採用されるからです。
こちらの記事では、既卒者が大手企業に就職が可能なのかということや、目指すことができる仕事について解説しています。具体的な戦略についても紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
既卒で大手企業への就職は無理?
既卒でも、大手企業への就職は可能です。
なぜなら、大手企業でも既卒者を新卒採用の対象としているからです。
労働政策研究・研修機構の調査によると、新卒採用を行った、従業員数1000人以上の大手企業のうち、既卒者を対象とすると回答した企業は約66.3%でした。
また、中小企業よりも大手企業の方が既卒者を対象にしている割合が多いことが分かります。
従業員数 | 既卒者を対象とする | 既卒者を対象としない | 無回答 |
---|---|---|---|
30人未満 | 64.7% | 11.8% | 23.5% |
30~99人 | 56.7% | 25.6% | 17.7% |
100~299人 | 58.1% | 28.6% | 13.2% |
300~499人 | 60.8% | 32.8% | 6.6% |
500~999人 | 65.9% | 29.4% | 4.8% |
1000人以上 | 66.3% | 30.5% | 3.3% |
参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「企業の多様な採用に関する調査」
ただし、大手企業は採用時に学歴を重視する傾向にあり、高学歴であることが有利な場合もあります。やむを得ない事情があって新卒時の就職活動ができなかった人でも、高学歴であれば大手に入社できる可能性はあるでしょう。
こう見ると、採用へのハードルは高いように感じるかもしれません。新卒採用がメインの日本社会において既卒はどうしても不利になりがちなため、上記のような条件を満たしていないと、大手企業に入社するのは難しいのが現実なのです。
既卒の就活が厳しい理由について詳しく知りたい方は、以下の記事も読んでみてください。
既卒で大手企業は無理と言われる理由
既卒で大手企業は無理ではありませんが、難しいことが分かりました。
既卒で大手企業は無理と言われる理由は、大手企業はライバルが多く、さらに既卒だと不利になりやすいからです。
大手企業はライバルが多すぎる
日本における大手企業の割合は、わずか約0.3%しかありません。
国内にある企業の総数は約420万社ですから、「大企業数は約0.3%で、およそ1.2万社」「大企業以外の中小企業の割合は約99.7%、およそ419.8万社」と試算できます。
こうした数字から、圧倒的に中小企業が多いと分かります。
大企業は知名度が高く、また製品やサービスを実際に利用していたり、CM等で目にする機会も多いため、数多く存在すると勘違いされがちですが、全体から見た割合はとても少ないのです。
国内に0.3%しかない大企業に多くの就活生が集中すれば、おのずと「より高い学歴や、特筆すべき能力・スキル・資格を持つ者」が勝ち残ることになります。大企業の採用活動は、常に『買い手市場』なのです。
大企業にばかりこだわっている就活では、国内の99.7%を占める中小企業への就職の可能性を始めから捨ててしまっていることにもなります。どれだけ極端に可能性を狭めてしまっているか、データから冷静に理解してください。
ただ、やはり大手企業を目指したいという人もいることでしょう。その場合は、まずは中小企業に就職し、しっかりと実績を積みスキルを身に付けたうえで、数年後に大手企業へと転職する方法もあります。このような長期的なキャリア形成のビジョンを持つのはおすすめの方法です。
また、中小企業のなかには、学生にはあまり知られていなくても、実際は優れた企業もたくさん存在しています。まずは中小企業で経験を積んで、大手企業に転職するということも選択肢の一つとして考えるといいでしょう。
既卒でも大手企業を目指せる人の特徴
冒頭でもお伝えしましたが、既卒でも大手企業に就職できる人は次のような特徴を持っています。
- 高学歴
- やむを得ない事情で新卒での就職ができなかった
一方で、有名大学を卒業していなかったり、高卒の場合には、書類選考で落ちてしまう可能性も考えられます。また「新卒時の就職活動ではやる気が出なかった」「卒業後はアルバイトもせずに過ごしている」というような場合であれば、たとえ高学歴だったとしても「働く意欲がないのでは?」と面接官に思われてしまい、大企業への内定を手にするのは難しいでしょう。
こうした点を踏まえると、既卒で大企業に就職できるのは次のような事情がある人に限られてくるかも知れません。
- 海外の大学を卒業した後に、日本での就職を考えている
- 大学在学中に起業したが、現在は就職を考えている
- 親の介護などやむを得ない事情により、新卒での就職活動ができなかった
本人の意欲や能力に関わらない特段の事情があったり、あるいは意欲や能力を発揮した結果として新卒時の就職活動を実施しなかったようなケースであれば、既卒であることがマイナスと判断されないこともあります。
既卒でも応募できる大手企業の業種
既卒でも目指せる大手企業を紹介します。それぞれの業界の平均年収、その業界に向いている人の特徴も紹介しますので、参考にしてみてください。
参考:就活サイト「リクナビ2022」(応募資格に「既卒」を含んでいる企業/2022年1月23日時点)
参考:転職サイトdoda「平均年収ランキング(96業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】(2021/12/13)」
自動車メーカー
自動車メーカーでは、主に次の大手企業では既卒でも応募ができます。
- トヨタ
- マツダ
- スバル
自動車メーカーの平均年収は、次のとおりです。
全体:472万円
男性:489万円
女性:391万円
社内には幅広く様々な仕事があるので、どのような業務にも柔軟に対応できる人に向いています。
電機メーカー
電機メーカーでは、主に次の大手企業が既卒でも応募できます。
- 三菱電機
- シャープ
- 日立製作所
電気メーカーの平均年収は、次のとおりです。
全体:487万円
男性:522万円
女性:384万円
厳格な製品チェックで知られる業界のため、責任感を強く持って仕事に取り組める人に向いています。
食品/飲料メーカー
食品/飲料メーカーでは、主に次の大手企業が既卒者の採用を行っています。
- 伊藤ハム
- キューピー
- 日清食品
食品メーカーに絞って平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:472万円
男性:489万円
女性:391万円
食品/飲料メーカーは人の健康に関わる商品を扱っているので、安心・安全に対する意識を高く持てる人に向いています。
製薬/化学/素材メーカー
製薬/化学/素材メーカーでは、主に次の大手企業において既卒者でも応募が可能です。
- アース製薬
- 小林製薬
- 三菱ケミカル
化学メーカーの平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:474万円
男性:509万円
女性:383万円
製薬/化学/素材メーカーでは製品開発に長い年月を要することも多く、特に研究・開発職には忍耐強く仕事に向き合い続けられる人に向いています。
鉄鋼/金属/重工メーカー
鉄鋼/金属/重工メーカーでは、次のような大手企業へ既卒者も応募できます。
- 日本製鉄
- 横河電機
- 三菱マテリアル
鉄鋼/金属メーカーの平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:455万円
男性:480万円
女性:359万円
鉄鋼/金属/重工メーカーはグローバルに事業を展開している企業が多く、海外志向の強い人に向いています。
その他メーカー
その他メーカーでは、主に次の大手企業が既卒の採用枠を設けています。
- ニトリ
- 大日本印刷
- 凸版印刷
ニトリの属する「家具/インテリア/生活雑貨メーカー」に絞って平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:373万円
男性:410万円
女性:338万円
その他メーカーの中でも、たとえば家具/インテリア/生活雑貨メーカーの社員は接客を担当することも多いので、コミュニケーション力に自信がある人に向いているでしょう。
情報通信サービス
情報通信サービス業界では、既卒者でも次の大手企業へ応募ができます。
- NTTドコモ
- KDDI
- 日本コムシス
通信業の平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:398万円
男性:436万円
女性:345万円
情報通信サービス業界は変化が激しいため、新しい知識やトレンドをキャッチアップしていくことに長けている人に向いています。
インフラ系
インフラ業界では、主に次の大手企業が既卒者の応募を受け付けています。
- 東京電力
- 九州電力
- JR東海
電気・ガス業界に絞って平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:637万円(※)
インフラ業界は社会全体を支えていくため、いわゆる「縁の下の力持ち」タイプの人に向いているといえます。
※参照:平均年収.jp
商社
商社では、主に次の大手企業へ既卒者でも応募できます。
- 三菱商事
- 住友商事
総合商社の平均年収は、次のとおりです。
全体:434万円
男性:483万円
女性:359万円
社員は海外を飛び回ることも多いので、体力・精神面ともにタフな人に向いています。
不動産
不動産業界では、主に次の大手企業が既卒枠を設けています。
- 三井不動産レジデンシャル
- 大東建託グループ
- 積水ハウス不動産東京
デベロッパーに絞って平均年収を見てみると、次のとおりです。
全体:469万円
男性:509万円
女性:399万円
不動産業界はチームで進めていく業務が多いので、協調性がある人に向いているでしょう。
広告
広告業界の大手企業では、次のような企業に既卒者も応募できます。
- 博報堂
- 読売広告社
広告業界の平均年収は、次のとおりです。
全体:381万円
男性:422万円
女性:344万円
広告業界は企業と企業の間に立って仕事をする機会が多いので、調整力に自信がある人に向いています。
優良な中小企業の見極め方とは
前述のとおり、製品・サービスになかなか触れる機会がない中小企業の中から、どうやって優良な会社を見つければいいか、分からない方も多いことでしょう。
そこで、「優良な中小企業を見極めていく」際に参考になる指標やランキングを3つ、ご紹介します。学生向けの「就職情報」とは別の検索軸を持つことで、就活のライバルたちに差をつけましょう。
グローバルニッチトップ企業100選:経済産業省
経済産業省は、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、国際情勢の変化の中でサプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する優良な企業を選定しています。2020年版では、113社が「グローバルニッチトップ企業」に選定されました。
選定企業一覧には【企業名・所在地・企業規模(大企業、中堅企業、中小企業)・製品やサービスの名称】が記載されています。中には、連続受賞している企業もあります。
このリストをもとに、各企業のサイトを検索してみると良いでしょう。
働きがいのある会社ランキング:Great Place to Work®(GPTW)
GPTWは「働きがい」に関する調査・分析を行い、一定の水準に達していると認められた会社や組織を各国の有力なメディアで発表する活動を世界約60カ国で実施している専門機関です。GPTWは、「働きがいのある会社」とは「働きやすさ」と「やりがい」の両方がかね備わった組織であると定義しています。
ランキング参加企業のアンケート結果を点数化し、一定レベルを超えた会社を「働きがいのある会社」として発表しています。アンケートは従業員向けと企業向けの2種類で構成され、GPTWジャパンと外部有識者からなる委員会が精読し点数をつけ、ランキングを決定しています。
2021年版日本における「働きがいのある会社」ランキングはこちらです。
引用:働きがいのある会社ランキング:Great Place to Work®(GPTW)
女性活躍推進企業認定(えるぼし):厚生労働省
「えるぼし認定」とは、女性活躍推進法に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
入社後に仕事をしていく上で、女性が能力を発揮しやすい職場環境であるかという観点から、5つの評価項目が定められていて、その実績を「女性の活躍推進企業データベース」に毎年公表することが必要です。2020年9月末時点で、えるぼし認定は1,134社、より上位のプラチナえるぼし認定は3社が認定を受けています。
こちらのページで、該当する企業の検索ができます。
ファーストキャリアはスキルアップがおすすめ
先ほどもご紹介した通り、大手企業への就職が難しいと感じた場合は、まず中小企業に入社し、その後に大企業への転職を目指す長期的なプランも考えられます。学歴に自信がなかったり、きちんと就活せずに卒業してしまった人が大企業を目指すには、現実的な方法と言えるかもしれません。
こうしたルートを目指す際に大切なのは、入社した中小企業においてスキルの習得に一心に励むことです。培ったスキルや実績をもとに転職活動をすれば、大手企業から「即戦力」として認められ、中途採用が叶う可能性もあります。
さて、ここからは「既卒者が正社員就職を目指すときに活用したい2つの方法」を具体的にご紹介します。
1.ハローワークを利用する
既卒の方にハローワークの利用をおすすめする理由は、以下のとおりです。
- 既卒者を支援するサービスもある
- 就職に関する情報収集にも活用できる
たとえば「わかものハローワーク」のように、正社員を目指す35歳以下の若者に特化したハローワークもあります。個別支援やセミナー等への参加なども実施しているため、利用してみるのもひとつの方法です。
ハローワークは誰でも利用できるため「まず就職に向けて動き出したい」と考えたとき、既卒者でも足を運びやすく、情報収集の場として活用する使い方もできます。
ただし、ハローワークは企業側も無料で採用募集ができるため、なかなか人が定着せずに人材採用に経費が掛けられない企業や、場合によっては実態がブラックな企業も混ざっているリスクもあるため、応募の際は口コミをしっかり調べるなど慎重に検討した方がよいでしょう。
2.就職支援サービスを利用する
スムーズに就職活動を進めたい場合におすすめの方法が、就職支援サービスの活用です。
私たちジェイックが運営する就職支援サービスでは、既卒者の正社員就職に特化した支援も実施しています。定職に就いていない若者を対象としたサービスのなかでも、ジェイックは就職だけをゴールとせず、その後の長期的な活躍を見据えたサポートを実施しています。
ジェイックには主に、以下のような特徴があります。
- 未経験者の就職に特化
- 無料の就職講座で内定率UP!
- 書類選考免除&20社と面接
- 就職後も手厚いサポート
ジェイックの就職支援サービスは、スクール型が基本です。既卒者やニート、フリーターの方など、自分と同じような境遇の就活仲間と出会うことができ、ともに正社員就職を目指すことが可能です。
自分ひとりだけで就職活動に取り組んでいると、不安や孤独を感じやすい面はあります。しかし、ジェイックの就職支援サービスではその心配はありません。本気で就職を目指す人たちが周囲にいるため、短期集中かつ心強い気持ちで就職活動を進められます。
既卒でも大手企業への就職をする方法
既卒でも、大手企業への就職を実現する方法を紹介します。既卒就職の現実も踏まえ、ポイントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
既卒採用は新卒枠で大手企業を狙う
平成22年に厚生労働省が「卒業後3年以内の既卒を新卒扱いにしましょう」という通知を企業に出したことを機に、既卒者を新卒枠で採用する企業が増えつつあります。
実際に「労働経済動向調査(2020年8月)」によると、「新卒採用で既卒も応募可能」としていた企業は全体で70%にのぼり、そのうち46%が既卒者を採用しています。
このように、既卒者を新卒として採用する企業は少なくありません。一般的には「卒業後3年以内」の既卒者に限られますが、条件に当てはまる場合は新卒枠での応募にチャレンジしてみましょう。
厚生労働省|労働経済動向調査(2020年8月)
中小企業でスキルを習得してから、大手企業へ転職する
既卒では大手企業への就職が難しいと感じた場合は、まず中小企業に入社し、その後に大企業への転職を目指すという方法も考えられます。
中小企業で職務経験を積んでから大企業への就職を目指すルートですが、学歴に自信がなかったり、きちんと就活せずに大学を卒業してしまった人が大企業を目指す場合には、現実的な方法と言えるかもしれません。
こうしたルートを目指す際に大切なのは、入社した中小企業においてスキルの習得に一心に励むことです。たとえば将来的に大手人材企業に入社したい場合には、入社した中小企業で営業職として社内トップの成績を目指してみましょう。このとき培ったスキルや実績をもとに転職活動をすれば、大手企業から「即戦力」として認められ、就職が叶う可能性もあります。
なお、既卒者が面接に臨む時、「どうして新卒で就職しなかったのですか?」「卒業してから今までの期間、何をしていましたか?」というような質問がされます。その際、回答に窮してしまったり、面接官が納得できるような説明ができなかったりすると、評価を下げてしまうので注意しましょう。
また、既卒者が大手企業を目指す場合には「就活の行動量」も欠かせない条件です。大手企業の新卒枠を狙うには現役の大学生たちと競うことになり、彼ら以上の熱量と行動力で就職活動に臨む必要があります。
このとき、給料や福利厚生などの条件面にばかり目を奪われず、まずは応募数を増やすことを目指してみましょう。入社するか否かは、実際に内定を獲得してから考えればいいのです。結果として面接に進める確率を上げられるのでおすすめです。
まとめ
既卒者も大手企業に入社できるかについて、解説してきました。
結論としては「可能」ではありますが、有名大学を卒業していたり、やむをえない事情があって新卒での就職ができなかった場合に限られるなど、ハードルが高いのが実情です。
ただ、こうした条件に当てはまらなかったとしても、まずは大手ではなくても企業に入社し、そこでの勤務を通じて実力を蓄えた上で大手企業への転職を狙う、というように、長期的な戦略もあります。
いずれにせよ、既卒の就職活動には「行動量」が欠かせません。まずは、内定獲得に向けたアクションを多く起こし続けていきましょう。
「既卒 大手」によくある質問
既卒でも大手企業を目指せます。自動車メーカー、電機メーカー、食品・飲料メーカーの大手では、既卒者採用が行われているからです。詳しくは、「既卒でも目指せる大手企業の仕事」で解説を行っております。
既卒でも大手企業を目指せる人の特徴は2つあります。高学歴、やむを得ない事情で新卒での就職ができなかったの2つです。詳しくは、「既卒でも大手企業を目指せる人の特徴」で解説を行っております。

こんな人におすすめ!
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