公務員浪人の末路とは。「公務員浪人をしているけど、このままでいいのか将来に不安がある…」
そう思っている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、公務員浪人をして試験に受かる人と受からない人の特徴や、長く公務員浪人を続けた場合の末路について解説していきます。
公務員浪人の状態が長く続くと、プライドや見栄が邪魔をして視野が狭くなりがちです。
そもそもなぜ公務員になりたいのか、ご自身の人生や将来のキャリアプランについて改めて自問するきっかけにしてください。
この記事の目次
公務員浪人の末路-将来のリスクを解説-
「公務員浪人」とは、公務員試験に落ちた状態で卒業し、引き続き公務員を目指している人を指します。しかし、公務員試験は難関であり、浪人したり専門学校で学んでも合格できない人も一定数いるのが現状のようです。
ここでは、公務員浪人の状態が続くと、どのようなリスクがあるのかについて解説します。
職歴なしの期間が長くなってしまう
何年も公務員浪人を続けた場合、どこかのタイミングで見切りをつけても年齢的に就職が難しくなる恐れがあります。依然として日本の企業は新卒者を優先的に採用する傾向にあります。
ただ、企業の採用方針も一部では変わりつつあります。厚生労働省は、卒業後3年以内の既卒者が新卒枠で応募できるよう、企業側に要請しています。
この基準を公務員浪人をする際の参考にし、たとえば「浪人するなら卒業から2年目まで」と期限を区切り、合格できなかった場合は民間企業への就職に切り替えるとあらかじめ決めておくのが良いでしょう。
民間企業からの見られ方が変わる
公務員浪人は、企業の採用担当者から見れば「卒業してから働いていないニート」と捉えられる可能性があります。
たとえ試験に向かって努力をしていても、職歴上は「空白の期間」となってしまいます。多くの採用担当者は、職歴がない人に対して「何か問題があるのでは」と不安を覚える傾向にあります。このような理由からも、公務員浪人の期間はできるだけ短いほうが良いといえるでしょう。
公務員へのこだわりが増して視野が狭くなる
公務員という職業にこだわり過ぎると、試験に失敗しても民間企業を目指せない心理状況に陥る傾向もあります。公務員よりも民間企業を下に見てしまうようになり、就職活動をせずフリーターになる人もいるようです。
公務員以外にも、あなたの能力を活かせる仕事はあります。キャリア展望の視野を広げて、将来の可能性を狭めないようにしましょう。
将来への不安で、心身に負担が増す
公務員浪人の期間が長くなればなるほど、「これから自分はどうなってしまうのか」という不安が大きくなっていきます。それが原因で、心身に負担がかかる恐れもあるでしょう。
そうなる前に早めに計画を見直して、自分で心と体の健康を守る意識を持ちましょう。
高校、大学の同級生とのギャップに苦しむ
高校や大学時代の同級生・友人が就職して働き始めると、公務員浪人をしている自分が彼らに遅れをとってしまったような気になることもあるでしょう。働いている友人たちは仕事を通じて成長していくので、時が経てば経つほどキャリア上のギャップが開いていくのは事実です。
また、社会人と公務員浪人では話題がかみ合わず、次第に友人との集まりに顔を出さなくなったり連絡も取らなくなる恐れがあります。公務員浪人の期間は、ただでさえ辛い時です。大切な友人と疎遠になってしまうのは避けたいものです。
公務員浪人ってどれくらいいる?-割合を紹介-
公務員浪人に特化した統計は公表されていませんが、大学卒業後の進路に関するデータから探ってみましょう。
公務員浪人の割合とは
令和3年度の文部科学省「学校基本調査」によれば、『大学卒業後の状況』として下記のデータが公表されています。
- 就職した人 74.2%
- 進学した人 11.8%
- 就職でも進学でもないことが明らかな人 9.6%
公務員浪人の人は上記3つめの「就職でも進学でもないことが明らかな者」に含まれています。他に、就職浪人中の人なども含まれると考えられますが、全体の約10%の中に公務員浪人になっている人が一定数いることも推測できます。
現役生と浪人生の合格率の違いとは
残念ながら、公務員試験における現役生と浪人生の合格率のデータは見当たりません。
ただ、大学受験などのケースからも推測できますが、「浪人の期間が長くなればなるほど合格率が上がっていく。どんどん有利になっていく」というものでもありません。
浪人期間中に適切な勉強を続ければ、試験問題の正答率は上げられるかもしれません。しかし、採用試験には面接もあります。試験が同点であった人たちの中で、一方は新卒、もう一方は既卒だった場合、面接において新卒者に優るアピールポイントがどれだけ伝わっているかが決め手になります。
公務員浪人だから不利、という事はない
公務員の採用試験は、新卒者も浪人も同じ試験問題に回答し採点されるため、どの受験者も平等に競い合うことになります。浪人していても、学歴や経歴に自信がなくても、努力次第で試験は通過できる可能性があります。
ただし、面接では「卒業後の期間は何をしていたのか?」「なぜ浪人したのか?」などの質問が高い確率でされるでしょう。言い訳がましくなくスムーズに答えられるよう、事前に話す内容を準備しておくことが重要です。過去に反省すべき点があればそれを反省し、今回の採用試験までにどのように努力してきたか、具体的に説明できるようにしておきましょう。
なお、公務員試験の年齢制限には注意しましょう。試験の種類や自治体によって異なりますが、年齢制限を30歳前後としている場合が多いようです。公務員試験の募集要項は、必ず確認するようにしましょう。
公務員浪人の末路を辿る人と辿らない人の違い
公務員浪人を経て合格する人には、「そもそもの志望動機が明確である」「スケジュール管理・自己管理がしっかりできている」といった特徴があります。
一方、公務員浪人をしても合格できない人には「公務員になること自体が目的になってしまっている」「自己管理ができていない」などの特徴があります。
より詳しく、ご紹介していきましょう。
公務員浪人の末路を辿りがちな人の特徴
せっかく浪人期間を設けても結果的に公務員になれない人には、共通する特徴があります。
1.「なぜ公務員になりたいのか」という明確な目的がない
「自分は公務員になって、この仕事がしたい」というはっきりとした動機がない人は、浪人を経てもうまくいかない恐れがあります。「公務員は安定しているから」「親に勧められたから」といった理由では、浪人してまで努力を継続するのは困難かも知れません。
また、面接の場で聞こえの良い志望動機を取り繕って話しても、しっかりした目的意識のある受験者と比べれば、内容の薄さは面接官に伝わるでしょう。
「なぜ自分は公務員になりたいのか」「公務員が、本当に自分の望む仕事なのか」という根源的な問いに、今一度向き合うことが重要です。
2.自己管理能力が低く、自分に甘い
このようなタイプの人は、浪人をしても十分に勉強をしない傾向にあります。
「アルバイトがある日は、疲れて勉強ができない」「友人の誘いには必ず行く」という人は、浪人中も生活スタイルを変えられない恐れがあります。
このような自覚がある人は、あらかじめ勉強に集中できる環境を強制的に整えましょう。通学やオンラインの講座を受講したり、図書館や自習室などで勉強せざるを得ない時間を作りましょう。
3.ひとりよがりで客観性に欠ける
公務員は国民・市民に行政サービスを提供する立場であるため、柔軟性やコミュニケーション能力の高さが求められます。自分の考えばかりに固執する人は、一次試験は通過しても、面接で落ちる恐れがあり、たとえ合格したとしても実際の職務をはじめてから適性の無さに直面することになります。
自分は頑固だと自覚がある人は、予備校や個人指導を行う講師に客観的なアドバイスを求めるのが良いでしょう。
公務員浪人の末路を辿らない人の特徴
公務員浪人を経て公務員になった人もいます。浪人後に公務員になれた人の特徴を、下記で確認しておきましょう。
1.明確な志望理由があり、モチベーションが高い
公務員を目指すはっきりした理由がある人は、何事も「公務員になったら実現したいこと」をベースに考えるため、勉強以外の活動にも熱心な傾向があります。たとえば、現場を知るために役所でアルバイトをしたり、市民ボランティアの活動に参加して現場を体感しようとする人もいます。こうした行動は、勉強のモチベーション維持にはもちろん、面接でのアピール材料としても役立つでしょう。
2.自己管理能力が高く、計画通りに勉強できる
公務員試験に合格するには、毎日一定の勉強時間をキープする必要があります。一度決めたノルマは完遂する、意思の強さが必要です。
スケジュール通りに行動するには、友人からの誘いを一時的に断ったり、趣味や娯楽の時間をセーブするなど、自分をコントロールする力が求められるでしょう。
3.過去の失敗から、自分の弱みを改善できる
筆記試験対策では間違った問題を繰り返し解き、解答のプロセスを学ぶのが重要です。
また、知見のある第三者からのアドバイスを素直に受け入れるのが最良の対策になります。たとえば、公務員試験に合格をした人の話を聞くのがおすすめです。勉強方法や環境の整え方、使用した参考書など具体的に聞いてみると良いでしょう。「そこまでお願いするのは恥ずかしい」と思うかも知れませんが、浪人してまで頑張ると決意した以上、恥を捨てて合格者に聞いてみることも大切です。
過去の失敗や間違いを認め、人のアドバイスを素直に聞き入れられる人は、公務員浪人を成長の機会にできるでしょう。
公務員浪人はやばい?-こじらせてしまう理由を解説-
「公務員浪人が長く続くとやばい」と言われてしまうのはなぜでしょうか?「こじらせてしまう理由」について、見ていきましょう。
今までの努力が捨てらない[こじらせてしまう理由1]
「サンクコスト効果(埋没費用効果)」という言葉を知っていますか?
これまで『時間・お金・労力』などを投じたけれど成功が見込めず、さらに続けることは損失を大きくするにもかかわらず、当初の計画や行動を変えられない心理効果のことです。要するに「損切りができない状態」を指します。
公務員浪人として過ごす期間が長ければ長いほど、そのために費やしてきた『時間・お金・労力』を無駄にはできない!と、このサンクコスト効果に陥ってしまいがちです。
これは個人のレベルに留まらず、大企業の巨大プロジェクトや、政府の軍事行動(米国のベトナム戦争など)にも例が見られるように、どれだけ経験豊富な経営者や政治的リーダーであっても、この落とし穴にはまってしまえば身動きが取れなくなるのです。
厳しいことを言うようですが、ここまで掛けてきた『時間・お金・労力』をそのまま取り戻すことはできません。「無駄にしたくない」と固執して、さらにここから先の『時間・お金・労力』を無駄にしてしまう事こそ、もっとも避けるべき選択です。
厳しい現実をしっかりと受け止める。その経験は、これから先の人生において別の形で活かすこともできます。それこそが『失われた時間・お金・労力』を無駄にしない道に繋がります。
また、事前に「公務員試験にチャレンジするのは●回まで」と期限を設定したり、「期限内に合格できなかったら、民間企業に就職する」という代替案を用意していなかったりというような、計画性や柔軟性の無さも改善していきましょう。「気付いた時には受験資格の上限年齢を過ぎてしまった…」という事態は回避しましょう。
プライドや見栄が邪魔してくる[こじらせてしまう理由2]
何年も公務員浪人を続けてしまうと、「今さら受験をやめたら周囲からどう思われるか」を気にするようになってしまう人もいます。本来、周りの人があなたをどう思おうと、あなた自身が自分の生き方や仕事に満足していれば何の問題もないはずです。
ところが、自分の現状に後ろめたさがある場合、「周囲の人に認められたい、褒められたい」という本音とは裏腹に、自己防衛のためにプライドばかりが高くなってしまうことがあります。人間関係に悪い影響が出れば、さらに孤立してしまうので注意が必要です。
民間企業を見下し始める[こじらせてしまう理由3]
公務員試験ばかりに熱中していると、「公務員は安定しているけれど、民間企業は不安定だから行きたくない」と考えたり、民間企業やそこに勤務する人々を見下すようになり、民間への就職を最初から拒んでしまう人もいます。
ところが、公務員試験に合格できない状態が続くと、既卒期間がどんどん長くなってしまいます。ようやく公務員を諦めて民間企業で働こうと思ったときには、既卒の期間がネックとなり、民間企業からも受け入れられない可能性があるのです。
仮に公務員試験に合格できなかったとしても、そこで人生が終わる訳ではありません。頭を切り替えて次のステージに進めむ決断ができるか否かも、仕事をしていく上で大切な能力です。
公務員浪人の末路から脱出する方法を紹介
公務員浪人の末路へと向かわず、脱却するにはどうしたらいいでしょうか?
浪人を一定の期間続けるにしても、民間企業への就職を目指すにしても、なるべく早いタイミングでの決断が重要になります。
公務員を”いつまで”目指すか明確にし、宣言する
公務員試験は種類別に受験の年齢制限が設けられています。
たとえば東京都職員の場合、「Ⅰ類B(一般方式)」では29歳を上限としています。地方公務員では、自治体によっては25歳を上限とする場合もあるようです。
公務員浪人をするのであれば、「この1年で試験に合格する」という強い意志を持つことが重要です。「今年落ちても、また来年受ければ良い」と考えているようでは適切な準備ができず、合格の見込みは薄れていくでしょう。
あらかじめ締め切りの時期を決め、家族や友人に宣言するのがおすすめです。自分を律して短期集中で合格するには、そのくらいの覚悟も必要です。
公務員試験に落ちた時の対処法をあらかじめ考える
試験に落ちた人は、浪人することを決める前に「公務員になって、何をしたいのか」を明確な言葉にしてみましょう。特に倍率の高い公務員試験を突破するには、はっきりした目的意識がなければ困難です。
公務員は、人々のために社会の土台を支える仕事です。ただ、そうした仕事は公務員に限らず、民間企業でも実現できる場合が多々あります。
公務員試験に落ちてしまった時は「再度、試験にチャレンジする道」と共に、「自分がやりたい仕事ができそうな民間企業を目指す道」も検討し、選択の幅を広げてみましょう。
民間企業への切り替えは、就職エージェントがおすすめ
公務員になる明確な理由がない方は、民間企業にも目を向けることをおすすめします。民間にはさまざまな業界や企業・職種があり、自分に適した仕事が見つかる可能性が高まります。
また、民間でも安定性や待遇が期待できる企業はあるので、「民間企業は不安定」といった先入観にとらわれず、視野を広くして仕事を探しましょう。
その際、就職エージェントを活用して、自分に合う企業を紹介してもらう方法も有効です。民間企業も視野に入れて、あなたの活躍のステージを見つけましょう。
まとめ
長く公務員浪人を続けた場合の末路や、公務員浪人をして試験に受かる人と受からない人の特徴について解説してきました。
この記事をきっかけに「自分は公務員になって何をしたいのか」を明確にし、人生やキャリアプランについて考えてもらえたら幸いです。公務員・会社員に関わらず、自分に適している仕事・やりがいを感じられる仕事をするのが一番です。
私たちジェイックは、既卒者の就活サポートを得意としています。「公務員浪人をするか就職するか迷っている」、「浪人して数年経つが、民間企業への就職に切り替えた方がいいか悩んでいる」という方は、ぜひジェイックへご相談ください。既卒ならではのお悩みを解消し、就職活動に必要な準備をすべてサポートします。
「公務員浪人の末路」に関するよくある質問
公務員浪人の末路へと向かわず、脱却するにはどうしたらいいでしょうか?浪人を一定の期間続けるにしても、民間企業への就職を目指すにしても、なるべく早いタイミングでの決断が重要になります。詳しくは本記事をご覧ください。
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