専門学校は高卒扱いになるの?それとも学位がつくの?就職活動に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、専修学校と専門学校の違いや、専門卒が学歴コンプレックスを持ちやすい理由と対処するためのポイントについて解説します。
学歴よりも個人のスキルが重要視される時代になりつつあります。自分の目的に合わせて、就職活動まで見据えた準備をしていきましょう。
この記事の目次
専門学校は高卒扱いになる?
専門学校の学歴における扱いは、その種類によって異なります。
ここでは、下記3点のポイントから解説します。
- 専門学校で取得できる学位
- 専修学校と専門学校の違い
- 学歴にカウントされない専門学校もある
それでは、順番に見ていきましょう。
専門学校の種類によって学位は異なる
専門学校の卒業により取得できるのは、学位ではなく「称号」です。学位との違いは以下の通りです。
- 学位:世界的に通用する証明
- 称号:日本国内でのみ通用する証明
日本国内で働くなら、大差はないかもしれません。
称号はさらに「専門士」と「高度専門士」の2種類に分かれており、違いは「専門学校での修業年数」です。
- 専門士:修業年数が2年以上
- 高度専門士:修業年数が4年以上
高度専門士は「大学卒業と同等の証明」となり、大学院への進学も可能です。
「専門学校卒は高卒と同じ」という見解もありますが、実際には専門士や高度専門士という称号があることから、まったく同一の扱いにはならない場合もあります。
専修学校と専門学校は異なる
用語は似ていますが、「専修学校」と「専門学校」は異なる種別です。
専修学校・専門学校は「職業や実生活に役立つ能力を育成する」という点は共通ですが、専門学校はより「特定の職業」を目指す人に向けたカリキュラムが組まれています。
専修学校は、以下3つの条件をすべて満たす学校です。
- 修業年数1年以上
- 年間授業数800時間以上
- 常時40名以上の学生が在籍している
専修学校は、そこから以下3つの課程に分かれています。
- 高等課程:中学校を卒業した人を対象とする
- 専門課程:高等学校を卒業した人を対象とする
- 一般課程:入学資格に制限がない
このうち、専門課程のカリキュラムを置く専修学校が「専門学校」と呼ばれます。つまり専門学校は、専修学校に含まれる存在です。
専門学校は学歴に入らない場合もある
前述の称号が得られるのは公的機関から設置を認められた「認可校」を卒業した場合のみです。一部の専門学校は「無認可校」であり、これらの専門学校を卒業しても「専門士」とはなりません。
また、専門学校卒を「学歴」と評価するかどうかは、業種や職種によって異なります。実際は専門卒でも、企業は「短大卒として扱う」など、対応は個々の企業の判断に委ねられることも多い状況です。
しかし、「専門学校で学んだ分野」と「就職先の業種・職種」が異なる場合、学歴として評価されないこともあるので注意しておきましょう。例えば、自動車の専門学校を卒業したが、IT企業に就職するケースなどがこれに当たります。結論としては、専門学校で習得したことが「仕事に活かせるかどうか」で判断されるようです。
専門卒はクズ?-見下されると感じる理由とは
専門卒の中には、周囲の人から「見下されている」と感じる人もいるようです。そう感じてしまう理由は、主に以下の3つと考えられます。
- 専門学校に学歴コンプレックスを感じるため
- 大卒と比較して雇用条件が悪いため
- 目的なく専門学校へ入学・卒業したため
それぞれの理由について、以下で詳しく解説していきます。
専門学校に学歴コンプレックスを感じるため
就職での扱いが大卒と異なる場合があるため、専門卒であることに劣等感を感じている人は一定数います。最終学歴の影響は就職後も続くので、事あるごとにコンプレックスを感じてしまうシーンもあるでしょう。
しかし、もっとも重要なのは「専門学校で学んだことを、仕事でどう活かしていくか」ではないでしょうか?
仮に見下されるようなことがあったとしても、習得したことを活かして仕事で実績を上げていれば、きちんと評価されるはずです。専門卒というコンプレックスが消えないとしたら、専門学校での学びや経験を活かし切れていないのかもしれません。
大卒と比較して雇用条件が悪いため
専門学校卒は、大卒と比較して雇用条件が劣る場合があります。
まず、一点目は応募条件です。求人によっては「大卒以上」という条件が設けられており、このような求人には、専門卒では応募ができません。
二点目は収入面です。給与も、大卒、短大・専門卒、高卒、中卒の順に高い傾向です。令和元年に厚生労働省が行った調査では、専門卒と大卒では、初任給に以下の差がありました。
初任給の比較 | 専門卒 | 大卒 |
---|---|---|
男性 | 184,700円 | 212,800円 |
女性 | 183,400円 | 206,900円 |
男女計 | 183,900円 | 210,200円 |
専門卒と大卒では、月収に約2万円の差があります。同じ仕事をしているのに給料が違う理由は「大卒の方が高度な知識やスキルを有している」と判断されるからです。このように専門卒と大卒では扱いが異なる点も「見下されている」と感じる要因でしょう。
参考「厚生労働省:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況1:学歴別にみた初任給」
目的なく専門学校へ入学・卒業したため
特に明確な目的を持たずに専門学校へ入った人は、学ぶ意義を感じられず、毎日をなんとなく過ごしてしまいがちです。
専門学校は、実務に直結する内容を深く学べる点が強みですが、在学中は別の分野に方向転換がしづらいことや、実習などで多忙になると自由な時間が少ない点はデメリットになるでしょう。そのため、目的を持っていない人は学校に行く意義を感じられなくなり、周りからどう評価されるかが気になってしまいます。
反対に、専門学校で学ぶ目的が明確であれば、人から多少ネガティブなことを言われても気にすることなく、自分の道をしっかりと歩めるでしょう。
「専門学校でも就職には関係ない」はホント?
専門学校を卒業した人の中でも、就職できる人とできない人に分かれます。両者の特徴をそれぞれ解説していきます。
専門学校卒で就職できない人の特徴
専門学校卒で就職できない人の特徴は、以下の通りです。
- 自己分析や企業分析が不十分
- 大卒と競合する求人に応募している
- 応募書類の書き方を理解していない
- 面接対策ができていない
- 就職先に求める理想が高い
- 視野が狭い
これらを一言でまとめると「準備不足の人」です。就職できるかどうかは、「学歴」ではなく「本人の就活方法」に左右される部分が大きいでしょう。
専門学校で就職できる人の特徴
一方、専門学校卒で就職できる人の特徴は、以下の通りです。
- 就職してからやりたいことが明確
- 自分のアピールポイントを理解し、説明できる
- 企業の求める人物像を理解している
- 自分で課題を設定し、前向きに行動している
- 目標に対して、自分の足りないものを補う努力をしている
- 書類対策や面接対策ができている
就職できるのは、上記のような準備ができている人です。自分の目的をしっかり持ち、それに合わせた準備や必要なスキル習得をしていけば、希望する分野の企業に就職できます。学歴にコンプレックスを感じる必要はありませんので、できることから行動に移していきましょう。
専門学校は高卒じゃないと入れない?
専門学校は「専門学校」と「高等専門学校」の2種類に分かれており、高卒や高卒認定がないと入学できないのが専門学校で、そうでないのが高等専門学校です。ここでは、専門学校を選ぶ際に必要なポイントを3つ解説します。
- 専門学校と高等専門学校の違い
- 自分の目的に合わせた学校選びが大切
- 個人のスキルが重要視される時代になりつつある
これらのポイントを押さえて、自分に最適な専門学校を選びましょう。
専門学校と高等専門学校は異なる
専門学校と高等専門学校との違いは「入学条件」で、それぞれ以下の条件があります。
- 専門学校:高卒や高卒認定が必要
- 高等専門学校:中卒後に入学できる
専門学校は、各都道府県知事の認可を受けた「専修学校専門課程」のことで、より具体的な職業に合わせたカリキュラムが組まれています。また、専門学校の課程で合計1,700時間以上の学習を終えると、大学の3年次へ編入もできます。
高等専門学校は、一般的に「高専」と呼ばれ、専門的な実験や実習を重視した技術者育成を行う教育機関です。
自分の目的に合わせて学校選びをする
学校選びにおいて大切なのは、「何を学ぶためにその学校に行くのか」という目的を明確にすることです。自分の学力や偏差値だけを基準に学校や学部を選んでしまうと、入学後の学習意欲や充実感が低下する恐れがあり、おすすめできません。
- 自分は何のために働くのか
- 仕事でどんな目標を達成したいのか
これらをよく考えたうえで、目的が実現できる専門学校を選びましょう。
個人のスキルが重要視される時代になりつつある
近年は、学歴よりも「個人のスキル」が重視される傾向になってきています。終身雇用が主流だった頃は、学歴が重視されていました。しかし現代では、雇用環境や働き方が多様化しています。「どの学校に行くか」よりも「どんなスキルを身につけるか」がより重要といえるでしょう。個人のスキルが重要視されつつあるからこそ、改めて進学する目的や自分のキャリア形成を真剣に考える必要があります。
専門卒でも学歴コンプレックスを感じないためのポイント
ここでは、専門学校卒の学歴にコンプレックスを感じている人向けに「今後のキャリア形成をどのように考えていけばいいか」について解説します。ポイントは以下の3点です。
- 長期目線でキャリアプランを考える
- 学歴が重視される求人には応募しない
- 就職/転職エージェントを活用してスキルアップする
それでは順に詳しく見ていきましょう。
長期目線でキャリアプランを考える
まず、キャリアプランは長期の視点から考えることが大切です。長期的なキャリアプランを持つメリットは、以下の通りです。
- 自分のすべきことが明確になる
- 仕事にやりがいを感じられる
- 自分に適した転職タイミングを見極められる
明確なキャリアプランがあると、自分に合う求人も見極められます。
例えば「給与が高いこと」のみを優先した場合、給与は高額でもスキルが身につかない仕事に就いてしまえば、将来的な転職の選択肢が狭まる結果を招きます。より良い仕事への転職ができなければ、将来の年収アップの可能性も低下するため、長期的に見たら不利になると考えられます。このように長期的な展望からキャリアプランを考え、タイミングごとに適した就職先を選ぶことが重要です。
また企業側も採用のミスマッチを防ぐため、面接ではキャリアプランについて質問する場合があります。
- 価値観(何を大切にして働くか)
- 理想像(どうなりたいか)
- スキル(どんなスキルを身につけたいか)
これらは面接でもよく聞かれる要素なので、ぜひ一度考えてみてください。
学歴不問の優良企業を探す
専門卒という学歴にコンプレックスを持っている人は、「学歴不問の優良企業を探す」ことも1つの方法です。学歴不問というのは「採用において、学歴を一切問わない」という意味であり、学歴コンプレックスがある人にとっては堂々と自己アピールができる求人ということになります。
「優良企業」とあえて強調したのは、学歴不問の求人の中にはブラック企業が潜んでいることもあるためです。人手不足で「とにかく人材を確保したい」という企業が「学歴不問」と求人を出している場合もあります。成長分野のため人材確保が追いつかないのか、それともブラックな職場環境で人材が定着しないのか、採用の背景をよく調べてみましょう。
また、以下の職種では、学歴が問われないことが多い傾向があります。
- 営業職
- コールセンター
- トラック運転手
- 工場の作業員
- 介護スタッフ
- 販売職
やりたい仕事が特に決まっていない人は、職種選びの参考にしてください。
就職/転職エージェントを活用してスキルアップする
先ほど紹介した長期的なキャリアプランや企業選びについて、「自分一人で考えるのは大変」と感じる人もいるでしょう。そんな人は、就職/転職エージェントを活用してください。
- 自己分析や企業分析が上手くできない
- やりたい仕事が見つからない
- どのようにスキルアップしたらいいか分からない
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まとめ
採用時における専門学校卒の扱い、就職方法やスキルアップのコツを解説しました。
一番大切なことは、「目的を持って就職先を選ぶこと」です。自己分析を行い、長期的なキャリアプランを考えた上で、それに合った就職先を選びましょう。
一人で考えるのが難しい方は、就職/転職エージェントを活用してみましょう。私たちジェイックも無料でエージェント・サービスを行っていますので、ぜひお役立てください。
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- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい