ハローワークがキャリアコンサルティングを実施していることを知っていますか?
あまり知られていないのですが、キャリアコンサルティングはハローワークで受けられるサービスのひとつです。
こちらの記事で詳しく解説しますので、気になった方はぜひ読んでみてください。
- ハローワークでも、キャリアコンサルティングを実施している
- キャリアコンサルティングとは、仕事の「選択」についてアドバイスすること
- 相談者の不安や疑問を解消し、納得して仕事選びを進めていけるようにサポートする
ハローワークとは?
ハローワークとは、簡単に言うと「仕事の相談窓口」のことです。
厚生労働省が運営している機関の一つで、北海道から沖縄まで、全国544の地域に設置されています(2021年11月時点)。
憲法27条1項では「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」と定められています。「労働の権利」には下記の2つがあります。
- 1.労働者が自己の能力と特性を活かした労働の機会を得られるように労働市場の体制を整える義務
- 2.そのような労働の機会を得られない労働者に対し生活を保障する義務
こうした「労働の権利」を実現するため、ハローワークでは就職困難者と人手不足の中小零細企業などを結びつける役割を担っています。
また、ハローワークには、下記のように多くの種類があります。
- 公共職業安定所:いわゆる一般的なハローワーク
- ハローワークプラザ:ハローワークの出張所のような存在
- 新卒応援ハローワーク:大卒や高卒で初めて就職する人向け(全国56ヶ所)
- わかものハローワーク:35歳未満の就職支援窓口(全国25ヶ所)
- わかもの支援コーナー:わかものハローワークがないエリアの相談窓口(全国195ヶ所)
- ジョブカフェ:若年者向けの就職相談窓口(全国46ヶ所)
- 就職氷河期世代専門窓口:35~55歳未満向けの就職支援窓口(全国92ヶ所)
- マザーズハローワーク:子育てをしながら働きたい女性向け(全国21ヶ所)
- マザーズコーナー:マザーズハローワークがないエリアの相談窓口(全国183ヶ所)
- ふるさとハローワーク:地方都市の出張所のような存在(全国137ヶ所)
- 地方就職支援コーナー:Uターン・Iターン・Jターン向けの就職支援窓口
- 福祉人材コーナー:福祉職種への就職支援窓口
- キャリアアップハローワーク:非正規雇用への就職支援窓口
- 生活保護受給者の就職支援:生活保護受給者の再就職サポート
- 農林漁業就職支援コーナー:農林漁業向けの就職支援窓口
- シニア応援コーナー:65歳以上の就職支援窓口(全国300ヶ所)
- ハローワーク障害者窓口:障害をお持ちの方向けの就職支援窓口
- 外国人雇用サービスセンター:外国人留学生向けの就職支援窓口
こうしたハローワークの中には、平日の夜や土曜日に相談できるところもあります。
さて、ハローワークの役割は次の4つです。
- 仕事の紹介
- 雇用保険の手続き
- 職業訓練の紹介
- 雇用対策
仕事の紹介に関しては、求職者への企業の紹介がメインの業務です。たとえば令和2年の実績を見ると、全国から790万件を超える求人が集まり、およそ110万人が就職を実現させています。
また「キャリアコンサルティング」と呼ばれる業務も大切な役割の一つです。キャリアコンサルティングでは、相談者が納得のいくキャリアを歩めるように、プロの視点から仕事に関わるさまざまなアドバイスを行います。
ハローワークを通じて就職する流れは、下記のとおりです。
- 1.ハローワークで求職申し込みを行う(ハローワークのパソコンorインターネットから申込可能)
- 2.ハローワークの求人を調べる
- 3.応募したい求人が決まったらハローワークの職員に相談する
- 4.ハローワークの紹介状をもらう
- 5.面接を受ける
- 6.内定をもらい承諾する
- 7.ハローワークに報告する
求職申し込みをしておけば、インターネット上からハローワークの求人を調べることができます。
雇用保険は、主に失業した人を支援します。具体的には「失業手当」の手続きや、手当の取得条件に当てはまっているかどうかのチェックなど、事務的な業務が中心です。
また、ハローワークでは職業訓練の紹介も行っており、具体的には下記のような職業訓練があります。
- 機械加工
- 自動車整備
- 建築
- 造園
- 電気工事
- 塗装
- 印刷
- ファッション
- 介護
- 医療・調剤事務
- 総務・経理事務
- Java
- Webデザイン
- 旅行
- 貿易
- 不動産
- パソコンスキル
- 介護
- 営業
- 販売
- 事務など
ハローワークの職業訓練は、別名「ハロートレーニング」とも呼ばれています。
参考:厚生労働省 東京労働局「ハロートレーニング(職業訓練)について」
職業訓練には2種類あり、下記のように区分されています。
- 離職者訓練:雇用保険の受給資格者向け
- 求職者支援訓練:雇用保険の受給資格がない人向け
職業訓練は基本的に無料で受講できます。
また、条件がそろえば月額10万円の職業訓練受講手当を受給することも可能です。
月額10万円の職業訓練受講手当を受給する条件は下記のとおりです。
- 本人の収入が月8万円以下
- 世帯の収入が月25万円以下
- 世帯の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- すべての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に給付金を受給して職業訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に不正行為で給付金を受給したことがない
また、雇用対策とは、主に会社に対する取組みのことです。
たとえば障害者や高齢者の採用を企業に働きかけたり、企業と一緒に「仕事体験会」を実施したりと、地域全体で雇用が活性化するような施策を考え、実行しています。
企業がハローワークを利用することで、下記のようなメリットがあります。
- 求人情報が全国に公開され、採用のチャンスが広がる
- 企業のPR活動をしてくれる
- 採用活動のアドバイスをくれる
- ハローワーク経由の人材採用で助成金を受給できる場合がある
ハローワークは、働きたい人にとって、そして企業にとっても重要な役割があります。
キャリアコンサルティングはハローワークで実施している
先ほども少し紹介しましたが、ハローワークでは「キャリアコンサルティング」を実施しています。基本的には就職の相談に乗ることがメインですが、それ以外にもさまざまなサポートを行っています。
では、具体的な役割を見ていきましょう。
キャリアコンサルティングとは
そもそもキャリアコンサルティングとは、仕事の「選択」についてアドバイスすることを指します。たとえば多くの人は、次のようなことに迷いがちです。
- そもそも、どの仕事を選べばいいんだろう?
- 自分に向いている仕事って何かな?
- 長く働ける仕事に就きたいけど、探し方が分からない……
こうした不安や疑問に応え、相談者が納得して仕事選びを進めていけるようにサポートするのがキャリアコンサルティングの役割です。
キャリアコンサルティングは相談者を特定の職業や求人に誘導するのではなく、相談者から下記のような項目を聞くところから始まります。
- どういう人生にしていきたいのか
- どんな仕事をやりたいのか
- どんな仕事をやりたくないのか
- 得意なことは何か
- 苦手なことは何か
- 今までどんな仕事をしてきたのか
こうした質問で相談者の考えを整理して、理想に近い職業を紹介していきます。キャリアコンサルティングを受けることで、下記のようなメリットがあります。
- 客観的な意見を聞ける
- 自分が知らなかった職業に出会える
- 自分が気づかなかったチャンスに気づける
- 自分の強みや向いている仕事に気づける
実際にキャリアコンサルティングをする人は「キャリアアドバイザー」または「キャリアコンサルタント」と呼ばれます。なおキャリアコンサルタントは国家資格の一つで、“キャリアの専門家”として注目を集めています。
ハローワークは就職支援とキャリアコンサルティングをしている
ハローワークでは、求人を紹介するだけでなく、内定に近づくための就職支援、そして納得のいく会社・仕事を選ぶためのキャリアコンサルティングも無料で行っています。
就職支援では、主に次のサポートを実施しています。
- 履歴書や職務経歴書の書き方のレクチャー
- ビジネスマナーが身に付くセミナーの開催
- 面接の受け答えについてのアドバイス
キャリアコンサルティングでは、じっくりと相談者の話を聴き、その人の興味・関心や得意なこと、理想の生き方などを把握して、仕事の選択に役立つ情報を伝えています。その他、希望する仕事に就くために伸ばしておくべきスキルや、有効な資格取得のアドバイスもします。これからの就職だけでなく、今の仕事に役立つ知識やノウハウを伝えることも大切な役割です。
キャリアコンサルティングはハローワークのやりがいの1つ
キャリアコンサルティングは、ハローワークの仕事の中でも「やりがい」が大きい仕事と言えるでしょう。
100人いれば100通りの仕事の悩みがあり、特にハローワークにはさまざまな悩みを持った人が訪れます。就活に失敗しすぐに働きたいと考えている20代から、長年働いていた会社をリストラされてしまった50代、外国人留学生や、子育てと両立できる仕事を探しているシングルマザーまで、そのバックグラウンドは多種多様です。
相談者それぞれに悩みが異なり、希望する仕事、そして目指す生き方が違う中で“最適解”となる道を一緒に探していくのは根気のいる作業ですし、責任も伴います。しかし、人生における大きな選択の一助になることは、キャリアコンサルティングを職業にするからこそ体感できることです。さらに、自分のアドバイスをもとに納得のいく選択をしてくれたときには、その喜びもひとしおでしょう。
また現在は副業や転職も当たり前になり、キャリアの選択肢が増えていますが、その一方で「これからどういう人生を歩めばいいんだろう?」と迷ってしまう人も少なくありません。こうした悩みに専門的な視点から助言できるプロの存在が強く求められています。色々な悩みを抱えた人が訪れるハローワークという場所において、キャリアのプロを求める声が特に大きく、熱い期待が寄せられているのです。
まとめ
ハローワークが、就職・転職サポートの一環として実施するキャリアコンサルティングについて紹介してきました。
キャリアコンサルティングでは、仕事の「選択」についてアドバイスをすることが一般的です。就職・転職・昇進・異動など、仕事には「選択」がつきものですが、客観的な視点からサポートするキャリアコンサルティングには、大きな期待が寄せられています。
なかでも、多くの人が訪れるハローワークで働くキャリアアドバイザー、そして国家資格のキャリアコンサルタント保有者にかかる期待は大きく、「一人でも多くの人のキャリアを支援したい」と考えている人にとっては、“天職”と呼べる仕事といえるでしょう。
こんな方におすすめ!
- 自分に合った仕事が見つかるか不安
- ハローワークのサービスに物足りなさを感じている
- ハローワークしか利用したことがない
- 自分に合った仕事が見つかるか不安
- ハローワークのサービスに物足りなさを感じている
- ハローワークしか利用したことがない