住宅営業の仕事は「ノルマがきつい」「泥臭い営業が大変」などと言われる一方、「実力次第で年収1,000万円以上を目指せる」「人と深くかかわる営業ができる」などの理由で人気の職種です。
しかし、住宅営業の仕事内容がどのようなものか、把握できていない人も多くいることも事実です。自分が家を建てた経験がある人でも、営業の方の仕事の全貌は見えていません。
この記事では住宅営業の仕事内容や年収の目安、メリット・デメリット、向く人・向かない人などについて解説します。
この記事の目次
住宅営業の仕事内容・流れ
住宅営業とは、顧客の要望や予算、価値観、ライフスタイルなどに合わせて、理想的な住宅を提案して契約を結ぶ仕事です。顧客のほとんどは一般の個人になります。
契約に至るまでの住宅営業の仕事は、以下の3ステップで進みます。
- STEP1.チラシやWebの広告などに反応した顧客に対応
- STEP2.顧客の要望をヒアリングして商談化
- STEP3.工法や間取り、内装・外装など具体的な提案をして契約を結ぶ
それぞれ解説します。
STEP1.反響への対応
住宅営業の最初の仕事は、マーケティング部や広報部などが実施したチラシ配布やWeb広告、テレビCMなどに反応した顧客に対応することです。
具体的には問い合わせの電話に応対したり、資料請求をした人の自宅に訪問したりします。近年ではコロナ禍の影響や通信技術の進歩もあり、オンライン接客で対応するケースも増えてきました。
もちろん、住宅展示場や戸建て住宅に直接来る顧客もいるため、現地に待機して対応にあたる住宅営業の人もいます。また、建設中の住宅の周辺を中心に、新規顧客獲得のための訪問営業(飛び込み営業)をしている企業もあります。
いずれにしても、このプロセスでの住宅営業ポイントは「自社の住宅に興味を持ってもらう」ことです。
STEP2.ヒアリング
次の営業訪問の仕事は家を、見込み度が高い顧客を選んでコンタクトを取り、顧客の要望をヒアリングすることです。後ほど解説するように、住宅営業にはノルマがあるため、なるべく成果が上がりそうな顧客を見極めて商談につなげることが重要です。
ヒアリングの場所は、顧客の自宅であることもあれば、住宅展示場や自社内ですることもあります。また、電話やメール、LINEなどを通じて連絡を取り合うこともあります。
住宅営業の仕事は高額の契約になるため、商談プロセスが長く、複雑になるのが特徴です。また、ヒアリングの内容も住宅に関してだけでなく、ライフスタイルや価値観なども含めて幅広くなるため、住宅営業にはコミュニケーション力が求められます。
このステップでの住宅営業ポイントは、顧客としっかりとした信頼関係を築くことです。顧客は競合他社にもコンタクトを取っていることが多いため、「この営業なら任せられる」と思ってもらうことが重要です。
STEP3.住宅の提案
顧客から家づくりや住宅の購入、リフォームなどを具体的に検討してもらえるようになった後の住宅営業の仕事は、自社の専門スタッフと顧客との橋渡し役です。
具体的には、顧客から聞き取った要望を設計担当者に伝えたり、施工担当者から技術的な内容を聞き取ってわかりやすく顧客に説明したりします。
したがって、このステップでの住宅営業ポイントは、顧客の家づくりや住宅購入などをサポートするパートナー役として活動し、最終的に契約を結ぶことです。一般的には週1回程度、顧客と直接会って商談を詰めていき、契約を取れるように努力します。
住宅営業の商品の種類
住宅営業が扱う商品は、大きく分けると「注文住宅」「建売住宅」「住宅リフォーム」の3種類です。ここでは各商品の概要を、顧客の特徴や住宅営業に求められる仕事内容とともに解説します。
種類1.注文住宅
注文住宅とは、顧客の家づくりの要望に合わせて工法や間取り、内装、外装などをオーダーメードで進めていく方式です。注文住宅にはすべての部分を自由に注文できるフルオーダー注文住宅と、ハウスメーカーが用意した選択肢のなかから選ぶセミオーダー注文住宅があります。
したがって、注文住宅の顧客は「こだわりのデザインや間取りを追求したい」「細かなところまでライフスタイルに合わせたい」など、自分の要望に合わせて家づくりをカスタマイズしたい人が中心です。
そのため、住宅営業の仕事は、顧客からの問い合わせに住宅のプロとして丁寧に詳しく回答することです。予算内で可能な間取りや設備を提案したり、顧客が具体的なイメージを持っていない場合に参考プランを提案したりするなど、柔軟な対応が求められます。
種類2.建売住宅
建売住宅とは、すでに完成している住宅を土地と一緒に販売するタイプです。土地の仕入れから建築、販売まで行う総合不動産会社の関連会社が取り扱うことが一般的です。
かつての建売住宅はリーズナブルな価格をアピールすることが一般的でしたが、現在ではデザイン性に優れ、設備が充実している高級路線の建売住宅も増えてきました。いずれの場合も、すぐに家を購入したい人が顧客になります。
建売住宅の住宅営業に求められるのは、自社のコンセプトを効果的に顧客にアピールして購入してもらうことです。注文住宅と違ってすでに完成しているため、営業アピールの難易度は比較的低いとされています。
建売住宅の住宅営業には期間内で確実に売り切ることも要求されます。特に「パワービルダー」と呼ばれる低価格帯の住宅を中心に販売する企業では、販売実績を上げやすいためにタイトなノルマを課せられる傾向があります。逆に高級路線の建売住宅では、顧客に親身に寄り添う粘り強い営業が必要です。
種類3.住宅リフォーム
住宅リフォームとは、劣化や故障した部分を補修したり、設備を交換したりすることを言います。似た用語に「リノベーション」がありますが、これは不動産価値を上げるために設備の性能を高めたり、デザインを今風に変えたりすることを言い、リフォームと区別されます。
住宅リフォームの顧客の特徴は、自ら工務店やリフォーム業者を選んで連絡してくる割合が多いことです。多くの場合は複数に連絡を取っているため、競合他社に負けない価格を設定したり、親身に相談に乗って信頼関係を築いたりすることが大切です。
また、企業によっても違いますが、住宅リフォームの住宅営業は新規顧客開拓のための外回りが多い場合がめずらしくありません。老朽化が進んでいそうな住宅を見つけて訪問営業して、リフォームを提案して回るわけです。したがって、住宅営業には人当たりのよさや、顧客の要望をくみ取れる住宅の知識や経験が大切になります。
住宅営業は稼げる?年収は?
住宅営業は実力次第で高収入を目指せると言われますが、平均年収はどれくらいなのでしょうか。また、年収1,000万円以上の住宅営業はどのくらいの割合でいるのでしょうか。
平均年収は約397万円
求人ボックス給料ナビによると、住宅営業の平均年収は約397万円(求人ボックスより)、月給に換算すると約33万円です。この平均年収は、国税庁の調査による日本全体の平均年収461万円を下回っているため、残念ながら高収入とは言えません。
ただし、住宅営業の年収は、321万〜964万円と他の職種に比べて幅が広い傾向があることは見逃せません。つまり、企業から重用されるようになれば、高収入が見込めます。
年収に差が出やすい理由は、住宅営業に特有のインセンティブ(成果報酬)制度です。高額の住宅を販売できた場合は、給与の数カ月分が支給されるケースもめずらしくありません。したがって、優秀な住宅営業員ならば、年収1,000万円超えも可能です。
とはいえ、入社した企業によって、ベースになる基本給に差があることも事実です。目安としては大手ハウスメーカーの平均年収が800万円程度なのに対し、中堅以下の企業では600万円程度となっているからです。そのため、高収入を求めるなら大手ハウスメーカーへの就職、転職を目指すのが近道と言えるでしょう。
年収1,000万の人は決して多くはない
実際のところ、住宅営業で年収1,000万円を超えている人はどれぐらいの割合いるのでしょうか。残念ながら信頼できるデータはありません。
一定の目安になるのは企業規模と役職です。一般的に大手のハウスメーカーの部長クラス、住宅展示場など所長クラスの住宅営業なら、年収1,000万円を超えるでしょう。
ただし、住宅営業という職種は成果主義の傾向が強いことが特徴ですので、相応の結果を出さなければ昇進は難しいと言えます。
住宅営業がきついと言われる理由
住宅営業は厳しいノルマや、泥臭い営業などで大変だと言われます。住宅営業を選んで後悔しないためにも、ネガティブな面も知っておきましょう。ただし、住宅営業に向く人にとっては、むしろモチベーションを高められる要素として考えられる場合もあります。
理由1.営業ノルマがある
住宅営業のノルマは他の営業職と比べても厳しいと言われます。具体的には、大手のハウスメーカーは月1棟のノルマを課していることが一般的です。ややノルマが緩いハウスメーカーでも3カ月で2棟が目安になるでしょう。
仮にノルマが達成できないと、場合によっては上司から強く叱られたり、会議に参加することを許されずに外回りをさせられたりと圧力が強まっていきます。プレッシャーを苦にして離職する人は多く、3年以内に半分以上の住宅営業が辞めていく企業もめずらしくありません。
このように営業ノルマが厳しいのは、住宅営業の成果が企業の業績に大きく影響を与えるからです。成果を出したときの歩合制の報酬が高い反面、ノルマの管理は厳しいと覚悟しておいたほうがよいでしょう。
理由2.目標必達文化が強い
住宅営業は目標必達の文化が根強くあり、未達成の場合は目に見える形で改善を要求されます。例えば、長時間の残業、休日出社、帰宅してから顧客に営業電話をかけるなどを上司から要求されることが少なくありません。
住宅営業に特有なのは、たとえ現実的な目標でなくても、最大限の努力を求められることです。実際のところ、例えば月1棟のノルマは達成できないケースも多く、半年間くらい契約を取れないこともめずらしくありません。
しかし、こうした現状を十分理解しているにもかかわらず目標必達を命ぜられることもあります。
理由3.泥臭く営業する必要がある
住宅営業は扱う商品が高額ですので、購入や契約に至るまでのプロセスが長いことが特徴です。そのため営業テクニックや話術を駆使して短時間で商品を購入してもらったり、1回のプレゼンテーションで契約を獲得したりできません。住宅営業に地道で泥臭い営業が必要と言われるのはこのためです。
実際、住宅営業で成果を上げられる人に共通する特徴は「人たらし」だと言われています。例えば、友だち付き合いのような関係を築くために顧客と飲みに行ったり、自宅に帰ってからもメールやLINEで気軽な相談に乗ったりと、距離を縮める努力が成果を大きく左右する部分があるからです。
顧客に親身にかかわれることは魅力でもありますが、仕事以外の付き合いをなるべくしたくない人にとってはデメリットになるでしょう。
住宅営業のメリット
住宅営業は個人相手としては最も高額の商品を扱っています。このために成果報酬が大きく、顧客と深くかかわれる仕事のやりがいもあります。
メリット1.活躍できれば稼げる
住宅営業の給料は、通常、基本給にインセンティブ(成果報酬)が歩合制で加わる仕組みになっています。つまり、営業で成果を出すほど収入はアップするわけです。
したがって、住宅営業の分野は実力主義、成果主義の傾向が強い職種と言えます。実際、未経験でも採用してもらえる求人は多くあり、学歴や経歴などもあまり考慮されません。実力次第で高収入を目指せる点に大きな魅力を感じる人は多いでしょう。
例えば、ある大手ハウスメーカーでは、ノルマ達成後に1棟家を販売するごとに80万円程度のインセンティブが付いていると推測されます。平均的なボーナスよりも大きな額になるため、仕事のモチベーションも高まるのではないでしょうか。
メリット2.人生の大きな買い物を支えられる
家は一生に一度の買い物と言われます。注文住宅や建売住宅の住宅営業なら、顧客の人生での大きな決断をサポートして、その後の快適な暮らしや家族の幸せを応援できるのが魅力です。
実際、住宅営業のやりがいとして、家の引き渡し日に顧客の笑顔を見ることを挙げる人は多くいます。念願のマイホームを手にした幸せな姿を前にすると、住宅営業の仕事をしていて本当によかったと思うそうです。
加えて、自分が携わった仕事が家という形になって数十年残ることも、住宅営業ならではの魅力と言えるでしょう。施工後もアフターフォローで住宅営業がかかわれるため、顧客との末永い付き合いができることに喜びを感じる人もいます。
メリット3.人と話すのが好きな人は楽しい
住宅営業の仕事は、営業職のなかでもコミュニケーションの機会が多いことが特徴です。そのため、人と話すことが好きな人にとっては楽しい場面が増えるでしょう。
例えば、顧客からの要望をヒアリングする場合は、自宅や住宅展示場などで、じっくりと話を聞きます。また、顧客と自社の橋渡し役になる商談では、各部署の担当者と打ち合わせするため、幅広い人脈を築けるでしょう。
実は、他の営業職では、受発注業務や見積書作成などの事務作業ばかりでコミュニケーションが少ないケースは少なくありません。この点、住宅営業では、顧客に積極的にアプローチしなければ仕事にならないため、コミュニケーションの機会が少なく感じることはないでしょう。
住宅営業のデメリット
住宅営業の仕事では、実力を正当に評価してもらいやすい反面、成果が出なければ評価や収入が下がってしまいます。また、人と触れ合える場面が多い反面、不愉快な思いをする機会も増えるかもしれません。
このようにメリットには裏の面もあることを知っておきましょう。
デメリット1.高い目標数字を追わなくてはならない
住宅営業では、成果を出せれば高額な収入が得られて昇進も期待できる反面、ノルマが厳しい傾向があるのは確かです。それも役職が上がるほど、高い目標を課せられる傾向があります。目標を達成することは簡単ではなく、スキルが上がっても常にプレッシャーと隣り合わせになる傾向があります。
もちろん目標があることにやりがいを感じる人もいますが、結果よりも顧客対応の質を優先したい人や、自分のペースで仕事を進めたいような人はつらいと感じる場合もあるでしょう。
デメリット2.しつこいと言われることもある
住宅営業の仕事では、顧客から「しつこい」と文句を言われたり、約束した時間に電話したのに迷惑だと怒られたりするなど、不条理な場面も少なくありません。こうした傾向の要因は、住宅営業は契約を取れる可能性が低く、ダメ元で何度もアプローチをかけるからです。
特に訪問営業(飛び込み営業)がメインの住宅営業の仕事では、顧客から不快感を示される場面が多くなるでしょう。紳士的な営業を心がけても、最初から警戒の目で見られて門前払いされるケースも少なくありません。こうしたことが続くと精神的にまいってしまう人もいます。
デメリット3.結果が出ないと稼ぎづらい
住宅営業の給与は基本給を少なめにして、成果報酬の歩合分を多くする傾向があります。つまり、結果を出さないと稼ぎづらいシステムになっています。
そのため何も成果を出せなかった場合、月の手取りが20万円程度になってしまうケースもめずらしくありません。もし求人情報の基本給を確認して生活できない水準なら、経済的にも精神的にもかなりのプレッシャーになるため、慎重に検討したほうがよいでしょう。
さらに結果が出るまでの期間が比較的長いのも住宅営業の特徴です。数カ月から半年ほど1件の契約も取れないこともあり、この期間に給与が大幅に下がってしまうリスクがあります。特に自分なりのノウハウを確立するまでは、収入を安定させにくいことがデメリットです。
住宅営業に向いている人
住宅営業のメリットとデメリットの多くは表裏一体の関係があるため、最終的には自分の性格に合っているかどうかや、ポジティブに取り組めるかどうかが大切です。
そこでここからは、住宅営業への向き、不向きという観点から仕事を検討してみましょう。まずは住宅営業に向いている人の特徴を解説します。
向いている人1.目標数字を追うのが得意な人
販売棟数や売上金額など、明確な数値で目標を達成することに仕事のやりがいを感じる人は住宅営業に向いています。目標数値、ノルマは通常、個人レベルで設定されるため、チーム作業より個人作業が好きな人にとっては、モチベーションを持ちやすいでしょう。
特に、人と競争することでやる気が出る人に住宅営業は向きます。住宅営業の職場では営業成績表が貼り出されているなど、競争意識を持つように人材育成しているケースが多いからです。
目標を達成すれば、給与アップや昇進などのように、目に見える形でリターンがあるのも住宅営業の仕事の特徴です。リターンによってモチベーションがさらに高まり、一層高い目標に取り組める好循環を期待できるでしょう。
向いている人2.泥臭い営業が気にならない人
住宅営業は体育会系の泥臭い営業だと表現されることがあります。これは顧客に誠意を持って対応して、人として信用されなければならない部分が多いからです。また、ある程度の押しの強さと、迷惑がられてもめげない精神的なタフさも必要だからです。
実際、採用の際には体育会系の経歴がある人が好まれる傾向があります。このような人材は縦社会や密な人間関係に慣れており、厳しい鍛錬に耐えられるタフさも備えていると判断されやすいからです。
営業自体もそうですが、上司や同僚との人間関係も同じように泥臭い面があります。具体的には「上司から飲み会に誘われたら必ず行く」「仕事や人生について膝を突き合わせて語り合う」などの文化です。もちろん職場によって状況は違いますが、こうした伝統的な面を苦に感じない人は住宅営業に向いています。
向いている人3.人生の分岐点に関わりたい人
住宅のプロとして顧客の人生の分岐点をサポートしたい人は、住宅営業に向いています。顧客から「あの営業さんは気持ちのよい人だったな」「今の快適な住居があるのは営業さんのおかげだ」などと感謝され覚えていてもらえる営業職は、他になかなかありません。
このような実績がきっかけとなり、他の顧客を紹介してくれるケースもあります。人から人に縁が広がり、さらによい仕事ができるのは、住宅営業の魅力の1つです。
商品を販売したらそこで終わりではなく、長く顧客とかかわっていきたい人に住宅営業の仕事は向いています。
住宅営業に向いていない人
住宅営業はノルマのプレッシャーが強く、人間関係が密な傾向があります。このような仕事、職場に向かないのは、どのような人でしょうか。
向いていない人1.プレッシャーのある環境が苦手な人
住宅営業を辞めた人たちからよく聞かれるのは、成果が出ていないときの上司や先輩の圧力が強いという意見です。こうしたプレッシャーに弱い性格なら、住宅営業にはあまり向きません。
例えば会議やミーティングなどの人前で叱られたり、「契約を取るまでは会社に戻ってくるな」などと強く言われたりするケースもあるようです。人に悪く言われると精神的にまいってしまう人やプレッシャーがあると萎縮してしまう人は、実力を発揮しにくくなってしまうでしょう。
向いていない人2.結果を出す自信がない人
住宅営業は自信過剰なくらいのほうが成功しやすいとされています。これは、半年以上契約できないことも少なくない住宅営業の特徴からきているのでしょう。結果を出せるとポジティブに考えられない人は、あまり住宅営業に向きません。
ただ、人間誰しも自信がなくなってしまうことはありますし、未経験で住宅営業にチャレンジする場合などでは、初めは不安なのが当たり前ですので、過度に心配しすぎるのもよくありません。宅地建物取引士(宅建)や住宅ローンアドバイザー、インテリアコーディネーターなど各種の資格を取って自信を付けるなどの方法もあります。
向いていない人3.仕事ではドライな関係を望む人
メールや電話などで要領よく、効率的に仕事を済ませたい人にとっては、住宅営業の仕事はストレスがたまる場面が多いでしょう。高額な契約を交わす住宅営業では、対面で顧客に応対するのが基本だからです。
特に注文住宅や建売住宅の営業の際は、相手の家づくりのこだわりを理解したり、ライフスタイルや価値観などを含めて提案したりするなど、パートナー役として親身にかかわる姿勢がないと信頼関係を築けません。
さらに、仕事時間とプライベートの境界線があいまいになるのが住宅営業の特徴です。顧客の都合に合わせて土日や夜間などに応対することが多いため、仕事とプライベートをすっきり切り替えたい人にとっては負担に感じられるでしょう。
住宅営業のキャリア
住宅営業の仕事は実力主義、成果主義であることから、経験を積めば、さまざまなキャリアアップの選択肢があります。
キャリア1.マネージャー・管理職に昇進
最も一般的なキャリアの積み方は、営業マネージャーや営業部長などの管理職に昇進することです。具体的には、入社から5年程度で主任や係長になり、10年程度で課長、次長、部長などの管理職になるのが順調な昇進コースです。
主任や係長は自分も住宅営業として成果を出しつつ、少人数のチームのリーダー役として活動します。課長以上になると、事業所や企業の経営方針に従って基本計画を立案し、目標達成のために部下を統率します。
キャリア2.インセンティブのある企業で営業
管理職に昇進した人のなかには、条件のよい企業に転職して住宅営業のプレーヤーとして活躍する人もいます。
その理由は、管理職となると営業で成果を出してインセンティブを得ることが難しくなるからです。また、残業時間が付かない裁量制労働になるため、長時間労働が多い住宅営業では、「割が合わない」と感じる管理職も少なくありません。
営業プレーヤー継続の道が向くのは、高収入を目指したい人です。得られるインセンティブによっては、年収1,000万円以上を目指すことも可能です。また、直接顧客とかかわる仕事が好きな人、得意な人も、よりよい条件を求めて同業他社への転職を検討できます。
キャリア3.営業スキルを活かして他業界へ
住宅営業で鍛えたコミュニケーション能力や提案力などを活かして、他業界に転職する人もいます。この場合のキャリアアップには、主に異業種の営業をするか、マネジメント層として採用される2つの方法があります。
営業職として好条件で採用されるためには、実績をアピールしなければなりません。契約件数や売上など具体的な成果を説明できるとよいでしょう。
他業界のマネジメント層に迎えられるためには、課長以上の役職を得ていることが望ましいところです。部下の指導や業務管理などは他業界でも応用できる部分が多いため、即戦力として採用してもらえる可能性が高まります。
住宅営業に転職する際のポイント
住宅営業では未経験者歓迎の求人が多く、誰でも採用されるチャンスはあります。しかし、採用の可能性を高めるためには、実績や目標達成意識、ストレス耐性などを上手にアピールすることも必要です。
ポイント1.経験者は実績をアピールする
営業経験者なら、経験と実績をアピールしましょう。また、営業職でなくてもアパレル業界や飲食業など個人向けの接客の仕事、アルバイトの経験があれば、評価してもらえます。
営業経験者なら契約や売り上げの実績を具体的に説明できるように準備しておきましょう。面接には住宅営業の管理者層も参加するケースが多いため、信頼感を持ってもらえるように説明の仕方も練習しておきます。
ポイント2.目標達成意識の強さをアピールする
住宅営業の職場は目標必達の文化があるため、やる気や熱意だけでなく、どのように成果を出すつもりなのかアピールできるように準備しましょう。
目標達成意識の強さをアピールせずに、「人と話すのが好き」「人生の大きな買い物にかかわれる」など、あいまいな内容ばかり話すと、成果を出せない人だと思われかねません。
例えば、今までの仕事やアルバイトのなかで、細かな数値目標を立てて行動してきたことなどを、なるべく具体例を挙げながら説明します。学生や既卒の場合は、部活動やサークルで目標から逆算して練習メニューを組んだなどの経験を話すのもよいでしょう。
住宅営業のために資格習得をしてきたことを伝えるのも、計画性、向上心の高さをアピールするのに効果的です。
ポイント3.ストレス耐性や泥臭さをアピールする
住宅営業はノルマ達成のプレッシャーが強く、時には泥臭い営業も必要になるため、こうした仕事に耐性があることをアピールしましょう。
例えば、体育会系の学生活動や仕事をしてきた経験がある人なら、これらの経験を具体的に話せば、忍耐力や継続性をアピールできます。面接する管理者層のなかにも体育会系の出身者が多くいるため、共感を持ってもらえるケースもあるでしょう。
体育会系の活動の経験がない場合は、自分なりのストレス解消方法を持っていることや、楽観的な性格などをアピールすると効果的です。要するに「すぐに辞めずにがんばってくれそうだ」と思われることが大切です。
まとめ
以上、住宅営業の仕事内容や年収の目安、メリット・デメリット、向く人・向かない人などについて解説しました。
住宅営業はノルマが厳しいことや、泥臭い営業が求められるなど、総じて体育会系の職種とされています。
しかし、インセンティブが高く実力次第で年収1,000万円も目指せることや、人と深くかかわる営業ができることに仕事のやりがいを感じる人もたくさんいます。
将来のキャリアアップも含めて自分に向いている仕事かどうか考え、就職や転職を検討してはいかがでしょうか。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい