「第二新卒の就活の方法を知りたい」「第二新卒の転職を成功させたい」という方もいるのではないでしょうか。新卒とは異なるため、就職活動の進め方に注意することで成功に近づくことができます。就職活動をスタートする前に自分のことをよく理解し、自己分析などをする必要があるでしょう。この記事では、第二新卒の就職事情や第二新卒におすすめの就活方法とそのポイント、やるべきではない就活方法についてご紹介します。
第二新卒の就職事情
第二新卒の就活の方法を知る前に、まずは第二新卒の割合や就活の現状、既卒や中途との違い、企業が第二新卒のどこを評価しているのかについて理解しておきましょう。
第二新卒の割合と就活の現状
厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」によれば、平成28年3月の卒業者のうち、就職後3年以内の離職率は新規大卒就職者で32%という結果です。
引用:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」
つまり、大学を卒業して就職した人の約3人に1人は、新卒で入社した企業を何らかの理由で辞めているということになります。
一方で日本経済新聞の記事によれば、新型コロナウイルスの影響から、厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率は1.04倍と、6年7カ月ぶりの低水準となっていることがわかっています。
引用:日本経済新聞
いまの情勢が落ち着くまでは、第二新卒としての転職に時間がかかったり、求人数が少なくなったりすることは考えられるでしょう。
第二新卒とそのほかの違い
第二新卒、既卒、中途のそれぞれの違いについてご紹介します。
第二新卒
第二新卒とは、大学卒業後に企業に就職し、3年以内に辞める(辞めた)人のことを指します。「卒業後に就職してから3年以内」を満たしていれば第二新卒となるため、1社目の就業期間等は問われません。
一度は社会人経験をしていることから、基本的なビジネスマナーや社会経験を身につけている点が特徴です。
既卒
既卒とは、大学などを卒業したが就職していない状態の人のことで、たとえば以下のようなケースを指します。
- ほかにやりたいことがあり就職しなかった(資格試験の勉強やバンド活動など)
- 家庭の事情や病気などで就職活動ができなかった
- 働きたくない/遊びやサークルに夢中などの理由から就職活動をしなかった
- 就職活動をしたが在学中に内定が出なかった
仕事はしているものの、社員ではなくアルバイトなどのフリーターで働いているという人も、既卒者として扱われます。正社員としての就業経験の有無が、第二新卒と既卒の大きな違いになっています。
中途
中途は、新卒以外で採用した・採用する人のことを指します。そのため、第二新卒であっても既卒であっても、新卒以外で入社した人はみな中途扱いとなります。
中途採用の場合、社会人経験が少ない(もしくはない)人、同じ業界・職種の経験者、ほかの業界・職種からの転職者など、バックグラウンドや年代などは幅広いのが特徴です。
企業から見た第二新卒の価値
第二新卒は新卒とベテラン社会人の中間的存在であり、20代中盤であることからも、他の年代とは異なる点で期待されています。
シンプルに「若い」ことのポテンシャルもそうですし、「基本的なビジネスマナーが身についていて教育の手間や費用が少なく済む」という点、「企業での経験が少ないぶん自社になじみやすい」という点も価値があると考えられています。
また、一度就職した上で転職を考えているため「キャリアビジョンが明確」という点も評価されることがあります。
第二新卒が就活(転職)を成功させるための8つの方法
第二新卒が就活(転職)を成功させるための8つの方法と、そのポイントについてご紹介します。
業界・企業研究をしっかり行う [第二新卒の就職成功ポイント1]
第二新卒の場合は実務経験が浅いことと「前の会社をすぐに辞めている」という弱点を持っています。そのため、企業の採用担当者からは「うちもすぐにやめるんじゃないか」と思われてしまうこともあります。よって、転職先の企業では「次こそは長く働きたい」という熱意を見せる必要があります。
ですが、ただ「長く働きたいです」とだけ面接官に言っても、説得力に欠けることもありそうです。熱意がある証拠になることのひとつに「業界・企業研究を深くやっておく」ことがあります。
企業のホームページや口コミサイトのチェックだけではなく、四季報のような公開情報や、ニュースや雑誌などで業界・企業の動向も押さえておきましょう。可能であれば、実際に働いている社員に話を聞けるとベストです。
「新卒で入社した際は自身の企業研究が足らずミスマッチが起こってしまった」ということを認めたうえで、しっかりと業界・企業研究をすることが大切です。
自己分析ができている [第二新卒の就職成功ポイント2]
自己分析は、新卒の就活の際にもやっていた人がほとんどでしょう。第二新卒の場合、社会人になってから自身の仕事に対する価値感がどうなったのか、しっかりと説明できるようにしておきましょう。
通常の転職では「前職で学んだことや身につけたこと」を企業にアピールしますが、第二新卒の場合は経験が低く、能力や経験について魅力的に語ることはむずかしいといえます。そのため、自分がどのような人間でどんなアピールポイントがあるのか、自分の言葉で語れることが大切です。
「自分はどんな性格で、どのような仕事がしたいと考えていて、将来はどうなりたいのか」という点を考えて整理しておきましょう。
自分の失敗を認められている [第二新卒の就職成功ポイント3]
第二新卒は、新卒で入社した会社を短期間で退職することになります。もちろん、実際に働いてみてミスマッチだと感じたり、ほかにやりたいことが見つかったりするケースはあるため、最初に就職した会社をやめることが悪いわけでは決してありません。ただし「1社目の就職には失敗した」という事実は認めたほうがよいでしょう。
また、前職で納得できないこともあったかもしれませんが「自分にも問題があった」と認めたうえで、どう改善・成長していくかが大切です。
自分の間違いを認められる人間は、面接官からも好印象を得ることができます。
志望動機と自分のキャリアビジョンに一貫性がある [第二新卒の就職成功ポイント4]
転職先になる企業への志望動機と、自分が将来になりたい姿(キャリアビジョン)に一貫性があると説得力が増します。
「1社目を経験したことで、仕事への価値観が明確になった」「仕事を通じてこういう人物になりたいので、御社での仕事を選んだ」とはっきり言えるように整理しておきまおきましょう。面接官は「またすぐに辞めてしまわないか」と不安に思っているため、将来なりたい姿(キャリアビジョン)と共に志望動機を伝え「すぐに辞めることはない」ということをアピールできます。
また、社会人経験がある第二新卒がビジョンについてきちんと語ることは説得力があり、新卒者との差をつけることにも有効です。
ネガティブな退職理由をポジティブに伝える [第二新卒の就職成功ポイント5]
第二新卒が前職を辞めようと考えた決め手は、本音では以下のようなことが多いかもしれません。
- 人間関係がストレスだった/会社に尊敬できる先輩や上司がいなかった
- 選んだ職業に適性がなかった/この仕事では成果をあげられないと感じた
- 会社の社風や方針が合わないと感じた/将来のビジョンを描けなかった
- 仕事内容のわりに給料が安かった/入社前に聞いていた雇用条件と違った
- 想像していたよりも仕事がきつかった/残業や休日出勤が多かった
以上のような本音の理由は、就職活動中には言いにくいでしょう。
面接で前職の退職理由を聞かれたとき、くれぐれもネガティブな退職理由をそのまま伝えないようにしましょう。ネガティブな退職理由もポジティブに伝えるのが、第二新卒の就職成功のポイントです。
たとえば、以下のような伝え方がよいでしょう。
前職は、個人として成果を出すことが求められる仕事でした。前職での業務を通じて、自分にはチームプレーやコミュニケーションなどを通じて成果を出す仕事のほうが適性があると考え、チームで結果を出す御社の仕事に興味を持ちました。
ほかにも、以下のような伝え方もよいでしょう。
前職の仕事にもやりがいを感じていましたが、業績をあげても給料には反映されない仕組みでした。もっと自分の力を試したい、厳しい環境で仕事がしたいと考え、インセンティブ制度のある御社を志望いたしました。
転職理由を上手に伝えることで、マイナスイメージを減らすことができるでしょう。
自分の強みを把握して差別化する [第二新卒の就職成功ポイント6]
第二新卒は自分の強みを知って転職活動をすると、成功率が高くなります。
そもそも企業が第二新卒に期待していることは、以下のような要素です。
- 若い/将来性がある
- 会社に順応できる
- 学ぶ力や吸収力がある
- 最低限の常識やビジネスマナーがある
もちろん、実務経験や資格があるのにこしたことはありませんが、そもそも「実務経験はない・少ない」と知っているうえで第二新卒を採用する企業が大半です。
ただし上記の要素だけでは、ほかの第二新卒とあなたの「差別化」は図れません。
- 前職で学んだことで転職先で活かせること
- 企業分析や自己分析の結果、転職先企業でどういう仕事をしたいのか
- 過去に新しいことにチャレンジして成功した体験談
以上のようなアピールを織り交ぜて伝えると、第二新卒としての「あなたの強み」をアピールできます。
自分のなかで「譲れない」「譲れる」条件を決めている [第二新卒の就職成功ポイント7]
第二新卒はスムーズで効率的な転職活動をするコツは、企業選びにおいて「譲れない条件」と「譲れる条件」をあらかじめ決めておくことです。
「雇ってもらえればどこでもいい」などと考えていると、また早期離職してしまうことにもなりかねません。そのため、たとえば給料などの待遇や会社の立地、仕事内容や企業規模など、ある程度の条件は事前に自分のなかで設定しておくことをおすすめします。
ただし、譲れない条件を厳しくしすぎると選ぶ企業がなくなったり、本当はあなたに合う業界があったのに、自ら可能性を絶ってしまうリスクもあります。「ここはどうしても譲れない」という条件以外は、柔軟に考えておきましょう。
転職成功までの道のりを把握しておく [第二新卒の就職成功ポイント8]
転職するまでには、以下のような流れを踏むことになります。
- 「なぜ辞めたいのか」の洗い出し
- 自己分析/業界・企業分析
- 転職サイトやエージェントに登録
- 転職先企業の絞り込み
- 書類準備/応募
- 書類選考〜面接
- 内定
- 現在の会社に退職意思を表明/退職日決定
- 退職願提出(会社に合意してもらえない場合は退職届)
- 現在の会社の業務引継ぎ/備品等の返却
- (あれば)有給消化
- 退職/次の会社へ転職
転職成功までにはどんなことをする必要があるのか、何をいつまでに完了しておかなければいけないかを把握しましょう。
現職を続けながら転職活動をする場合は、現職を退職するスケジュール感も大切です。「転職先の内定が出たのに、現在の会社の退職がなかなか受理されない」というケースもあります。
また、転職を希望してもすぐに決まるとも限りません。焦らないためにも、転職したい時期の3ヶ月までには転職活動を始めましょう。
第二新卒で転職を成功させるポイントについては、以下の記事でもくわしくご紹介しています。
第二新卒として転職をうまくいかせたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
第二新卒のNGな5つの就活(転職)方法
第二新卒の就活(転職)方法としておすすめできないものとしては、以下があります。
1.転職先を決める前に退職した
現状の仕事への不満がたまり「とにかく辞めたい」と先に退職してしまう人がいます。潤沢な貯金をもっていればよいですが、3年未満という短期間で退職する場合はそうもいきません。退職金も、ほとんど出ないケースが多いでしょう。
雇用保険に1年以上加入していれば失業手当をもらうことができるものの、自己都合退職の場合は退職後すぐに受け取れるわけではありません。金銭的に困ったり、次が決まらず焦ったりして「とにかく早く働かなければ」と転職先を決めてしまうケースも多くなります。自己分析やキャリアビジョンを考える余裕がないため、またミスマッチを起こしかねません。
事情がない限りは、次の転職先を決めてから辞めることをおすすめします。
2.やたらと応募するなど「数」で勝負している
新卒のときのように多くの会社にエントリーする方法では、たとえ転職できても、またミスマッチを防げない可能性があります。第二新卒の場合は応募数で勝負するのではなく、ある程度絞り込んで応募していくことをおすすめします。
「なぜ退職することになるのか」をしっかり整理して、業界・企業を研究し、自分に合った仕事や企業を探すことに重点をおきましょう。
3.前職への不満が根強い
前職への不満は、転職活動の際には解消しておきましょう。たとえば上司からのパワハラ・モラハラなどがあったり過剰なノルマを課せられていたりしたなど、会社にも問題があった場合は文句を言いたくなる気持ちもわかります。問題のある会社や職場環境も少なくありませんから、退職理由のすべてがあなたの責任というわけではもちろんないでしょう。
しかし、ずっとそのことばかり考えてマイナスな気分のままでいるのは建設的ではありません。「自分なりにがんばったが続けるのはむずかしい」「この会社や仕事は自分には合わない」と認めたうえで、前向きに転職活動をしていくことをおすすめします。
4.いまの会社を辞めるために転職をする
残業問題や人間関係の悩みなど、いまの会社への不満が募って転職活動をする第二新卒も多くいます。しかし、将来のビジョンや自分の価値観が不明確なままに転職活動をしても、どのような仕事を探せばいいかわからない、退職理由と志望動機に一貫性を持たせられないなどといった問題に直面します。
「いまの会社を辞めたいから」ということを理由に転職活動をするのではなく、自分も企業も納得させられるようなポジティブな理由で説明できるようにしましょう。
5.新卒のときのリベンジで転職する
新卒のときの就活に納得できていない人が、当初志望していた会社に入るために、第二新卒で転職活動をする場合もあります。もちろん、志望する企業での仕事が将来のキャリアビジョンとも合っていて、自分の適性を活かせるものであればよいですが「悔しい」という思いだけで転職活動をしてはいけません。
また、新卒のときに志望していた大手に入れなかった場合、第二新卒だからといって入社のハードルが下がるわけではありません。どうしてもチャレンジしたい場合はよいですが、高倍率の大手ばかりを狙うのではなく「自分に合う会社」を見つけることをおすすめします。
第二新卒の就活(転職)方法は新卒とは違う
「新卒よりも仕事への価値観が明確」「通常の中途採用よりも若い」という第二新卒は、ほかにはない強みがあります。ただし、第二新卒だからといって就活の方法を工夫しなければ、なかなか内定はもらえないでしょう。少なくとも、新卒と同じ感覚ではうまくいきません。第二新卒として新たな会社への就職を成功させるためには、自分のなかできちんと考えを固めたうえで、準備を万全にしてから就活をするのがおすすめです。「前職が長く続かなかった」ことは事実ですが、その経験を前向きに受け入れ、今後に活かせれば大丈夫です。第二新卒の方は、自信を持って就職(転職)活動をしましょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい