大卒と高卒の生涯年収の違いとは、と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
大卒と高卒の生涯年収の違いはもちろんあります。 なぜなら、大卒と高卒では知識や経験の違いがあるからです。
こちらの記事では、大卒と高卒の生涯年収の違いや高卒で逆転する方法を解説しております。 こちらの記事を読むことで、大卒と高卒の生涯年収の違いを知ることが出来ます。気になった方は是非参考に読んでみてください。
この記事の目次
大卒と高卒では生涯年収が約6,000万円違う
2020年に労働政策研究・研修機構が行った調査によると、大卒と高卒の男女別の生涯年収は下記のとおりです。
生涯年収 | 大卒 | 高卒 |
---|---|---|
男性 | 2億6,920万円 | 2億1,140万円 |
女性 | 2億1,670万円 | 1億5,020万円 |
大卒と高卒の男女の生涯年収には以下の差があります。
- 男性:約5,780万円
- 女性:約6,650万円
生涯年収ベースでみると「大卒と高卒で大きな差がある」と感じるのではないでしょうか?以下、大卒と高卒の年収の違いを、年齢・性別ごとに解説していきます。
参考「労働政策研究・研修機構:生涯賃金など生涯に関する指標」
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2020/documents/useful2020_21_p316-360.pdf
大卒の年収と高卒の年収の違い
上記の「労働政策研究・研修機構:生涯賃金など生涯に関する指標」から算出した大卒と高卒の生涯年収は以下のとおりです。
- 大卒:2億4295万円
- 高卒:1億8080万円
また、男女別の生涯年収は下記です。
- 男性:2億4055万円
- 女性:1億8345万円
厚生労働省が行った調査によると、大卒・男女の年齢階層別の年収は以下の通りです。
続いて、高卒・男女の年齢階層別の年収は以下の通りです。
男女とも全世代で大卒の年収の方が高いことがわかります。
また、上記から計算した「男女別・大卒と高卒の年収の差」は下記のとおりです。
20〜50代までは、年収差も広がっていくことがわかります。
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より計算https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html
大卒の年収
くりかえしですが、大卒・男女の年齢階層別の年収は以下の通りです。で
まだ「年功序列制」を取り入れている企業も多いため、男女ともに年齢が上がるにつれて給料は上がっています。
高卒の年収
こちらもくりかえしですが、高卒・男女の年齢階層別の年収は以下の通りです。
特に女性の年収の低さが目立ちます。高卒の女性の平均年収は400万円を超えることがありません。※後述しますが、高卒でも平均年収以上に稼ぐことは可能です。「高卒だけど稼ぎたい!」という人は、このまま読み進めてみてください。
大卒と高卒の初任給の違い
初任給とは「企業に就職した初年度の給料」です。先ほどのデータからも読み取れたように、大卒と高卒では初任給から差があります。
大卒と高卒の初任給の違いを解説していきます。
大卒の初任給
厚生労働省が行った令和元年の調査によると、大卒の平均初任給は以下の通りです。
- 男女計:210,200円
- 男性:212,800円
- 女性:206,900円
参考「厚生労働省:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況4、学歴別にみた初任給の分布」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/04.html
高卒の初任給
同じく、厚生労働省が行った令和元年の調査によると、高卒の平均初任給は以下の通りです。
- 男女計:167,400円
- 男性:168,900円
- 女性:164,600円
大卒と比べて、初任給から4〜5万円の差があることが分かります。
参考「厚生労働省:令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況4、学歴別にみた初任給の分布」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/04.html
大卒と高卒の初任給の違い
大卒と高卒の初任給を比べると、男性では43,900円、女性では42,300円の差がありました。高卒は大卒よりも4年働き始めるのが早いですが、年収に50万円程度の差があります。そのため、社会人になって10年ほどで生涯年収が追いつかれ、その後は大卒と高卒で差が広がっていくイメージです。結局のところ、高年収を稼ぎたいなら「大卒の方が有利」といえるでしょう。
大卒と高卒の生涯年収はなぜ違うのか
「大卒と高卒では、生涯年収に大きな差がある」と解説しましたが、それには以下3つの理由があります。
- 大学に通うことで、大きな成長がある
- 大学の授業は、物事を理論的に考える練習ができる
- 大卒が可能な人は努力をしている
以下、それぞれの理由を詳しく解説していきます。
理由1:大学は人を成長させる場であるから
大学時代は、大きな成長のきっかけがあります。なぜなら、高校までのカリキュラムとは大きく異なり、自分で考えて行動する機会が増えるからです。大学では、専門性を深く学ぶ以外にも、以下のことを自分で決めていきます。
- 部活やサークル活動
- 自由時間の使い方
- アルバイト
- 資格取得
- 付き合う人間関係
- インターン
このように、選択肢が一気に広がるのが大学時代です。考えることは増えますが、成長を感じやすい時期といえるでしょう。
高校までは授業の時間割も決められており、学校のルールに沿った行動が基本です。そのため、受け身で過ごしていても卒業できることが多く、成長の機会は大学に比べると少ないと考えられます。こうした違いから、大卒の方が高く評価されて給料が多くなりやすいです。
理由2:授業で物事を理論的に考えられる練習ができる
大学の授業では、物事を論理的に考える習慣が身につきます。参考までに、大学と高校の授業の違いを以下の表にまとめました。
大学 | 高校 | |
---|---|---|
学習方法 | ・自らが選んだ専門分野を深く学ぶ ・自ら学ぶ姿勢が必要 | ・さまざまな教科を幅広く学ぶ ・授業に出ていれば、最低限のことは 教師から教えてもらえる |
教える人 | ・研究者である「教授」 | ・教員免許を取得した「教師」 |
時間割 | ・必修科目以外は、自分で授業を選択する | ・クラスごとに時間割が決まっている |
大学では「自分のことは自分で決める」という主体性が求められ、自由と責任どちらの度合いも大きいです。その分、大学を卒業した際には「一定の論理的思考力がある」とみなされます。
実際、社会に出てからは、物事を理論的に考える力が必要不可欠です。そのため、大学を卒業している人の方が「能力が高い」と判断され、年収にも差が生じています。
理由3:大卒が可能な人は努力をしている
大卒は「一定以上の努力ができる人」と評価されます。それは、高校まではよほどのことがない限り卒業できますが、大学ではサボっていると留年するからです。「日本の大学は遊んでいても卒業できる」という意見もありますが、そんなことはありません。
実際に文部科学省が行った平成30年の調査では、4年制大学を4年間で卒業した人の割合は81.6%でした。このデータからも「留年は珍しいものではない」といえるでしょう。つまり、大卒の人はこの関門をクリアした「努力のできる人」といえるので、給料も高くなりやすいです。
参考「文部科学省:Ⅱ調査結果の概要」
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1407449_3.pdf
大卒や高卒といった学歴は関係ない
大卒と高卒の違いを解説してきましたが、決して「大卒でなければいけない」というわけではありません。理由は以下の2つです。
- 高卒でも稼いでいる人は多いから
- 家庭の事情により高卒で働く人もいるから
それぞれの理由を詳しく解説していきます。
理由1:高卒でも稼いでいる人は多い
高卒でも、高い生涯年収を稼ぐ人はいます。特に「専門的なスキルを持った人」は高年収を稼ぎやすく、具体的には以下の職業の人が多いです。
- ITエンジニア
- 不動産営業
- 保険営業
- 現場監督
- 建築、土木系の作業員
- 工場の作業員
- 運送ドライバー
- 公務員
- 起業家
あなたがもし、自分のやりたいことが決まっていて、なおかつ学歴が重要視されない仕事なら、大学に行く必要はないかもしれません。実際にやりたいことに向かって突き進み、学歴を問わず成功している人はいます。例えば、メジャーリーガーの大谷翔平選手が良い例です。
ただし、将来の選択肢が限定されるリスクはあるので、その点は理解しておきましょう。もし、やりたいことがはっきり決まっておらず大学進学も可能なら、就職先の選択肢を広げるためにも大学進学を考えてもいいかもしれません。。
理由2:家庭を助けるために職に就く人も多い
学力的にも問題なく、本当は大学に入学したいが、家庭の事情によって高卒で働いている人もいます。しかし、高卒で就職すると以下のデメリットがあります。
- 就ける職種が限られる
- 大卒より長く働いているのに給料が低い
そのため、高卒で生涯年収を上げようと思ったら、働きながら専門的な資格を取ったり、スキルアップするなどの工夫が必要です。大卒よりも生涯年収を上げる具体的な方法は、次に解説していきます。
高卒で大卒よりも生涯年収を上げる方法
高卒で大卒以上に生涯年収を稼いでいる人には、以下の特徴があります。
- 専門スキルを所持している
- 持っている専門スキルを利用して、実績を積む
- 働きながら、専門学校で資格を取得する
以下、それぞれの詳細を解説していきます。
方法1:専門スキルを所持している
高卒で高い生涯年収を稼いでいる人は、専門スキルを持っていることが多く、高卒の人におすすめな資格は以下のものです。
- 介護福祉士
- ITパスポート
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
- 簿記検定
- 宅建(宅地建物取引士)
- 第二種電気工事士
- 普通自動車運転免許
もし生涯年収を上げたいなら、あなたが興味のある業種・職種と照らしあわせて、専門的な資格取得を検討してみてください。
方法2:持っている専門スキルを利用して実績を積む
高年収を得ている高卒の人は、専門的な資格・スキルを取得するだけでなく、スキルを活かして実績も積んでいます。あくまでも資格は「実務経験に活かす手段」なので、実務での実績がアピールできると転職もしやすく、良い待遇を受けやすいです。参考までに、先ほど紹介したおすすめ資格は、以下の職種で活かせます。
- 介護福祉士→介護施設、訪問介護
- ITパスポート→システムエンジニア、プログラマー
- MOS→事務職
- 簿記検定→経理、会計事務所、税理士事務所
- 宅建(宅地建物取引士)→ 不動産会社
- 第二種電気工事士→電気工事作業者、ビル設備管理、施工管理
- 普通自動車運転免許→営業職、運送ドライバー
方法3:働きながら専門学校で資格の取得をする
「高卒だが、これといった専門スキルがない」という人は、働きながら専門学校で資格を取得するのもおすすめです。実際、社会人になってから専門学校に通い始める人は多く、専門学校も社会人に学習の機会を設ける動きが盛んです。
ただし、専門学校に通う前に、以下のことを準備しておきましょう。
- 目的を明確にする
- ライフスタイルにあったカリキュラム(学校選び)
- 職場や家族の理解を得る
将来就く職種(目的)が明確になっていないと、専門学校で学ぶモチベーションが続きません。また、今の仕事を続けながらでも無理なくカリキュラムをこなせるかどうか、職場や家族のサポートを得られるかなど「環境面に支障がないか」も確認しておきましょう。
まとめ
以上、大卒と高卒の生涯年収・初任給の違い、年収に差がある理由、高卒でも生涯年収を上げる方法を解説しました。もしあなたが高卒で学歴にコンプレックスを感じていたとしても、これからの頑張り次第で高い生涯年収を稼ぐことはできます。
これからの働き方を考える上で、本記事を参考にしてもらえたら幸いです。
こんな人におすすめ!
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