「機械オペレーター」は専門性が高そうなイメージがあり、目指してみたいとお考えの方もいるのではないでしょうか?
機械オペレーターと一口に言っても、働く現場や仕事内容などさまざまな種類があります。
この記事では、機械オペレーターとはどのような仕事なのか、向いてる人の特徴、未経験でも就職できる方法について紹介しています。
機械オペレーターに興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
機械オペレーターとはどのような仕事
機械オペレーターは、経験がない人にはイメージがしづらい仕事かも知れません。また、なんとなく難しそうだと感じて、就職の選択肢から外してしまう人もいることでしょう。
そこで、まずは機械オペレーターの仕事内容や勤務環境について解説します。
機械オペレーターが働く主な現場
オペレーターとは「操作する人」という意味です。これを機械オペレーターに当てはめると「機械を操作する人」となり、機械を操作する職業を指すことになります。
ここでは、製造現場と建築現場において、機械オペレーターがどのような仕事をしているのかを紹介します。
製造現場
さまざまな製品をつくる現場で、多くの機械オペレーターが活躍しています。
建築資材や精密機器などの工業製品から、私たちに身近な乗用車・バイク、日用品や家電、そして食品まで、多種多様な製造現場があります。
機械オペレーターの仕事とはつまり「ものづくり」に携わることであり、大量の品物を効率よく正確に作ることが求められます。具体的にいえば、機械を操作して製品を作り、検品・梱包・運搬などをする仕事です。工程は、高度にマニュアル化されているものがほとんどです。
建築現場
土木や建設工事の現場においても、機械オペレーターが必要とされます。
機械オペレーターはクレーン・ショベルカー・フォークリフトなどの専門的な重機を扱うことが多く、それぞれに対応した資格の取得が求められます。
機械オペレーターの種類とは
機械オペレーターには様々な種類があります。その中のいくつかをご紹介します。
製造オペレーター
工場で製造を行う機械の操作や監視、制御を行うのが製造オペレーターです。代表的な仕事には、以下の4つが挙げられます。
1つ目は、プレス加工機械オペレーターです。金属をプレスして絞りや引張、曲げの作業を行う仕事になります。プレス加工機械オペレーターは、自動車工場などで活躍していることが一般的です。
2つ目は、ラッピング加工機械オペレーターで、食品や印刷物などをラッピングする仕事です。また、この職場は衛生面が徹底している環境が多いことも特徴です。
3つ目は、建材の切断機械オペレーターです。切断する対象物はさまざまですが、加工内容によって機械を使い分けます。
4つ目は、NC旋盤機械オペレーターです。これまで紹介したものとは少し異なり、コンピューターのプログラミングにより旋盤加工を行うのが特徴です。プログラミングにより製品のばらつきが抑えられるので、生産効率の向上が叶う業務です。
機械オペレーターの正社員での平均年収は約340万円。正社員の給料分布を見てみるとボリュームが多いのは320〜358万円の水準で、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。
建設機械オペレーター
土木や建設工事現場で活躍するショベルカーやクレーン車、掘削機、フォークリフトなどの建設機械や重機を操作する仕事です。各種の重機は、それぞれ適切な資格を取得しないと操作ができません。ただ、フォークリフトやクレーンの資格を取得してスキルが身に付けば、工場などの生産現場でも活用できます。
建設機械オペレーターの正社員での平均年収は約385万円。正社員の給料分布を見てみるとボリュームが多いのは382〜417万円の水準で、日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。
CADオペレーター
製造現場と建築現場、どちらも前工程に設計業務があり、CADオペレーターが製図作成を行います。CADとは、Computer Aided Designの略で、「コンピューターによる設計支援」を指します。以前は製図作成を手作業で行っていましたが、現在はコンピューターでの製図が可能となり、製図作業の上で重要な役割を担っているのがCADオペレーターの仕事です。
CADオペレーターの正社員での平均年収は約497万円。正社員の給料分布を見てみるとボリュームが多いのは413〜498万円の水準で、日本の平均年収と比較すると高い傾向にあります。
機械オペレーターの主な業務内容
機械オペレーターとは、製品の生産・加工などを行う機械の操作や管理をする仕事です。ただ機械を扱うだけではなく、素材の準備や加工、それぞれの機械によって生じる微妙な差異の調整、完成品の品質管理など、製品製造に広く関わる仕事です。
機械の監視も行います。工場で生産・製造を行うには多くの機械を稼働させなくてはなりません。自動制御の機械類が正しく稼働しているかを監視します。
また、機械を正しく稼働させるための操作や設定もします。万が一、機械が故障した場合や、正常に稼働するための点検など、メンテナンスを担うオペレーターもいます。作業を終えた後、機械の洗浄も実施します。
制御室で業務を行う場合もあれば、各作業工程にひとりずつオペレーターを配置し、他の職種と兼任していることもあります。
機械オペレーターには将来性がある!
その仕事に将来的なニーズや発展が期待できるかどうかは、職業選びの重要なポイントです。機械オペレーターの将来性について、見ていきましょう。
機械オペレーターが底辺と誤解される理由
機械オペレーターに対するネガティブな見方が一定数あるようですが、それは「単調な作業をずっと続けている」という誤ったイメージによる先入観が影響しているようです。ここまでご紹介したように、機械オペレーターは決して「単純作業」ではありません。一定の手順を行う点ではルーティーン作業と言えるかもしれませんが、その手順には細かな調整と専門知識が求められます。
また、前の章でご紹介したように、機械オペレーターの平均年収は正社員で300万~400万円台であることが多く、高収入とは言えません。ただ、企業によっては家賃補助が支給されたり、職場の近くに格安で利用できる寮などが完備されているなど、福利厚生が充実している企業もあります。資格を取得することで手当が加算される場合もありますし、オペレーターとしての実務経験を積んだ後に、より良い待遇や条件の企業への転職を目指すのもキャリアプランとして有効でしょう。
ファーストキャリアにするとかなり有利
機械オペレーターは、実務経験がなければ就職できないイメージが強いかも知れませんが、実は未経験者にも挑戦しやすい職種です。日本の製造業の種類は幅広く、生産している製品もさまざまです。作っている製品は違えどオペレーターは必ず必要な職種であり、中には専門的な知識や機械操作技術を持つ、いわゆるニッチなオペレーターも存在します。
専門的なオペレーターは貴重な戦力であり、企業は人材育成をしっかりと行います。そのため、新卒者はもちろんのこと、年齢的に若い第二新卒・既卒者についても、一からオペレーター教育が行われ、キャリア形成の初期から専門性が身に付けられる職種であると言えるでしょう。
長く働くことも可能!
機械オペレーターのスキルとは、機械の操作や制御、メンテナンスに至るまで多岐にわたります。機械トラブルが発生した際や、新製品を作りたい時など、オペレーターのスキルが高いほど頼りにされ、幅広い業務を任せてもらえます。
また、同じ製造業でも、たとえば溶接や鋳造などの加工業務では、温度が高い中で一日中作業をする職種もあります。オペレーターは機械の操作や監視が主な業務ですので、体力面での負担が比較的に少なくなります。そのような点でも、オペレーターは長く続けられる仕事といえるでしょう。
機械オペレーターに向いてる人の特徴
機械オペレーターに向いているのはどんなタイプの人でしょうか?いくつかの特徴をご紹介します。
ものづくりが好きな人
「ものづくりが好き」であることは、とても重要な要素です。
さまざまな製品、あるいは建造物などを作り上げることに、大きなやりがいを見出せるでしょう。
そして、ものづくりに関して言えば、一つのことを極めたい人に向いています。一つのことを極めるには、細部にまでこだわって突き詰めていく必要があります。たとえば、同じ製造工程でも、機械の詳細な設定や部品交換のタイミングなどで、仕上がりが変わってくるものです。このような要素の調整に面白さを感じるなら、ものづくりが好きで一つのことを極めたい傾向にあると考えられます。試行錯誤を繰り返しながら経験を積み、習熟の度合いが高まっていけば、トラブルが起きたときや試作時にも重宝される人材となることが期待できます。
このように、ものづくりが好きな人は、機械オペレーターの仕事に活かせる要素を持ち合わせています。
1人で地道に作業することが好きな人
機械オペレーターの業務には、毎日の作業内容や点検項目など、ルーティーンが多くなっています。そのため、地道にコツコツと作業をするのが好きな人に向いている仕事と言えるでしょう。
逆に、地道な作業を苦手とし、集中力を長く継続できない人には難しい仕事です。人の特性は基本的に大きく変わらないものなので、よく見極めることが大切です。
勉強など頭を使うことが好きな人
勉強熱心な人は、どんな職種でもスキルアップが見込めます。それは、機械オペレーターにおいても同様です。
機械オペレーターはさまざまな業種で活躍していますが、「個々の現場によってルールが異なる」という特徴もあります。そのため、現場ごとに操作方法を習得しなければならない大変さもあるのです。
また、長期的にキャリアアップを目指すなら、難易度の高い資格を取得する必要があるかも知れません。資格は明確なスキルの証明になるため、取得すれば給与額のアップも期待できるでしょう。
意欲的に勉強していく姿勢があり、新たな知識の習得が楽しいと感じられる人には、その強みを存分に発揮できるでしょう。
機械を扱うことが好きな人
機械を適切な手順で作動させ、正常に作動しているか監視・制御を行うオペレーターは、機械の操作が好きな人にとって最適な仕事です。自動車・バイク・家電製品など身近な機械類の日常的なメンテナンスが好きで自ら行っている人なら、適性が高い可能性があります。
慎重な作業を行う人
「地道な作業が好きな人」と同じく、作業を慎重に行う人も機械オペレーターの仕事に向いています。機械を慎重に扱わなければ、重大事故の恐れがあるからです。
また、製品の品質面においても慎重な作業が求められます。高い集中力と慎重さをキープすることが必要とされるのが、機械オペレーターといえるでしょう。
未経験でも機械オペレーターに就職するためには
機械オペレーターの経験がなくても、就職する方法はあるのでしょうか?
「こうすれば、誰でも必ず就職できる!」という方法はありませんが、いくつか参考になるポイントをお伝えします。
有利になる資格を取得する
高度な資格は難しいかもしれませんが、未経験者でも学べる資格の勉強をやってみることで「機械オペレーターに対する自分の適性」を判断できるでしょう。資格取得までは至らずとも、採用面接の場で「未経験ですが、〇〇資格の勉強をしています」と伝えれば、あなたの学ぶ姿勢をアピールできます。
また、就職後も資格があることで特別手当が支給されたり、将来的に転職する場合も有利になります。仕事をしながら、キャリアアップに必要な知識を身に付けていきましょう。
具体的な資格については、いくつかの例を次章でご紹介します。
向上心を持って取り組む
機械オペレーターを募集している企業は、「新しい技術や知識に対する貪欲さ」や「学習能力の高さ」を重視する傾向にあります。
近年の製造業ではコストダウンを念頭に、なるべく部品点数を減らして構造を簡略化しようとしています。その分、部品一つひとつに求められる役割や性能は高度化・複雑化しています。従来はメカニカルで対応していた部分を、ITシステムに切り替えていく潮流もあります。機械オペレーターは、こうした変化に素早く対応するため、常に最新の技術を自ら学び、身に付けていく向上心が求められます。
未経験でも就職できるサービスを利用する
現在、機械オペレーターは人材が不足している状況にあります。
一時は開発・製造拠点を海外に移転する企業が増加し「製造業の空洞化」が問題となったこともありましたが、昨今は「技術流出の懸念」や「開発スピード・生産技術の向上」などを理由に、製造業の国内回帰の傾向が強まってきています。これに伴い、機械オペレーターの人材需要が上昇し、求人数も増えています。
こうした背景から、比較的経験年数の少ない人や未経験者に対しても広く門戸を開いている企業もあるのです。
ただ、未経験であるがゆえに、どういった企業があるのか自分ではなかなか効率的に探せない人も多いと思われます。そんな時は、就職エージェントを利用してみるのも一案です。機械業界や個別の企業について詳しい担当者が、仕事内容から社内の雰囲気まで、さまざまな情報を無料で提供しています。ぜひ活用を検討してみてください。
機械オペレーターに就職する上で有利になる資格
業種や職種により、活かせる資格が異なります。ここでは、代表的な資格を3つご紹介します。
フォークリフト運転技能講習修了証
フォークリフト運転技能講習修了証は、主に資材の運搬などに使われるフォークリフトの運転に必要な免許です。厚生労働省が管轄し、最大積載荷重1t以上のフォークリフトを運転することができます。
取得するには、各都道府県の労働局長が登録した教習機関で「フォークリフトの運転技能講習」を受ける必要があります。すでに自動車免許などを取得しているか等の状況によって異なりますが、約20,000〜40,000円の費用がかかります。
また、現在所持している運転免許によって講習時間も異なり、取得までの日数は最大で5日間、最短で2日間です。
講習は、学科と実技に分かれています。学科科目では「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」「運転に必要な力学に関する知識」などを、実技科目では「走行の操作」「荷役の操作」などについて学びます。
機械加工技能士
機械加工技能士は、国家資格である技能検定制度の一種です。都道府県職業能力開発協会が検定試験を実施しています。取得すれば、旋盤やフライス盤などの各種工作機械や切削工具を用いて、金属材料などを加工する技術があると認められます。
3級から特級までレベルが4段階に分かれており、2級以上の受験には実務経験が必要となります。学科試験と実技試験があり、実技は普通旋盤作業やフライス旋盤作業、ボール盤作業、平面研削盤作業など、多数の科目から選択して受験します。
建築機械施工技士
建設機械施工技士は、国土交通省が管轄する施工管理系の国家資格です。取得すれば、ブルドーザーや油圧ショベルなどの建設機械を使う現場において、監督や主任技術者として業務に携わることができます。
学科試験と実地試験があり、学科試験は「土木工学」「建設機械原動機」「石油燃料」「潤滑剤」「法規」に関する共通問題と、「建設機械、建設機械施工法」などに関する種別問題の6つの項目に分けて出題されます。実地試験では、実際に建築機械の操作を行います。
まとめ
機械オペレーターの仕事内容、向いてる人の特徴、未経験から就職を目指す方法などについて解説してきました。
機械オペレーターは、機械を扱うことが好きな人や新しい知識を学ぶ意欲のある人に適した職業です。地道にコツコツと専門性を磨いていけば、長く働くことができる仕事でもあります。
「自分には適性がありそうだ」と感じたら、ぜひキャリアプランの選択肢に加えてみてください。
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