就職浪人をして公務員試験を受けるべきか、悩んでいる方もいると思います。
公務員試験のために浪人するべき否かを判断する際には、メリットだけではなくデメリットも考慮する必要があります。
公務員試験のために浪人しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
公務員試験に落ちたら浪人するべきか?
公務員試験に落ちてしまった人の中には、「来年の合格に向けて、浪人するべきか…」と迷っている人もいることでしょう。
そこで、判断する上で役立つヒントを3つお伝えします。
- 「いつか受かるだろう」は危険
- 浪人するなら期限を決めよう
- 民間企業への就職も視野に入れよう
では、それぞれについて見ていきましょう。
「いつか受かるだろう」は危険
まず「いつかは受かるだろう」と安易に考えて浪人を決めるのは危険です。公務員試験は決して簡単な試験ではないからです。
たとえば2021年度の国家公務員採用試験の合格率は、全体平均で29.1%です。これは地方公務員も例外ではなく、例年20%台の合格率で推移している都道府県がほとんどです。
このように、軽い気持ちで受験して合格できるような試験ではありません。そのため「必ず合格する」と強い決意で臨み、それを継続させる自己コントロール力が欠かせません。
また、仮に浪人すると決めた場合には、一年後の合格から逆算して勉強スケジュールを立てるなど、緻密なスケジュール管理も必要となります。
浪人するなら期限を決めよう
浪人することを決める際は、その期限・締め切りもあらかじめ設定することも重要です。
なぜなら「いつまでに合格する」と具体的な期限を設けることで、勉強に対するモチベーションを維持できるからです。
期限の設定は、受ける職種によっても異なりますが、何年もズルズルと持ち越すことを避けるため、まずは「1年」に設定するのがおすすめです。
たとえば採用者数が比較的多い「消防官」や「警察官」、「市役所職員」を受ける場合には1年に設定して問題ないでしょう。一方で「東京都庁」や「国家公務員(総合職)」「国会職員」など倍率の高い試験に関しては、2年がかりでの挑戦となる可能性も覚悟しなければならないかも知れません。ただし、複数年をかければ合格率が上がるわけではありませんので、その点はくれぐれも注意が必要です。
民間企業への就職も視野に入れよう
公務員浪人を考えている場合には、民間企業への就職も視野に入れておきましょう。それが、心の安定につながることもあるからです。
公務員試験に失敗した人の中には、「次も落ちたらどうしよう…」と大きな不安を感じている人もいると思います。特に、勉強に手がつかない程に不安になってしまうという人は、民間企業への就職を考えてみても良いでしょう。
就職せず浪人し公務員試験を受けるメリット
民間企業への就職を考えず、浪人して公務員試験だけを受けるメリットを紹介します。
- 勉強により多くの時間をあてられる
- 試験の反省点を分析し、改善するための時間もとれる
- 自分を追い込むことで、モチベーション向上につながることもある
では、それぞれについて見ていきましょう。
勉強により多くの時間をあてられる
1つめのメリットは、勉強などの時間をしっかり確保できることです。
一般に、公務員試験の勉強には1000~1200時間が必要と言われています。一回挑戦している人はやや少なめに見積もってもいいかも知れませんが、知識の抜け漏れを防いだり、面接の対策もしっかり行うと、結局は1000時間以上の勉強が必要と言えるでしょう。
また、受験対策としては主に次の4つが挙げられます。
- 筆記試験(知識のインプット後に問題演習などでアウトプット)
- 論文試験(論理的な文章作成を目指す)
- 面接試験(自分の考えを簡潔に伝える練習を積む)
- 集団討論(できる限り場数を踏んで慣れておく)
受ける試験によって、対策方法も異なります。自分が受ける試験の内容をしっかりと確認し、試験日から逆算して、合格に向けた綿密な作戦を練っていきましょう。
引用:資格の学校TAC/公務員試験の内容と種類、具体的な対策ポイントおしえます!
試験の反省点を分析し、改善するための時間もとれる
すでに試験を経験していることは、浪人を目指す人の大きなアドバンテージです。なぜなら、多くの試験では、出題される教科や内容が毎年ほぼ変わらない傾向にあるからです。
また、受験失敗の反省点は次の3つに集約されます。
- 配点の低い科目に多くの勉強時間を費やしてしまった
- 過去問に取りかかるのが、受験直前になってしまった
- 面接対策をしておらず、志望動機も深く考えていなかった
浪人を考える場合には、まず上記3つの中にあてはまるものがないか確認してください。そして対策に優先度をつけ、自分にとって克服すべき課題を効率的にクリアしていきましょう。
自分を追い込むことで、モチベーション向上につながることもある
就職浪人を選択したことにより、モチベーションが湧いてくる人も少なくありません。
たとえば受験予備校に通うと、自分と同様に浪人を決めた人たちと出会うこともあります。お互いに良いライバルとして、切磋琢磨できる可能性もあるでしょう。
またモチベーションが上がっている時こそ、冷静さを保つことも大切です。約1年の長丁場になるため、出だしで飛ばし過ぎると息切れを起こすかもしれません。心は熱く、頭は冷静に、自分のペースを維持して対策を進めましょう。
就職せず浪人し公務員試験を受けるデメリット
民間企業への就職を考えず、浪人して公務員試験だけを受ける場合のデメリットも解説します。
- 職歴のない空白期間が生じる
- 就職が1年遅れる
- プライドばかり高くなり、民間企業への就職も厳しくなる
では、それぞれについて見ていきましょう。
職歴のない空白期間が生じる
公務員浪人をすると、職歴のない「空白期間」が生まれてしまいます。
空白期間とは「働いていない期間」を指す言葉ですが、こうした期間の有無を採用時に気にする企業は少なくありません。たとえば「何か問題があって就職できなかったのでは?」と不安視されてしまうこともあり、理由によっては就職で不利になる恐れもあるのです。
将来的に民間企業への就職を考えた時、空白期間の長さが原因で内定が取れず、年齢だけを重ねていってしまうケースもあり得ます。
就職が1年遅れる
公務員浪人を選択すると、同年代の友人と比べて就職のタイミングが1年遅れることになります。長い仕事人生でみると1年程度の差は挽回できますが、これが2年、3年と積み重なっていくとその差は大きく広がります。
早く就職している人と比べて生涯年収の面で差がついたり、社会人としての成長という点において遅れをとったりと、デメリットは少なくありません。
お金やスキルを蓄えられた何年もの時間を失う代償は、キャリア形成の観点からみると決して小さくないのです。
プライドばかり高くなり、民間企業への就職も厳しくなる
公務員浪人を決めた人の中には、「絶対に民間企業に就職したくない」と考えている人もいます。こうした人は民間企業を“下”に見ていることも多く、まだ公務員になってもいないのに「公務員を目指している自分」におかしなプライドを持っているケースもあります。
「公務員になることがすべて」と考える人の場合、仮に民間企業への就職にシフトせざるを得なくなった時、そのプライドが自分のキャリア形成を阻みます。気持ちが乗らず、志望動機もうまく話せないため、結果として民間企業への就職もうまくいかない恐れがあるのです。
浪人をせずに就職する際の利点
公務員浪人をせず、民間企業への就職に切り替えるメリットを紹介します。
- 選択肢が多い
- 新卒として就職ができる
- スキルを身に付けることができる
では、それぞれについて見ていきましょう。
選択肢が多い
まずメリットとして挙げられるのが、選択肢の豊富さです。
日本には380万社以上の企業が存在すると言われますが、このように数が多いからこそ、公務員よりも選択の幅が広がることが民間就職のメリットです。
企業ごとに仕事内容も社風もさまざまなため、自分に本当に合った会社・仕事が見つかる可能性も高まるでしょう。
引用:総務省統計局|平成28年経済センサス-活動調査 調査の結果
たとえば公務員と同様に「地域振興に関わる仕事」について、民間企業では次のような選択肢が考えられます。
- デベロッパーとして土地開発を行う
- 地方銀行で中小企業の経営をサポートする
- Web制作会社で地域の魅力を発信する
公務員は国や地域にかかわる仕事ですが、手がけている範囲が広いため、自分がやりたい業務を必ずしも担当できない場合があります。
一方で民間企業の場合には、地域振興ひとつとってもさまざまなアプローチをする会社が存在します。あらかじめしっかりと企業研究をしておけば、自分がやりたい業務に携わる可能性が高められるのです。
民間就職にシフトする場合は、まずは「具体的に何をやりたいか」を明確にして、それを実現できる会社を選ぶと良いでしょう。
新卒として就職ができる
2つめのメリットは、新卒として就職できる可能性です。
企業によっては、学校を卒業後3年以内であれば「新卒枠」として採用しています。仮に高校や大学を卒業した後でも、現役の就活生と比べて遜色のない就職活動が行えるケースもあるのです。
なお、一般的には「卒業後3年以内」とされていますが、新卒扱いは1~2年までとしている企業も存在します。そのため、早めに就職活動を始めるに越したことはありません。
新卒として就職できれば、内定先の企業で研修など教育の機会を手厚く受けられる場合もあります。安心して社会人のスタートを切りたい人は、今すぐにでも民間企業への就職に向けて行動を起こしましょう。
スキルを身に付けることができる
民間企業に就職すると、公務員の場合とは異なるスキルも身に付きます。
特に、次のような「売上に直結するスキル」は民間企業ならではと言えるでしょう。
- 営業スキル
- マーケティングスキル
- コンサルティングスキル
営業スキルはどの企業でも求められますが、特に金融系や不動産会社など、高額商品を扱う会社では必須です。
マーケティングスキルは主に企業内の企画職で、コンサルティングスキルはIT企業のエンジニア職で特に必要とされています。
こうしたスキルは、別の業界や職種に転職しても活かせます。場合によっては、スキルが評価され、高い年収を手にする場合もあります。
どのようなスキルを身に付け、さらに高めていきたいか。長期的なビジョンを持って考えていけると良いでしょう。
公務員浪人せずに民間企業を受ける方法
民間企業への就職活動を行う場合は、次の3つの方法がおすすめです。
- ハローワークを利用する
- 就活サイトを利用する
- 就職エージェントを利用する
それぞれの方法について、解説していきます。
ハローワークを利用する
ハローワークとは、国が運営する「職業紹介所」です。全国各地の求人を検索でき、ハローワーク経由で企業への応募も可能です。
基本的には地域に根差した中小企業の求人が多いため、「自宅から通いやすい会社を探している」「大手企業は倍率が高そうだから、中小企業を受けたい」という人におすすめです。
なお、ハローワークでは履歴書のチェックや面接対策のアドバイスなども依頼できるので、はじめての就職活動に不安を感じる人はこうしたサポートもお願いしてみましょう。
一方で、求人の質には注意が必要です。企業側も無料で求人を掲載できるため、場合によっては「ブラック企業」が紛れている可能性もあります。入社後に後悔しないためにも、応募先の企業については自らしっかりと調べるようにしましょう。
就活サイトを利用する
就活サイトとは、求人情報が掲載されているWebサイトのことです。
自分で仕事を検索し、応募手続きも行うことが特徴で、マイペースに就職活動を進めたい人に向いています。面接対策などのノウハウを紹介している就活サイトも多いため、活動の進め方に迷った際にはチェックしてみましょう。
なお、多くの情報から自分に適した求人を探し出すことに疲れてしまう人もいるかもしれません。知名度や企業規模だけを判断材料として求人を選んでしまう人も多いので、就活サイトを利用する際は、まずは自分の中の企業選びの「軸」を明確にしておくようにしましょう。
就職エージェントを利用する
就職エージェントとは、専任のキャリアアドバイザーが就職活動をサポートしてくれる無料のサービスです。
あなたの経験や希望にマッチする企業の紹介や、応募手続きの代行、そして企業との面接日程の調整なども任せられます。さらに、応募書類の書き方や面接対策へのアドバイスも受けられます。就職支援のプロが二人三脚でサポートしてくれるので、はじめての就職活動が心配な人は利用してみましょう。
特に、私たちジェイックが運営する就職エージェントでは、学校を卒業済みの「既卒者」の就職支援に強みを持っています。公務員就職から民間企業への就職に方向転換した方のサポートも行っていますので、少しでも不安なことがあればご相談ください。
まとめ
就職浪人をして公務員を目指すべきか否か、について検討してきました。
進路に迷っている時は、まず視野を広げましょう。
民間企業への就職の可能性も選択肢に加え、求人情報をちょっと見てみるだけでも良いと思います。外の世界を少し覗いてみると、安定経営を続けている会社や、あなたが本当にやりたい業務に従事できる会社に出会えるかもしれません。
進路を公務員だけに絞らないことで心に余裕が生まれ、かえって勉強にも打ち込める効果もあります。悔いの残らない選択をするために、あなたがあなた自身の可能性を狭めないようにしてください。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい