高校卒業後のフリーターはありなの、と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
実は、高校卒業後のフリーターは多くはないのです。 割合として半分以下です。
こちらの記事では、高校卒業後のフリーターの割合やフリーターになるメリット/デメリットについてを解説しております。気になった方は是非参考に読んでみてください。
この記事の目次
高校卒業後フリーターとして働く人の割合は?
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査によると、高校卒業後フリーターとして働く人の割合は40.7%です。(アルバイト・パート・契約社員・派遣の合計)一方、正社員として働く人の割合は49.4%と半数近くの人が正社員として働いていることが分かります。
つまりフリーターとして働く高卒よりも、正社員として働く高卒のほうが多い、ということです。
正社員(公務含む) | アルバイト・パート | 契約・派遣等 | 自営・家業 | 失業 | 無職で何もしていない | 無職で進学準備等 | その他・在学中 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高卒 | 49.4 | 35.8 | 4.9 | 3.0 | 1.5 | 1.9 | 1.5 | 1.9 | 100.0 |
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大都市の若者の就業行動と意識の変容」
ちなみに正社員の就業割合で見ると、大学・大学院卒は「76.2%」、専門・短大・高専卒は「61.5%」と、こうした学歴に比べると低くなっています。それでもおよそ2人に1人は正社員就職を実現していることからも、高卒からの正社員就職は決して不可能ではないことが分かるでしょう。
高卒者におすすめの業界3選
高卒者が働くうえでおすすめの業界を3つ紹介します。
- IT業界
- 飲食業界
- 運輸業界/製造業界
「どのような仕事が多いのか」についての解説と共に、主な仕事内容や向いている人の特徴、平均年収、仕事の注意点も交えてお伝えしますので参考にしてみてください。
年収参考:doda|平均年収ランキング(96業種別の平均年収/生涯賃金)【最新版】(公開日:2021/12/13)
業界1:IT業界
IT業界では、次の2つに関わる機会が多い傾向にあります。
- ソフトウェアに関わる仕事
- システムを開発する仕事
ソフトウェアに関わる仕事は企業向けと個人向けに分かれ、主にPCやスマホなどのプログラムの開発に携わります。
システム開発は基本的には「システムインテグレータ」と呼ばれる企業が手掛け、法人を顧客として開発を進め、完成後の保守・点検も担います。
IT業界に向いているのは、自発的に勉強に取り組める人です。ITを取り巻く環境はスピーディーに変化しているため、新しい情報を自らキャッチアップしていく姿勢が欠かせないからです。
なお、いわゆる「多重下請け構造」と呼ばれる業界体質ゆえに、場合によっては低賃金・重労働で働かざるを得ない可能性もあります。特にシステム開発の末端を担っている零細企業は残業が多い傾向にあるため、企業選びの際には注意が必要です。
IT業界(※)の平均年収は433万円です。男女別の内訳で見ると、男性は460万円、女性は379万円となっています。
※「IT/通信業界」の平均年収を参照
業界2:飲食業界
飲食業界では、次の4つの仕事に関わることが多いです。
- 研究開発
- 販売促進
- 店舗開発
- 店舗スタッフ
研究開発では、お客様に提供する商品や、レシピの開発・研究を主に手掛けます。
販売促進は、店舗内の売上向上を目指す仕事です。キャンペーンを企画したり、ポスターなどの販促物を作成したりする一方で、エリアマネージャーとして各地域の店舗を統括する役割を任される社員もいます。
店舗開発では、主に新規出店に向けた施策に取り組みます。お店の立地は飲食業界では特に大切な要素とされているため、競合他社を調査しつつ、綿密な立地戦略を練ることが求められます。
店舗スタッフとは、その名の通り店舗内のスタッフ業務を担う仕事です。具体的には、アルバイトやパートの勤怠を管理したり、売上計画を練ったりと、正社員の場合には店長として働くケースが一般的です。
飲食業界には上記のように多くの仕事がありますが、「さまざまな人と接する仕事」という点は共通しています。そのため人と関わるのが好きで、相手と良好な関係を築けるコミュニケーション力に自信がある人に向いている仕事といえるでしょう。
一方で、飲食業界は他の業界に比べると休日が少ない傾向にあります。そして労働時間が長く、有給消化率も低い企業が多いため、場合によっては仕事一色の忙しい毎日を送る可能性がある点には注意しましょう。
平均年収は351万円です(※)。男性386万円、女性310万円となっており、男女ともに業界内で最も低い年収となっています。
※「小売/外食」の平均年収を参照
業界3:運輸業界/製造業界
運輸業界・製造業界は、それぞれ次のような仕事を行うことが多いです。
運輸業界:一般客や貨物などの運搬・物流企画
製造業界:製品の企画・販売、材料や部品の加工・製造
具体的な仕事内容を見ていくと、運輸業界ではドライバーや、商品の保管などを仕事として行う社員が多く、企業を対象とした物流システムの提案・構築を担う社員も少なくありません。
製造業界にもさまざまな仕事がありますが、たとえば本社では、主に製品の開発段階から携わる「企画・研究職」や、製品の販売を手掛ける「販売職」、さらには生産の管理を担う社員などが働いています。工場内で働く社員も多く、加工や組立て、検品といった作業に携わるケースもありますが、正社員の場合には工場内のアルバイトスタッフなどを管理する役割を求められることが一般的です。
製造業は細かな作業の連続となる仕事が多いため、集中力が高い人に向いています。注意点としては、特に工場内勤務の場合には危険と隣り合わせということです。そのため細心の注意を払って仕事に取り組む必要があります。
製造業はお客様、または大切な貨物を目的地まで届ける仕事のため、責任感の強い人に向いています。ちなみにドライバーは1人で黙々と仕事をしたい人に適性がある仕事ですが、早朝からの出勤や、場合によっては長距離運転を求められることもあるなど、体力仕事の一面があることは注意点として押さえておきましょう。
運輸業、製造業の平均年収はそれぞれ次のとおりです。
運輸業(※1):388万円(男性415万円/女性342万円)
製造業(※2):455万円(男性489万円/女性371万円)
※1:「陸運/鉄道/海運/航空」の平均年収を参照
※2:「メーカー」の平均年収を参照
高校卒業後にフリーターになる3つメリット
高校卒業後にフリーターとして働くメリットとしては、次の3つが挙げられます。
- 人間関係のストレスを感じない
- 働いただけ稼げる
- 働く時間など自由が利く
では、それぞれについて見ていきましょう。
メリット1:人間関係のストレスを感じない
1つめのメリットは、人間関係のストレスをそこまで感じずに済むことです。
たとえば会社で正社員として働くと、上司や先輩といった社内の人だけでなく、社外の人と交流する機会も多いものです。必然的にさまざまな人と接することになるため、自分の性格とはどうしても合わない人とも仕事をしなければいけません。
一方でフリーターの場合、勤務先のスタッフとのやり取りは生じるものの、関係性としては狭いため、正社員ほどストレスを感じずに働けることも多いのです。
メリット2:働いただけ稼げる
2つめのメリットは、働いただけ稼げることです。
たとえば正社員の場合、基本的には毎月支払われる給料は固定です。どれだけ成果を上げても給料に反映されないこともあり、インセンティブ(追加の報酬)が発生するような仕事でもない限り、給料の上乗せはそこまで期待できません。
一方でフリーターの場合、働く気持ちさえあれば、複数の勤務先を掛け持ちするなども可能です。時給こそ正社員と比べると低いですが、そのぶん勤務時間を増やせばある程度の額は稼げるため、「働いた時間に見合う給料をしっかり手にしたい」と考える人にとっては特に大きなメリットといえるでしょう。
メリット3:働く時間など自由が利く
3つめのメリットとしては、働く時間などの融通が利きやすいことです。
正社員の場合には、基本的には出勤時間が定められています。たとえば13:00~16:00までは必ず働き、それ以外の出勤時間は社員に任せる「フレックス制」を採用する会社も増えてはいますが、それでも勤務時間の全てを社員の裁量だけで決められる会社はほぼありません。
一方でフリーターの場合には、個人の予定に合わせてシフトを提出できます。夕方以降は趣味の時間にあてたいので早朝から働く、または朝が弱いので夕方~深夜にかけてシフトを入れるなど、このように自分の希望するスタイルに合わせた働き方を実現しやすいのはフリーターだからこそのメリットといえるでしょう。
高校卒業後にフリーターになる3つデメリット
高校卒業後にフリーターとして働くデメリットは、次の3つです。
- 収入に差が出る
- 雇用が不安定である
- 休んだら収入が減る
では、それぞれについて解説します。
デメリット1:収入に差が出る
1つめのデメリットは、収入の差が広がってしまうことです。
たとえば大卒と高卒を比べた場合、一般には正社員として同じ仕事をしていても、給料に差が出ることがあります。結果として生涯年収に大きな差が出てしまうケースも見られますが、フリーターとして働く場合にはこうした差がさらに広がってしまうのです。
ちなみに生涯年収の差は、老後の暮らしに直結します。高卒でフリーターを続けた場合には、毎月の年金が払えないために支給される年金が減ってしまったり、少ない年金では暮らしていけないために高齢になっても働かざるを得なかったりと、こうした末路が待っている可能性が高いのです。
デメリット2:雇用が不安定である
2つめのデメリットは、雇用が不安定なことです。
特別な事情がない限り、会社としては正社員をクビにすることはまず不可能です。しかしアルバイトやパートは「非正規」の社員ということもあり、会社の業績悪化などに伴って職を追われてしまうケースは珍しくありません。
雇用の不安定さは、給料が急に減ってしまう不安はもちろん、「いつクビになるか分からない……」といった点で精神的な不安定さも引き起こします。そうした意味で、フリーターは安定とはほど遠い働き方ともいえるのです。
デメリット3:休んだら収入が減る
3つめのデメリットは、休んだ場合に収入が減ってしまうことです。
当然といえば当然ですが、フリーターは勤務したぶんだけ給料が手に入ります。これは「働けば働くだけ稼げる」といった点でメリットともいえますが、一方で体調を崩してしまったり、入院したりした場合には収入が大きく減ってしまうことも意味します。
一時的ならまだしも、休職期間が数か月にわたってしまうと生活に与える影響は大きく、場合によっては病気の体にムチ打って働く、または借金をして切り抜けるなど、辛い日々を送らざるを得ない可能性もあるのです。
フリーターはきつい、将来に焦りを感じている人は、こちらの記事も参考にしてください。
高校卒業後にフリーターになった人の仕事の探し方
高校卒業後にフリーターとして働く人の中には、安定性や将来のことを考え、正社員として働くことを希望する人も多いでしょう。こうした人は、次の方法で仕事を探してみることをおすすめします。
- ハローワークの利用
- 就職サイトの利用
- 就職エージェントの利用
それぞれのサービス内容、そして利用対象者についてもお伝えしますので参考にしてみてください。
探し方1:ハローワークの利用
ハローワークは、厚生労働省が運営する機関です。各都道府県にいくつか設置されており、求人の検索や応募、さらには就職活動に関わる相談や、書類の添削・模擬面接といった選考対策を受けられることもあります。
利用の対象者は特に定められていませんが、中小企業の求人が多いので、こうした企業への入社を考えている人は多くの求人に出会える可能性があるでしょう。
探し方2:就職サイトの利用
就職サイトとは、求人を検索できるWebサイトのことです。自分で求人を見つけ出し、気になる企業があればサイト上から応募できます。「職務経歴書の書き方」や「面接マナー」などの情報が掲載されているサイトも少なくありません。
就職サイトの利用者も特に定められていませんが、特にサポートはつかないので、自分ひとりでマイペースに就職活動を進めたい人に向いている方法といえるでしょう。
探し方3:就職エージェントの利用
就職エージェントとは、専任のキャリアアドバイザーが就職活動をサポートしてくれるサービスです。主に次のようなサービスを無料で受けられます。
- キャリアアドバイザーとの面談
- 希望条件にマッチする求人の紹介
- 応募手続きの代行や面接日程の調整
- 書類や面接などの選考対策
このように就職エージェントではさまざまな支援を受けられるため、特に就職活動がはじめての人に向いています。エージェントによっては「10代・20代のフリーター」の支援を専門としていたり、「営業職」「事務職」など職種ごとに特化した求人を扱っていたりするため、自分がそのエージェントの利用対象者に当てはまるか?についてあらかじめチェックしたうえで利用することをおすすめします。
まとめ
高校卒業後にフリーターとして働く人の割合と共に、そのメリット・デメリットについて解説してきました。
高卒でフリーターとして働く人は約41%、一方で正社員として働く人は約49%と、正社員として働く人のほうが割合としては多くなっています。特に今回紹介した「IT業界」「飲食業界」「運輸業界/製造業界」は、学歴問わず、未経験からでも採用している企業が多いため、フリーターからの正社員就職は決して夢ではありません。
自由に働けるのはフリーターの大きな魅力ですが、正社員就職を早めに果たしておくことが、生活面、そして精神面に大きな安心感を与えるのも事実です。ぜひ、就職に向けて行動を起こしていきましょう。
「高卒 卒業後 フリーター」によくある質問
「高校卒業後のフリーターは半分以下」の章で解説している通り、高卒者の「35.4%」がフリーターとして働く道を選んでいます。他の学歴の人の割合も紹介していますので参考にしてください。
高校卒業後にフリーターとして働く人の中には、安定性や将来のことを考え、正社員として働くことを希望する人も多いでしょう。おすすめの仕事探しの方法を「高校卒業後にフリーターになった人の仕事の探し方」の章でご紹介します。