「中小企業と大企業の違いを知りたい」と思っていませんか?
大企業と比べると、中小企業はどうしてもマイナス面ばかりがクローズアップされがちですが、実は大企業を上回る「良さ」もあります。大企業並みの安定感や、給料の高さを誇る中小企業も日本には多いので、企業選びを間違わなければ安心して長く働き続けることも可能です。
この記事では、中小企業と大企業の違いを9つのポイントに分けてお伝えすると共に、優良中小企業の探し方も具体的にお伝えします。安心して長く働ける中小企業を探している方は、ぜひ最後までお読みください。
この記事の目次
中小企業とは?簡単に定義を解説
一般に、中小企業とは次のような企業を指します。小規模企業の定義も示しますので、あわせて確認してみましょう。
▼中小企業の定義
業種 | ①資本金の額または出資の総額 | ②(常時使用する)従業員の数 |
製造業その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5千万円以下 | 100人以下 |
※①か②のどちらかを満たしていることが条件
▼小規模企業の定義
業種 | 従業員の数 |
製造業その他 | 20人以下 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
上記の表を踏まえ、次の3点について解説します。
- 中小企業はどこからの規模を指すのか
- 中小企業の人数
- 中小企業の数
では、それぞれについて見ていきましょう。
中小企業はどこからの規模を指すのか
中小企業の1つの基準とされるのが、「資本金(出資)」です。
資本金とは、企業設立時などに株主から払い込まれた資金のことで、企業活動のあらゆる場面で使用されます。自分でお金を出資することもありますが、いずれにせよ、これらの額が小さい企業が一般に「中小企業」と呼ばれます。
たとえば製造業のトップ企業ともいえる「トヨタ」の資本金は、3,970億5千万円です(2014年5月現在)。これだけの額のお金があれば、工場を作れたり、研究費用に多額の費用をかけられたりしますが、一方で先ほどの表で「製造業その他」の箇所を見ると、中小企業の資本金(出資金)の基準は「3億円以下」となっています。
3億円と聞くと大きな額に思えるかもしれませんが、トヨタのような大企業と比べると額は小さく、企業活動に大きな費用はかけられません。結果として展開できる事業が小さくなってしまうこともあり、“規模が大きくない企業”として「中小企業」と呼ばれるのです。
中小企業の人数
中小企業の基準としてもう1つ挙げられるのが、従業員数です。
たとえばトヨタの従業員数は約34万人ですが、先ほどの表で「製造業その他」の箇所を見ると、中小企業の従業員数は「300人以下」となっています。トヨタの34万人は大企業のなかでもトップクラスに多い数ですが、そこまでの規模でなくても、数千人規模の従業員がいればそれだけ大きな事業を展開できます。
しかし「300人以下」の場合には、なかなか大きな事業を手がけられません。結果として特定の地域内だけでしか活動ができないなど、規模が比較的小さな事業を行わざるを得ないため、こうした企業は「中小企業」と定義されているのです。
中小企業の数
中小企業庁の調べによると、全国の中小企業小規模事業者の総数は「約357.8万者」です。これは、全企業の99.7%にのぼります。一方で大企業は「約1.1万者」で、全体の0.3%にしか過ぎません。
上記のデータから分かるように、日本では中小企業がほぼ100%を占めているのです。
参考:「中小企業庁|中小企業小規模事業者の数(2016年6月時点)の集計結果」を公表します
中小企業と大企業の9つの違い
中小企業と大企業には、9つの違いがあります。
- 1、給与
- 2、社会的な信用度
- 3、事業の安定度
- 4、仕事が進むスピード
- 5、仕事の裁量権
- 6、社風
- 7、教育制度
- 8、転勤の多さ
- 9、出世のしやすさ
一般的な違い(良さ)を「〇/△」で示した表が、以下のとおりです。
大企業 | 中小企業 | |
給与 | 〇 | △ |
社会的な信用度 | 〇 | △ |
事業の安定度 | 〇 | △ |
仕事が進むスピード | △(遅い) | 〇(速い) |
仕事の裁量権 | △(少ない) | 〇(大きい) |
社風 | ドライ | アットホーム |
教育制度 | 〇 | △ |
転勤の多さ | 多い | 少ない |
出世のしやすさ | △(出世しにくい) | 〇(出世しやすい) |
〇:良い/△:いまいち
では、それぞれの違いを具体的に解説します。中小企業については次の記事でも解説していますので、あわせて確認してみてください。
1、給与
給与面については、次の2つのポイントから比較していきます。
- 中小企業の平均年収
- 中小企業の退職金は少ない
では、それぞれについて見ていきましょう。
中小企業の平均年収
大企業と中小企業(中企業/小企業)の平均年収を男女別に比較した結果は、次のとおりです。
男性 | 女性 | |
大企業 | 約582万円 | 約346万円 |
中企業 | 約503万円 | 約338万円 |
小企業 | 約418万円 | 約302万円 |
参考:厚生労働省|令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況(企業規模別)
たとえば大企業(男性)の年収は、中企業と比べると約80万円、小企業と比べると約160万円高くなっています。女性は比較的差がありませんが、いずれにせよ、年収面では大企業が有利ということは間違いないでしょう。
中小企業の退職金は少ない
大企業と中小企業の「退職金」を学歴別に比較すると、次のとおりです。
退職金(平均) | 大企業 | 中小企業 |
大卒 | 2,289万5,000円 | 1,118万9,000円 |
高卒 | 1,858万9,000円 | 1,031万4,000円 |
参考:りそな銀行|退職金の相場はどれくらい?大企業・中小企業、業種、勤続年数による違いも解説
たとえば大企業(大卒)と、中小企業(高卒)の退職金を比べると、およそ1,200万円近い差があります。退職金の額は全体的にみると減ってきているとは言え、それでもおよそ2,000万円近い退職金が手に入る可能性がある点は、大企業ならではの大きな魅力といえそうです。
2、社会的な信用度
社会的な信用度という点でも、大企業が一歩リードしています。
たとえば一軒家や自動車を購入する際はローンを組むことが一般的ですが、こうしたとき、大企業に勤めている人の場合には「信用が高い」として、ローンの審査がすんなりと通ることがあります。
一方で中小企業の場合、大企業に比べると企業名自体はあまり知られていないケースも少なくなく、「倒産などのリスクが高い」と判断されることがあるため、ローンの審査がなかなか下りない、といったことも珍しくないのです。
3、事業の安定度
事業の安定度、という点でも大企業に分(ぶ)があります。
大企業は一般に多額の資金を投資できるため、特定の市場でトップのシェアを誇っている、というケースが多いものです。そのため多少売上が落ちてもすぐに倒産、という事態に直面することはなく、さらには何かあった場合に備え、資金(キャッシュ)を潤沢に持っている会社も少なくありません。
一方、中小企業のなかには大企業のから仕事を受注して成り立っている企業もあり、大企業の業績が崩れるとその影響をダイレクトに受けてしまいます。場合によっては契約を打ち切られる可能性もあり、さらには資金に余裕もない企業も多いので、事業の安定性という面では大企業にどうしても劣ってしまうのです。
4、仕事が進むスピード
企業にもよりますが、一般に中小企業のほうが仕事が進むスピードは早い傾向にあります。なぜなら、上長の承諾をすぐに取れるからです。
そもそも中小企業は社員数が少ないため、一般社員と、上司や社長との距離が近い、という特徴があります。そのため「何か新しいことをしたい」と考えた場合に、上長の許可さえ取れればすぐに行動に移せる、といったことも多いのです。
一方で大企業は社員数が多いこともあり、何回も稟議(りんぎ)を通し、やっとのことでプロジェクトがスタートするといったことも多く、仕事のスピードは遅めです。結果として、試行錯誤をスピーディーに何度も繰り返すことのできる中小企業では世の中を変えるようなビジネスが生まれやすいのに対し、大企業ではなかなか新規事業が育たない、といった状況も生まれているのです。
5、仕事の裁量権
仕事の裁量権という点では、中小企業のほうが「裁量権が大きい」と言えるでしょう。そもそも裁量権とは「自分の考えで行動できる権利」のことで、裁量権が大きいほど、自分が考えたことをすぐさま行動に移せます。
中小企業は社員数が少ないので、社員1人に任される仕事量が多い傾向にあります。新設部署などの場合、自分と上司の2人だけといったケースも珍しくなく、仕事のマニュアルも明確に決められていないことも多いことから、ある意味「自由」に仕事ができる、といった特徴があります。
一方、大企業は1つの部署に数十人~数百人が働いていることも多く、仕事が細かく細分化されていることがほとんどです。この場合、自分が与えられた仕事だけを担当すればよく、それ以外の仕事をするのは難しいことも少なくありません。淡々と働きたい人には何も問題ありませんが、若いころは「早く成長したい!」と考える人も多いので、仕事が退屈に感じてしまうかもしれません。
6、社風
社風という点でみると、企業によりますが、一般に大企業は「ドライ」、中小企業は「アットホーム」といった傾向が見て取れます。
たとえば大企業の場合、社員個人の仕事量がある程度決まっているので、自分の仕事だけをこなせば、個人の評価が落ちることはまずありません。また、大企業は新卒からベテランになっても勤め続ける人も多いため、お互い長い付き合いになることから、社員同士に一定の距離感が保たれていることもあります。
一方で中小企業は、社員同士、または上司や社長との距離が近いことが大きな特徴です。1人で多くの仕事をこなす必要もあるため、他の社員に協力を仰ぐことも多く、こうした点から、必然的にアットホームな雰囲気が生まれやすいのです。中小企業は転職者も大企業に比べて多く、一定期間その企業に所属して転職、という選択をする人もいて、ある意味しがらみが少ない面もあります。
7、教育制度
教育制度で比べると、大企業のほうが中小企業よりも整っています。
たとえば大企業の多くが1~2ヶ月をかけてびっちりと新入社員研修を行っているのに対し、中小企業では1週間ほどで研修を切り上げ、「あとは実際に仕事をするなかで覚えてね」といったスタンスの企業も少なくありません。
こうした違いは、研修にかけられる費用の違い、そして社員数の多さが要因といえます。特に中小企業には人手不足が深刻な企業が多いため、「早く即戦力となって働いてほしい」と考えることが多く、そのため研修はそこそこに、いわゆる「OJT(※)」というかたちで仕事を覚えさせる傾向が強いのです。
※OJT:実際の仕事を通じて部下や後輩を指導し、知識やスキルなどを身につけさせる教育方法のこと
8、転勤の多さ
業界によって異なりますが、大企業のほうが転勤が多く、中小企業のほうが少ない、といった違いもあります。
たとえば製造業の大企業の場合、全国、あるいは海外に工場を持っています。そして、その工場内で働く技術者の管理や、営業として地方の販売店とやり取りなどをする要員として、数年に一度、各拠点を転々としながら働くことが一般的です。また、総合職の場合はジョブローテーションとして、キャリア形成の一環で転勤する期間が組まれることも珍しくありません。
一方で中小企業はビジネスの規模が小さいため、特定のエリアでしか活動していないことも多く、転勤があるにしても「関東圏」「関西圏」といった「エリア内」に留まるケースがよく見られます。
9、出世のしやすさ
出世という点では、中小企業のほうが有利です。従業員数が少ないため、同期や先輩後輩に“ライバル”が少ないからです。
一方で、大企業で出世を目指すのは大変です。厳しい選考を潜り抜けた同期数十人~数百人と競争していくことになり、さらには先輩や後輩の数も中小企業の比ではありません。会社の第一線で活躍できるようなポジションを任される人材は、ほぼ入社時点で決まっていたりするケースもあります。必ずしも「仕事をがんばれば大企業のなかで認められ、出世できる」とはいかないのが、難しいところです。
また、大企業の場合は一度「出世ルート」から外れると、そこへ戻ることは至難の業といわれることもあります。一方で、中小企業も管理職などへの昇進ハードルは決して低くはないものの、大企業と比較すればチャンスは多いといえます。
中小企業に新卒で入るのは負け組ではない
就活では大企業を目指す学生が多いことから、絶対に大企業に入社したかったという人からすると、結果として中小企業に入社する自分を「負け組」と感じてしまう人も、もしかしたらいるかもしれません。また、大企業への就職を目指したにもかかわらず内定をもらえなかった人のなかには、中小企業で働くことに対してモチベーションが湧かない人もいるでしょう。
しかし、中小企業に新卒で入社することは「負け組」などではありません。その理由は次のとおりです。
- 日本全体の99%が中小企業だから
- 成長力のある中小企業も多いから
- 個人のスキルが高まりやすいから
たしかに中小企業には、大企業と比べるとデメリットもあります。一方で大企業にはないメリットもあるため、そこまで悲観する必要はありません。
では、それぞれの理由について解説します。
日本全体の99%が中小企業だから
1つめの理由は、日本企業のほぼ100%が中小企業だからです。
中小企業・小規模事業者は、全企業の99.7%を占めています。そのため、仮に中小企業に入社することを「負け組」と呼ぶのであれば、日本で働いているほとんどの人は「負け組」となってしまいますが、もちろんそんなことはありません。
大企業と比べると、中小企業は収入や福利厚生の面では劣ります。しかし、だから苦しい暮らしを強いられるというわけでは決してありません。よほど薄給の企業でない限り、ある程度経済的に安定した生活は十分にできます。
こうした理由からも、新卒で中小企業に入社する人は決して「負け組」というわけではないのです。
成長力のある中小企業も多いから
2つめの理由は、成長力のある中小企業も多く存在するからです。
たとえば、名が知られていないものの、特定のニッチな分野でトップのシェアを誇る中小企業は山ほど見つかります。海外から厚い信頼を受ける製品やサービスを生み出している企業も少なくなく、こうした企業は、実はちょっとやそっとのことでは潰れない「盤石な経営」をしていることが多いものです。
東洋経済新聞社|「成長力があって居心地も良い中小企業」83社のような記事にも、成長力のある中小企業が多く掲載されていますので、ひとつの参考にしてみてください。
個人のスキルが高まりやすいから
3つめの理由は、個人のスキルが高まりやすいからです。
中小企業は社員数が少ないこともあり、社員1人あたりに任される仕事量が多く、裁量権をもって仕事を進めやすい、といった特徴があります。さまざまな仕事を一度に体験できる、といった点もメリットです。
一方で大企業は個人の仕事が厳格に決められており、いわゆる「ルーティン」になりがちで、それだけをやっていても十分な給料がもらえます。そのため人によっては成長実感を得にくく、別の仕事をやってみたいと思っても「大企業を辞めたら、自分の実力では今以上の待遇は受けられない」と考え、転職しないという決断になることも多いのです。
これから先の日本は、転職を繰り返すなかで年収を高めたり、理想の環境を見つけたりしていく、といったことが一般的になるとも言われています。そして転職成功には、「個」としてのスキルや技能が必須です。
そうした点を考えてみても、中小企業の社員はビジネスパーソンとして早く成長できる傾向にあるため、長期的な目線でみると、「個人で勝負していく」という面で、優れたスキルを身につけやすいともいえます。
中小企業に就職する前に確認したいこと
中小企業に新卒で就職することは、そこまで悪いことではないとお伝えしてきました。しかし大企業と比べて企業数が多いからこそ、いわゆる「ブラック企業」が紛れ込んでいる可能性が高い点には注意が必要です。
安心して働ける企業に出会うためにも、応募前、または入社するか決めるタイミングでは次の3つをチェックしておくようにしましょう。
- 離職率
- 社風
- ブラック企業リスト
では、それぞれについてお伝えします。
次の記事では「ブラック企業」の特徴について詳しく解説していますので、企業を選ぶ際の参考にしてみてください。
離職率
中小企業への応募を考える場合には、その企業の「離職率の高さ」を調べましょう。なぜなら離職率が高いということは、社内の環境面などに問題がある可能性が高いからです。
一般に、入社3年後の離職率は「30%」といわれます。それ以上の離職率の会社は働く際のリスクが増すため、たとえば『就職四季報』などの情報誌を使いつつ、そこに記載されている離職率の箇所をチェックしてみることをおすすめします。
社風
企業を調べる際は、その企業の「社風」にも注意しましょう。
同じ業界内といえども、企業にはそれぞれ特徴があります。たとえば「IT業界は落ち着いて働けそう」といったイメージだけで入社すると、意外に体育会系の会社で苦労した、というケースは良くある話です。
快適に、そしてストレスなく働ける環境を見つけるためには、社風に注目することが欠かせません。次のような方法を使いつつ、会社の雰囲気を丁寧に調べていきましょう。
- 就職エージェント
- 口コミサイト
- 社内見学
では、それぞれの方法についてお伝えします。
就職エージェント
就職エージェントとは、就職活動を全面的にサポートしてくれる無料のサービスです。
面談で伝えた希望条件などをもとに企業を紹介してくれることが特徴で、その際、求人票には載ってこないような企業の社風や、社員の特徴などを詳しく教えてくれることもあります。
ちなみに就職エージェントの担当者は企業に実際に足を運んでいるため、その企業の“リアルな雰囲気”を知っています。そうして得た情報をつぶさに教えてくれるので、利用者としては、入社後に感じるギャップを減らせる、といったメリットが手に入るのです。
口コミサイト
口コミサイトとは、企業で実際に働いている社員、または退職した社員の声が分かるWebサイトです。口コミサイトによっては「風通しの良さ」や「女性の働きやすさ」など、企業選びで気になる口コミも多く掲載されています。
そもそも企業が作成する「求人票」には、良いことしか書かれていないこともあります。そのため、求人票に書いてある内容が本当なのか、といった確認の意味で口コミサイトを使うのも賢い方法といえるでしょう。
社内見学
企業によっては、応募前や選考中、または入社前に「社内見学」を行ってくれるところもあります。
たとえばオフィスの雰囲気や、社員の人当たりの良さ、設備の古さ(新しさ)、といったことを肌で感じられると、入社後のイメージを具体的に描けます。働くモチベーションは環境によって大きく変化するので、自分に合った雰囲気の会社で働くためにも、社内見学には積極的に参加してみるようにしましょう。
ブラック企業リスト
ブラック企業リスト(労働基準関係法令違反に係る公表事案)とは、主に労働基準関係法に違反した疑いで送検された企業が一覧で掲載されているリストのことです。厚生労働省が発表している資料のため信頼性が高く、定期的に更新されているので「注意すべき会社」をリアルタイムで知ることができます。
公表されている企業すべてが「ブラック企業」とは言い切れませんが、少しでもリスクを減らしたい場合にはあらかじめ目を通しておくと良いでしょう。
参考:厚生労働省|令和4年4月28日 労働基準関係法令違反に係る公表事案
優良中小企業の探し方
日本の中小企業のなかには、売上が右肩上がりで上がっていたり、特定の製品サービスのシェアを独占していたりする企業があったりと、いわゆる「優良中小企業」と呼ばれる企業が少なくありません。
こうした企業の求人を確認する方法としては、次の5つがおすすめです。
- 就職エージェント
- ハローワーク
- 就職サイト
- 就職四季報(優良中堅企業版)
- 健康経営優良法人リスト
それぞれの方法について、その特徴や、利用が向いている人についてお伝えしますので、会社選びに役立ててみてください。
就職エージェント
多くの就職エージェントは、独自の審査を経て「この会社であれば利用者に紹介できる」と判断した会社の求人しか扱っていません。そのため、入社後の後悔が少ない会社の紹介を受けられる可能性が高いです。
就職エージェントでは、求人の紹介以外にも、応募書類や面接の対策、企業との日程調整や、年収交渉の代行など、さまざまなサービスを無料で受けられます。内定獲得に向けて「就職のプロ」のアドバイザーが伴走してくれるので、ひとりで進める就職活動に不安を抱いている人はぜひ利用してみましょう。
ハローワーク
ハローワークとは、厚生労働省が運営する“職業紹介所”のことです。自分で求人を検索し、応募できることが特徴で、ハローワーク職員に就職の相談ができたり、仕事のスキルを高められる「職業訓練」を受けられたりとサービスが充実しています。
ハローワークには中小企業の求人が多く、優良中小企業の求人も少なくありません。掲載には基本的に審査がないので「ブラック企業」が紛れ込んでいる可能性がある点には注意が必要ですが、膨大な数の求人をチェックできるので、「まずは多くの求人を確認してみたい」という人に向いているサービスといえるでしょう。
就職サイト
就職サイトとは、求人が一覧で掲載されているWebサイトのことです。求人の掲載の前には、確認やスタッフによる企業訪問などが入るため、優良企業に出会いやすいといった特徴があります。
就職サイトは、就職エージェントやハローワークのように、就職について相談できる相手はいません。基本的にはひとりで就職活動を進めていくことになるため、マイペースに活動していきたい人におすすめです。
就職四季報(優良中堅企業版)
優良中小企業を探す場合には、『就職四季報(優良中堅企業版)』を購入してみるのもひとつの手です。地方の優良企業や離職率、有給消化状況などが一目で分かるので、企業の実態を細かく知りたい人におすすめです。
2,000円ほどする本のため出費にはなりますが、就職活動の際に手元に置いておく価値はあります。
健康経営優良法人リスト
健康経営優良法人リストとは、経済産業省が認定した企業が一覧で掲載されているリストのことです。
認定されている企業は、従業員の健康面に対する配慮や、社内環境に対しての取り組みが第三者から評価されている企業のため、安心して入社できます。中小企業に特化したリストも発表されているので、企業選びの一環としてぜひチェックしてみましょう。
参考:健康経営優良法人2022(中小規模法人部門)認定法人一覧
中小企業の求人は、就職エージェントで紹介を受けよう!
中小企業の求人を確認したい場合には、就職エージェントの利用を検討してみてください。
就職エージェントの利用
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- 第二新卒向け
- 20代向け
- 就職未経験に強い
- 女性向け
就職エージェントを利用するときは「このサービスは自分の属性に合っているか」をよく考えて登録しましょう。複数の就職エージェントに登録しても構いません。気になるものがいくつかある人は一通り登録して、利用しながら比較・検討していくのがおすすめです。
エージェントによってサービス内容も異なりますが、一般的には以下のサービスが利用できます。
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- 応募書類の添削
- 個別面談
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支援講座の受講者は、社会人経験が短い人であっても採用したいと考えている優良企業20社と一斉に面接ができる「集団面接会」に参加できます。書類選考なしで、1日に複数の会社と面接ができるため、最短2週間で内定の獲得も可能なシステムです。転職できるか不安な人にも、利用しやすいサービスとなっています。
まずは、就職やキャリアの悩みを相談したいという方でもご利用可能です。
転職エージェントの活用に興味のある人は、ぜひご検討ください。
まとめ
中小企業と大企業の違いを9つのポイントに分けてお伝えしつつ、優良中小企業の探し方についても解説してきました。
「中小企業」と一括りにされてしまうことも多いですが、実際に日本には約357万社もの中小企業が存在し、企業ごとにさまざまな特徴があります。なかには、右肩上がりで成長を続けている中小企業も少なくありません。
記事内で繰り返しお伝えしたように、中小企業への就職は決して「負け組」などではありません。企業選びを間違わなければ、社会人として良いスタートダッシュとなる可能性もあります。今回お伝えした内容を振り返りつつ、安心して長く働ける中小企業を前向きに探していきましょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい