20代のニート状態の方の中には「ニートでも就職できるのかな」と疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
さまざまな理由から、現在ニートの状態になってしまっていても、20代ニートの方が就職をすることは可能です。
この記事では、就活するための準備から就職を成功させるポイントなどについて解説します。就職活動を有利に進めるための取得すべき資格や具体的な方法についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 就職活動では若さが有利に。20代ニートでも就職は可能!
- 20代ニートにおすすめ資格3選は「自動車運転免許」「日商簿記」「プログラミング」
- 20代ニートは「ハローワーク」「求人サイト」「エージェント」を活用しよう!
この記事の目次
20代ニートでも就職は可能
20代のニートでも就職が可能な理由は、若年層はまだ柔軟な成長の余地が大きく、企業がポテンシャルに注目するからです。
若い人材は、経験不足でも新しいスキルを習得する能力が高く、長期間のキャリアを期待できるため、採用対象になります。
そもそも会社は、将来的に会社を背負っていける人材を長期的に育てたいと考えているもの。
そのため「新卒採用」で学生を採用していますが、新卒という形でなくても「20代であれば採用したい」と考えている会社は少なくありません。
しかし、同じニートでも年齢が上がることで就職活動が厳しくなるという現実もあります。
就職活動を成功させるには、20代のうちにアクションを起こしておくことが求められるでしょう。
20代と30代の就職しやすさの違い
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の公表した「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③」によると、1年前に「無業・非家事非通学・無配偶で卒業者」(非求職無業+求職者)であった者の現状は以下のように報告されています。
男性の無職から正社員になった割合 | ||||||
年齢層 | 20-24歳 | 25-29歳 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 |
正社員になった割合 | 20.6% | 22% | 12.5% | 9.8% | 7.9% | 6.1% |
女性の無職から正社員になった割合 | ||||||
年齢層 | 20-24歳 | 25-29歳 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 |
正社員になった割合 | 22.7% | 18.3% | 10.7% | 8.3% | 7.1% | 10.2% |
出典:若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③|独立行政法人 労働政策研究・研修機構
年齢別にみると、正社員になった割合は、男女ともに20代(20歳~24歳・25歳~29歳)がもっとも多いのに対し、30代以上になると10ポイント近くも下がることがわかります。
これは、同じニートの状態でも、20代の方が就職をしやすいということです。
また、1年前と同じ「非求職無業者」である割合も、年齢が上がるにつれて高くなっています。
就職活動を成功させるのであれば、20代のうちに挑戦することがポイントです。
20代ニートの割合
総務省統計局による「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要」では、年代別のニートの割合が以下のように報告されています。
年齢層 | 総人口 | ニートの人口 | ニートの割合 |
---|---|---|---|
15歳~34歳 | 2,458万人 | 59万人 | 2.4% |
35歳~44歳 | 1,488万人 | 37万人 | 2.5% |
日本におけるニート人口は2023年時点で59万人、各年齢階級における若年無業者の人口に占める割合は2.4%です。
20代に限定した数字ではありませんが、この調査では
- 若年無業者数は、2023年平均で前年に比べ2万人の増加となったこと
- 35歳~44歳の無業者数は、前年に比べ1万人の増加となったこと
もあわせて報告されています。
ニートのくわしい割合については「ニートの割合は?割合の推移と年齢別・学歴別のデータを紹介」の記事を参考にしてください。
20代ニートが就活を始める前にできる3つのこと
20代のニートの方が就職活動を始める際には、事前にある程度の準備をしておくことがポイントです。
就活成功のためにどんなことをしておくべきなのか、今すぐに挑戦できる3つの準備をご紹介しましょう。
1. 生活習慣を整える
20代のニートが就職活動に向けてしておきたい準備は、まず生活習慣を整えることです。
規則正しい生活は、体調管理や集中力を高めるだけでなく、面接や職場でのパフォーマンスにも直結します。
長い期間ニートの状態が続いていると、昼夜が逆転していたり、食事の時間が不規則だったりすることも多いはず。
早寝早起きやバランスの取れた食事、適度な運動は、心身の健康を維持し、前向きな姿勢を保つために役立つでしょう。
2. 資格を取得する
20代のニートが就職活動を有利に進めるためには、資格を取得することがおすすめです。資格は、スキルや知識を証明する客観的な指標となり、採用担当者にとっての評価ポイントになります。
特に、未経験の分野に挑戦する際や、競争が激しい業界での就職を目指す場合、資格は他の応募者との差別化につながり、空白期間の理由にもなります。
また、資格取得の過程で得られる学習習慣や達成感は、自己信頼を高め、就職活動へのモチベーションを向上させることができるでしょう。
3. アルバイトで働くことに慣れる
20代のニートの中には「就職活動に自信がない」「ちゃんと働けるか不安」という気持ちの方もいるはずです。
いきなり正社員として働くことに不安があるなら、まずはアルバイトで働くことに慣れてみましょう。
決まった時間に出勤する、新しい仕事を覚える、他人とコミュニケーションを取るなど、仕事に必要なスキルを思い出すきっかけになります。
アルバイトの経験は就活時のアピールポイントにもなるため、興味のある業界や職種で働いてみることがおすすめです。
20代ニートが取得すべき資格
20代の人がニートの状態から就職を目指す場合には、次のような資格を取得するのがおすすめです。
- 普通自動車運転免許
- 日商簿記
- プログラミングの資格
では、それぞれについて解説します。
資格1:普通自動車運転免許
普通自動車運転免許とは、日本の公道で自動車を運転できる免許です。自動車関連の免許はさまざまありますが、普通自動車免許が「免許」と呼ばれることが一般的です。
普通自動車免許は、取得がそこまで難しくない一方で、免許を取得していれば就ける仕事も多く、いわゆる“コスパの良い資格“としておすすめです。具体的には、フード系ドライバーや営業職、介護職などで普通自動車運転免許を活かせます。
資格2:日商簿記
日商簿記とは「お金の動きを記録する手法」に関する知識を測る試験です。難易度別に1~3級まで分かれていて、3級は3ヶ月ほどの勉強時間があれば合格を狙えます。
簿記はどの企業でも使われている手法であるため、簿記1級・2級を取得している人は採用で有利になる傾向にあります。特に事務職、なかでも経理職の募集では簿記を必須としている企業も多いので、こうした職種を目指すなら取得をおすすめします。
資格3:基本情報技術者
基本情報技術者試験は、IT業界での基礎的な知識やスキルを証明する国家資格です。
この資格は、プログラミング、ネットワーク、データベース、セキュリティなど、幅広いIT分野の基礎を網羅しています。
主にITエンジニアやシステム開発者を目指す人にとって重要な資格で、情報処理技術者試験の中でも入門的な位置づけです。
合格することで、IT業界での信頼性を高め、キャリアの第一歩として役立つため、IT関連の仕事に興味のある人にはおすすめの資格です。
資格4:調理師免許
調理師免許は、食品を安全かつ衛生的に調理するための知識や技術を証明する国家資格です。
調理師として働くためには、厚生労働省が認可した調理師養成施設を修了するか、2年以上の実務経験が必要になります。
実務経験とは、飲食業界の調理業務のこと。専門学校へ行かなくても、働きながら資格取得の準備ができるのが特徴です。
この資格を取得することで、飲食店や給食施設などで専門的な調理業務に従事することができ、衛生管理や栄養学の知識を持つプロフェッショナルとしての信頼性が高まるでしょう。
資格5:介護職員初任者研修
介護職員初任者研修とは、介護の基礎的な知識や技術を学ぶための入門資格のことです。
この資格を取得することで、介護施設や訪問介護の現場で、基本的な介護業務に従事することが可能になります。
研修では、高齢者や障がい者に対する身体介護や生活援助、コミュニケーション技術、介護保険制度の基礎を学ばなければいけません。
企業によっては、無資格でも働きながら資格を取得できる支援制度を導入しているケースもあります。
資格6:宅地建物取引士
宅地建物取引士は、通称『宅建』と呼ばれている資格で、不動産取引において重要な役割を果たす国家資格です。
主な業務は、不動産の売買や賃貸に関する契約時に重要事項の説明や契約内容の確認を行い、消費者が適切な判断をできるようサポートすること。
資格を取得するには、国家試験に合格する必要があり、難易度はやや高めです。
不動産業界で働く際には有利になる資格であり、勉強時間を十分に確保できる場合には、おすすめの資格といえるでしょう。
20代ニートが就職を成功させるポイント
20代のニートの方の場合、就職を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
ニートならではのポイントを解説しますので、参考にしてください。
1. 自己分析をする
就活時の自己分析とは、自分の強みや弱み、興味、価値観を理解し、自分に合った職業や企業を見つけるためのプロセスです。
20代のニートの方が自己分析を行う理由は、自分の強みや弱み、興味を把握することで、適切な職種や職場環境を見つけるきっかけになるからです。
自己分析を通じて、自分に合った仕事を明確にし、自信を持って面接に臨むことが可能になります。
自分の価値観や目標を再認識することで、長期的に満足できる仕事を見つける可能性が高まるでしょう。
2. ニート期間を説明できるようにする
20代のニートの方は、面接時にニート期間を説明できるように準備しておくことが大切です。
ニートになった理由は個々で異なりますが、病気やけが、家族の介護などの理由の場合は、状況をしっかりと伝えてください。
仮に、病気の場合でも治癒している・継続して治療をすれば問題がないのであれば、問題ありません。
ニート期間中に自分がどのように人生やキャリアについて考え直したかを話し、今後の就職にどう活かせるかを強調しましょう。
再び働く意欲とどのように貢献できるかを伝え、前向きな姿勢を示すことが大切です。
3. 未経験でも就職しやすい業界を狙う
20代のニートの方が就活で目指す業界は、未経験でも就職しやすいということがポイントです。
未経験でも就職しやすい業界の場合、求めるスキルや経験が比較的少ないため、転職活動のハードルが低いことが特徴です。
未経験者を歓迎する企業では、入社後の研修や教育が充実していることが多く、スムーズに業務に慣れることができる傾向があります。
新しい分野に挑戦することで、自分の強みや興味を発見し、キャリアの幅を広げるチャンスも得られます。
未経験でもポテンシャルを評価してもらえるため、自信を持って挑戦できるでしょう。
20代ニートにおすすめの仕事7選
20代ニートにおすすめの仕事を7つ紹介します。
- IT業界
- 工場勤務
- 清掃業
- 飲食業
- ドライバー
- 介護職
- 不動産業
では、それぞれの仕事について見ていきましょう。
年収参考:厚生労働省|令和2年賃金構造基本統計調査
仕事1:IT業界
IT業界でニートからでも挑戦しやすい仕事としては、次の2つが挙げられます。
- プログラマー
- システムエンジニア(SE)
プログラマーとは、コンピュータを動かすための「プログラミング」を担当する仕事です。「PHP技術者認定試験」「Ruby(ルビー)技術者認定試験」といった試験に合格している人は採用で有利です。
システムエンジニアとは、システムを設計する仕事です。設計書を作成したり、開発チームをまとめたりと、システム開発の先導に立って仕事を行います。「基本情報技術者試験」に合格している場合には採用時に評価されるでしょう。
IT業界に向いているのは、変化に柔軟に対応できる人です。ITの進歩は目覚ましいので、新しい情報を手に入れることが好きな人はやりがいを持って働ける可能性があります。
一方で、残業時間が多い可能性がある点には注意が必要です。IT系の会社には人手不足が深刻な会社が多いため、入社後に忙しく働きたくない場合には会社選びをしっかりと行うようにしましょう。
IT業界の平均年収は、男性528万円、女性434万円です(※)。
※「ソフトウェア作成者」の年収を参照
仕事2:工場勤務
工場勤務の仕事として代表的なのは、ライン作業です。主にベルトコンベアから流れてくる製品を加工・検品する仕事で、機械のオペレーション作業を行うこともあります。
さまざまな工場が存在しますが、自動車工場であれば「自動車整備士」、食品工場などでは「エネルギー管理士」の資格を持っていると活躍できるチャンスがあるでしょう。
工場勤務の仕事は、地道な作業の連続です。そのため、1つのことに集中して取り組み続けられる人に向いています。一方で、働き方には注意が必要です。多くの工場では二交代制や三交代制を採用しているので、場合によっては夜勤に入る可能性があります。
工場勤務の平均年収は、男性443万円、女性313万円です(※)。
※「その他の製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く)」の年収を参照
仕事3:清掃業
清掃業は、主に建物の清掃作業を行う仕事です。オフィスの窓ふきや、トイレ清掃などがメインで、特に難しい業務はないため初心者でも取り組めます。「ビルクリーニング技能士」や「普通自動車免許」を持っている場合には、より多くの求人に出会えるでしょう。
清掃業は、細かい仕事が得意な人に向いています。常に立ち仕事という一面もあるため、体力面や健康面で不安が残る人は慎重に仕事を選びましょう。
清掃業の平均年収は、男性299万円、女性231万円です(※)。
※「ビル・建物清掃員」の年収を参照
仕事4:飲食業
飲食業とは、主に飲食店のスタッフとして働く仕事です。
未経験の場合、仕事内容としては接客や調理がメインです。そのため「レストランサービス技能士」や「調理師」など、飲食の現場で活かせる資格を保有している人は重宝される傾向にあります。
飲食業は、コミュニケーションを取ることが好きな人に向いています。お客様と接する時間が長く、社員やアルバイトスタッフと店舗内で過ごす時間も長いので、協調性を持って働ける人にもおすすめです。なお店舗によっては残業が多く、休日が取りにくい、といった現状もあるので注意しましょう。
飲食業の平均年収は、男性380万円、女性269万円です(※)。
※「飲食物給仕従事者」の年収を参照
仕事5:ドライバー
ドライバーは、貨物やお客様を目的地まで運ぶ仕事です。
普通自動車免許を持っていることは最低条件ですが、それ以外に「中型自動車免許」や「準中型自動車免許」を持っていると選択できる仕事の幅が広がります。
ドライバーの魅力は、自分1人の時間を確保しやすいことです。単独行動がほとんどのため、1人で仕事を進めていきたい人に向いています。一方で、たとえば大型トラックの場合には早朝からの勤務や、長距離運転の必要もあるなど、生活リズムが崩れやすい点には注意が必要です。
ドライバーの平均年収は、男性394万円、女性299万円です(※)。
※「自家用貨物自動車運転者」の年収を参照
仕事6:介護業
介護業界は、未経験者でも比較的入りやすい業界の一つです。
高齢化社会が進む中で、介護の需要は増加しており、安定した職場環境が提供されています。
介護業界は、経験やスキルよりも人柄やコミュニケーション能力を重視する傾向があり、初めての仕事でも適応しやすいでしょう。
また、介護職は研修や資格取得の支援が充実しており、スキルを身につけながら働くことができることも特徴です。社会貢献度も高く、自分の成長とともにやりがいを感じられる職業です。
介護業界の平均年収は、男性428万円、女性327万円です(※)。
※厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」の医療・福祉業界を参照
仕事7:不動産業
不動産業界は、未経験者でも比較的入職しやすい職場が多いため、ニートの人にとっておすすめの業界です。
多くの企業が研修やOJTを通じて必要なスキルを教えてくれるため、特に業界知識がなくてもOKの場合が多いです。
また、不動産は社会の基本的なニーズに関わるため、安定した職業といえます。
成果に応じた報酬制度があるケースも多く、努力次第で高収入を得る可能性もあるでしょう。
宅建などの資格を取得すれば、さらにキャリアの幅を広げることができます。
不動産業界の平均年収は、男性452万円、女性331万円です(※)。
※厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」の不動産業・物品賃貸業を参照
20代ニートが就職する方法
20代のニートが就職を目指す方法を3つ紹介します。
- ハローワークを利用する
- 就職サイトを利用する
- 就職エージェントを利用する
これらの方法は、すべて無料で利用できます。それぞれの特徴について紹介しますので、自分にぴったりな方法を見つけましょう。
1. ハローワークを利用する
ハローワークとは、国が運営する“職業紹介所”のことです。ハローワーク内、または専用のWebサイトから全国の求人を検索でき、履歴書の書き方や、ビジネスマナーなどを学べる就職セミナーにも無料で参加できます。
ハローワークは、基本的には誰でも利用可能です。現在働いていない人でも問題なく使えるので、仕事探しの一歩目として利用してみると良いでしょう。
2. 就職サイトを利用する
就職サイトとは、求人が掲載されているWebサイトのことです。自分で求人を検索し、サイト内で応募まで進められることが特徴で、「適職診断」などの無料ツールが充実しているサイトも少なくありません。
ほとんどの就職サイトは誰でも利用できます。なお、就職サイトごとに求人数の多さ、または対象とする年齢などが異なるため、自分が利用対象者に当てはまるかはあらかじめチェックしておきましょう。
3. 就職エージェントを利用する
就職エージェントとは、就職活動を無料でサポートしてくれるサービスです。具体的には、次のような支援を無料で受けられます。
- 企業の紹介
- 応募書類の添削
- 面接アドバイス
- 企業との面接日程の調整
- 年収交渉
就職エージェントの利用者も特に制限はありませんが、就職エージェントごとに得意な領域は異なります。
20代ニートの場合には、ジェイックが運営する就職エージェントなど、ニートの就職支援に特化した就職エージェントの利用がおすすめです。
ジェイックが紹介する求人は、正社員のみです。ニートから就職成功を果たした方も多く、入社後もイキイキと働き続けている方も多いので、少しでも興味があればまずはお気軽にご相談にお越しください。
まとめ
20代のニートが就職成功を目指すうえで知っておきたい情報をお伝えしてきました。
「ニートの末路」についてもお伝えしましたが、将来に対して過度に悲観的になる必要はありません。20代はまだ若いですし、過去ではなく、未来の可能性に目を向けてくれる企業も多く存在するからです。
今回お伝えした資格や仕事について参考にしていただきつつ、就職サービスなどを利用することで、未来の安定を手に入れていきましょう。