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通信制高校はやめとけと言われる理由4選!やめた方がよいか検証

「通信制高校はやめとけ」と言われる理由4選!後悔しないためにやるべきこととは

通信制高校やめとけと言われる理由は?」「就職に不利って聞いたけど、本当なの?」と不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、通信制高校はやめとけと言われる理由やリアルな口コミ、通信制高校に通うメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。また通信制高校への転入を後悔しないために考えるべきことや卒業後の進路を有利にする方法も紹介しています。

通信制高校への入学を検討している方はぜひ参考にしてください。

通信制高校やめとけと言われる理由

「通信制高校はやめとけ」と言われる4つの理由

それでは、「通信制高校はやめとけ」と言われる理由を6つ紹介します。

  • 大学進学率が低く後悔する
  • 通信制高校は就職が不利になる
  • 学費が高い
  • 将来の転職活動にも悪影響がある
  • 通信制高校というだけで偏見の目で見られる
  • 通信制高校は甘えだといわれる

順番に、詳しく見ていきましょう。

大学進学率が低く後悔する

最初にご紹介するのは、「通信制高校に行くと大学進学率が低くなり、後悔する人もいるから」という理由です。

文部科学省の「高等学校通信教育の現状について」という調査によると、通信制高校卒業後の状況(令和元年度間)は、以下のようになっています。

通信制家庭の卒業後の状況

参考:文部科学省/高等学校通信教育の現状について(p.15)

ここから、全日制・通信制(公立)・通信制(私立)の「大学進学率」を比較してみましょう。

 大学等進学者就職者
全日制56.5%17.2%
通信制(公立)11.7%26.9%
通信制(私立)18.5%22.5%

全日制の56.5%に比べると、通信制高校は公立で11.7%、私立で18.5%となり、大学進学率はかなり低い割合であることがわかります。

高校進学の前の段階で大学進学も視野に入れているのであれば、通信制高校への進学はどちらかといえば不利な環境といえるでしょう。

通信制高校は就職が不利になる

「卒業後の就職が不利になるから、通信制高校はやめとけ」という声があるようですが、実際は決してそのようなことはありません。

先ほどと同じ表で見てみましょう。

 大学等進学者就職者
全日制56.5%17.2%
通信制(公立)11.7%26.9%
通信制(私立)18.5%22.5%

高校卒業後の就職者の割合は、全日制の17.2%よりも、通信制高校は公立で26.9%、私立で22.5%です。

通信制高校には「就職することを目的とした専門コース」を選択し、卒業後はすぐに就職を目指している人も多くいます。また、働きながら高校卒業資格を取得するために通信制高校を選択した生徒もいます。

目指したい業界や職種にもよりますが、高校卒業後すぐに就職を希望するのであれば「通信制はやめとけ」という根拠にはならないでしょう。

学費が高い

「学費が高いから、通信制高校はやめとけ」というのも、誤った情報です。

まず、全日制と通信制の学費を比較した場合、全日制の方がトータルでかかる費用は高額になります。これは全日制の場合は「制服などの諸費用」「通学にかかる交通費」「修学旅行の費用」などが必要となるからです。

文部科学省が令和3年に行った調査では、「全日制高校の学校教育費(年額)」は以下の金額になっています。

全日制(公立)309,261円
全日制(私立)750,362円

同調査によれば、さらに学校外活動費を加算すれば、公立で約51万円、私立で約105万円かかることになります。

参考:文部科学省/「子供の学費調査 結果の概要(令和3年度)」

続いて、通信制高校の初年度の学費はこちらになります。

通信制(公立)3~6万円程度
通信制(私立)15~30万円程度

参考:みんなの通信制高校ナビ「通信制高校の学費平均は?実は全日制高校よりお得!」

上記データから、「学費が高いから、通信制高校はやめとけ」は根拠のない言説であることがわかります。

将来の転職活動にも悪影響がある

先ほどの「就職に不利」という声とは異なり、これは「高卒でいったん就職してから、他の会社に転職する」場合の影響についてです。

通信制高校を卒業した後の就職先は、おそらく「通信制高校卒」という学歴が応募の条件に抵触しない求人であることがほとんどでしょう。

しかし、いったん就職してから他の仕事に転職する際に、求人の応募条件にあてはまらなかったり、全日制卒や大卒の応募者がライバルになるケースもあります。

ただ、「通信制高校で身につけた専門知識やスキル」や「これまで勤務した職場での経験や実績」が評価される企業への転職を目指せば、解決できる問題でしょう。

通信制高校というだけで偏見の目で見られる

これは、かなり古い価値観からくる理由です。「偏見の目で見られる」という考え方自体が、現代では「偏った見方そのもの」言えます。

たしかに、以前は通信制高校に対して「全日制高校に通えない人の受け皿」と捉えられている時代もありました。今でも一部には、そうした考え方を持つ人もいるでしょう。

しかし、少子化の進行に伴い、全国で閉校する全日制高校が相次いでいます。

一方で、1990年台からのIT技術の普及や、最近ではコロナ禍によるリモートワーク・リモート授業の急激な浸透により、「通信制高校は、むしろ先に進んでいる教育方法」という見解もあります

N高等学校や、クラーク記念国際高等学校など、高い人気や知名度を誇る通信制高校も増えてきました。

文部科学省の「高等学校通信教育の現状について」という調査によれば、全日制高校は学校数および生徒数が減少傾向にありますが、通信制高校の学校数と生徒数は大きく増加しています。

高等学校の学校数(公私別推移)
高等学校の生徒数(公私別推移)

参考:文部科学省/高等学校通信教育の現状について(p.4,6)

特に私立の通信制高校では、独自のカリキュラムや専門コースを設置し、一般的な高校教育に留まらない学習ができる学校もあります。こうしたことから、あえて通信制高校を選ぶ学生が増えています。今では「この通信制高校だからできること・得られるもの」を求めて入学する学生も多くいます。

通信制高校は甘えだといわれる

「通信制高校に行くのは、甘えている」という根性論のような考え方も、かなり前時代的なものと言えます。

通信制高校では、1990年頃から入学者数が増加に転じました。実はこの時期から、いじめなどの原因から不登校になった生徒や、学習障害・発達障害児が、学習を継続する手段として通信制高校を活用するようになりました。

この時期より前にも不登校や発達障害の問題はありましたが、無理をして全日制高校に通い続けるケースが多く、引きこもりやうつ病などのより深刻な状況になってしまう人もいました。その後、通信制高校の数が増加し、全日制に通うことに悩みのある生徒にとって有効な進路のひとつとして選択されるようになりました。そうした情報がマスコミ報道や近年ではSNSなどで広く共有された結果、現在では高校生の約20人にひとりが通信制高校を利用しています。

「自分の心身の健康を守ること」や「より有益と思われる学習方法を、自由に選択する」のは、「甘え」ではありません。「通信制高校は甘え」という論調には、耳を貸す必要はありません。

通信制高校はやめたほうが良いのか

ここまで、「通信制高校はやめとけ」と言われる理由を6つ紹介してきましたが、なかには根拠が無いものや、まったくの誤りであるものも見られました。

あらためて、「通信制高校は、やめておいた方がいいのか」について考えてみましょう。

現在の状況などによって変わる

「通信制高校は、進路として選ばない方が良いのか」は、当然ですがその人の状況によります。

何らかの理由で全日制高校に通うことが困難であるケースや、全日制高校には無いカリキュラムや学習スタイルを求めるケースでは、通信制高校は有効な選択肢になるでしょう。

逆に、全日制だからこそ学べる内容や実技のカリキュラム、部活動などの学習外活動、日々多くの友人と接したいタイプの人は、全日制に魅力を感じるでしょう。

これは「あなたが高等学校、高校生活に求めるものは何か」によって決まると言えるでしょう。

通信制高校に通うメリット

それでは、通信制高校に通うメリットについてご紹介します。

勉強とアルバイトの両立がしやすい

通信制高校の大きなメリットは、「自分のペースで勉強ができる」ことです。

家庭の事情等からアルバイトで収入を得たい場合、通信制高校は全日制よりも働く時間を捻出しやすくなります。

また、すでに就職しているが高校で勉強したいという方のニーズにも適しています。スクーリング(面接指導。学校に登校し、先生から対面で指導を受けること)は土日に行われるものもありますし、自分のペースで勉強ができます。

ただ、やはり勉強と仕事の両立は簡単なものではありませんので、「継続する意思」と「継続するための工夫」が必要である事には注意しましょう。

学習のスタイルやスケジュールが調整しやすい

通信制高校には、個々人の理解度に合わせて進めてくれる学校も多く、「授業についていけない」とか、逆に「簡単すぎる」というミスマッチが避けられる傾向にあります。

また、最近はスポーツや課外活動に専念するため、通信制高校を選択する人も増えています。通信制高校はスクーリングが多くても週2回、少なければ年に数回程度の場合もあり、高卒資格の取得を目指しながら、自分が行いたい活動のための時間を確保できるからです。

さらには、スポーツ、芸能、eスポーツなどのコースを設置している通信制高校もあります。特定の分野のプロになるための活動を行いながら、同じ志を持つ仲間と出会う機会になるかも知れません。

周りの人との比較や競争によるストレスが減る

全日制高校において「学校の雰囲気や人間関係が合わない」「学習内容や進度が合わない」などの理由から、通信制高校を選択する人もいます。

競争や人間関係によるストレスが過度になっている場合は、人と接する機会や時間が少ない通信制の方が適していると言えるでしょう。

通信制高校に通うデメリット

通信制高校に通うことのデメリットになり得る点についても、ご紹介します。

人とのつながりが減る

これはメリットの裏返しになりますが、全日制に比べて直接的に人と接する機会は限られます。「人と出会い、話すこと」が、あなたの知識や世界を拡げてくれるひとつの方法になることは事実です。通信制では、そこに一定の制約がかかる可能性があることは否めません。

ただ、近年はデジタルツールの進化により、リモートで複数の人とやり取りをすることが可能になりました。通信制高校においても、自分と気が合う人だけではなく、それ以外の人の考え方や意見に触れるチャンスを意識的に持つと良いでしょう。

また、スクーリングの機会を活用して、教師やクラスメイトと直接話す時間を作るのもおすすめです。

卒業後の進路が制限される場合がある

通信制高校に対する偏見が以前よりも薄れてきたとはいえ、まだ旧態依然とした価値観を持つ人々や組織も存在します。

あなたが将来進みたい方向が決まっているのであれば、その分野において「通信制高校の卒業者」がどのように見られているかを事前に確認しておくことは重要です。

モチベーションの維持が難しい

「自分のペースで勉強できる」という通信制のメリットは、裏を返せば「いくらでもサボれてしまう」というデメリットにもなります。

全日制のように時間割で強制的に授業が進むわけではなく、常に教師に見られていることもありません。そのため、コツコツと勉強を続け、レポートもしっかり提出していく強い意思や行動力が求められます。

実際のところ、自己管理やモチベーションの維持がうまくいかず、卒業までに3年以上かかってしまう人や、卒業できない人もいます。

もし不安があるならば、個別のサポート体制が整っている私立の通信制高校を選択すると良いでしょう。

通信制高校に向いてる人の特徴

通信制高校に向いている人の特徴について、解説します。

自己管理がしっかりできる人

前の章で紹介しましたが、通信制のデメリットに「モチベーションの維持が難しい」という点があります。

全日制に比べて、時間や場所の制約がゆるやかで、人(特に教師)と常に接するわけではない通信制高校には、自己管理ができるタイプの人に適性があるでしょう。

目標がある、決まっている人

10代のうちから具体的な将来の目標が決まっている人に、通信制高校の学習スタイルは向いています。通信制は登校しなくて済むので、目標を実現するための活動により多くの時間を割くことが可能になります。

そして、目標を達成するために「最終学歴が中卒になる」「大学受験資格がない」という事態を回避したい場合は、そのための解決策ともなります。

周囲からサポートをしっかり受けられる人

質問があるときや困っているとき、あなたは遠慮せずに尋ねたり相談することができますか?

通信制高校は、学校側と基本的に遠隔でのやり取りになります。何かあれば自分から発信できるかどうかは、必要なサポートをしっかり受けるために重要な要素となります。

一方で、全日制での面と向かってのやり取りに苦手意識がある人は、通信制の連絡ツールなどを介したやり取りの方がリラックスして行えるかも知れません。

通信制高校に向いていない人の特徴と末路

続いて、通信制高校に向いていない人の特徴について、解説します。

集団活動が好きな人

多くの人と接したり、大勢で行動することが好きな人は、全日制高校の方が向いているでしょう。

集中力がない、続かない人

何事にも集中することが難しい人は、通信制高校で勉強を続けることが困難になる可能性が高いでしょう。

前述した通り、通信制高校では基本的に自己管理をする必要があります。人の目がないと、なかなかひとつの事に集中できないタイプの人は、全日制高校を選んだ方が良いかも知れません。

他者との競争が好きな人

勉強やスポーツ、課外活動など、あらゆる分野において他者と競い合うことにやりがいを感じる人も、通信制より全日制に向いているでしょう。

通信制高校卒業後の進路を有利に進める方法

通信制高校卒業後の進路を有利にするために、できることがあります。いくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

様々な経験をする

通信制高校の「毎日通学する必要がなく、自由に使える時間が多い」というメリットを生かして、さまざまな経験をしておくことをおすすめします。

例えば、ITやwebに関わる仕事を目指す場合はプログラミングを学習してみる、調理師を目指す場合は飲食店でアルバイトをする、などです。

あなたが進みたい分野にまつわることにトライしてみましょう。もし複数の分野があるのであれば、いくつかを試してみて、自分がもっとも興味が持てる分野を選ぶ機会にすると良いでしょう。

通信制高校はアルバイトをしやすい環境にもあるため、働くことを通じて一定のビジネスマナーやコミュニケーション力を身につけておけば、就職活動で評価される可能性もあります。

資格取得の時間を増やす

通信制高校の中には、資格取得のサポート体制がある学校も存在します。

こうした制度やカリキュラムを活用して「TOEIC」「簿記検定」「美容師」「調理師」など、さまざまな資格を取得できる学校も存在します。

高校卒業時に、すでに特定の分野の資格を取得している(その分野の基礎的な知識がある)状態にあれば、次の進路に向かうとき有利に働く場面があるでしょう。

大切なのは、やみくもに多種類の資格取得を目指すのではなく、あなたが将来就きたい職業や業種において有効な資格を選択することです。

人との交流を増やす

ほとんどの職業において、的確なコミュニケーション力は必要なスキルです。

コミュニケーションは量よりも質が重要ですが、それは一朝一夕に体得できるものではありません。そこで、なるべく早いうちから少しずつでも人と交流する機会をつくって、場慣れをすることが有効になります。

人との交流を増やす際に意識してほしいポイントは「あなたと同じ年齢層だけではなく、年上や年下の人ともコミュニケーションをとる」ということです。

人と交流するための方法としては、地域活動やボランティアなど、さまざまな年代や属性の人と接することができる機会を持つと良いでしょう。

まとめ

「通信制高校は、全日制高校に通えない人や不登校経験のある人が通う学校」というイメージは一昔前のもので、今は「通信制高校だからできること」「通信制高校に通うことで得られるもの」などを求め、あえて通う方が増えています。

古い時代のネガティブなイメージは徐々になくなりつつありますが、中には通信制高校に対する偏見を持つ面接官もいるため、就職の際に不利になる可能性は残念ながらゼロではありません。

就職活動に困難を抱えている方は、就職エージェントの活用も検討してみてください。

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高藤 薫キャリアアドバイザー
株式会社ジェイック:キャリアコンサルタント|就活情報、お役立ち面白情報を発信|就活YouTube「ジェイック就職カレッジ®」配信中|資格:キャリアコンサルタント・ポジティブ心理カウンセラー・7つの習慣®︎ファシリテーター