不登校とひきこもりの違いとは、と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか? 実は、不登校とひきこもりは違います。 なぜなら、不登校とひきこもりで定義があるからです。 こちらの記事では、不登校やひきこもりの違いや原因を解説しております。 こちらの記事を読むことで、不登校とひきこもりの違いを知ることが出来ます。気になった方は是非参考に読んでみてください。
不登校とひきこもりの違い
不登校とひきこもりの違いを表で示すと、次のとおりです。
年齢 | 日数 | |
---|---|---|
不登校 | 高校生まで | 30日以上(年間の欠席日数) |
ひきこもり | 全年代 | 6か月以上(外部とほぼ交流していない日数) |
文部科学省の調査によると、2018年時点での不登校児童生徒数は次のようになっています。
不登校児童・生徒数 | 1,000人あたりの不登校生徒数 | |
---|---|---|
小学校 | 44,841人 | 7.0人 |
中学校 | 119,687人 | 36.5人 |
高校 | 52,723人 | 16.3人 |
出典:文部科学省|平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 2019 (p.14,18)
小学校から高校までを合計すると、およそ20万人以上の児童・生徒が不登校状態にあることが分かります。ちなみに不登校児童生徒数は年々増えており、小学校・中学校の2018年時点の「1,000人あたりの不登校児童生徒数」は、1998年以降で最多です。
不登校の定義
厚生労働省は、不登校を以下のように定義しています。
「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」
参考:文部科学省|不登校の現状に関する認識
簡単に言うと「登校したくない」または「登校したくてもできない」という理由があるために、年間30日以上学校を休んだ子を不登校と呼びます。なお「不登校児童生徒」と呼ばれるケースが多いこともあり、小学校から高校までの児童や生徒を指すことが一般的です。
ひきこもりの定義
ひきこもりに関しては、厚生労働省が以下のように定義しています。
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅にひきこもっている状態」
参考:文部科学省|ひきこもり施策について
不登校とは異なり、ひきこもりに関しては年齢などの定めはありません。
内閣府がひきこもりを細かく分類した調査によると、2018年時点でのそれぞれの人数は次のようになっています。
人数(推計) | 定義 | |
---|---|---|
広義のひきこもり群 | 61万3,000人 | 以下のいずれかの状態 ・趣味の用事のときだけ外出する ・近所のコンビニなどには出かける ・自室からは出るが、家からは出ない ・自室からほとんど出ない |
準ひきこもり群 | 24万8,000人 | 普段は家にいるが、 自分の趣味に関する用事のときだけ外出する |
狭義のひきこもり群 | 36万5,000人 | 以下のいずれかの状態 ・普段は家にいるが、近所のコンビニなどには出かける ・自室からは出るが、家からは出ない ・自室からほとんど出ない |
参考:内閣府|生活状況に関する調査 概要(2018年)
不登校やひきこもりになる原因
不登校やひきこもりになる原因としては、次の3つが考えられます。
- 人間関係
- 無気力
- いじめ
では、それぞれについて解説します。
原因1:人間関係
1つめの原因は、人間関係です。
児童・生徒の場合には思春期など繊細な時期でもあることから、周りの友人や先生からの些細な言動に傷ついてしまう子が少なくありません。いじめまではいかないものの、いわゆる“からかい”を日常的に受けていることで精神的に辛くなり、「学校に行きたくない」という気持ちを持つ子も多いのです。
一方でひきこもりに関しては、職場の上司や先輩との人間関係がうまく行かず、メンタルに支障がきたすケースがよく見られます。
原因2:無気力
2つめの原因は、無気力です。つまり何に対してもやる気がなくなってしまうことから、学校や会社などに行くことが億劫(おっくう)になってしまうのです。
たとえば勉強について行けず「そもそも勉強なんてする意味がない」と感じてしまう、部活でレギュラーを取れず「自分なんてチームに必要ない存在なんだ」とネガティブに考えてしまう、といったことがきっかけで「学校に行く」という気持ちすら喪失してしまいます。
ちなみに社会人に多いのが、いわゆる「燃え尽き症候群」に近い状態となってしまうケースです。仕事をバリバリこなしていた人が成果を出せずに上司から強く叱責される、またはプロジェクトで成功を収めたあとにその反動で無気力状態になってしまう、といった人も少なくありません。
原因3:いじめ
3つめの原因は、いじめです。
文部科学省の2018年の調査によると、小中高および特別支援学校における「いじめの認知件数」は、年間でおよそ54万件と報告されています。2019年の調査に比べると13万件近く増えているなど、今もなお教育現場ではいじめが大きな問題となっているのです。
参考:文部科学省|平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要 2019 (p.4)
また、職場での陰湿ないじめも社会問題となっています。雑用しかやらせない、人間性を否定されるような言葉を投げかけられるなど、こうした仕打ちを受けた結果としてメンタルを病み、そのまま会社に行けなくなる社会人も多いのです。
不登校の理由について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
不登校やひきこもりに親がするべき対策
自分の息子・娘が不登校、またはひきこもりになってしまった場合には、親としてどのような対処が望ましいのでしょうか?子供の状況によって対処法は異なりますが、どのようなケースでも共通して取り組みたいことは次の3つです。
- 子供の話を聞く
- 子供の友人に協力をお願いする
- 子供を焦らせない
では、それぞれの対策について解説します。
対策1:子供の話を聞く
まずは、子供の話を聞くことから始めましょう。
不登校の原因として「いじめ」が考えられたとしても、実はテストの点数が低かったことを親から怒られたことで勉強への意欲が薄れている、といったケースも考えられます。この場合、不登校の原因が外ではなく家庭内にあるため、いくら学校側に働きかけても根本的な解決にはつながりません。
ちなみに後ほどお伝えしますが、このとき無理に子供の気持ちを聴こうとするのはNGです。余計に心を閉ざしてしまう可能性があるので、まずは親御さんが落ち着き、子供が自分から話をしたくなるような環境を整えることから始めましょう。
対策2:子供の友人に協力をお願いする
気持ちをなかなか打ち明けてくれない場合には、子供の友人に協力をお願いしてみるのもおすすめです。親には本心をなかなか明かしてくれない子も、友人からの働きかけや言葉がけには反応することが多いからです。
入学早々に不登校になってしまった場合には、高校生であれば中学で仲の良かった友達、中学生であれば小学校のときの友達に協力を仰いでみても良いでしょう。「自分はひとりじゃない」と思うことができれば、冷たくなった心に光が差し込む可能性があります。
なお、友人からの働きかけが上手くいかないと、むしろ友人関係にヒビが入ってしまうことも考えられます。子供同士のやり取りが不安な場合には、どんな声がけをしてくれたかなどを確認しつつ、やり取りの内容を親御さんのほうでも把握しておくようにしましょう。
対策3:子供を焦らせない
「話を聞く」「友人に協力をお願いする」といった対策をお伝えしてきましたが、このとき意識したいのが子供を焦らせないことです。理由としては、焦ると心をさらに閉ざしてしまう可能性が高いからです。
多くの不登校・ひきこもりの子は、「学校に行かないと……」という気持ちと、「でも行きたくない……」という気持ちの狭間で葛藤しています。自分でもどうすれば良いのか分からない、といった複雑な気持ちを抱え、闘っているのです。
こうしたとき、「早く学校に行きなさい!」と無理強いしたり、「何があったかお父さんに話してみなさい」と強要したりすることは、子供にとっては大きなプレッシャーです。結果としてさらに混乱してしまう可能性が高く、こうした働きかけはむしろ逆効果です。
親御さんとしても焦る気持ちはあるかと思いますが、そうした気持ちは子供にも伝わります。焦るときこそまずは落ち着き、「長期的に解決していこう」といった心構えで、子供との距離を徐々に縮めていきましょう。
なお子供の不登校・ひきこもりに対し、親御さんだけで悩みを抱え込まないようにすることも大切です。自分自身の心が病んでしまっては、子供に対して親身に向き合うことはできません。まずは自分の心身の健康を第一に考え、信頼できる相手に話を聴いてもらう、たまにはリフレッシュして外出するなど、暗い気持ちを抱え込み過ぎないように注意しましょう。
不登校やひきこもりの人の仕事の探し方
不登校やひきこもりの状態から、就職を目指す学生、または社会人は少なくありません。ただし、どのように仕事を探していけば良いか迷っている人も多いのではないでしょうか?
こうした場合には、次の3つの方法を試してみることがおすすめです。
- ハローワークの利用
- 就職サイトの利用
- 就職エージェントの利用
では、それぞれについて解説します。
探し方1:ハローワークの利用
ハローワークとは、厚生労働省が運営する職業紹介所のことです。正式には「公共職業安定所」と呼ばれ、全国に500ヵ所以上設置されています。
ハローワークの利用対象者は特に定められておらず、誰でも無料で使えます。仕事未経験者でも応募できる求人も多く確認でき、就職相談や、条件に合えば「職業訓練」を受けることでスキルも磨けるので、不登校やひきこもりからの就職活動も安心です。
探し方2:就職サイトの利用
就職サイトとは、求人を一覧で確認できるWebサイトのことです。誰でも無料で使えますが、サイトによって扱う求人の種類が違うので、自分の状況や、希望に合った求人をメインに扱うサイトを使うようにしましょう。
たとえば高校で不登校になり、そのまま退学して就職を目指す場合には、中卒でも応募できる「未経験可」の求人が多いサイトを選ぶのがおすすめです。社会人でひきこもりの人が再就職を目指す場合には、これまでの仕事経験を活かせる求人が多いサイトを使うと良いでしょう。
なお履歴書の書き方や、面接マナーなど、就職に役立つ知識・ノウハウが豊富に掲載されているサイトも少なくありません。はじめての就職の場合には、まずはこうした情報をチェックしつつ、対策を進めていきましょう。
探し方3:就職エージェントの利用
就職エージェントとは、キャリアアドバイザーが就職活動をサポートしてくれるサービスです。主に、次のようなサービスをすべて無料で受けられます。
- 仕事の紹介
- 応募書類や面接のアドバイス
- 企業との面接日程の調整
- 年収などの条件面の交渉
就職エージェントごとに扱う求人や、得意としている年代が異なるため、場合によっては「紹介できる求人がない」として利用を断られる可能性もあります。そのため、まずは自分の状況や希望条件にマッチするエージェントを使うようにしましょう。
特に、不登校やひきこもりから就職を目指す場合には、ジェイックが運営する「就職カレッジ®」がおすすめです。10代・20代の二ートや、仕事経験が少ない方を主にサポートしていますので、未経験からでも応募できる求人も多く取り揃えています。
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不登校の就職について知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
まとめ
不登校とひきこもりの違いをお伝えすると共に、親御さんが取るべき対策や、仕事の探し方などについて解説してきました。
家に閉じこもってしまう原因は人それぞれで、その解決は決して簡単ではありません。長い戦いになるかもしれませんが、粘り強く立ち向かっていけば光は見えてきます。今回お伝えした内容を参考にしつつ、復帰に向けた対策を打っていきましょう。
不登校が感じる後悔やその後、末路について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。