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院卒でニートになる理由とは?ニートを続けた末路や就職方法も紹介

院卒でニートになる理由とは?ニートを続けた末路や就職するための方法も紹介

院卒ニートになってしまったけど、就職できる方法を知りたい」という方もいるのではないでしょうか?

やりたいことが見つからない、強みを活かせず就職できないなど、院卒という高学歴であってもニートになってしまう場合があります。長期間ニート状態が続いてしまうと、就職そのものが厳しくなる、家計が苦しくなるというような末路を迎えるケースも考えられます。

この記事では、院卒の人がニートになる理由・仕事を探す方法などを紹介しています。院卒ニートでも就職したいと考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

記事のPoint
  • 院卒でニートになる理由には、卒業時の年齢の高さ、就職に強みを活かせないなどがある
  • 院卒ニートで仕事を探すためには、ハローワーク、就職エージェントなども活用しよう
  • 院卒ニートが仕事を探すには、まずは自己分析で自分を知ることが大切
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院卒でニートになる理由

院卒でニートになる理由

ニート(NEET)とは、「就学・就労しておらず、職業訓練も受けていない」という意味の「Not in Education,Employment or Training」の頭文字からなる用語で、1999年頃イギリスで使われ始めました。

日本でも広く使われる言葉ですが、公的なデータでは「若年無業者」という用語が用いられています。厚生労働省によれば、若年無業者とは「15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人」と定義されます。近年、若年無業者の数は平均53~56万人の規模で横ばいに推移してきましたが、2020 年に平均で 69 万人と、前年に比べ 13 万人も増加しました。

若年無業者の動向

引用:厚生労働省/若年無業者の動向

さて、ニートは中卒・高卒者に多いと思われるかも知れませんが、実は高学歴の人も多く、大学院卒でニート状態にある人もいます。高い学歴は就職活動で有利になると思いきや、実は一概にそうとも言えない現実があります。

なぜ高学歴の院卒者がニートになってしまうのか、主な理由として以下の3つがあります。

  • やりたいことが見つからずニートになる
  • 卒業時点での年齢が高くマイナスに評価される
  • 強みを活かせず就職できない

それぞれの理由について、詳しく解説していきます。

やりたいことが見つからずニートになる

大学院で「学問としてやりたかったこと、やってきたこと」が、必ずしも「職業として、やりたいこと、できること」に結びつかないケースです。

そもそも、自分の専門分野に関する仕事がなかったり、該当する職業があったとしても求人数が限られていて競争率が高い場合もあります。すると、大学院を卒業しても「仕事としてやりたいことが見つからず、ニートの状態になってしまう」ケースが少なからず生じます。

ところで、院卒後の進路にはどのような選択肢があるのでしょうか?主な進路は以下の3つです。

  • 一般企業や官公庁に就職
  • 研究員として研究を続ける
  • 非常勤講師になる

理系・文系を問わず、研究員の職が得られれば大学院に在籍して研究を続けられます。つまり大学の常勤教員や国公立研究所の常勤職員などです。まずはポスドク(博士研究員)という、契約社員に相当するような立場で仕事しながら上を目指します。研究成果があがれば准教授や教授も目指せますが、実際にポストを得られる人はわずかです。給与も高額ではない場合が多いため、条件面や将来性も考慮して、一般企業や官公庁への就職を目指す人もいます。

理系の博士課程を修了したのであれば、企業の製品開発部門などで技術職を目指す選択肢があります。大学院での研究とは異なり、研究や開発のテーマを自由に選べる訳ではありませんが、雇用形態はより安定します。

ただ、文系の場合は、理系分野に比べて求人数がかなり少ないのが現状です。大学院生が就職を考える場合、「専門職」と「文系職」というカテゴリー訳があります。

  • 専門職:技術、生産、研究、開発など
  • 文系職:コンサル、経理、営業、事務など

専門職と文系職の違いは、「より高度な、あるいは特殊な専門性」を活かすことができるかどうかです。理系の院生は、専門職に就職する人が多いのですが、文系職に就職することも可能です。一方、文系の院生は、文系職に就職することはできますが、専門職に就職することはほとんどないそうです。

しかし、大学院に進学した人は知的好奇心が旺盛で基礎的な学習能力が高いはずです。そこで、これまで研究してきた分野や近隣領域に限らず、また採用条件にもこだわりすぎないようにして、より多くの業種や職種を選択肢に加えてみてください。就職活動を通してさまざまな企業や職種と出会うことで、「やりたいこと」を見つける可能性を高めましょう。

卒業時点での年齢が高くマイナスに評価される

大学院進学は「より深く学問を究められる」メリットがある一方、「いずれ社会へ出る場合は、そのタイミングが他の人より遅くなる」というデメリットもあります。大学院の修士卒なら卒業時には24歳、博士卒であれば26歳です。学部卒の人は22歳で社会に出ることも踏まえて、そもそも大学院に進学すべきかどうかは慎重に検討する必要があります。

大学院に進学してから「自分は学者の道は向いていない、目指したくない」と考えるようになったり、院卒が有利な就職が期待できない分野であれば、大学院に在籍したまま既卒者として就職活動をしてみても良いかもしれません。既卒の就職活動ではポテンシャルと将来性が重視されるため、年齢が若い方がより有利になります。

強みを活かせず就職できない

高学歴は就職活動で有利になると思われがちです。確かに、大卒までの学歴であればそうなのですが、大学院卒の場合はいわゆる「オーバースペック」と捉えられてしまうケースもあります。修士・博士の取得者は「高い給与を払わなければならない存在」という認識を持つ企業も多く、その企業にとって即戦力になる分野でない限りは敬遠される傾向があるのです。特に、文系の大学院に進んだ方の就職率は、理系に比べれれば良いとは言えない状況です。院卒後に就職先が見つからず、無職・ニートになってしまう人もいます。前述のように、院卒という学歴や専門分野にこだわり過ぎず、就職活動での応募先の幅(業種・職種)を拡げてみることをおすすめします。

ニート脱出診断
ニート脱出診断

院卒でニートを続けた末路

大学院を修了後にニートの状態が続いた場合、将来的にどのような状況が想定されるのでしょうか。

  1. 就職が厳しくなる
  2. 人間関係が減る
  3. 家計が苦しくなる

上記の3つの状況が考えられます。順に解説していきます。

就職が厳しくなる

「ニートは就職できない」と言われがちですが、それは事実ではありません。実際に、ニートの状態から就職している人はたくさんいます。

ただ、働いていない期間が長くなればなるほど、正社員での就職は難しくなっていきます。院卒でありながらニートの期間が長い人に対し、企業は「高学歴だけど、何か問題があるのでは」「就職してもすぐに辞めてしまうかも」と不安視します。同じような経歴・スキルの人がいた場合には、ブランク期間のない人を優先的に採用するでしょう。

一般的に、20代までは人柄や将来性に期待して採用されることが多いのですが、30代になると実務経験・スキル・マネジメント能力が求められるようになります。ニートのまま30代を迎えてしまうと、未経験では就職するのが難しい業種や職種も出てきます。可能性があるとすれば不動産営業や介護職など、常に人手不足が問題となっている業界です。

このように年齢を重ねるにつれ仕事の選択肢が狭まっていくので、特に正社員として就職したいのであれば一刻も早く動き出すことが重要です。

人間関係が減る

ニート生活が続くと、人間関係の範囲が極めて限定的になってしまう傾向があります。学生時代の友人の多くが就職する中、ニートの状態にある自分に劣等感を感じ、せっかく育んできた友人関係を自ら手放してしまうかも知れません。

また、就職や仕事の中での新たな出会いもない場合、交友関係もなかなか広がりません。共働き世帯の方が多数派となっている現代では、男女を問わず「稼ぐ力がない人」との結婚は避けられるようになっています。「令和3年版 厚生労働白書」によれば、平成時代に共働き世帯が専業主婦世帯の割合を上回り、年々その差が拡大しています。2020年の時点では、共働き世帯が専業主婦世帯の2倍以上になっています。

共働き等世帯数の年次推移

引用:厚生労働省/共働き等世帯数の年次推移

たとえパートナーを見つけても、経済的に自立できていなければ相手が結婚に二の足を踏んだり、相手の家族に結婚を反対されるおそれもあります。

最終的な末路は、孤独死です。年齢の順からいけば親はあなたよりも先に亡くなります。交友関係が希薄で誰とも連絡をすることがなくなると、孤独死をする確率は高まります。寂しい老後を迎えないためにも、少しでも若いうちにニートの状態から抜け出しましょう。就職活動を始めてみる、実際に働き始めてみる中で、いろいろな人に出会う機会も増えていきます。一足飛びにパートナーや友人を作ろうと無理をするのではなく、様々なやり取りを通じて信頼できる人間関係を築くことが大切です。

家計が苦しくなる

いつまでも経済的に親に頼ることもできず、家計が苦しくなっていくことも予想されます。親もやがては年金生活となるでしょう。今までと同レベルでの金銭的な支援は期待できなくなります。さらに、日本は少子高齢化が顕著な社会です。今後は年金の支給額が引き下げられたり、支給開始がさらに後ろ倒しになると見られており、引退後の親には子どもを養う余力がなくなっていきます。年金だけでは、親自身の生活すら厳しくなってしまう可能性も否定できません。

そして、あなた自身もいずれは老齢を迎えます。若く健康なうちに社会的・経済的な基盤を作れないままでいると、最悪の場合はホームレスなどの困窮状態を招いてしまうおそれもあります。人はいずれ年を取り、弱っていきます。そうなる前に、将来のあなた自身を支える基盤作り、つまり経済的な自立状態を実現させましょう。

院卒ニートにおすすめの仕事を探す方法

それでは、実際に就職活動の進め方について、見ていきましょう。おすすめの「仕事の探し方」は以下のとおりです。

  • ハローワーク
  • 就職サイト
  • 就職エージェント

3つの方法について、それぞれご紹介します。

ハローワークを利用する

ハローワークは、厚生労働省管轄の職業紹介をする施設です。就職支援に関する幅広いサービスを提供しており、求職者はこれらのサービスをすべて無料で受けられます。

  • 職業紹介
  • 求人探しの相談に乗ってもらえる
  • 就職セミナーに参加できる

ハローワークの利用がおすすめできるのは、以下の項目に当てはまる人です。

  • 多くの求人情報を検索したい
  • 地元の中小企業に就職したい

ハローワークは民間の求人サイトに比べて、取り扱い求人数が多いことが特徴です。また地元企業が多く登録しているため、住んでいるエリアの求人を探す場合に便利なサービスといえるでしょう。

2021年からインターネットサービスも充実し、オンライン上で職業紹介や直接応募もできるようになるなど、利便性が高まっています。

参考:厚生労働省「ハローワーク インターネットサービス」

就職サイトを利用する

就職サイトでは求人情報を検索・閲覧でき、サイトからの応募手続きも可能です。企業とのやりとりもサイトを通じて行うことができ、都合のいいタイミングで企業探しができます。

未経験者歓迎やブランクOKなどの条件で検索することができたり、休日や残業時間などで細かく検索できたりする就職サイトもあります。自分の希望に近い求人情報を見つけるために、活用してみても良いでしょう。

また、最近ではアカリクLabBase(ラボベース)など「院卒向けの就活サイト」もあります。学生時代に研究していた分野の知識やスキルを活かせる求人があるか、検索してみると良いでしょう。

就職エージェントを利用する

就職エージェントは、求職者に専任のキャリアアドバイザーがつき、就職相談から実際の就職までをサポートするサービスです。具体的には以下のサービスを提供しています。

  • 就職相談
  • 求人の紹介
  • 応募書類作成のサポート
  • 面接対策のアドバイス

就職エージェントは民間のサービスですが、求職者はこれらのサービスを無料で受けられます。しかも、就職エージェントによっては、一部の書類作成や企業とのやりとりを代行してくれるところもあり、以下のような人におすすめです。

  • 就職支援のプロに相談しながら就活を進めたい人
  • 就職したいが、何から始めていいか分からない人
  • できるだけ手間をかけずに就活したい人

私たちジェイックも、就職エージェントを運営しています。特に、20代・未経験者・既卒者の就職支援を得意としており、80%以上の高い就職率を誇るエージェントです。

就職活動がはじめてであったり、どのように進めていいか不安な方は、専任のアドバイザーが付く就職エージェントもぜひ活用してみてください。

院卒のニートでも就職するためのポイント

資格の勉強をする

最初にお伝えしておきたいのは「資格があれば簡単に就職できる訳ではない」ということです。そして、院卒でニートの状態にある人が最優先するべきは「一刻も早く就職活動をスタートさせること」です。自己分析を行った結果、目指したい業種や職種が決まったら、その分野に関する資格試験について「就職活動をしながら勉強する」ことをおすすめします。この順序はとても重要なので、あらためて下記で整理します。

  • 1.自己分析を行い、就職を目指す業種・職種や企業を選定する
  • 2.その分野に関する資格について調べる(取得に時間が掛かり過ぎる資格は避ける)
  • 3.就職活動を進めながら、資格試験の勉強も同時に行う

具体的な資格としては、「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(Microsoft Office Specialist)」や「簿記(日商簿記)」は、業界を問わず一定の評価がされる資格です。前者はオフィスワークに欠かせない基礎的なPC操作ができることの証明になり、後者は経理事務と経営状況を把握する基礎技能がある証になります。

また、不動産業界や金融業界への就職を目指すなら「宅地建物取引士」や「ファイナンシャルプランナー(FP)」、運送や貿易の業界であれば「通関士」などがあげられます。

これらの資格は取得しているに越したことはありませんが、たとえ未取得であっても履歴書の自己PR欄や面接の場で勉強中であることを伝えれば、求人への応募意欲の高さを示すことはできます。業種や職種に関する知識が少しでも身に付いていれば、面接での話題にできたり、的確な質問もできるようになるでしょう。

くれぐれも「就職活動」よりも「資格取得の勉強」を優先させないようにご注意ください。

自己分析を行い、長所を生かせる仕事を探す

「自分を知る」ことは、とても重要です。そして、仕事には多くの時間を費やします。自己分析をしてあなたに適した職に就くことができれば、成長も早く、やりがいも感じられるでしょう。逆に、向いていない仕事に就職しても、どこかで違和感やしんどさを感じ、モチベーションも上がりにくいものです。

まずは自己分析をしっかりと行い、あなたの長所や適性を活かせる仕事(業種・職種)をいくつか選定してみましょう。これまでの人生や自分の性格を振り返って理解することが、向いてる仕事を見つけるのに役立ちます。

特に大学院に進学した方は、専門領域にコツコツ取り組んできた人が多いと思います。研究していたことをそのまま仕事に活かすのは難しいかもしれませんが、「1つのことにじっくりと取り組んだり、知識を習得して専門家を目指す」という経験や能力は、他の分野の仕事にも活かせます。

就職のアドバイザーに相談してみる

「就職するなら正社員で採用されたい、けれど就職活動の進め方に自信がない」という人は、先ほどご紹介した就職方法の中でも就職エージェントの活用をおすすめします。

就職エージェントでは、ひとりひとりのご相談者に専任のアドバイザーが付き、前の章でご紹介したように「就職相談」「求人の紹介」「履歴書など応募書類作成のサポート」「面接対策のアドバイス」など、就職活動に必要なことをすべてサポートしてもらえます。

一般的に、大学院を卒業して3年以内であれば「既卒」という扱いになります。既卒者を積極的に採用している企業もあり、20代であれば実務経験がなくても正社員として就職できる可能性があります。

また、ニートという一見就職に不利な経歴があっても、その人のポテンシャルに期待できれば採用したいと考える企業も存在します。そうした企業のなかには、自社で求人活動を行うだけでなく、より費用が掛かっても就職エージェントに人材募集や事前選考を依頼する、つまり「人材採用を重視し投資する企業」があります。そうした企業の求人に出会うためにも、就職エージェントをうまく活用してみてください。

まとめ

新型コロナウイルスの影響もあり、国内のニート人口はさらに増えています。さらに、ニートの状態が長期間続いている「中高年ニート」の増加も深刻です。働いていない状態が長引けば長引くほど、就職において不利になってしまう一方です。

さらに院卒という高学歴であることも、オーバースペックと判断される場合もあります。ニートであること、院卒であること、どちらの場合も「なるべく年齢が若く、人柄やポテンシャルを重視した選考が可能な内に、正社員として就職すること」が最善策です。

なるべく短い期間で院卒ニートから正社員就職を叶えるため、ご紹介した「おすすめの就職方法」をいくつか併用して、あなたに適した仕事を見つける可能性を高めていきましょう。

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池本 駿
株式会社ジェイックマーケティング開発部。2016年慶応義塾大学経済学部卒業。2018年慶應義塾大学大学院経済学研究科修了(修士課程)。2019年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了(修士課程)。同大学経済学部附属経済研究所「こどもの機会均等研究センター」協力研究者。元・三菱経済研究所研究員。経済産業大臣登録 中小企業診断士。著書「教育経済学の実証分析: 小中学校の不登校・高校における中途退学の要因分析」