通信制高校の末路が気になっている方もいると思います。 通信制高校だと世間の目が気になるなどの不安を感じている方もいます。
この記事では、通信制高校の末路と言われる理由や卒業後の進路について解説しています。 通信制高校卒業後が不安だと感じる方は是非参考にしてみてください。
通信制高校の末路はない!
結論、通信制高校の末路は決して悪くありません。後述しますが、通信制高校を選ぶ人も増えていますし、大学に進学したり就職することも可能です。通信制高校の末路が悪くない理由を解説していきます。
実は全日制高校と変わらない
「通信制高校は全日制に比べると劣る」と思われがちですが、実はそこまで変わりません。文部科学省が平成30年に発表した「学校調査,学校通信教育調査(高等学校)」によると、全日制と通信制の就職率は下記のとおりです。
- 全日制:17.8%
- 通信制:19.6%
また、進学率は下記のとおり。
- 全日制:54.7%
- 通信制:40.9%
参考:文部科学省「学校調査,学校通信教育調査(高等学校)」
就職も進学もそこまで違いはありません。
通信制高校を卒業後、大学や専門学校に進学して就職できる割合もかなり多いです。
- 大卒の就職率:95.8%
- 専門学校卒の就職率:94.7%
参考:文部科学省「令和3年度大学等卒業予定者の就職状況調査(4月1日現在)」
「通信制は普通の学校に通えない子がいく高校」というイメージが、誤解を生んでいる原因です。しかし、実際はそんなことはありません。
令和元年度の通信制と全日制の生徒数は下記のとおりです。
- 通信制:197,696人
- 全日制:3,086,434人
全高校生のうち、通信制の高校生の割合は約6%です。6%だと「16人に1人が通信制」なので、意外に多いと感じると思います。
参考:文部科学省「高等学校教育の現状について」
近年は全日制の生徒数は減少、通信制の生徒数は増加傾向です。コロナの影響もあり、あえて通信制高校で学ぶ人も増えています。
調査年度 | 全日制 | 通信制 |
---|---|---|
平成12年 | 4,165,434人 | 181,877人 |
平成17年 | 3,605,242人 | 183,518人 |
平成22年 | 3,368,693人 | 187,538人 |
平成27年 | 3,319,114人 | 180,393人 |
令和2年 | 3,092,064人 | 206,948人 |
参考:文部科学省「高等学校通信教育の現状について」
なので、決して「通信制は普通の学校に通えない子がいく高校」というわけではありません。
高卒資格ももらえる
通信制高校を卒業すれば、きちんと高卒資格をもらえます。通信制高校は、学校教育法の第一条で認められている「高等学校」だからです。
「高卒資格をもらえない」という誤解がある理由は様々ですが、「高卒認定」と勘違いされることが挙げられます。高卒認定だと学歴は「中卒」のままですが、通信制高校を卒業すると「高卒」になります。前述のとおり、きちんと就職もできるので安心してください。
友人を作る機会は少ない
一般的には、通信制高校は友人を作る機会が少ないです。自宅で学習することが多いからです。
全日制のように毎日クラスメイトと顔を合わせるわけではないので、どうしても友人を作りにくいでしょう。
ですが、スクーリング(登校)が多い通信制高校を選べば、友人を作るチャンスが広がります。スクーリングの回数は、通信制高校によってかなり違います。週3日くらい登校する通信制高校もあるため、あなたの希望に合わせて選びましょう。
通信制高校が末路と言われる理由3選
通信制高校の末路に悪いイメージがある理由は、下記の3つです。
1.通信制高校のイメージが悪い
2.世間体が気になってしまう
3.通信制高校は普通ではないというイメージがある
1つずつ解説しますが、前述のとおり通信制高校は決して悪くないので安心してください。
通信制高校のイメージが悪い
通信制高校の悪いイメージが、まだ漠然と残っています。具体的には下記のようなイメージです。
- 誰でも入学できる高校
- 通信制は全日制にいけない人の受け皿
- 通信制は問題を抱えている人がいく高校
実際は誰でも入学できるわけではありません。学力を見られる通信制高校もありますし、作文や入試面接もあるため、きちんと入試対策しないと落ちる人もいます。なので、「誰でも入学できる高校」とはいえません。
また、通信制高校には下記のような人たちもいます。
- オリンピックの強化選手などアスリート
- アイドルや俳優など芸能活動をしている人
- 会社を経営しており全日制に通う時間がない人
結論、決して通信制高校は悪いものではありません。
世間体が気になってしまう
「通信制高校は世間体が悪い」と思ってしまう人もいます。例えば、「通信制高校だと就職できないのでは?」というイメージをもたれがちですが、前述のとおり普通に就職できます。就職の履歴書に「通信過程」と書く義務もないので、全日制の高卒者と条件は一緒です。
全日制卒でも不採用になる人もいるので、すべては本人のやる気次第です。きちんと就職すれば、世間体も気にならなくなるでしょう。
通信制高校は普通ではないというイメージがある
「通信制高校は普通ではない」というイメージをもつ人もいます。
具体的には下記のとおり。
- 健康に問題がある
- 高校を中退してしまった
- 家庭の事情で働かなければいけない
- 若くして子供を産んだため全日制に通えない
ですが、前述のとおり、コロナの感染対策であえて通信制を選ぶ人も増えています。現代ではごく普通の選択肢といえるでしょう。
通信制高校卒業後の現実とは
下記の項目で、通信制高校の卒業後の現実を解説していきます。
- 通信制高校卒業後の進路は?
- コミュニケーション能力が身につかない?
- 世間の目は大丈夫?
結論、正しく行動すれば現実は明るいです。1つずつ解説します。
通信制高校卒業後の進路とは
通信制高校卒業後の主な進路は下記の3つです。
1.就職
2.大学に進学
3.専門学校に進学
卒業後の進路のそれぞれの割合は下記のとおり。※平成29年度のデータです。
- 就職率:19.6%
- 大学の進学率:18.4%
- 専門学校の進学率:22.5%
参考:文部科学省「学校調査,学校通信教育調査(高等学校)」
就職・大学・専門学校のメリットとデメリットは下記のとおりです。
進学 | 就職 | |
---|---|---|
メリット | 就職の選択肢が広がる 友人・知人が増える | 早くお金を稼げる |
デメリット | 学費がかかる 就職が遅くなる | 高卒だと就職先が 限定されてしまう |
失敗しないためには、「将来どうなりたいか」から逆算して進路を考えるのがコツです。
例えば下記のようなイメージです。
- 早くお金を稼いで親に楽をしてもらいたい→就職
- どうしても就職したい大手企業がある→大学に進学
- 専門技術を取得して就職したい→専門学校に進学
コミュニケーション能力が身につかない可能性がある
「通信制はコミュニケーション能力が身につかない」と言われることもあります。前述のとおり、全日制に比べると人と接する機会が少ないから。
ですが、通信制でもコミュニケーション能力を身につけることは可能です。具体的には下記のとおり。
- アルバイトをしてみる
- 学校以外で人とのつながりを作る
- 趣味、社会人サークルに参加する
ちなみに、コミュニケーションは本で勉強するのもおすすめです。本はコミュニケーションのコツが体系化されているからです。コツがわかればそこまで難しくないので、勉強と実践でコミュニケーション能力を高めておきましょう。
世間の目が気になる
下記のような理由で、卒業後も世間の目が気になる人がいます。
- 誰でも入学できる高校を卒業したと思われそう
- 全日制にいけないような問題を抱えていると思われそう
ですが、きちんと次の進路に進めば世間の目も気にならなくなります。
例えば下記のとおり。
- 進学する
- 就職する
- 資格を取得する
仮に通信制高校に悪いイメージをもつ人に出会っても、その後の行動次第でイメージを払拭できます。
通信制高校を卒業後不安な方必見!就職方法を紹介
通信制高校を卒業した後は、下記の方法で就職できます。
- ハローワーク
- 就職サイト
- 就職エージェント
卒業後のイメージのために知っておきましょう。こちらも1つずつ解説します。
ハローワークを利用する
ハローワーク(公共職業安定所)は、厚生労働省の機関です。
ハローワークの強みは下記のとおりです。
- 求人が多い
- 地方の中小企業の求人が多い
- セミナーや勉強会がある
特に地方の求人が多いのは大きな強みです。「地元で働きたい」「田舎で働きたい」という人は、ハローワークで良い求人が見つかるかもしれません。
反対に、ハローワークの弱みは下記のとおりです。
- 大手の求人が少ない
- 求人票の情報が少ない
- あまりよくない企業の求人票もある
ハローワークは国が運営する機関なので、企業は無料で求人を出すことができます。そのため求人数が膨大になり、ハローワークの職員もすべての求人をチェックできないのが現実です。中にはブラック企業のような求人票も混ざっているため注意が必要です。
ハローワークを利用するときは、求人票以外の情報も積極的に集めましょう。
- 実際に会社を見にいく
- 口コミサイトやSNSをチェックする
自分から積極的に情報収集するのが失敗しないコツです。
また、次に紹介する就職サイトや就職エージェントも併用すると、より良い求人に出会える確率が上がります。
就職サイトを利用する
就職サイトは、スマホやパソコンでいつでも気軽に求人情報を見ることができます。
就職サイトの強みは、情報量が多いことです。ハローワークの求人票より多くの情報が掲載されているので、情報収集に役立ちます。
ただし就職サイトの弱みは、1人で就職活動しないといけないことです。よほど就職活動に慣れている人であれば大丈夫ですが、不慣れな人は就職活動に苦戦するかもしれません。
なので、就職サイトを利用するときは、就活ノウハウをしっかり勉強してから利用するのがおすすめです。また、すべての求人をチェックするのは大変なので、スカウトメールも利用すると良いでしょう。
就職エージェントを利用する
就職エージェントは、キャリアコンサルタントが就活のサポートをしてくれます。
強みは下記のとおり。
- あなたに合いそうな求人を絞ってくれる
- 自己分析や履歴書など就職の準備を手伝ってくれる
- 面接の練習もしてくれるので内定率が高い
就職活動に慣れていない人におすすめです。
反対に、就職エージェントの弱みは下記です。
- 求人が絞られるので情報の網羅性が低くなる
- 相性が悪いキャリアコンサルタントもいる
「できるだけ多くの求人を見たい」という人は、ハローワークと就職サイトも併用すると良いでしょう。反対に「たくさんの求人があっても絞れない」という人は、就職エージェントが合っています。
就職エージェントのキャリアコンサルタントとの相性が悪かったら、遠慮せずに担当を変えてもらいましょう。せっかく担当のキャリアコンサルタントがつくので、わからないことは積極的に聞くのがおすすめです。不明点を限りなく少なくして、就活を進めていきましょう。
まとめ
通信制高校の末路は決して悪くありません。世間のイメージも変わってきているので、悪いイメージをもつ人も減っています。
きちんと卒業すれば進学も就職も可能です。コミュニケーション能力や世間の目も、後から払拭できるでしょう。
卒業後はハローワーク、就職サイト、就職エージェントを使って就職活動できるので安心してください。あなたの人生設計の参考になれば幸いです。
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