失業保険を延長できるのか知りたい人も多いのではないでしょうか?
この記事では、これから失業保険を受給したいものの、何らかの理由で延長できないか知りたい人に向け、延長のための手続きや注意点などについて詳しく解説します。
失業保険についての理解を深めたい人は、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
失業保険の受給期間は基本的に離職の翌日から1年
まず、失業保険の期間の延長に関する知識を知る前に、原則として失業保険はどれくらいの期間もらえるものなのかについて理解をしておきましょう。
失業保険を受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年間が最大となっています。なお、1年間を通して失業保険を受け続けられるということではなく、所定給付日数を上限として支給されるため、実際はもう少し短くなります。所定給付日数に関しては後ほど解説いたします。
仮に失業保険を所定給付日数分受け取ったあとは、延長してさらに失業保険を受給するといったことは一切できません。これは、失業保険の制度が「次の職場に就職するまで、家計を安定させることで就職活動に集中できるようにするため」に設けられていることに由来します。
従って、失業保険は生活保護のように、仕事を見つけられなければ一生お金をもらい続けられるといったものではないということを覚えておいてください。
失業保険は延長できる
失業保険は原則として離職の翌日から1年間の期間が定められていますが、特定の条件を満たすことで受給期間を最長4年まで延長することができます。
ただし、失業保険の延長については、「延長」という言葉を間違って認識してしまわないように注意する必要があります。
ここでは、失業保険の延長について知っておきたいことを詳しく解説します。
失業保険の延長の条件
失業保険とは、「失業状態」にある人に対して支給される公的な手当です。失業状態を簡単に表すと、会社を離職している人で、心身ともにすぐにでも働ける状況であり、積極的な求職活動をしているものの、仕事に就けていない状態であることを指します。
仕事ができるかまだ仕事につけていない場合の救済措置として、失業保険の延長が認められるようになります。具体的には、離職日の翌日から1年以内に30日以上継続して仕事に就けない状態であることを証明できれば、原則である1年間の受給期間を最長4年まで延長することが可能です。
なお、延長できる期間は最長で4年間となりますが、これは受給期間を延長するに至った理由によって、働くことができない期間が対象です。そのため、例えば身体的な怪我を負ってしまって、全治3ヶ月という場合、延長できる期間は3ヶ月がベースとなります。
失業保険の延長に必要な条件
失業保険の延長に必要な条件として、厚生労働省からは以下のようなガイドが出されています。
(1)妊娠・出産・育児(3歳未満に限る)などにより働くことができない
(2)病気やけがで働くことができない(健康保険の傷病手当、労災保険の休業補償を受給中の場合を含む)
(3)親族等の介護のため働くことができない。(6親等内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族)
(4)事業主の命により海外勤務をする配偶者に同行
(5)青年海外協力隊等公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
(6)60歳以上の定年等(60歳以上の定年後の継続雇用制度を利用し、被保険者として雇用され、その制度の終了により離職した方を含む)により離職し、しばらくの間休養する(船員だった場合は年齢要件が異なる)
出典:厚生労働省「求職者給付に関するQ&A」
合計で6つの理由がありますが、大きくは出産や育児、病気や怪我、親族介護などやむを得ず働けない状況である場合に延長できるものとして認識しておくと良いでしょう。
職業訓練を受けることで延長できる?
失業保険の手続きは全てハローワークを通じて行いますが、失業保険をもらっている期間に、ハローワークから指示があった公共職業訓練を受講することで、失業保険を受給できる期間を延長することもできます。
この「訓練延長給付」を受けることができる条件としては、以下の全てを満たす必要があります。
- ハローワークで職業訓練の受講指示を受ける
- 元々の所定給付日数の2/3を終了する前に職業訓練を受ける
- 受講期間が2年以内のコースを受講する
- 過去1年以内に公共職業訓練を受講していない
出典:厚生労働省「52400 1 概要 基本手当の所定給付日数は」
ハローワークの職業訓練には、プログラミングやパソコンスキル、電気工事や介護関連の能力向上など、就職はもちろんのこと、就職後に働いていく上ですぐ活用できるような有用なものが多くあります。
失業保険を延長して受給しながら、スキルを高めることができますので、ハローワークから受講指示があった場合は積極的に活用することをおすすめします。
失業保険の延長する際の注意点
失業保険を延長する上では、以下の2点に特に注意するよう心がけてください。
- 失業保険の延長ができないケースがあること
- 失業保険の受給「期間」が延長できるわけではない
それぞれ詳しく解説します。
1. 失業保険の延長ができないケース
失業保険の延長は失業状態にある人が対象です。そのため、以下のようなケースに該当するとハローワークに判断されてしまうと、失業保険を延長することができない場合がありますので注意してください。
- 所定の求職活動がないことで、失業認定日に不認定処分を受けたことがある場合
- やむを得ない理由がなく、失業認定日に来所しなかったことで不認定処分を受けたことがある場合
- 雇用失業情勢や労働市場の状況などから、現実的ではない求職条件に固執される方等
- 正当な理由なく、公共職業安定所の紹介する職業に就くこと、指示された公共職業訓練を受けること、再就職を促進するために必要な職業指導を拒んだことがある場合
出典:厚生労働省「雇用保険を受給される皆様へ 給付日数の延長について」
基本的に真面目にハローワークの案内に沿って求職活動をしていれば問題ありませんが、不安な人はハローワークの職員と相談するのが良いでしょう。
2. 失業保険の受給「期間」が延長できるわけではない
失業保険の延長において、勘違いしてはいけないのが「給付期間が延長できるということではない」ということです。つまり、失業保険の延長手続きをしたとしても、働かずに失業手当をもらえる期間が増えるということではないということを理解しておく必要があります。
あくまでも、失業保険の延長ができるのは「失業保険をもらう(申請する)までの期間」だけです。出産や育児、怪我や介護などの事由に該当する人は、失業保険を受給するための「働ける状態にある人」とはみなされませんので、延長手続きをしても失業保険が受給できるわけではありません。
このことを頭に入れた上で、自分は失業保険の延長が必要なのかどうかを判断するようにしてください。
失業保険の延長手続きの申請方法
失業保険の延長手続きはできるだけ早く進める必要がありますので、申請方法をあらかじめ知っておくと良いでしょう。
ここからは、失業保険を受給しようとしている人、ないし失業保険の受給が始まっている人が、病気や怪我、出産や親族の介護のために失業保険を延長したいと思っている人に向け、延長手続きの申請方法を解説します。
延長手続きの方法は2つある
失業保険の延長手続きは、以下の2つの方法で行うことができます。
- ハローワークに直接行って手続きする
- 郵送で延長手続きを進める
失業保険の延長をしたい人は、気軽に外出ができない状況下にあることも踏まえ、郵送でも手続きが進められるようになっています。それぞれ詳しく解説します。
1. ハローワークに直接行く場合
ハローワークに直接行って失業保険の延長をしたい場合、手続きの流れは以下のようになります。
- 受給期間延長申請書を受け取る
- 必要書類を準備する
- 準備した必要書類を最寄りのハローワークに持参する
受給期間延長申請書はハローワークの窓口で受け取るほか、ハローワークのホームページから申請すれば郵送で受け取ることも可能です。
基本的に必要書類さえ準備できれば、そこまで手続きに難航することはないものの、書類の不備や分からないことを聞けるといった観点で、できれば直接ハローワークに行って延長手続きを進めるのが良いでしょう。
ただ、どうしてもハローワークに行くことが難しいという場合は、後述する郵送での手続きか、委任状を用意して代理人に代わりに申請してもらうことも可能です。
2. 郵送で手続きをする場合
失業保険の延長手続きを郵送で進める場合は、以下の流れになります。
- 受給期間延長申請書を受け取る
- ハローワークの「雇用保険給付・教育訓練給付窓口」に電話し、失業保険の延長に関する手続きを郵送で行うことを伝える
- 必要書類を郵送で提出する
必要書類の提出先は、2.の手順で電話した先のハローワークに届くよう注意してください。また、郵送物が雨で濡れて手続きが進められないといったことを防ぐためにも、クリアファイルなどでガードした上で郵送するのがポイントです。
延長手続きに必要な書類
失業保険の延長手続きに必要な書類は、以下の通りです。
- 受給期間延長申請書
- 離職票(1、2)
- 印鑑
- 妊娠などで延長する場合は母子手帳
- 海外赴任に同行する場合は転勤事例など
出典:厚生労働省「妊娠・出産・育児・疾病等のため、すぐに就職できないとき | 千葉労働局」
書類の種類としてはそこまで多くはありませんが、受給期間延長申請書などの書き方が分からない場合は、ハローワークに電話して確認しながら記載をするのがおすすめです。
失業保険の延長解除の申請方法
失業保険の延長期間中に、働ける状態になった場合は求職活動をしていくことになりますが、その際に失業保険を受け取りたいという場合、失業保険の延長を「解除」する手続きをしなければなりません。
ここでは、失業保険の延長解除についての解説を詳しく行っていきます。
失業保険の延長の解除とは
そもそも失業保険の延長の解除とは、妊娠や出産、病気や怪我、親族の介護などを始めとした、失業保険の延長理由が解消された際に延長を取りやめることを言います。失業保険の延長の解除をすることにより、通常通り失業保険を受け取ることができる状態になれます。
また、失業保険の延長期間中に就職したり、働いたりした場合も自動的に失業保険の延長が解除されます。この場合は失業保険の延長期間は就労した日の前日まで延長されることになりますので、合わせて覚えておくと良いでしょう。
失業保険をもらうためには、失業保険の延長状態ではないことが条件になります。忘れないうちに失業保険の延長を解除することが重要になることを認識しておいてください。
延長解除に必要な書類
失業保険の延長解除に必要な書類は以下の通りです。
- 印鑑
- 離職票(1、2)
- 雇用保険被保険者証
- 受給延長通知書
- 本人確認書類
- 証明写真2枚
- 銀行口座が分かる通帳やキャッシュカード
- 母子手帳や転勤辞令など、失業保険の延長時に提出した書類
基本的にはこれらの書類を持ってハローワークに行くことで、失業保険の延長の解除の手続きを進めることができます。
ただ、制度の改訂や失業理由によって必要書類が変わることもありますので、前もってハローワークに電話をして必要書類の確認をしておいてください。
失業保険の延長解除から受給の流れ
失業保険の延長解除の手続きと、失業保険の受給開始のための手続きは基本的に同時に行うことが多いです。失業保険の延長解除から受給までの流れをまとめると、以下の通りとなります。
- ハローワークに必要書類を提出する
- 求職申込を行う
- 雇用保険受給説明会に参加する
- 失業認定を受け、失業手当を受給する
それぞれの流れについて詳しく解説します。
1.ハローワークに必要書類を提出する
まずは最寄りのハローワークに先ほど解説した必要書類を持って行きましょう。ハローワークに着いたら、窓口の担当者に「失業保険の延長の解除と、失業保険の受給手続きをしたい」旨を伝えます。
自分の順番が来たら、職員に必要書類を提出してこれからの手続きについて詳しい説明を受けましょう。また、失業保険の受給に当たって簡単な面談をすることもありますが、何か特別な準備をして臨む必要はありませんので、聞かれたことを素直に答えれば大丈夫です。
ちなみに、ハローワークにもよりますが、営業時間は基本的に平日の17時までであるケースが多いです。失業保険の手続きについては時間がかかることが予想されますので、できるだけ早い時間帯に行くのがおすすめです。
2.求職申込を行う
失業保険の手続きも並行して行うために、求職申込も同時に行いましょう。求職申込の手順は以下の通りです。
- 求職申込書を記入する
- ハローワークカードを発行する
- ハローワークにあるパソコンなどで気になる求人を検索する
- 気になる求人への応募意思を職員に伝える
気になっている仕事がある場合は、その場で求人に応募することが可能です。また、自分にはどんな仕事が向いているのか分からない場合は、窓口で求職相談を受けることもできますので安心してください。
なお、求人検索については、ハローワークのパソコン端末以外に、自宅でもネットから求人を検索することができますので、その場で応募したい求人が見つけられなくても問題ありません。
失業保険の延長の解除という観点だけで言えば、求職申込書の提出と職員との簡単な面談を行うだけで大丈夫です。
3.雇用保険受給説明会に参加する
失業保険を受給するためには、全員必ず雇用保険受給説明会に出席する必要があります。雇用保険受給説明会は毎週ハローワークで開催されていて、失業保険の目的や受給するための条件、これからの失業状態での過ごし方などについて詳しく解説されます。
雇用保険受給説明会への持ち物は筆記用具くらいで問題なく、何か特別に準備する必要はありません。ただ、今後の失業保険の受給と就職活動にとって非常に重要な内容を話してもらえるため、集中して聞くことを意識してください。
4.失業認定を受け、失業手当を受給する
雇用保険受給説明会を受けることで、ようやく失業の認定を受けることができ、失業保険の受給がスタートします。なお、失業認定は4週間ごとにハローワークから再度受け続けなくてはなりませんので、継続的にハローワークと面談をすることになります。
もし初回の失業認定以降ハローワークに行かないと、2回目の失業認定が受けられずに失業保険の受給はストップしてしまいます。悪質だと判断されると、今後の人生において失業保険が受給できないリスクもありますので、ハローワークの指示に従って真面目に就職活動をするよう意識してください。
失業保険がもらえる期間や金額
失業保険の延長を解除することで、失業保険がもらえるようになりますが、一体どれくらいの期間でいくらもらえるのかといった点は気になるでしょう。
ここからは、失業保険がもらえる期間や金額について、表を用いながら解説します。表を見れば自分が失業保険をもらえる期間と金額をざっくり知ることができますので、合わせて参考にしてみてください。
失業保険の延長をしてももらえる金額に増減はない
失業保険の延長をすると、将来的に受給できる失業手当の金額が変わってしまうのではないかと考えている人がいるかもしれません。しかし、失業保険の延長はもらえる受給金額に影響を与えることはありませんので安心してください。
失業保険の延長はペナルティ的なものは一切ないため、要件を満たしていて将来失業保険をもらいたいと思っている人は、安心して延長手続きを進めて大丈夫です。もし不安があるのであれば、ハローワークの窓口や電話で聞いてみるのも良いでしょう。
失業保険の受給期間
失業保険を受給できる期間は、それまでに加入していた雇用保険の被保険者期間や年齢によってデジタルに算出されます。もちろん延長をしていてもその受給期間が変わることはありません。
なお、失業保険の受給期間は自己都合退職か会社都合退職かで大きく変わってきます。それぞれの意味は以下の通りです。
- 自己都合退職:自分の気持ちの変化や職場の人間関係に馴染めなかったなどを理由に、自分から会社に申し出て退職をすること
- 会社都合退職:経営難によるリストラ実施や、会社の倒産。給料未払いの発生など、会社に非があって退職せざるを得ない状態になった上で退職する(させられる)こと
自分がどちらの退職に該当するかについては、ハローワーク側が提出書類や面談結果を元に判断されますので、失業保険手続き時の面談では正直に退職理由を説明するようにしてください。
自己都合退職の場合
自己都合退職の場合、失業保険がもらえるのは90日〜150日となります。およそ3ヶ月から5ヶ月程度の期間となっていますので、それまでに就職活動を終えて次の職場を見つけられるようにしてください。
雇用保険の被保険者期間 | 受給期間 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1年以上5年未満 | |
5年以上10年未満 | |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
なお、既に解説していますが、この受給期間そのものを延長することはできません。
例えば社会人経験が4年の時点で退職した人は、90日間の失業保険しか受け取ることはできないため注意してください。
会社都合退職の場合
会社都合退職の場合、失業保険の受給期間は90日〜330日となります。
会社都合でいきなり仕事を無くすことになるため、自己都合退職よりも最大で2倍の期間失業保険をもらうことができます。
雇用保険の被保険者期間 | 30歳未満 | 30歳以上35歳未満 | 35歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 |
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 90日 | ||||
1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | – | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
会社都合退職の場合は、退職時の年齢も加味した上で受給期間が決まる点が特徴です。
失業保険の受給金額
失業保険の受給金額は、以下の手順で求めることができます。
- 退職日の直前6ヶ月で毎月支払われていた賃金の総額÷180=賃金日額を算出
- 賃金日額に対して所定の給付率を掛け合わせる=基本手当日額を算出
- 基本手当日額×給付日数=支給総額を算出
ここでは簡単に目安金額を算出できるように解説します。
まず、退職日の直前6ヶ月で毎月支払われていた賃金を調べ、その総額を180で割り戻しましょう。例えば月収200,000円だった人であれば、「200,000×6÷180=6,666円」となります。
これが賃金日額となりますので、あとは以下の表の年齢と照らし合わせて、失業手当として毎日もらえる「基本手当日額の目安」を確認すればおおよその金額を知ることができます。
退職時の年齢 | 賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額の目安 |
---|---|---|---|
29歳以下 | 2,657〜5,030円未満 | 80% | 2,125円〜4,023円 |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | 4,024円〜6,190円 | |
12,380円超〜13,670円以下 | 50% | 6,190円〜6,835円 | |
13,670円超 | – | 6,835円 | |
30〜44歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% | 2,125円〜4,023円 |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | 4,024円〜6,190円 | |
12,380円超〜15,190円以下 | 50% | 6,190円〜7,595円 | |
15,190円超 | – | 7,595円 | |
45〜59歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% | 2,125円〜4,023円 |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | 4,024円〜6,190円 | |
12,380円超〜16,710円以下 | 50% | 6,190円〜8,355円 | |
16,710円超 | – | 8,355円 | |
60〜64歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% | 2,125円〜4,023円 |
5,030〜11,120円以下 | 45~80% | 4,024円〜5,004円 | |
11,120円超〜15,950円以下 | 45% | 5,004円〜7,177円 | |
15,950円超 | – | 7,177円 |
基本手当日額の目安金額に対し、先ほど解説した受給期間の日数を掛け合わせることで、自分が失業保険として受給できる総額を計算することができます。
失業保険をもらうなら知っておきたい「再就職手当」とは
失業保険を一度もらうと、「できるなら失業保険をできるだけもらい切ってから就職したい」と考えるかもしれません。しかし、失業保険とは別の手当として、再就職手当というものが用意されています。
ここでは、失業保険をもらうのであれば同時に知っておくべき、再就職手当について解説します。
1年以上の雇用が見込まれる就職でもらえるお金のこと
再就職手当とは、失業保険の受給者が早期に就職できることを促すために設けられている給付制度です。
具体的には、1年以上の雇用が見込まれる就職を成功させることで受給できます。正社員就職はもちろん、派遣という雇用形態であっても、1年以上の雇用が前提である就職なら再就職手当をもらうことが可能です。
後ほど触れますが、再就職手当は一度に多くの金額を受給することが可能です。人によっては失業保険をもらい切るのではなく、途中で失業保険を切り上げ、再就職手当をもらって就職した方が、障害でもらえる収入が多くなるといったことも十分あり得ます。
再就職手当の受給条件
再就職手当をもらう条件としては、以下の8つを全て満たす必要があります。
- 就職日前日までの失業給付の認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。
- 1年を超えて勤務することが確実であると認められること。
- 待機期間満了後の就職であること。
- 離職理由による給付制限を受けた場合は、待機期間満了後1ヶ月間については、ハローワーク等または、許可届出のある職業紹介事業者の紹介により就職したものであること。
- 離職前の事業主や、その関連事業主への再就職でないこと。
- 就職日前3年以内の就職について、再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
- 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
- 原則として、雇用保険の被保険者資格要件を満たす条件での雇用であること。
出典:厚生労働省「再就職手当の支給要件」
色々と条件がありますが、シンプルに言い換えると「失業保険をもらい始めてから、ハローワークや民間の就職エージェントで就職活動をし、離職した会社と無関係の会社に就職する」ことでもらえると認識しておけば良いでしょう。
再就職手当でもらえる金額
再就職手当でもらえる金額は、以下のように計算されます。
再就職手当の受給額=基本手当日額×支給残日数×給付率(60%・70%)
再就職手当における給付率は、支給残日数がどれだけ残っているかによって変わります。もし支給残日数が所定給付日数の2/3以上であれば70%、それより短ければ60%となります。
例えば、基本手当日額が7,000円の人で、所定給付日数90日のうち40日の時点で再就職を決められた場合は「7,000円×50×60%=210,000円」という計算になります。
場合によっては50万円以上の再就職手当になることもありますので、再就職に対するモチベーションアップにも繋がりますし、新生活を金銭的な安心感を持って迎えることもできます。
このように、失業保険を途中でストップして就職したとしても、再就職手当というメリットがあることを覚えておきましょう。
失業保険の延長に関する注意点
最後に、失業保険の延長に関する注意点を3つ簡単に解説します。
申請が遅れると受給金額が減る可能性がある
失業保険の延長は条件を満たせば最長4年まで延長できますが、そもそも延長の申請が遅れてしまうと、最終的に失業保険の受給総額が減ってしまうことがあります。
失業保険を延長しなければならない時は、忙しい状況であるケースが多いですが、将来的に損をしないためにも、できるだけ早くハローワークに連絡をして失業保険の延長手続きを始めるようにしてください。
延長できても保険料や年金の支払いは必要
失業保険を延長できたとしても、社会保険料や年金などの支払いは必要です。ただ、いずれも所得が減ってしまった時の減免手続きが可能ですので覚えておきましょう。
失業中だからといって、払う義務のある各種保険料や年金を滞納してしまうと、最悪の場合財産の差し押さえを受けることもありますので注意してください。
年金の免除制度などについては以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて参考にしてみてください。
無職者が年金保険料を免除にするには?手続きや免除制度の注意点!
失業保険受給中のアルバイトは申告をする
失業保険を受給している間はアルバイトをしても問題ありませんが、その事実は必ずハローワークに申告しましょう。
無申告でアルバイトをして、一定の給料を稼いでしまうと、その時点で失業保険の受給がストップしてしまうリスクがあります。
まとめ
失業保険は特定の事由に該当すれば延長することができます。ただ、延長できるのはあくまでも申請期限が延長できるというだけに過ぎず、失業保険の受給期間そのものを延長できるわけではないので注意してください。
また、失業保険を受給し始めたあと、できるだけ早い段階で就職を決定できれば再就職手当がもらえます。早く再就職先を見つけたいのであれば、ハローワークだけでなく民間の就職エージェントの利用も検討してみると良いでしょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい
妊娠・出産や病気などを理由に離職した人の場合、すぐに働けない状態にあるため失業状態とは見なされなくなってしまいますので、失業保険の受給をすることができません。