職業訓練給付金という言葉を知ったものの、具体的にどういった人がどれくらいの金額の給付を受けられる制度なのか知らない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、職業訓練給付金の制度を始め、給付金をもらえる条件や審査の流れ、販売価格など知っておきたい知識を幅広く解説します。
特にこれから職業訓練を受けて就職活動を進めていきたいと考えている人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
職業訓練給付金とは?
まず、この記事の主題でもある職業訓練給付金とはどういった制度なのでしょうか?職業訓練給付金の特徴を簡単にまとめると、以下の3点が挙げられます。
- 給付金をもらいながら職業訓練を受けられる制度
- 所定の条件を満たせば誰でも対象
- 毎月の支給額上限は約15万円
それぞれ詳しく解説していきますので、まずは職業訓練給付金とはどういった制度なのかについての理解を深めていきましょう。
給付金をもらいながら職業訓練を受けられる制度
職業訓練給付金とは、これから再就職や転職をしたいと考えている人や、現職に勤めながらもスキルアップをしたいと考えている人が、月10万円の給付金を受給しながら、職業訓練を無料で受講できる制度です。
厚生労働省が提供する公共サービスであり、正式名称は「求職者支援制度」と言いますが、「職業訓練給付金」「職業訓練受講手当」などと呼ばれることもあります。
職業訓練はハローワーク経由で申し込みができる、働く上で活かせる知識やスキルを習得できるサービスであり、パソコンスキルコースやプログラマーコースを始め、多種多様なコースを誰でも受講できるのがポイントです。
通常、職業訓練は2カ月から最長2年の間、週3〜5日を目安に一回6時間程度の勉強をすることになりますので、アルバイトをして生活費を稼ぐということが難しくなります。そうした状況を鑑み、給付金という形でスキルアップの間接的な支援をするのが、職業訓練給付金の目的となります。
所定の条件を満たせば誰でも対象
職業訓練給付金の支援が受けられる「求職者支援制度」は、以下の条件を満たせば利用できます。
【職業訓練給付金を受けながら制度を利用する場合】
離職者の場合 | ・失業保険(雇用保険)の適用がなかった人 ・失業保険(雇用保険)の受給期間が満了した人 ・フリーランスや自営業を廃業した人 |
在職者の場合 | ・アルバイトやパートなどで一定額以下の収入で働きつつ、正社員への就職を目指す人 |
【職業訓練給付金を受けずに制度を利用する場合】
離職者の場合 | ・親や配偶者と同居していて、かつ一定の世帯収入がある人 |
在職者の場合 | ・在職中で、一定の収入がある人 ・フリーランスや自営業で働きつつ、正社員への就職を目指す人 |
出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内 |厚生労働省」
色々と条件が決まってはいるものの、ざっくり言うと求職者支援制度はほとんど誰でも利用できると言えます。
ただし、状況によって職業訓練給付金の受給が難しい場合もありますので、少しでも不安な人は最寄りのハローワークで相談してみることをおすすめします。
職業訓練給付金の受給条件
職業訓練給付金を受給するためには、以下の条件を全て満たしている必要があります。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日全てに出席する
- 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内 |厚生労働省」
職業訓練給付金を受給するための条件を簡単に言い換えると、「手持ちの資産も収入も少ないが、勤勉に就職活動をしている人」となります。
特に収入の部分はハローワークによって厳正に審査されますので、後ほど解説する必要書類を準備するのを忘れないようにしましょう。
毎月の支給額上限は約15万円
職業訓練給付金として貰えるお金の種類は3つあり、全て合計すると上限は153,200円となります。内訳をまとめると以下の通りです。
手当の種類 | 毎月貰える金額 | 詳細 |
---|---|---|
職業訓練給付金(職業訓練受講手当) | 100,000円 | 要件を満たすことで、職業訓練を受講している期間毎月貰える給付金 |
通所手当 | 上限42,500円 | 本人収入が12万円以下かつ、世帯収入が月34万円以下で諸条件を満たすことで、職業訓練給付金がもらえなくても訓練施設に通う交通費としてもらえる給付金 |
寄宿手当 | 10,700円 | 職業訓練に通うために、今住んでいる場所から別居する必要があるとハローワークが認めた場合のみもらえる給付金 |
また、他にも生活費が足りないという人を対象にした「求職者支援資金融資」という制度もあります。
お金がないから職業訓練が受けれないということはありませんので、これらの給付金を活用してスキルアップを目指すのも良いでしょう。
職業訓練給付金がもらえるタイミング
職業訓練給付金の支給金額は毎月最高15万円となっていますので、居住地域にもよりますが比較的安心して生活できる水準の金額となっています。
そんな職業訓練給付金ですが、申請してからどれくらいでもらい始められるのかについて解説していきます。
支給決定後1週間程度でもらえる
前提として、職業訓練給付金は職業訓練受講期間中、毎月もらい続けることができます。例えば、受講開始から修了まで9カ月のコースであれば、受給総額は10万円×9カ月で90万円となります。
そんな職業訓練給付金ですが、申し込み手続きをして所定の審査に通過後、支給が決定してから1週間〜10日ほどでもらい始められるようになります。
具体的な例で解説すると、例えば4月から職業訓練がスタートした場合、休まず職業訓練を受けているかの確認を5月上旬にハローワークに報告しに行きます。
その際、報告と共に職業訓練給付金の受給申請を行うことができ、問題がなければその場で支給決定の承認がもらえます。
その後、1週間〜10日で初回の給付金振り込みがあるため、このケースでは5月中旬頃には10万円がもらえるといったスケジュール感となります。
失業保険と同時にもらうことはできない
職業訓練給付金と失業保険を同時にもらうことができるのではないかと考えるかもしれませんが、それはできません。何故なら、職業訓練給付金は失業保険が受給できない人を対象にした制度であり、物理的に失業保険を同時にもらえないようになっているからです。
ちなみに、失業保険の受給条件は以下の3つの全てを満たす必要があります。
- 失業状態にある
- 雇用保険の被保険者期間が一定以上ある(例:自己都合退職であれば、退職日以前の2年間で12カ月以上)
- ハローワークで求職申込をしている
失業保険をもらいながら就職活動を進めるか、職業訓練給付金をもらいながらスキルアップの後就職活動を進めるか迷った場合は、ハローワークの職員とも相談して決めるのが良いでしょう。
毎月15日〜20日に振り込まれる
職業訓練給付金は毎月振り込まれますが、振り込まれるタイミングとしては毎月15日〜20日のいずれかの日となります。
振り込み日に幅がある理由としては、金融機関の営業日やハローワークか職業訓練校の混み具合などの理由によって早い遅いがあるためです。「なかなか職業訓練給付金が振り込まれなくて困っている」というネットの声も見られますが、およそ毎月20日には振り込みが確認できている傾向にありますので安心してください。
なお、生活費が毎月カツカツになってしまうような人は、「職業訓練給付金は毎月20日には振り込まれる」と思って生活すると、精神的に余裕のある生活ができるはずですので意識してみてください。
職業訓練給付金の審査の流れや必要書類一覧
ここまでの解説を読んで、職業訓練給付金に興味を持っている人も多いと思います。
ここからは、実際に職業訓練の審査の流れや必要書類について解説していきます。
特に必要書類については同居人に書類を用意してもらう必要があるなど、準備に時間がかかる場合もありますので、スムーズに申請するためにもあらかじめ知っておきましょう。
職業訓練給付金の審査の流れ
職業訓練給付金の審査の流れとしては、以下の通りです。
- ハローワークで求職者支援制度について説明を聞き、職業訓練給付金を受給したいことを伝える
- 受講申込書などの必要書類を受け取る
- 職業訓練の申し込みと、職業訓練給付金の事前審査の申請を行う
- 興味のある職業訓練校を選ぶ
- 職業訓練校で入学試験を受験して合格する
- 職業訓練の受講スタート
- 職業訓練給付金の支給スタート
手順としては長いと感じてしまうかもしれませんが、基本的にハローワークに行けば大抵の審査手続きが完了しますので、職業訓練給付金を受給したいとなったらハローワークに行くとさえ認識しておけば問題ありません。
また、職業訓練を受講するためにはペーパー試験が必要になることがあります。入学試験に合格しないと当然ながら職業訓練給付金はもらえませんので注意してください。
職業訓練給付金の審査に必要な書類一覧
職業訓練給付金の審査には、必要な書類が大きく分けて4種類あります。
- マイナンバー確認書類
- 本人確認書類
- ハローワークからもらう書類
- 自分で用意する書類
どれかを忘れてしまうと、せっかくハローワークに行っても審査ができないといったことになりますので、必ず認識しておいてください。
必要書類出典:厚生労働省「求職者支援制度があります!」
①マイナンバー確認書類
マイナンバー確認書類として、以下のうちいずれか1点を用意する必要があります。
- マイナンバーカード
- マイナンバーが記載された住民票の写し
- 通知カード
マイナンバーが全く分からないという人は、市役所に行ってマイナンバーが記載された住民票の写しを役所で取得するのがおすすめです。なお、住民票の写しの発行には300円かかりますので、現金を持っていくのも忘れないようにしましょう。
②本人確認書類
本人確認書類として、以下のうちいずれか1点を用意する必要があります。
- マイナンバーカード
- 運転免許証
- 運転経歴証明書
- 旅券(パスポート)
- 療育手帳
- 身体障害者手帳
- 精神障害者手帳
- 在留カード
なお、上記のいずれもない人は、以下のうちいずれか2点を用意することでも代替できます。
- 公的医療保険の被保険者証
- 特別児童扶養手当証書
- 年金手帳
- 児童扶養手当証書
また、他にも本人確認書類として認められる書類がありますので、上記のいずれも持っていない人はハローワークに相談してください。
③ハローワークからもらう書類
職業訓練給付金申請に際し、ハローワークから以下の記入書類をもらうことになりますので、記入例に沿って記入して持ち込みましょう。
- 受講申込書
- 受講申込・事前審査書(安定所提出用)
- 個人番号の情報連携による地方税関係情報の情報照会に係る同意書
- 職業訓練受講給付金要件申告書
- 職業訓練受講給付金通所届
- 育児・介護実施状況申告書(該当者のみ)
記入しなければならない書類は多いため、漏らさずに余裕を持って対応するようにしてください。
④自分で用意する書類
他にも、自分自身で用意が必要な書類が数多くありますので、ハローワークの指示に従って準備してください。
- 直近3カ月以内に交付された住民票謄本の写しまたは住民票記載事項証明書
- 事前審査申請日の前月に得た申請者本人および全ての同居配偶者等の収入を証明する書類
- 申請者本人及び同居配偶者等が保有する事前審査申請日において残高がある全ての預貯金通
- 給付金の振込先となる通帳
- その他、ハローワークが求める書類
職業訓練給付金には収入条件がありますので、同居配偶者や自分自身の収入を証明する書類が必要になります。
パートナーや家族などに協力してもらう必要がありますので、スムーズに進めるためにもあらかじめ職業訓練を受けようと思っていることを話しておくと良いでしょう。
職業訓練給付金の審査に落ちた場合の対処法
職業訓練給付金は、申請すれば誰でももらえるというわけではありません。状況によっては、審査に落ちてしまうこともあるでしょう。
もし職業訓練給付金の審査に落ちた場合は、以下の対処法が考えられます。
- 受給条件を再確認する
- ハローワークに相談しに行く
- 職業訓練給付金をもらわずに就職活動する
それぞれ詳しく解説します。
受給条件を再確認する
記事の冒頭でも解説しましたが、職業訓練給付金をもらうためにはいくつかの条件を満たしていなければなりません。収入や金融資産が一定水準未満である必要があることは既に触れていますが、前提として以下の条件も満たす必要があります。
- ハローワークに求職の申込をしている
- 労働の意思と能力がある
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認める人
出典:厚生労働省「職業訓練受講給付金」
このように、職業訓練給付金を受給するための条件は複数も存在するため、もし審査に落ちた場合はいずれかの条件を満たしていないと判断されてしまっていることがあります。
審査に落ちた時は、まず自分が職業訓練給付金の受給条件を全て満たしているのか改めて確認してみてください。
ハローワークに相談しに行く
職業訓練給付金の受給条件を確認しても、「自分は条件を満たしているのではないか」と感じる場合は、ハローワークに相談をしに行きましょう。
特に条件の中の一つにある「職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認める人」については、詳細条件が公開されていないため、この条件で引っかかってしまっていることが考えられます。
一度出た審査結果を覆すことは難しいものの、もしかしたらハローワークの手違いで審査に落ちているということも考えられますので、どうしても納得できない人は職業訓練給付金の審査を依頼したハローワークに足を運んでみるのも手です。
職業訓練給付金をもらわずに就職活動する
最も順当な対処法は、職業訓練給付金の審査に落ちたことを受け入れ、給付金をもらわずに就職活動を進めるということが挙げられます。
「もらえるかもしれなかったものがもらえなかった」というのは悔しい思いをするかもしれませんが、早々に就職を決めて働くことができれば、給付金以上の収入を稼ぐことが可能です。
また、就職後に仕事で実績を出せれば、中長期的に見て生涯収入を大きく増やしていくこともできるでしょう。
いつまでも職業訓練給付金の審査について悩むのではなく、時にはすぐに切り替えて次の行動に移るのも重要になりますので認識しておいてください。
職業訓練給付金をもらうメリット
職業訓練給付金をもらうメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- メリット1. お金をもらいながらスキルアップできる
- メリット2. 手厚い就職支援が受けられる
- メリット3. 自分に向いてる仕事を見つけやすい
それぞれ詳しく解説します。
メリット1. お金をもらいながらスキルアップできる
職業訓練給付金をもらう最大のメリットとも言えるのが、お金を毎月10万円もらいながらスキルアップができるという点です。
職業訓練で無料で新しい知識を習得できるだけでも大きなメリットですが、それに加えて最低限生活できるレベルのお金ももらえるというのは、他では見られない制度と言えるでしょう。
また、職業訓練で習得できるスキルは就職活動に役立つことはもちろん、就職後にも活かせるものが多くあります。実務で活躍できるスピードも早まる期待が持てますので、独り立ちもすぐにできるかもしれません。
メリット2. 手厚い就職支援が受けられる
職業訓練給付金をもらうことができれば、お金がもらえるという直接的なメリットだけでなく、ハローワークによる手厚い就職支援が受けられるというメリットもあります。
ハローワークでの就職支援の例としては以下が挙げられます。
- 履歴書の無料添削
- 模擬面接の実施
- キャリアカウンセリング
- 希望条件を満たしている求人の紹介
- 面接日時の調整代行
- 企業への推薦状の作成
実に幅広い就職支援を受けられるため、希望の企業への就職成功率を大きく高められる期待が持てます。
特に今まで就職活動をしたことがなく、どうやって内定を獲得すればいいか分からないという人であれば、就職活動支援のプロから支援やアドバイスをもらうメリットを大きく享受できるはずです。
メリット3. 自分に向いてる仕事を見つけやすい
通常、失業状態にあれば収入が一切無くなるため、貯金を切り崩して生活していく必要が出てきます。その状態だと、何よりもまず次の就職先をどこでもいいから見つけたいという焦りが出てきてしまいますので、結果的に自分に全く向いていない会社に就職するといったリスクが生じます。
一方、職業訓練給付金をもらうことにより、生活を安定させやすくなるため、落ち着いて自分の希望に合った職場を見つける体制を作ることができます。加えて、職業訓練でスキルアップができることから、今まで興味を持っていたようなジャンルの仕事に就職しやすくなるといったメリットもあるでしょう。
そのため、自分に向いてる仕事を見つけやすくなり、納得できる就職活動が叶えられるかもしれません。
職業訓練給付金をもらうデメリット
職業訓練給付金をもらうことには、メリットだけでなくデメリットもいくつか考えられます。
- デメリット1.再就職までに時間がかかる
- デメリット2.8割以上出席しないといけない
- デメリット3.途中で辞めると6年間は受給できない
職業訓練給付金のメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解した上で申請するかどうかを検討してみてください。
デメリット1. 再就職までに時間がかかる
職業訓練給付金をもらうことが直接的に影響してくるわけではありませんが、再就職までに時間がかかるといったデメリットが挙げられます。
職業訓練給付金をもらうということは、つまり職業訓練を受講しきるということとイコールです。職業訓練はコースにもよりますが、2カ月から長いもので2年もの期間通い続ける場合もあります。
当然この期間は働いていないことになりますので、社会人になるタイミングがその分遅れてしまうということになります。職業訓練給付金実務経験の収入は毎月10万円で固定となり、場合によっては生活に困窮することもあるでしょう。
デメリット2. 8割以上出席しないといけない
職業訓練給付金をもらい続けるためには、職業訓練に8割以上出席しなければなりません。もしそれ未満の出席になると、その月の職業訓練給付金がまるまるもらえなくなります。
また、職業訓練は基本的に平日毎日9時から16時頃までみっちりとカリキュラムが用意されているため、人によっては8割以上の出席が大変だと感じることもあるでしょう。義務感を感じて嫌々出席してしまえば、スキルを上手く習得できないことも考えられます。
生活の大半の時間を職業訓練に費やすことになるため、毎日同じことを継続するのが苦手な人からすると、心理的プレッシャーを感じるかもしれません。
デメリット3. 途中で辞めると6年間は受給できない
職業訓練給付金は、一度もらうと次にもらえるようになるのは6年後以降となります。もし職業訓練の受講を途中で辞めてしまうと、非常に長い期間において職業訓練給付金がもらえなくなりますので注意が必要です。
また、この6年の間に自分が本当にやりたい仕事を見つけられた時、職業訓練給付金をもらうという選択肢が取りにくくなることは明確なデメリットと言えるでしょう。
職業訓練給付金をもらおうとする時は、真剣に就職したいという思いを持っていることに加え、次に就職したい職種をある程度選別した上で申請するのがおすすめです。
職業訓練給付金をもらうための職業訓練とは
職業訓練給付金をもらうためには、職業訓練の受講が必須であることを解説してきましたが、そもそも職業訓練とはどういった制度なのかよく理解できていないという人も多いでしょう。
ここからは、職業訓練とはどういった制度なのかを改めて解説します。職業訓練給付金を受けてスキルアップをしていきたいという人は、しっかりと理解しておいてください。
無料で利用できる国の就職支援制度
職業訓練とは、これから就職をしたいという人を対象にして、ハローワークが知識やスキルを習得できる機会を提供する無料サービスです。正式名称は「公的職業訓練」といい、「ハロートレーニング」という愛称がついています。
現在失業中という人はもちろん、何らかの定職に就いている人であっても、自身のスキルアップのために職業訓練を利用することが可能です。ただ、仕事をしている人が職業訓練を受けようとする際は、別途費用がかかってくることがありますので注意してください。
スキルや知識を習得した上で就職活動が進められるため、今まで経験したことのないような技術職に未経験から就職しやすくなる点が職業訓練の大きなメリットと言えます。
スキルアップのための様々なコースが選べる
職業訓練は、自分の希望に応じて様々なコース・カリキュラムの中から学んでいくことが可能です。具体的には、以下のようなコースから自分の好きな分野のスキルアップを狙えます。
- パソコンスキル全般(オフィス系など)
- 経理
- クリエイティブ
- Webデザイナー
- エンジニア/プログラマー
- 医療事務
- 機械系エンジニア
- CADオペレーター
- ネイルサロン
- 介護福祉
- キャリアカウンセラー
いずれも働く上で活かせる知識を習得できますので、失業状態からいきなりエンジニアになるといったことも期待できます。
訓練の種類は2つある
職業訓練は大きく分けると2つの種類がありますので、合わせて覚えておきましょう。
公共職業訓練 | 求職者支援訓練 | |
---|---|---|
対象者 | 失業保険受給者 | 失業保険をもらえない人 |
受講費用 | テキスト代以外無料 | |
もらえる可能性がある手当 | ・通所手当(交通費) ・失業保険の延長 | ・通所手当(交通費) ・職業訓練受講手当 ・寄宿手当 |
受講期間の目安 | 3カ月から2年 | 2カ月から6カ月 |
失業状態にあり、かつハローワークに認定され失業保険をもらっている人の場合、公共職業訓練を受講することになります。
諸条件はありますが、職業訓練給付金だけでなく交通費をもらいながら職業訓練校に通うことができますので、金銭的な負担がほぼゼロでスキルアップが可能です。
職業訓練給付金をもらう上での注意点
最後に、職業訓練給付金をもらおうとする際に注意しておきたいポイントを3点解説します。
通帳の偽造など審査書類で不正をしない
職業訓練給付金の申請時は、自分の資産状況を証明するために通帳の写しなどを提出することがあります。通帳に限らず、職業訓練給付金の申請書類について虚偽のものがあることが判明した場合、職業訓練給付金の不正受給と見なされます。
職業訓練給付金の不正受給と判定された場合、これまで受給した金額の3倍のお金を罰金として支払うなど重いペナルティが待ち受けてしまうので、絶対に不正をしないようにしてください。
隠れてバイトするとバレるので注意
職業訓練給付金は毎月10万円の支給がされますが、人によってはこれだけで生活するのは難しいと感じるかもしれません。だからといって、ハローワークに申告せずに隠れてバイトをすると、職業訓練給付金をもらうための条件である月収を上回り、支給がストップすることがあります。
また、隠れてバイトをすればバレないだろうと思うかもしれませんが、基本的にハローワークは税務署などのそれぞれの役所と繋がりがありますので、ほぼ確実にバイトをしていることはバレます。
こちらも悪質な場合は不正受給の対象になることがありますので、バイトをしたいのであればハローワークにまずは相談しましょう。
審査は厳しい傾向にある
職業訓練給付金は大きなメリットがある制度です。だからこそ、審査は厳しい傾向にあります。申請しても通らなかったということは珍しくありませんので、職業訓練給付金の審査に落ちたからといって就職活動の手を止めてしまうことは避けてください。
職業訓練給付金がもらえなくても、すぐに就職ができれば月10万円以上を稼ぐことは十分に可能です。もしハローワークだけの支援で就職活動が上手く進められないと悩んでいる場合は、民間の就職エージェントを活用するのも良いでしょう。
まとめ
職業訓練給付金は、毎月10万円もらいながら知識やスキルを習得できる制度です。
自分の希望する職業に就きやすくなることや、安心して就職活動を進められるといったメリットがありますが、受給期間分就職が遅くなるといったデメリットも考えられます。
自分が職業訓練給付金を受給すべきか悩んだ際は、最寄りのハローワークの窓口で相談するのも良いでしょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい