失業保険を一度もらうとどうなるのか、どういったデメリットが考えられるのか?など気になる人も多いのではないでしょうか。
失業保険を一度もらうと雇用保険加入期間がリセットされてしまうので、一定期間働いてからでないともう一度受給することができなくなります。
この記事では、失業保険を一度もらうことにより生じることもあるデメリットや、始めてもらおうとする時に知っておきたいポイントを詳しく解説します。
なお、そもそも失業保険とは正式名称ではありません。正しくは「基本手当」といい、雇用保険の給付に含まれているものになります。この記事では便宜上失業保険として解説しますが、自分でより詳しく調べたい場合は「基本手当」という名称で制度を調べるようにしてください。
この記事の目次
失業保険を一度もらうと生じるデメリット5選
失業保険を一度もらうことで生じるデメリットとしては、以下の5点が挙げられます。
- 空白期間が長引きやすい
- 雇用保険加入期間がリセットされる
- 自己都合退職だと3カ月程度支給なし
- 会社都合退職でも連続して受給できない
- 不正受給をすると大きなペナルティ
もちろん、失業保険をもらうこと自体は、失業状態において生活の安定を図れるという点で大きなメリットがあり、一度もらうことで間接的に上記のデメリットが生じると考えられます。
それぞれのデメリットについて詳しく解説しますので、失業保険をこれからもらおうとしている人は参考にしてみてください。
1. 空白期間が長引きやすい
失業保険は3ヶ月から最長で約1年程度にわたって、毎月一定額の給付を受けられる制度です。人それぞれ給付金額は異なるものの、最低限の生活はできる水準の金額であり、働かずにお金がもらえるというのはほとんどの人にとって嬉しいポイントと言えるのではないでしょうか。
しかし、働かずにお金が得られるという状況に甘んじてしまい、結果的に働いていない空白期間が長引きやすいといったデメリットに繋がることが考えられます。
空白期間というのは文字通りキャリアが存在しない期間であり、「ブランク」と呼ばれることもあります。空白期間が長くなればなるほど、次に就職しようとする時に面接官からネガティブなイメージを持たれやすくなる傾向にあります。
特に3ヶ月から半年以上の空白期間ができてしまうと、面接官から「この人は働いていない期間が長いから、就職して毎日働くのは難しいのではないか?」「何か嫌なことがあったらすぐに辞めてしまうのではないか?」といった感情を持たれやすくなり、書類選考や面接に通りにくくなることもあるでしょう。
2. 雇用保険加入期間がリセットされる
失業保険をもらうための条件の一つに、雇用保険の被保険者加入期間が以下を満たしていることがあります。
会社を辞めた理由 | 必要な被保険者期間 |
---|---|
自己都合(一般受給資格者)退職 | 退職日以前の2年に12カ月以上 |
会社都合退職 or 自己都合(特定理由離職者)退職 | 退職日以前の1年間に6ヶ月以上 |
雇用保険の被保険者加入期間というのは、分かりやすく言い換えると会社員として働いていた期間と同義です。つまり、仮に自分の意思で会社を退職する場合、それまでの2年間で1年以上働いていたという実績がなければ失業保険がもらえないということです。
ただ、この雇用保険の被保険者加入期間は失業保険を一度もらうとリセットされてしまうといったデメリットがあります。つまり、失業保険を一度もらったあと、次は何年後に失業保険の申請ができるかというと、少なくとも半年後になるということです。
もしかしたら半年後や一年後はもっと厳しい家計状態になっているかもしれません。本当に失業保険がないと厳しいという状況にも関わらず、雇用保険の被保険者加入期間が足りずに受給できないといったことも考えられます。
3. 自己都合退職だと2カ月程度支給なし
失業保険を受給するためには、会社を辞めている必要がありますが、この退職理由によって失業保険が受け取れるタイミングが大きく異なります。
勤め先のリストラにあったり、賃金が未払いといった会社理由による退職の場合は、退職から最短1〜2週間程度で失業保険が受給できます。しかし、職場にあわなかったり、転職したいなどの自分の意思だけで退職した場合は自己都合退職となり、2ヶ月間は失業保険が受け取れません。
これは、自己都合退職の場合には失業認定がされたとしても、2ヶ月間は「待機期間」として失業保険が支給されない期間が設けられているからです。この期間を短くすることは原則どうやってもできないため、すぐに失業保険を受け取れない可能性があるというのはデメリットと言えます。
4. 会社都合退職でも連続して受給できない
会社に大きな問題があることによって退職することになる「会社都合退職」は、働いていた人にとって非がないにも関わらず職を失うため、自己都合退職よりも受給期間が長かったり、比較的すぐに受給を受けられるなどの特徴があります。
しかし、会社都合退職であったとしても、失業保険を連続して受給することはできません。具体的に言うと、会社都合退職で現在失業していて、失業保険をもらいつつ再就職を決めたものの、2ヶ月でリストラされた場合、2回目の会社都合退職に該当するものの失業保険はもらえないようになっています。
これは、先ほど解説した通り失業保険の受給の条件として「雇用保険の被保険者加入期間」が存在しているためです。会社都合退職であっても、最低でも6ヶ月以上は働いていないと失業保険をもらうことはできません。
つまり、再就職先を適当に決めてしまい、もしその会社がブラック企業ですぐに退職せざるを得なかったとしても、失業保険を受け取れないということです。
5. 不正受給をすると大きなペナルティ
直接的なデメリットではありませんが、失業保険を不正受給すると以下のような大きなペナルティが課されます。
- 不正の行為のあった日以降のすべての給付が受けられません。(支給停止)
- 不正に受給した金額を、全額ただちに返還しなければなりません。(返還命令)
- 不正の行為により受けた額の最大2倍の納付が命じられます。(納付命令)
- もし、返還や納付をしないときは、財産差押えなどの強制処分がなされます。
- 特に悪質な場合は、刑事事件として告発(刑法の詐欺罪)されます。
出典:大阪労働局「不正受給について(事例等)」
特に、不正受給とハローワークに判断されると、残りの受給期間にもらえるはずだった失業保険がもらえないだけでなく、それまでに受給した金額を3倍にして返還しなければなりません。
不正受給は確実にバレますので、絶対に行わないようにしましょう。もし不正受給がバレてしまえば生活ができない状態になり、就職活動を進めることは実質的にできなくなることも考えられます。
失業保険を一度もらうと就活に影響はある?
失業保険を初めてもらおうとする人の中には、失業保険の受給が就職活動に影響を与えてしまうのではないか?と感じている人もいるかもしれません。
ここでは、失業保険の受給と就職活動の関係性について解説します。
失業保険の受給が直接影響することはない
失業保険をもらっていても、就職活動に直接影響することはありません。求人への応募や面接の際に、失業保険の受給履歴が応募先企業に連携されることもありませんし、履歴書などで失業保険をもらっていることを書く必要もありません。
そもそも、失業保険の目的として「次の就職先を見つけるまでの生活を安定させる」というものがありますので、失業保険をもらいながら就職活動をするというのは当然のことです。企業側もそれを理解しているため、直接的な影響をもたらすことはないと言えます。
ただ、失業保険をもらっていることは悪い影響もなければ良い影響もありません。「失業保険をもらっているから選考に通過しやすくなる」といったことはないため、認識しておきましょう。
空白期間が長引くのは就活で不利になることも
失業保険の受給が就職活動に直接的な影響をもたらすことはありませんが、間接的に悪い影響を与えることは考えられます。
さきほどのデメリットの部分で解説した通り、失業保険を受給して生活することに慣れすぎてしまった場合、空白期間が長引き就職活動で不利になることがあります。
空白期間があっても内定をもらうことは十分できますが、どうしても空白期間がない人に比べて企業側の心象が悪くなりやすいため、人一倍就職活動対策を行う必要があるでしょう。
空白期間があると面接でその理由を聞かれやすい傾向にあります。もし空白期間の説明方法に自信がないという場合は、以下の記事も合わせて参考にしてみてください。
失業保険受給中に再就職できた人は4割
失業保険受給中に再就職できた人は、全体で4割となっています。
受給期間中に再就職できた | 実務経験中に再就職できなかった | その後再就職できたか | |||
再就職できた | 再就職できなかった | 無回答 | |||
総計 | 41.4% | 56.1% | 50.1% | 43.0% | 6.9% |
35歳未満 | 48.4% | 49.2% | 59.1% | 35.3% | 5.6% |
35歳〜49歳 | 48.2% | 49.5% | 60.3% | 32.8% | 6.9% |
50歳〜59歳 | 45.1% | 52.2% | 58.1% | 33.8% | 8.1% |
60歳以上 | 24.7% | 72.8% | 32.8% | 60.6% | 6.6% |
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.168「雇用保険受給者等の就職の実態」
就職希望者のうちの割合としては決して高い水準ではないものの、特に35歳未満の若手であれば2人に1人は失業保険受給中に再就職先を決定しているというデータとなりますので、きちんと準備すれば再就職はできると言えるでしょう。
失業保険を初めてもらう場合のポイント
この記事を読んでいるということは、失業保険をこれから初めてもらおうとしている人も多いでしょう。
ここからは、失業保険を初めてもらおうとする際に知っておきたいポイントを3つご紹介します。しっかり理解した上で手続きを始めてみてください。
まずは最寄りのハローワークにいって受給資格を確認しよう
失業保険の手続きは全てハローワークで進めることになります。必要書類を受け取ることもできますし、失業保険に関する質問もハローワークの職員が回答してくれますので、まずはハローワークに足を運ぶことをおすすめします。
ハローワークは全国各地に存在しますが、自分が住んでいる場所から最も近いハローワークに行けば問題ありません。ハローワークにいった後は、失業保険を受給したいことを伝え、自分に受給資格があるのかを確認しましょう。
なお、ハローワークの営業時間は基本的に平日(祝日を除く)の8:30〜17:15となっており、役所などと同じ時間しかやっていません。
また、ハローワークは失業保険の申し込み受付だけでなく、就職サポートやセミナーなどを提供する場にもなっていますので、自分の番が来るまでに時間がかかることもあります。
そのため、初めてハローワークに行く際は時間に余裕を持って行くようにしてください。
必要書類を準備しておく
ハローワークに行き、自分が失業保険の受給資格を満たしているかを確実に確認するためにも、失業保険申請に必要な書類をできるだけ用意して行くのがおすすめです。
失業保険の受給申請に必要な書類は以下の通りです。
- 雇用保険被保険者離職票(-1、2)
- 個人番号確認書類(いずれか1種類)
- 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類を持っていない人は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
- 証明写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚 ※ マイナンバーカードの提示をすれば省略可能
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
出典:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き」
この中でも特に馴染みがない書類と言えば「離職票」でしょう。離職票は退職した会社から交付されるものであり、会社によっては退職時に離職票を渡してくれるケースもあります。
もし離職票が手元になかったとしても、交付依頼の方法をハローワークが教えてくれますので問題ありません。
服装や持ち物もチェックしておこう
初めてハローワークに行く時は、服装はどうしたらいいのか不安に感じるかもしれません。結論として、ハローワークに行く際はTシャツやジーパン、サンダルなどラフな服装で大丈夫です。服装がラフすぎるからといってハローワークの職員から注意されることもないため心配しないでください。
また、失業保険の手続きに関連するもの以外の持ち物としては、筆記用具とメモ帳があれば十分です。場合によってはハローワークで書類を記載することもありますので、筆記用具を持っておくと安心です。
失業保険をもらわない方がいいケース
失業保険は、失業状態にある人が生活を安定させつつ再就職先を見つけられるという点で受給するメリットが非常に大きい反面、以下のようなケースに当てはまる場合はもらわないという選択肢も検討した方がいいかもしれません。
- 雇用保険加入期間が特定の期間の場合
- 次の就職先がすぐに見つかりそうな場合
- 怠け癖があると自己認識している場合
それぞれのケースについて詳しく解説しますので、これから失業保険をもらおうか悩んでいる人は参考にしてみてください。
雇用保険加入期間が特定の期間の場合
失業保険をもらえる期間は、実は雇用保険加入期間によって30日単位で変わってきます。例えば、自己都合退職の場合は以下のように定められています。
【自己都合退職の場合の失業保険受給期間】
雇用保険の被保険者期間 | 受給期間 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1年以上5年未満 | |
5年以上10年未満 | |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
このことから、雇用保険の被保険者加入期間が9年や19年など、あと1年後に受給申請をすれば30日受給期間が延びるという状況では、失業保険をすぐにもらわない方がいいという判断もできるでしょう。
なお、会社都合退職の場合は雇用保険加入期間が4年、9年、19年のタイミングがそれに当たります。
このように雇用保険加入期間が特定の期間の場合は、あと1年待つだけで失業保険が長くもらえる可能性があります。少しでも長く失業保険をもらいたいという人は退職するタイミングを調整するのも一つの手です。
次の就職先がすぐに見つかりそうな場合
既に解説した通り、失業保険は一度もらうとそれまでの雇用保険加入期間がリセットされてしまいます。そのため、長期間失業状態が続く見込みの時にこそ受給申請をすべきと言えるでしょう。
もし次の就職先がすぐに見つけられそうな状況なのであれば、本当に必要な時に失業保険をもらえるようにしておくためにも、そのタイミングで失業保険の申請をするのは避けておいた方がいいかもしれません。
もちろん、次の就職先が見つけられそうな状況で失業保険をもらっても問題ありませんが、そうなると次は最低でも半年以上は働き続けないと失業保険の受給資格が満たせないので注意してください。
怠け癖があると自己認識している場合
失業保険は働いていなくても一定の収入が得られる制度ですので、怠け癖があるような人だと就職に対するモチベーションの維持が難しくなり、就職活動に力が入らなくなってしまうことが考えられます。
就職活動をなあなあに進めていれば、その分空白期間が長くなって就職が難しくなるという負のループに入りかねません。そのため、怠け癖があると自己認識しているような人は、あえて失業保険を受け取らずに就職活動を集中的に進めてみるというのも良いでしょう。
もし自分一人で就職活動を進めるモチベーションが保てなそうな場合は、民間の就職エージェントを活用し、専任のアドバイザーに就職活動を伴走してもらうというのもおすすめです。
そもそも失業保険とは?
ここまで失業保険について解説してきましたが、そもそも失業保険がどういった制度で、どういう人が受け取れるものなのか理解を深めたい人もいるでしょう。
ここからは、失業保険の制度の概要や受給条件、受給までの流れについて詳しく解説します。もし解説を読んでも理解できなかったら、最寄りのハローワークに電話で質問をしてみるのもおすすめです。
再就職先を見つけるまで毎月お金がもらえる制度
失業保険とは、何らかの理由で会社を退職して仕事がない人が、安心して就職活動が進められるように毎月一定額の金銭的支援を受けられる国の制度です。
失業保険という名称で呼ばれることも多いですが、正式名称は「基本手当」であり、雇用保険の一つであることは覚えておきましょう。
会社を辞めて働いていない状態になると、普通は収入が無くなります。その状態で生活をしていくためには貯金を切り崩していかなければなりませんが、全ての人が貯金があるわけではない上に、貯金もいずれ底を尽きてしまいます。
その状態で就職活動をしたとしても、すぐに就職できる会社に就職しようと焦ってしまい、結果的に本人の望まない就職になることが考えられます。そうした望ましくない就職をしてしまわないよう、失業保険が存在しているのです。
失業保険の受給条件
失業保険は会社を退職した人の全員が受給できるということではありません。失業保険を受給するためには、以下の3つの条件を全て満たしている必要があります。
- 失業状態にある
- 雇用保険の被保険者加入期間が一定以上ある
- ハローワークで求職申込をしている
1点目の「失業状態」とは、単に会社を辞めている・働いていない状態ということではなく、以下の全ての条件を満たしている人のことを指します。
- 就職する意思があり、実際に就職活動を積極的に行っている
- 心身ともに就職できる能力がある
- ハローワークを活用して就職のため努力している
つまり、働く意思があって実際に就職活動に真剣に取り組んでいるものの、就職先が見つかっていない状態の人のことを言います。なお、失業状態にあるかどうかはハローワークが面談を通じて判断します。
2点目の雇用保険の被保険者加入期間については、記事の冒頭で解説した通り一定期間会社員として働いている必要があるという意味になります。会社都合退職であれば半年、自己都合退職であれば1年以上の勤務実績が求められます。
3点目については、ハローワークで就職支援を受けることを指しています。通常、ハローワークで失業保険の受給申請をすると、同時に求職申込をすることになりますので、条件を満たすことは難しくありません。
失業保険の受給の流れ
失業保険の受給までの流れは以下の通りです。
- 退職した会社から離職票をもらう
- ハローワークで受給資格の認定を受ける
- 7日間の待機期間を待つ
- 雇用保険受給者初回説明会に参加する
- 失業認定を受ける
- 失業保険手当の振り込み
- 以降、再就職か給付期間終了まで5.6.を繰り返す
基本的な流れを理解しておくことで、申請から受給までをスピーディに進められるでしょう。それぞれの流れについて詳しく解説します。
1. 退職した会社から離職票をもらう
失業保険を申請するためには、いつ・どの会社を退職したのかを証明する書類が必要です。失業保険の受給申請についてそれを証明するのが「離職票」です。
離職票は退職した会社に交付してもらう必要があります。会社によっては退職時に離職票を渡してくれるケースもありますが、会社に交付の義務があるわけではありませんので、もし手元に離職票がなければ退職した会社の人事に交付依頼を行ってください。
郵送で離職票の交付のやり取りをする際は1週間程度かかることもあるため、余裕を持って連絡をしましょう。
2. ハローワークで受給資格の認定を受ける
離職票を始め、必要書類を準備したら最寄りのハローワークに行きましょう。ハローワークの職員に対して必要書類を提出し、簡単な面談をしたら受給資格の認定を受けられます。
なお、この認定はあくまでも「あなたは失業保険の受給資格がありますよ」という認定に過ぎませんので、まだ失業保険がもらえると確定したわけではありません。
なお、受給資格認定のための面談では特に準備する必要はなく、退職理由などをありのまま答えれば大丈夫です。ただ、面談で嘘をついてしまうと不正受給と見なされたり、失業保険をそもそも受け取れないといったリスクがあるため、正直に答えるよう徹底してください。
3. 7日間の待機期間を待つ
受給資格の認定を受けた後は、7日間の待機期間を待つ必要があります。この早期離職は退職理由に関わらず全ての人が待たなければならない期間であり、短縮することはできません。
待機期間中はハローワークが「本当にこの人に失業保険を支給して問題ないか」といった詳細の審査を行います。申請者側ができることはありませんので、待機期間中は就職活動に向けた自己分析や業界研究などを行って過ごしておくのが良いでしょう。
4. 雇用保険受給者初回説明会に参加する
待機期間終了後は、ハローワークが定期的に実施している雇用保険受給者初回説明会に参加します。この説明会の受講を終えることは、失業保険をもらう上で必須となっていますので、面倒に思っても必ず参加するようにしてください。
雇用保険受給者初回説明会では、失業保険受給中の過ごし方や禁止事項、知っておくと就職活動を有利に進められる付帯情報などが説明されますので、筆記用具などを準備してメモをとりながら臨みましょう。
5. 失業認定を受ける
雇用保険受給者初回説明会の受講を終えることで、失業状態にあることを認定されます。
失業認定を受けることは、失業保険の支給が確定したことと同じですので、ひとまず手続きとしては完了になります。
6. 失業保険手当の振り込み
失業認定後には、自分が指定した銀行口座に失業保険手当が振り込まれます。なお、失業保険の初回振込日については、失業認定日から5〜7営業日後であることが通常です。カレンダーで言えば1週間後には振り込まれることになりますが、不安な人はハローワークの職員に振込日を聞いておくと良いでしょう。
また、前職の退職理由が自己都合退職に該当する場合は、初回の失業認定から2ヶ月間は「給付制限」として失業保険の受給ができません。それ以降は失業保険の受給ができるため、自己都合退職をした人は失業保険の振込が数ヶ月後になることは覚えておいてください。
7. 以降、再就職か給付期間終了まで5.6.を繰り返す
失業認定は4週間に一度、ハローワークとの面談を経て認定してもらい続けなくてはなりません。もし途中で失業認定のための面談に行かないと、その月の失業保険の支給はされませんので注意してください。
失業保険受給期間中は、失業認定の更新のために毎月ハローワークに行く必要がありますので、その点も合わせて認識しておきましょう。
なお、途中で再就職先が見つかった場合は、失業認定日にその旨をハローワークの職員に伝えるようにしてください。再就職先が見つかったにも関わらず、その事実を隠していると不正受給と見なされて大きなペナルティを課されることもあります。
失業保険を初めてもらう時によくある質問
最後に、失業保険を初めてもらおうとする人によくある質問を解説します。
失業保険は満額もらった方がいい?
失業保険をどうせもらうなら、満額もらった方がいいと考えるかもしれませんが、基本的には早めに再就職した方が生涯収入としてはメリットが大きいと考えられます。
失業保険の受給期間中に早期に再就職を決定させると、再就職手当という失業保険とは別の一時金をもらうことができます。もらえる金額は再就職のタイミングやそれまでの収入などによって異なりますが、場合によっては数十万円もらえることもあります。
また、失業保険は前職給与の50%〜80%ほどしかもらえませんので、早めに就職して満額の給与をもらった方が、月の収入としても増える傾向にあります。
失業保険をもらった後働かないのはOK?
失業保険をもらった後に働かないのは基本的にNGです。解説した通り、失業保険は就職することを前提に支給されるものですので、少なくとも失業保険の受給期間中は真剣に就職活動に向き合う必要があります。
なお、就職活動に真剣に取り組んだものの、失業保険受給期間中に就職できなかった場合であっても、ペナルティはありませんので安心してください。
失業保険を一度もらうと年金はどうなる?
失業保険を一度もらうということは失業状態になるということです。つまり、国民年金に切り替わるので、会社員が加入している年金制度のものよりももらえる金額は減ってしまいます。
ただ、再就職をして厚生年金に切り替えれば、将来もらえる年金はそこまで減らない計算になりますので、早めに就職できるよう努力するのがおすすめです。
まとめ
失業保険を一度もらうといくつかのデメリットが考えられますが、再就職に向けて安心してアクションするためには、失業保険の存在が役立つことは言うまでもありません。
この記事で解説したデメリットや注意点を参考にしつつ、失業保険をもらうべきかを考えましょう。もし一人で考えられない場合は、最寄りのハローワークに行って相談してみてください。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい