失業保険とはどういった制度なのか、名前は知っているものの詳細は分からないといった人も多いのではないでしょうか?
この記事では、失業保険の受給条件やもらえる期間、受給金額はどうやって計算すればいいのかなどを詳しく解説します。
失業保険の手続きについても解説しますので、これから失業保険をもらいたいと考えている人は参考にしてみてください。
この記事の目次
失業保険とは
失業保険とは、何らかの理由で会社を退職している人が安心して次の就職先を見つけられるよう、経済面のサポートをしてくれる国の制度です。失業保険の正式名称は「基本手当」であり、雇用保険の一つです。通称としては失業保険や失業手当と呼ばれることもあります。この記事では失業保険として解説します。
通常、会社を辞めて失業状態になってしまうと、収入がゼロになります。生活をしていくためには貯金を切り崩していかなければなりませんが、数ヶ月分の生活費を貯金だけで賄おうとすると、どうしても収入的に厳しくなります。
そんな中で就職先を見つけようとすれば、すぐにでも入社できそうな会社に焦って応募しかねません。本人の希望とは全く異なる仕事に就いたり、最悪の場合はブラック企業に入社してしまったりすることもあるでしょう。
そうならないために、所定の計算にて算出された給付金を毎月支給するのが失業保険の役割です。
失業保険の受給条件とは
失業保険は失業したからといって誰でも受給できるわけではありません。具体的には、以下の3つの条件を全て満たす必要があります。
- 失業状態にある
- 雇用保険の被保険者期間が一定以上ある
- ハローワークで求職申込をしている
それぞれの条件について詳しく解説します。
1. 失業状態にある
失業保険をもらう上では、「失業状態」にあるとハローワークに認定されることが最重要です。失業状態というのは、単に失業している状態というだけでなく、以下の条件を全て満たしている状態のことを言います。
- 就職する意思があり、実際に就職活動を積極的に行っている
- 心身ともに就職できる能力がある
- ハローワークを活用して就職のため努力している
上記の条件を満たしているにも関わらず、就職先が見つけられていない状況を失業状態と言います。
なお、次のような観点に一つでも合致している場合は、失業をしていても失業状態とは見なされませんので注意してください。
- 子育てや資格勉強に集中するために仕事を辞めた
- うつ病によって失業しており、精神的な理由ですぐに就職することができない
- 事故や労災によって体が動かせない状態であり、就職して働くことが難しい
- 就職活動をそもそもしていない
失業状態にあるかどうかは、最終的に失業保険の申請先であるハローワークが判断しますので、困ったらハローワークの職員に相談してみましょう。
2. 雇用保険の被保険者期間が一定以上ある
失業保険の申請をハローワークにするまでに、雇用保険に一定以上の被保険者期間がある必要があります。雇用保険の被保険者期間をシンプルに言い換えると、会社にどれくらいの期間勤めていたのかということになります。
失業保険を受給するためには、会社を辞めた理由によって以下の被保険者期間が必要になります。
会社を辞めた理由 | 必要な被保険者期間 |
---|---|
自己都合(一般受給資格者)退職 | 退職日以前の2年に12カ月以上 |
会社都合退職 or 自己都合(特定理由離職者)退職 | 退職日以前の1年間に6ヶ月以上 |
たとえば、別の仕事に挑戦したいと思って会社を辞めた場合、それまでの2年間で1年以上働いていなければ失業保険の受給条件を満たさないことになります。
ただ、最終的に会社を辞めた理由がどちらに分類されるかはハローワークが判断します。そのため、自分で勝手に判断しないように気をつけてください。
特定理由離職者とは?
特定理由離職者の場合は会社都合退職として見なされるため、失業保険をもらうための条件が若干緩和されます。特定理由離職者というのは、自分が働き続けたいという意思に反して退職することになった人のことを指し、具体的には以下に当てはまる人が該当します。
- 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
- 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
- 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
- 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
- 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
- 結婚に伴う住所の変更
- 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
- 事業所の通勤困難な地への移転
- 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
- 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
- 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
- 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
- その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
出典:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
会社と自分との間にどのようなコミュニケーションがなされたかによっても判断が変わってきますので、自分は特定理由離職者に該当するか迷った場合はハローワークで相談しましょう。
3. ハローワークで求職申込をしている
失業保険は就職活動を真剣に取り組んでいる人に支給される給付金ですので、ハローワークで求職申込をしているということも支給条件となります。
ハローワークの求職申込とは、ハローワークの就職支援を受けつつ、ハローワークが紹介する求人に応募することを指しています。言い換えるのであれば、ハローワークで就職活動をすることとも表現できるでしょう。
求職申込はハローワークに行くことですぐにでき、一般的には失業保険の受給申請と同時に行います。
失業保険の給付日数とは?
失業保険は失業している期間ずっともらい続けられるわけではありません。
解説した通り、次の就職先を見つけるまでの生活を支援するのが失業保険の目的ですので、失業保険は最長でも1年しかもらうことはできません。
ここからは、失業保険をもらい続けることのできる給付日数について解説します。
離職理由によって給付日数が変わる
失業保険の給付日数は、前職を退職した理由によって大きく変わります。具体的には、自己の都合で退職した場合と会社の都合で退職した場合とで、最大2倍程度期間に差が出てきます。
また、失業保険の給付日数には雇用保険の被保険者期間と年齢が大きく関係してきますので、表をチェックしてみて自分がどれくらいの期間失業保険をもらえそうかを確認してみてください。
自己都合退職の場合
会社を自主的に退職した自己都合退職者の場合は、失業保険を90日〜150日の間でもらうことができます。
雇用保険の被保険者期間 | 受給期間 |
---|---|
1年未満 | 90日 |
1年以上5年未満 | |
5年以上10年未満 | |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
自己都合退職だと、それまでにどれだけ雇用保険の被保険者期間があったかでシンプルに実務経験が決まります。累計で長く働いていた人であればあるほど、失業保険が長くもらえる点がポイントです。
会社都合退職の場合
勤め先のリストラや清算、給料未払いなど会社都合で退職することになった場合は、90日〜330日の間失業保険をもらうことができます。
雇用保険の被保険者期間 | 30歳未満 | 30歳以上35歳未満 | 35歳以上45歳未満 | 45歳以上60歳未満 | 60歳以上65歳未満 |
---|---|---|---|---|---|
1年未満 | 90日 | ||||
1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
20年以上 | – | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
雇用保険の被保険者期間と離職時の年齢を掛け合わせて実務経験が決まります。社会人経験通算6年の30歳の人が会社都合で退職する場合、120日の期間で失業保険が受給できます。
失業保険はすぐにはもらえないので注意
失業保険の申請自体は、退職して書類さえ集まればすぐにでもできますが、失業保険は申請から1カ月〜2カ月ほど経過しないともらえませんので注意してください。
特に自己都合退職の場合は、失業保険受給に必要な失業認定を受けられたとしても、そこから2カ月の給付制限が発生します。給付制限の間は失業保険が振り込まれませんので、場合によっては生活費の工面に苦戦することも考えられます。
また、提出書類に不備があってハローワークでの手続きをうまく進められないといったトラブルも考えられますので、会社を辞める際はできるだけ生活費分の貯蓄ができているのがベストです。
失業保険でもらえる金額とは?シミュレーションで計算!
失業保険でもらえる金額は、前職でどれくらいの賃金をもらっていたかさえ分かれば簡単にシミュレーションすることができます。
失業保険の受給金額は以下のステップで計算することが可能です。
- ステップ1. 賃金日額の計算
- ステップ2. 基本手当日額の計算
- ステップ3. 支給総額の計算
ここでは、離職までの1年間の月収が250,000円の30歳のケースをシミュレーションし、失業保険としてもらえる金額を計算していきます。
ステップ1. 賃金日額の計算
まずは以下の計算式で賃金日額の計算をします。
賃金日額=離職の直前6ヶ月間で毎月支払われていた給料の合計金額÷180日
例えば月収250,000円の人の場合、賃金日額は「250,000×6÷180=8,333円」となります。
また、賃金日額には上限額と下限額が設けられています。
退職時の年齢 | 上限額 | 下限額 |
---|---|---|
29歳以下 | 13,890円 | 2,746円 |
30〜44歳 | 15,430円 | |
45〜59歳 | 16,980円 | |
60〜64歳 | 16,210円 |
出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります ~令和5 年8月 1 日から~」
ここで計算した賃金日額をもとに、失業保険の計算を進めていくことになりますので、正確に計算したい場合は手元に給料明細を6カ月分用意しておくのがおすすめです。
ステップ2. 基本手当日額の計算
ステップ1.で算出した賃金日額を元に、所定の給付率を掛け合わせることで基本手当日額を計算します。計算式は以下の通りです。
基本手当日額=賃金日額×給付率(50〜80%)
適用される給付率については、年齢と賃金日額によって決められています。
退職時の年齢 | 賃金日額 | 給付率 |
---|---|---|
29歳以下 | 2,657〜5,030円未満 | 80% |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | |
12,380円超〜13,670円以下 | 50% | |
13,670円超 | – | |
30〜44歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | |
12,380円超〜15,190円以下 | 50% | |
15,190円超 | – | |
45〜59歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% |
5,030〜12,380円以下 | 50~80% | |
12,380円超〜16,710円以下 | 50% | |
16,710円超 | – | |
60〜64歳 | 2,657〜5,030円未満 | 80% |
5,030〜11,120円以下 | 45~80% | |
11,120円超〜15,950円以下 | 45% | |
15,950円超 | – |
賃金日額が8,333円の30歳であれば、給付率は50%〜80%となりますので基本手当日額は「8,333円×(50%〜80%)=4,166円〜6,666円」と計算できます。
この基本手当日額こそ、失業保険の受給期間中1日にもらえる給付金です。
ステップ3. 支給総額の計算
算出した基本手当日額×給付日数を計算することで、自分が失業保険としてもらえる支給総額が求められます。
給付日数は先ほど解説した通り、会社都合か自己都合のどちらで退職したのかなどが関係してきますので、改めて解説内容を読み返してみてください。
失業保険の手続きの流れやもらい方とは?
安心して就職活動を進めていくためにも、失業保険はできるだけ早く手続きすることが重要です。あらかじめ手続きを大まかに知っておければ、ハローワークに行って混乱してしまうリスクを減らせますので、以下の流れを覚えておきましょう。
- 退職した会社から離職票をもらう
- ハローワークで受給資格の認定を受ける
- 7日間の待機期間を待つ
- 雇用保険受給者初回説明会に参加する
- 失業認定を受ける
- 失業保険手当の振り込み
- 以降、再就職か給付期間終了まで5. 6. を繰り返す
それぞれの流れについて詳しく解説していきます。
1. 退職した会社から離職票をもらう
失業保険をもらうためには、自分が失業している状態であることを示さなければなりません。その証明書類が離職票となります。離職票は退職した会社に交付してもらう必要がありますので、まずは退職した会社の人事に連絡をして離職票を用意しましょう。
なお、会社によっては退職時に離職票の交付を自動的にしてくれるケースもありますが、離職票の交付は会社の義務ではありませんので、もし手元にない場合は早急に交付依頼をするよう心がけてください。
2. ハローワークで受給資格の認定を受ける
続いて、離職票を含む必要書類を持って最寄りのハローワークに行きます。失業保険の受給資格があることをハローワークに認定してもらうため、事務手続きだけでなく面談を行います。
ハローワークとの面談では、前職を辞めた理由を始め簡単な質問をされますので、正直に回答するようにしてください。就職活動とは違い、準備をしないと解凍できないような質問はないという点も合わせて認識しておくと良いでしょう。
なお、この面談時にウソをついてしまうと、後々不正受給と指摘されて罰金などのペナルティが課されることがあるため注意してください。
手続きに必要な書類
失業保険の受給資格を取得するためには、以下の必要書類を準備しましょう。
- 雇用保険被保険者離職票
- 個人番号確認書類(いずれか1種類)
- 身元(実在)確認書類((1)のうちいずれか1種類((1)の書類を持っていない人は、(2)のうち異なる2種類(コピー不可))
- (1)運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)など
- (2)公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書など 証明写真(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)2枚 ※ マイナンバーカードの提示をすれば省略可能
- 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
出典:厚生労働省「ハローワークインターネットサービス – 雇用保険の具体的な手続き」
どれか一つでもないと受給資格は認められませんので、しっかり調べた上で書類を用意するようにしてください。
3. 7日間の待機期間を待つ
失業保険の受給資格の認定をハローワークから受けたら、7日間の待機期間をはさみます。待機期間は会社の退職理由に関わらず7日間が固定となっており、この期間でハローワーク側が事務手続きや「本当に失業保険を支給していい人か」などのチェックを行います。
待機期間中は文字通り待機しているだけで大丈夫ですので、失業保険のことは一瞬忘れても大丈夫です。その代わり、後々向き合うことになる就職活動において重要となる自己分析などを行っておくのが良いでしょう。
※自己分析のおすすめ方法は?転職や社会人を目指す人向けに解説
4. 雇用保険受給者初回説明会に参加する
待機期間の終了後は、ハローワークが定期的に実施している雇用保険受給者初回説明会に参加します。この説明会では、これから失業保険を受給しようとしている人が知っておくべきことを教えてもらえますので、面倒に感じても必ず参加してください。
なお、雇用保険受給者初回説明会の持ち物としては筆記用具のみで問題なく、あらかじめ準備しておくことはありません。
5. 失業認定を受ける
雇用保険受給者初回説明会の受講を完了することで、ようやく失業保険を受給するための失業認定を受けることができます。なお、失業認定は失業保険を受給している間、4週間ごとに更新し続ける必要がありますので、合わせて覚えておくと良いでしょう。
また、失業認定は毎回事務的に更新されるわけではありません。もし就職活動を積極的にやっていなかったり、病気やケガで働けない状態になっていたりする場合は、失業保険の実務経験中であっても失業認定されないケースがあるため注意してください。
6. 失業保険手当の振り込み
失業認定を受けることで、失業保険手当が振り込まれます。ただし、自己都合退職の場合はさらにここから給付制限期間として2カ月経過しないと失業保険はもらえませんので注意が必要です。
失業保険は銀行振込で行われますが、振込先の口座については受給資格認定時に提出した銀行口座となります。もし複数の銀行口座を持っている場合は、どの口座に振り込んでもらうように手続きしたのかを覚えておくようにしてください。
7. 再就職か給付期間終了まで5. 6. を繰り返す
失業保険の受給期間中は、4週間に1度ハローワークに行って失業認定を受けるための面談を行います。面談そのものに行かないと失業認定を受けられませんので、その月の失業保険の振り込みはなくなってしまうという点に注意してください。
また、再就職が無事に決定した場合は、失業認定日にハローワークに必ず伝えましょう。失業保険の支給はストップしてしまいますが、代わりに再就職手当がもらえる場合があります。
失業保険をもらうメリットとデメリットとは?
失業保険をもらうことにはメリットしかないと感じるかもしれませんが、考えようによってはデメリットになることもあります。
ここでは、失業保険をもらうメリットとデメリットについて解説します。それぞれしっかりと理解をした上で失業保険をもらうか検討してみてください。
失業保険をもらうメリット
失業保険をもらうメリットとしては、以下の2点が挙げられます。
- メリット1. 安心して就活が進められる
- メリット2. 働かずに生活を継続できる
それぞれ詳しく解説します。
メリット1. 安心して就活が進められる
失業保険をもらう最大のメリットは、安心して就職活動を進められるという点です。
仮に失業者が失業保険をもらわない状態で就職活動を進めようとすると、貯金を切り崩しながら生活をする必要が出てきます。質素に暮らしていたとしても、月々10万円以上は生活費としてかかってくることになり、貯金がどんどん減っていく状況に焦りを覚えてしまうことでしょう。
焦っている状態で就職活動を進めようとすると、本来行うべき自己分析や企業研究に手がつかなくなってしまい、すぐに就職できそうな会社にばかり応募するようになるでしょう。
自分にとってマッチしていない会社に就職してしまうだけでなく、労働環境や口コミの評判が悪いブラック気質のある会社に就職することも考えられます。
失業保険を毎月もらっておけば、このように焦った就職活動をしなくて済みますので、自分のペースで納得できる就職が実現しやすくなるといったメリットに繋がります。
メリット2. 働かずに生活を継続できる
通常、働かないと収入は稼げません。そのため、生活をする以上は何かしらの形で働かなくてはなりません。ただ、失業保険をもらうことができれば、期間が限られてはいるものの働かずに生活を継続することができます。
もちろん就職活動と真剣に向き合うことが条件となりますが、働かずにお金がもらえる状況というのは精神的にも安定しやすくなるのは大きなメリットと言えるでしょう。
失業保険をもらうデメリット
反対に、失業保険をもらうことで以下のようなデメリットが生じるとも考えられます。
- デメリット1. 空白期間ができやすい
- デメリット2. 一度もらうと連続してもらえない
失業保険をいい面だけでなく悪い面でも捉え、制度の理解をさらに深めるようにしてください。
デメリット1. 空白期間ができやすい
失業保険は働かずともお金がもらえる仕組みのため、人によっては失業保険をもらい切ってからどうせなら就職したいと考えるかもしれません。ただ、失業保険は最低でも90日の受給が可能であることから、約3カ月間にも渡って空白期間ができてしまうといったデメリットが考えられます。
空白期間が長引けば長引くほど、面接官からの心象は悪くなる傾向にあると言われています。また、空白期間が長くなると働きたいという意欲が減退してしまうこともあるでしょう。
数ヶ月に渡ってもらい続けることができる失業保険ではありますが、受給当初の就職意欲を忘れずに就職活動に向き合うことを意識してください。
デメリット2. 一度もらうと連続してもらえない
失業保険は、一度もらうと雇用保険の被保険者加入期間がリセットされます。つまり、失業保険をもらって再就職した後は最低でも1年以上働き続けないと失業保険はもらえないということです。
将来再び失業保険をもらおうとした時、今よりももっと家計状況が悪化していることも考えられます。その時に失業保険の受給対象外になるといったリスクもありますので、実は今失業保険を受け取らない方が後からみた時にベストな選択肢だったということも考えられます。
失業保険に関するよくある質問
最後に、失業保険に関してよく見られる質問を解説していきます。失業保険とはどういった制度なのか、より理解を深めたい人は参考にしてみてください。
職業訓練を受けたら失業保険を延長できる?
失業保険を受給している人が一定の条件を満たした上で職業訓練を受講すると、失業保険を延長することができます。延長できるのは最長で4年であり、長い期間の職業訓練であっても受講修了後に失業保険をもらえるというのは嬉しいポイントでしょう。
ただし、ここでいう「延長」とは失業保険の受給期間が増えるということではありません。通常退職日の翌日から1年である失業保険の期間を4年に延長できるということであり、失業保険のお金そのものを受給できるのは、この記事でも解説した通りの所定給付日数分のみです。
そのため、失業保険を延長したいからという理由だけで職業訓練を受講するのはおすすめできません。
失業保険受給中にアルバイトはできる?
失業保険を利用すれば毎月安定してお金をもらうことができるものの、前職の給与の50%から80%になってしまうため、中には失業保険だけでは生活が厳しいと感じる人もいるかもしれません。
そうした際、失業保険受給中であってもアルバイトをすることは可能です。ただし、注意点として「アルバイトを始める際はハローワークに申告する」「一定以上の金額をアルバイトで稼いだり、勤務したりすると失業保険の支給がストップすることがある」という2点に注意する必要があります。
どうしても失業保険受給中にアルバイトをしたい場合は、まずはハローワークに相談するのがおすすめです。
失業保険を満額もらってから就職した方がいい?
心理的に失業保険は所定期間満額でもらってから就職した方が得なのではないかと感じるかもしれませんが、できれば早めに就職した方がいいケースもあります。
もちろん受給期間中に就職を成功させると、その時点で失業保険の支給はストップします。しかし、残りの支給期間に応じた再就職手当がもらえることがあります。場合によっては再就職手当で一時金として10万円以上もらうこともできますので、一概に早く就職すると損になるとは言えません。
むしろ、早めに就職した方が生涯賃金としては増えることも考えられますので、まずは早めに再就職できるよう全力で就職活動に取り組むようにしましょう。
失業保険をもらうと就活で不利になる?
失業保険は元々「再就職を促すための政策」ですので、失業保険をもらったからといって就職活動で直接的に不利になることはありません。求人募集している企業側も、選考から内定までの段階では失業保険をもらっていることは自分が言わない限り分かりません。
ただし、失業保険を満額までもらおうとすると空白期間が長引いてしまい、間接的に書類選考で不利になるといったことも考えられます。
パートでも失業保険はもらえる?
パートやアルバイトであっても、雇用保険に加入していて一定以上の被保険者期間があれば正社員と同じように失業保険を受け取ることが可能です。
支給期間や支給金額の算定方法も正社員と変わらない計算方法になりますので、非正規雇用だったからといって失業保険の受給を諦める必要はありません。
まとめ
失業保険とは、国が用意している失業者向けの一時的な経済安定措置です。失業保険受給期間中に、ハローワークや民間の就職エージェントを活用し、できるだけ早く理想の再就職先を見つけられるように頑張りましょう。
また、失業保険については分かりづらい部分が少なくありませんので、少しでも迷ったら最寄りのハローワークに行って窓口で相談することをおすすめします。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい