医療事務がきついと言われる理由は、専門的な知識を覚える必要があり、業務量も多くなることがあげられます。
この記事では、医療事務がきついと言われる理由を8個の観点から解説します。
これから医療事務を目指して就職活動をしてみたいと思っているものの、医療事務を目指すべきかどうか悩んでいる人は、記事の内容を参考にしてみてください。
この記事の目次
医療事務がきついと言われる理由8選
医療事務がきついと言われる理由は、以下の8点が考えられます。
- 覚えることが多いから
- 業務量が多く精神的にきついから
- 患者からのクレームを受けることがあるから
- ルーティンワークで気分転換もできないから
- 基本的に同じ人と仕事をし続けるから
- 連休や有給が取りにくいから
- 職場環境的に感染症に罹りやすいから
- 責任やプレッシャーが重いから
これらのきつい理由をしっかりと理解した上で、医療事務として就職するか検討してみてください。
覚えることが多いから[医療事務がきつい理由 1/8]
医療事務の仕事の中でも特に一般事務と異なるのは「レセプト業務」です。
レセプト業務とは、医師が行った診察や処置の内容に応じて診療報酬を計算する仕事です。例えば「初診料は288点」など、行った処置の内容と点数はあらかじめ定められており、最終的に点数の合計× 10円として患者に会計の請求を行います。
医療行為ごとの点数を完全に記憶する必要はありませんが、処置の内容を見て適切に医療行為の分類を行い、どの項目で診療報酬を請求するかは記憶する必要があります。
また、複雑な医療行為を行った際はそれぞれ請求すべき点数の項目が変わってくるなど、覚えることが非常に多いのが特徴です。
マニュアルの数も一般事務より多く、覚えることが多いことから医療事務の仕事はきついと言われています。
業務量が多く精神的にきついから[医療事務がきつい理由 2/8]
医療事務は様々な場所で働くことができますが、特に大病院など患者数が多い場所で働く場合、業務量が非常に多いといったきつさがあります。
来院する患者の分だけ医療事務の仕事が増えるだけでなく、医療事務が業務を遅らせてしまうと患者をその分待たせてしまうことに繋がるため、短期間で集中的に業務が過密になることも珍しくありません。
もちろん患者数が少なければその分業務が減りますが、当然患者数は医療事務でコントロールできないため、忙しい時期とそうでない時期の差分が激しく、精神的なきつさを感じる医療事務の人も一定数見られます。
患者からのクレームを受けることがあるから[医療事務がきつい理由 3/8]
医療事務は、多くの場合において医療機関の入り口すぐに執務室が設けられています。
患者は来院時には受付を、退院時には会計をそれぞれ医療事務を通じて行います。このことから、医療事務は患者に距離が近い仕事となっています。距離が近い分、患者からクレームを受けることも少なくありません。
受付に手間取ってしまえば体調の悪い患者が不安に感じてしまい、クレームを発してくることもあるでしょう。また、レセプト業務に手間取って会計が遅れてしまえば、厳しい言葉を受けるかもしれません。
民間企業の一般事務であれば個人の顧客から直接声をもらう事はありませんので、クレーム対応は発生しません。一方、医療事務は上記の理由からクレームを受けることがあり、きついと感じることもある点は覚えておいてください。
ルーティンワークで気分転換もできないから[医療事務がきつい理由 4/8]
医療事務は定められたマニュアルに従って業務を進めていきます。
業務のほとんどはルーティンワークとなりますので、一度業務を覚えることができれば安定的に仕事を回せるものの、今までとは異なる仕事をして気分転換をするといった事はできません。
ルーティンワークを続けていると業務に飽きやすくなるだけでなく、仕事に対してのつまらなさを感じる要因にも繋がります。「これから数年、数十年同じ仕事を延々とやり続けるのか」と感じてしまい、医療事務以外の仕事に転職するような人も見られます。
基本的に同じ人と仕事をし続けるから[医療事務がきつい理由 5/8]
医療事務は事務職の1つとなりますので、基本的に異動は発生しません。加えて、各医療機関内における部署異動も存在しないため、結果的に同じ人と仕事をし続けることになります。
職場の人間関係が良いものであれば、同じ人と仕事をし続けることはメリットとしてはたらくでしょう。しかし、実態としては自分にとって苦手な人が同じ職場にいることは珍しくありません。
つまり、医療事務は同じ人と仕事をし続けるため、一度人間関係の構築に苦戦してしまうと、きつい人間関係の中で働き続ける必要が出てくると言えます。
当然外回りなども存在しないため、苦手な人とどうやって上手くやりとりを行うかなどを考えなければならず、精神的にストレスを感じる医療事務の人も見られます。
連休や有給が取りにくいから[医療事務がきつい理由 6/8]
働く医療機関にもよりますが、多くの場合土日も医療事務は出勤する必要があります。
また、医療機関によっては平日に休診日を設けていることもあり、カレンダー通りの休みが叶わないといった働き方になることも少なくないでしょう。
こうした背景もあり、医療事務によってはシフト制で休日が定められていることがあります。
どの医療機関も医療事務の人数は潤沢というわけではないため、職場でうまく調整して休みを決めることになります。
これらのことから、医療事務は連休や有給休暇を取りにくいといったきつさが考えられます。
世間の動きと同じように夏季休暇や年末休暇を取れるような仕事で働きたい人には、医療事務は向かないかもしれません。
職場環境的に感染症に罹りやすいから[医療事務がきつい理由 7/8]
医療事務は病院やクリニックなどの医療機関で働きます。当然の事ですが、医療機関には体調が悪くなっている人が足を運ぶものですので、職場環境的に感染症に罹りやすいといったきつさも挙げられます。
自分がどれだけ気をつけていても、他の人よりも多く感染症の人と触れ合うことになるため、体調が安定しない点は医療事務ならではのデメリットとも言えます。
特に冬場などインフルエンザが流行しやすい時期だと、自分が職場でウィルスをもらってきて家族に感染させてしまうといったリスクも考えられます。
感染症にかかれば結果的に世帯収入が減ることにも繋がりかねませんので、こういったリスクは医療事務も目指すのであれば認識しておいてください。
責任やプレッシャーが重いから[医療事務がきつい理由 8/8]
医療事務が仕事でミスをすると、直接的に患者に迷惑がかかってしまいます。
最悪の場合、患者の容体を悪化させてしまったり、患者に会計を再請求するといったこともあるでしょう。
このように、責任やプレッシャーが重い仕事であるといった点も医療事務のきついポイントです。
民間企業の事務職であれば感じないような責任とプレッシャーを感じるため、精神的にタフでない人だと医療事務の仕事は長く続かないかもしれません。
医療事務がきついと感じた時の対処法
医療事務がきついと感じた時には、以下のような対処法が考えられます。
- 実際に医療機関に行き医療事務の働いている現場を見てみる
- 医療事務として働く人の口コミを確認する
- 医療事務の資格を独学で勉強してみる
- 医療事務が働く職場の違いを確認する
- 一般事務や経理事務など他の事務職を検討してみる
- 就職エージェントに相談する
医療事務の仕事風景は病院などの医療機関に行けばすぐに確認することができます。
実際の職場風景を好きなタイミングで確認できる数少ない仕事ですので、医療事務がきつそうだと感じた人は働く実態を確認してみるのも良いでしょう。
また、医療事務以外の一般事務職を検討してみることもおすすめです。
一般事務には一般事務としてのきつさがありますが、医療事務で感じるようなきつさは感じにくいと考えられますので、就職先として並行して考えてみるのがおすすめです。
医療事務がきつくて退職する理由
医療事務の仕事がきつくて退職する理由としては、以下の3点が挙げられます。
- 勤務先での人間関係がきついから
- 思ったよりも専門的な知識を求められるから
- 求められるスキルに対して給料が低いから
それぞれ詳しく解説します。
1. 勤務先での人間関係がきついから
先ほど解説した通り、医療事務は基本的に異動がなくずっと同じ人たちと仕事を続けていくことになります。どうしても自分にとって苦手な人がいて、人間関係の構築に苦戦してしまうと、職場環境にきついと感じながら働き続けることになります。
また、医師や看護師などの医療従事者と一緒に働く点も、医療事務ならではのきついポイントです。特に医師は直接的な上司ではないものの、役割的に医療事務よりも上の立場にいるため、コミュニケーションに苦戦してしまうことが考えられます。
人間関係やコミュニケーションにきつさを感じ、医療事務を退職する人は少なくありません。
2. 専門的な知識を求められるから
医療事務は事務職の1つではありますが、業務内容的に専門的な医療知識を習得する必要があります。知識のインプットがきついと感じて、医療事務を退職する人は少なくありません。
加えて、医療事務は自由に使えるスペースが少ないことから、基本的に未経験から現場にいきなり配属され、仕事をしながら業務を覚えるOJT形式での研修が主流です。
知識のインプットに手間取ってしまうと、その分周りから白い目で見られることもありますので、物覚えに自信がない人は医療事務以外の仕事を検討したほうがいいかもしれません。
3. 求められるスキルに対して給料が低いから
医療事務は専門的な医療知識や関係者とのコミュニケーション能力など、求められるスキルが比較的高い事務職です。
しかし、医療事務の平均年収は291万円となっています。
事務職全体の平均年収は343万円であり、一般事務や営業事務だと345万円となっていることから、相対的にも年収が低い仕事といった事実があります。
このように、求められるスキルに対して給料が低いという点も医療事務のきついポイントの1つと言えます。しっかりと稼いでいきたい人であれば、医療事務以外の事務職の仕事を検討してみることがおすすめです。
医療事務に向いてる人の特徴
医療事務に向いてる人の特徴としては、以下の3点が挙げられます。
- 責任感が強い人
- 思いやりを持ってコミュニケーションが取れる人
- 臨機応変に対応できる人
それぞれ詳しく解説します。
1. 責任感が強い人
医療事務は、業務において常に正確性を求められます。
1度ミスを起こしてしまえば医療機関全体の責任として問われることもあるため、極めて高い責任感を発揮する必要があると言えます。
また、医療事務が働くことになる医療機関は、社会貢献性が非常に高い施設です。
社会貢献に直接的に貢献できているという点でも、医療事務として働く人には強い責任感が求められるでしょう。
2. 思いやりを持ってコミュニケーションが取れる人
医療事務は患者と直接コミュニケーションを取る仕事でもあります。多くの場合、患者は体調不良に陥っていることになりますので、思いやりを持ってコミニケーションを取ることが非常に大切です。
患者だけでなく、医師や看護師など自分とは全く別の立場にいる人ともやりとりを行います。相手の立場を考えて先回りしたコミュニケーションが取れるようになると、医療事務として業務を円滑に進められるため、思いやりを発揮できるような人に医療事務の仕事は向いています。
3. 臨機応変に対応できる人
医療事務の仕事は基本的にルーティンワークではありますが、患者の容態や診察内容によっては臨機応変に対応することが求められます。
日々特徴の異なる業務を取り扱うこともあり、ルーティンワークを主軸としながらも、イレギュラーなことが起きた時は柔軟に対応できるような人だと、医療事務の仕事がマッチすると考えられます。
きつくても医療事務として働くメリットややりがい
きついと感じやすい医療事務の仕事ですが、働くメリットややりがいとしては以下の3点が挙げられます。
- ライフスタイルに合わせて働き方を変えられる
- 専門的な知識を習得できる
- 働いていて感謝されやすい
これらのメリットややりがいがあることも理解した上で、医療事務を目指すのかどうか検討するようにしてください。
1. ライフスタイルに合わせて働き方を変えられる
医療事務は働くスタイルを柔軟に変えやすい仕事といったメリットがあります。
雇用形態は正社員だけでなく、契約社員やパートアルバイトなど様々なものが用意されているため、勤務時間を限定して働くことが容易に可能です。
また医療事務の業務は基本的にどの医療機関においても変わりません。したがって、一度スキルを身に付けることができれば、どの医療機関でも働けると言い換えられます。
例えば家族が全国転勤する仕事であった場合、転勤先に引っ越しても再び医療事務として就職しやすい点はメリットと言えるでしょう。
2. 専門的な知識を獲得できる
医療事務は知識のインプットをたくさんしなければなりませんが、そのほとんどが医療行為に関係するものです。医療における専門的な知識は日常生活でも役立てることができるため、医療事務として働く直接的なメリットと言えます。
また、業務の特性上医師のカルテを確認することも多く、簡単な症状であれば家族や知人の体調不良に対してアドバイスをすることもできるでしょう。
医療従事者ではないものの、医療に関係する知識を深く知ることができる点は医療事務ならではの働くメリットです。
3. 働いていて感謝されやすい
医療事務は医師や看護師などの医療従事者と患者をつなぐ仕事でもあります。
医療現場は常に忙しく動き回る人が多いですが、医療事務が適切に業務を行うことで様々な人に感謝されやすいといった特徴があります。
一般事務だと作業者の役割が大きいので、なかなか感謝される事は少ないです。
人から感謝されることを仕事のやりがいだと感じている人は多いので、給料よりもやりがいを重視したい人には医療事務が向いているかもしれません。
医療事務がきついと感じた人に向いてる仕事
医療事務がきついと感じた人には、以下のような仕事が向いています。
- 一般事務
- 経理事務
- 総務事務
- 労務事務
- 人事事務
- 准看護師
事務職の隔離で仕事を探していて医療事務を検討している人は、他の事務職も選択肢の1つに入れてみるようにしてください。
また、自分にとって向いてる仕事がわからない人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
よくある質問
最後に医療事務に関してよくある質問を3つ取り上げて解説します。
医療事務は覚えることが多いですか?
医療事務は覚えることが非常に多い仕事です。最終的にはルーティンワークになりますので、ある程度知識を覚えれば1人で仕事が回せるようになりますが、それまでは知識のインプットに苦戦してしまうことが考えられます。
また社会保障や医療に関連する情報はアップデートが続いていますので、一度知識をインプットした後も勉強し直さなければならないこともあります。
医療業界に向いてる人はどんな特徴がありますか?
医療業界に向いている人としては、以下のような特徴が挙げられます。
- 責任感が強い人
- 思いやりを持っている人
- 臨機応変に対応できる人
- 学習意欲が強い人
- テキパキと物事を進められる人
- 医療に関連した仕事に就きたい人
これらの人であれば医療業界に就職して仕事が長続きすると考えられます。
医療事務でやってはいけない業務は?
医療事務としてやってはならない業務として以下のようなものが挙げられます。
- 処方箋に関する用法用量の説明
- 医療行為全般
- トリアージ
医療事務といっても、医療行為をする事は当然できません。上記のようなことをしてしまうと越権行為となってしまい、懲戒処分を受けることもありますので注意してください。
まとめ
医療事務がきついと言われる理由を詳しく解説しました。
医療事務は知識のインプットや精神的にきつい点が多い仕事ですが、一度仕事を身につければ様々な医療機関で働けるなどメリットも挙げられます。
この記事の内容を参考に、医療事務の良い面も悪い面も理解した上で仕事選びをしていきましょう。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
- 会社に属する安定ではなく、能力/スキルの獲得による安定を手にしたい