医療事務をやめとけと言われる理由は、専門的な知識や責任感が求められると共に、業務量が多くブラックな環境になりがちなためです。
この記事では、医療事務をやめとけと言われる理由を8つ解説します。
加えて、医療事務に向いてる人・向いてない人の特徴や、医療事務に就職する際にやるべきことについてもご紹介します。
将来的に医療事務への就職を検討している人は、記事の内容を参考にした上で就職活動に役立ててみてください。
この記事の目次
医療事務をやめとけと言われる理由8選
医療事務をやめとけと言われる理由は、以下の8点が挙げられます。
- 激務などブラックな環境になりやすいから
- 専門的な医療知識を求められるから
- 資格を取らないと一般事務程度の給料だから
- 休みが変則的だから
- 責任の重い仕事だから
- クレームの対応をすることもあるから
- 人間関係が悪い職場もあるから
- ずっと同じ光景を見ながら働くから
それぞれ詳しく解説します。
1. 激務などブラックな環境になりやすいから
医療事務は事務職の1つであることに加え、勤務形態がシフト制であるケースが多く、残業や休日出勤が発生するような仕事ではありません。
逆を言うと定時内ですべての業務を終わらせなければならないため、もし患者がたくさん来ると短時間で膨大な量の業務をこなさなければならないなど激務に感じることがあるでしょう。
限られた人員の中でミスが許されない業務をこなし続けなければならないといったことにストレスを感じた人が、医療事務をやめとけと言っていると考えられます。
2. 専門的な医療知識を求められるから
医療事務の業務は基本的にマニュアル通りに行えば問題ありませんが、前提知識として人並み以上の医療知識を求められるといった特徴があります。
日常的には触れないような病気や処置のインプットをしないと仕事にならないこともあることから、求められる知識が思っていたよりも高いと感じることもあるでしょう。
「普通の事務職と思って就職したら専門的な知識を求められた」など、悪いギャップを感じることもありますので認識しておいてください。
3. 資格を取らないと一般事務未満の給料だから
医療事務は資格がなくても働ける仕事です。しかし、資格を取らないと資格手当がもらえず給料を上げることができません。
実際に医療事務の平均年収を見てみると291万円となっています。事務職全体の平均年収が343万円で、一般事務職が345万円であることを考えると、医療事務の平均年収は低いといえます。
それにも関わらず求められる知識のハードルが高いこともあり、医療事務はやめとけと言われています。
4. 休みが変則的だから
医療事務は医療機関の診療日に合わせて出勤のシフトが組まれます。
特に病院などで働く場合は、休診日が平日になっていたり、土日は診療日になっていたりと休みが不規則になりやすいといった特徴が見られます。
また、夜間救急を担当している医療機関で働く場合は、夜勤が発生することも考えられます。
このように出勤日と休暇が変則的だと体内リズムが崩れてしまい、体調に影響を及ぼすこともあるでしょう。
プライベートの予定が組みづらい点も、医療事務はやめとけと言われる理由です。
5. 責任の重い仕事だから
医療事務の業務は、一般事務の業務以上にミスが許されません。内容にもよりますが、ミスをしてしまうと、患者の具合を悪化させてしまったり、診察料を患者に再請求したりするなど様々な迷惑をかけてしまいます。
加えて、勤める医療機関の評判を落とすことにも繋がるため、非常に責任の重い仕事といえます。給料が事務職全般以下にも関わらずこうした責任の重さに耐えられなくなり、退職してしまう医療事務の人は少なくありません。
6. クレームの対応をすることもあるから
医療事務は患者と極めて近い距離感で働くことになります。体調が悪い人を相手にすることもあり、会計や受付で待たせてしまうとクレームに発展することも考えられます。
民間企業の一般事務では個人と直接やりとりをすることがありませんので、クレーム対応をすることはありません。この点も医療事務ならではのやめとけと言われるポイントと言えるでしょう。
7. 人間関係が悪い職場もあるから
医療事務が働く病院やクリニックは閉鎖的な空間です。外の世界から閉ざされているような感覚にもなることから、息苦しさを覚えることも珍しくありません。
加えて、医療事務は基本的に異動というものが存在しないため、同じメンバーで仕事を続けていくことが求められます。
メンバー全員と仲が良ければ良い職場で働き続けられますが、少しでも人間関係が悪い職場に就職してしまうと、人間関係に悩まされながら働くことが強いられます。
人間関係の息苦しさを覚えて退職してしまう医療事務の人は少なくないため、しっかりと認識しておいてください。
8. ずっと同じ光景を見ながら働くから
民間企業の事務職であれば、基本的にオフィスワークであるものの業務中にオフィスを歩き回ったりすることができます。一方、医療事務の場合は医療機関の受付周辺に設けられている執務室で毎日働く必要が出てきます。
ずっと同じ光景を見ながら働くことも珍しくなく、勤務中の気分転換ができないという点は精神的なストレスにも繋がりかねません。また、常に体調の悪そうな患者を目の当たりにしながら働くので暗い気持ちになることも考えられます。
こうした理由から、医療事務として働くのはやめとけと言われています。
やめとけと言い切れない、医療事務に就職するメリット
様々な理由から就職はやめとけと言われている医療事務という仕事ですが、以下のようなメリットがあることも事実です。
- 未経験からでも就職できる
- 長く働けたり、復帰しやすい
- 柔軟な働き方を選べる
こうしたメリットがあることも理解した上で、医療事務への就職を目指すのか検討してみてください。
1. 未経験からでも就職できる
医療事務は専門的な知識が求められるため、経験者が比較的少ない事務職です。
どの医療機関も医療事務の経験者の獲得に苦戦していることから、未経験者を募集する求人が増えてきています。
実際に求人サイトを見てみると、未経験者を募集する医療事務の求人は非常に多いことが分かるはずです。このように未経験からでも就職しやすいという点は医療事務を目指すメリットと言えます。
事務職の経験がない人は、まず医療事務で一定の経験を積んだ後に、民間企業の一般事務などを目指すキャリアを目指してみてもいいかもしれません。
2. 長く働けたり、復帰しやすい
医療事務は医療機関がなくならない限りニーズがなくならない仕事と言えます。
日本は少子高齢化社会で、これからも高齢者の数が増えていくことを考えると、医療機関がなくなる事はないと言えるでしょう。
このことから、医療事務は長く働ける仕事というメリットが挙げられます。
それだけでなく、一度医療事務として働いた後にライフイベントの変化などで一時的に退職したとしても、再び医療事務に復帰しやすい点もメリットの1つです。
需要があり続ける業界のため、手に職をつけたいような人は医療事務を目指してみるのもおすすめです。
3. 柔軟な働き方を選べる
医療事務は正社員として働く以外に契約社員やパート、アルバイトといった柔軟な働き方も可能です。フルタイムといった働き方に縛られないため、子供の面倒を見ながら働く医療事務の人も多く存在します。
診療報酬の計算はどの医療機関でも基本的に共通です。一度医療事務の経験を積むことができれば、全国各地の医療機関で働けるといっても過言ではありません。
パートナーの全国転勤について行かなければならない人でも、転勤先で就職先に悩むことが少なくなるのは嬉しいポイントといえます。
医療事務に向いてる人
医療事務に向いている人としては以下の3点が挙げられます。
- パソコン操作が得意な人
- 思いやりを持ってコミュニケーションが取れる人
- 几帳面で冷静な人
それぞれ詳しく解説します。
1. パソコン操作が得意な人
医療事務は基本的にパソコンと向き合って仕事を進めていきます。
仕事では電子カルテや診療報酬算定用の専用のソフトを使うことになりますが、そもそも基本的なパソコン操作ができないと仕事に苦戦してしまうと考えられます。
パソコンの起動やシャットダウンといった基本的な操作はもちろん、キーボードを使ってローマ字で文章を打っていくスキルなどが得意であれば、医療事務のスキルを効率よく習得していけるでしょう。
2. 思いやりを持ってコミュニケーションが取れる人
医療事務は業務の特性上、患者や医療従事者といった自分とは立場の異なる人と多くのコミュニケーションを取ります。
適切なコミュニケーションを取れないと業務を回すことができなくなるため、相手の立場を理解して思いやりを持ってコミュニケーションが取れる人に向いている仕事と言えます。
医療事務に求められるコミュニケーション能力としては、特に「伝える力」が挙げられます。
どうしてそういった診察料になっているのかを患者に分かりやすく説明できるようなスキルがあると、クレームの発生頻度も減らせるでしょう。
3. 几帳面で冷静な人
先ほど解説した通り、医療事務の仕事はミスが許されません。
今まで習得してきた知識をフルに活かしてテキパキと仕事をこなしていく必要がありますので、几帳面である事は非常に大切です。
また、医療現場では突発的な対応をしなければならないこともあります。
普段とは違う状況であっても冷静にやるべきことを見定めて行動できる人は、医療事務として活躍できるでしょう。
医療事務に向いてない人
医療事務に向いてない人の特徴としては以下の3点が挙げられます。
- ルーティンワークが苦手な人
- 人間関係をうまく築けない人
- 細かい作業が苦手な人
それぞれ詳しく解説します。
1. ルーティンワークが苦手な人
医療事務の仕事の大半はルーティンワークで構成されています。
マニュアル通りに診療報酬の算定や会計をひたすら続けていく仕事のため、ルーティンワークそのものが苦手な人にとってはやりがいを感じにくい仕事といえます。
ルーティンワークが苦手な人が医療事務に就職してしまうと、スキルの習得が遅れるだけでなく、同僚や患者、医療機関にも迷惑をかけてしまいますので、別の仕事を検討した方が良いかもしれません。
2. 人間関係をうまく築けない人
医療事務は患者や同僚だけでなく、医師や看護師といった医療従事者ともコミュニケーションをとって仕事をしていきます。
特に自分と同じ医療機関で働く関係者については、大きな異動がなかなか存在しないため、ずっと同じメンバーで仕事に向き合うことが求められる傾向にあります。
人間関係をうまく築けない人が医療事務になると、息苦しいと感じながら働く必要が出てくるでしょう。コミュニケーションを取るのが苦手と考えている人は、医療事務ではなく民間企業の一般事務などに就職を検討することをおすすめします。
3. 細かい作業が苦手な人
医療事務の仕事は数字を1つでも間違えてしまうと大きなトラブルに発展するといった特徴があります。常に細かな作業をし続けないとミスに繋がるため、細かい作業が苦手な人は医療事務の仕事は向いていません。
そもそも事務職というものは細かな作業を求められるといった特徴がありますので、細かい作業が苦手な人は事務職以外への就職を検討してみてください。
医療事務に就くためにすべきこと
医療事務に就職するためにすべきこととしては以下の3点が挙げられます。
- 未経験から募集している求人に応募する
- 資格を取得する
- 契約社員やアルバイトから経験を積む
それぞれ詳しく解説します。
1. 未経験から募集している求人に応募する
医療事務に就職したいのであれば、未経験から募集している求人に応募するのがおすすめです。求人サイトを使って就職活動する場合は「未経験者歓迎」というチェックボックスにチェックを入れた上で求人を検索しましょう。
未経験者歓迎と書かれていない求人にも応募できますが、基本的に経験者を募集する求人となりますので、未経験者だと内定をもらえる確率が下がってしまう点は認識しておいてください。
2. 資格を取得する
医療事務に未経験から就職したい場合は、資格の取得を検討してみることもおすすめです。
具体的には以下のような資格が挙げられます。
- 医療事務技能審査試験(メディカルクラーク(R))
- 医療事務管理士
- 診療報酬請求事務能力認定試験
- 医療事務認定事務者(R)
これらの資格があると、実務経験がなくても就職成功率を上げることが可能です。
ただ、資格取得の勉強にばかり時間を使って就職活動が遅れてしまうと、それはそれで選考通過率を下げることに繋がりかねませんので注意してください。
3. 契約社員やアルバイトから経験を積む
医療事務としての正社員を目指すのであれば、まずは契約社員やアルバイトなど非正規から就職してみることもおすすめです。非正規雇用であっても、実務経験を積むことができますので、自分が医療事務に向いているかも認識できるでしょう。
また、非正規の場合は正社員よりも就職できるハードルが低いため、「まずは働き始めたい」と考えている人にもおすすめできます。
こんな条件の医療事務の求人はやめとけ
医療事務の求人はたくさんありますが、以下のような条件に当てはまる場合は応募を避けておいた方が良いかもしれません。
- 年間休日日数の記載がない
- 求人募集している背景の記載がない
- 勤めている医療事務の年齢構成や人数が書かれていない
- 平均勤続年数が書かれていない
- 具体的な勤務先が書かれていない
これらの条件に当てはまる場合は応募を避けておきましょう。
どうしても就職したい医療機関がある場合は、直接その医療機関に足を運び、受付から医療事務の人たちの働く姿を見学してみることもおすすめです。
よくある質問
最後に医療事務に関するよくある質問を3つ取り上げて解説します。
医療事務を辞めたい理由はなんですか?
医療事務を辞めたいと感じる理由としては以下のようなものが挙げられます。
- 忙しくてプライベートの時間が持てない
- 覚えなければならない業務内容が多い
- 給料が低い
- 人間関係に悩んでいる
- 緊張感やプレッシャーが重すぎる
- キャリアプランが想像できない
- 異動ができない
こうした理由も加味した上で医療事務を目指すのか検討しましょう。
医療事務で一番難しい資格は?
医療事務に関する資格の中でも最も難しいと言われているのは「診療報酬請求事務能力認定試験」です。通信講座で勉強する場合は9ヶ月程度かかり、合格率も30%と非常に低いため、医療事務資格の中では最難関と言われています。
反対に、医療事務資格の中でも最も優しいと言われているのは「医療事務認定実務者」です。
4ヶ月程度勉強すれば合格できるラインに到達でき、合格率は高くて80%という点も特徴です。
また、参考書やノートなどを試験会場に持ち込めるため、勉強に自信がない人でも資格取得ができるでしょう。
医療事務はブラック?
勤める医療機関によってはブラックな働き方をしなければならないこともあります。
特に大病院や大学病院など、規模が大きい病院の場合は業務が忙しくなりやすいと言われています。
反対に地域のクリニックなどであれば、患者数もそこまで多くないことからホワイトに働ける可能性が高まります。しかし、業務量が少ないぶんスキルアップのスピードが遅れてしまう点は認識しておいてください。
まとめ
医療事務はやめとけと言われる理由を詳しく解説しました。
記事で解説した通り、医療事務は求められる知識が非常に多いものの、一般事務職に満たない年収しか稼げないといった点は理解しておく必要があります。
一方、一度就職をして実務経験を積めれば、様々な働き方で長く働き続けることができる点はメリットといえます。
自分が医療事務として活躍できるか不安に感じている人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
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