不動産営業をやめとけと言われる理由は、高いノルマの達成を求められるから多くの体力と強い精神力が必要になる仕事であるからです。
この記事では、具体的に不動産営業をやめとけと言われる理由を8つ解説します。
また、不動産営業として働くメリットや、ブラックではない職場に就職するコツについてもご紹介します。
不動産営業への就職を検討している人は、記事の内容を参考にして就職活動に役立ててみてください。
この記事の目次
不動産営業をやめとけと言われる理由8選
不動産営業をやめとけと言われる理由は以下の8つが考えられます。
- ノルマに対して厳しい叱責を受けやすい
- とにかく行動力を求められる
- 精神論で乗り切る傾向にある
- 個人営業だと精神的にきつい
- 専門的な知識がないと契約が取りづらい
- 残業や休日出勤が多い
- 自分が悪くなくてもクレームを受けることがある
- 古い体質の会社がある
それぞれ詳しく解説します。
1. ノルマに対して厳しい叱責を受けやすい
不動産営業はとにかく契約ノルマを達成することが強く求められる仕事です。
業態にもよりますが、基本的には契約件数が重要な指標となってくるため、ノルマが未達の状態が続いていると上司から厳しく叱責されることが多くあります。
多くの不動産営業は体育会系気質ということもあり、チームの全員が見ている中で業績の悪さに言及されることも見られます。不動産営業として働いていると、強いストレスを感じることが多くあるでしょう。
また、ノルマは基本的に1ヵ月ごとにリセットされることが多く、今月達成できても来月が再びやってくることになるため、終わらないストレスを感じ続けることもあります。
2. とにかく行動力を求められる
不動産営業は個人の消費者を相手にすることが多い営業職のため、商談の成功率を上げるということが難しい仕事です。ノルマ市場主義ということも相まって、業績達成のためにとにかく行動力を求められる職場が多い傾向が見られます。
街中に立ってチラシを配ったり、個人の家に飛び込み営業をすることも少なくなく、体力的にも非常にきつい仕事となっています。
不動産営業になりたての頃は商談をすることすらできないことも多く、上司から「商談が取れるまで会社に帰ってくるな」と言われることもあります。
このように、体力的にもきつい思いをする可能性が高いことも「不動産営業はやめとけ」と言われる理由の1つです。
3. 精神論で乗り切る傾向にある
会社にもよりますが、不動産営業として業績を上げている人は人一倍行動をしているといった傾向が見られます。なかなか商談や契約が取れなくても行動力でカバーしている人が上司になることが多いため、結果的に精神論でしかアドバイスをされない事は少なくありません。
人によっては「昭和のような営業をさせられている」と感じることもあり、自分の営業職としてのスキルアップという観点でキャリアを見つめ直した際に、他の会社で使えるようなスキルが身に付いていないと感じることもあるでしょう。
精神論でばかり語られる状況に嫌気が差して退職した人が「不動産営業はやめとけ」と言っているとも考えられます。
4. 個人営業だと精神的にきつい
不動産営業には大きく法人向けの営業と個人向けの営業があります。
多くの人が配属されるのは個人向けの不動産営業となりますが、個人向けの営業は不動産業界にかかわらず精神的なきつさを感じる傾向にあります。
また、不動産は通常1人の人が何度も契約するものではありません。したがって常に新規営業になることが考えられます。
新規の個人向け営業は営業職の中でも極めてきつい仕事になりますので、不動産営業に就職する際は覚悟しておく必要があるでしょう。
心ない言葉を言われたり、クレームまがいの対応をされることも少なくありませんので、精神的なタフさに自信がない人は不動産営業はやめておいた方が良いと考えられます。
5. 専門的な知識がないと契約が取りづらい
不動産営業は行動力だけでなく専門的な不動産知識も不可欠です。
特に戸建てやマンションなどを販売する不動産営業の場合、顧客も一生に一度の買い物をする気負いで商談に臨むため、物件について根掘り葉掘り聞かれることも珍しくありません。
顧客の質問に対して適切に回答ができないと営業マンとしての信頼を獲得することができず、結果的に失注することにつながるでしょう。
また、大抵の不動産営業は就職直後に宅地建物取引士(宅建)の資格取得が義務付けられています。宅地建物取引士の合格率は20%を切るほど難しい試験となっていますので、高い学習意欲が求められる点も認識しておく必要があります。
6. 残業や休日出勤が多い
不動産営業は個人向け営業が多いという解説をしましたが、メインターゲットとなる顧客は20代から40代の働き盛りの人たちになります。平日日中は顧客と商談をすることができないため、結果的に夜遅くまで残業をしたり、休日に出勤して商談をすると行ったことが多くなります。
必然的に稼働時間が多くなるため、身体的なきつさも感じやすくなるでしょう。
また、残業や休日出勤が多いことは不動産営業において当然のことと認識されていることもあり、職場の働く環境が一向に改善しないことも考えられます。
不動産営業はハードな働き方を強いられることもあるため、「就職はやめとけ」と言われています。
7. 自分が悪くなくてもクレームを受けることがある
不動産営業は顧客に不動産を提案し、契約を取ってくる仕事です。
しかし、顧客からしてみれば物件が完全な状態で引き渡されるまでが担当営業との関わりになってくるため、もし引き渡しされる物件に建築不備があれば不動産営業にクレームが入ることになります。
基本的に不動産営業は物件の建築には関わりません。
建築に関わってくる施工管理や大工などの職人がミスをした場合、不動産営業に全てクレームが来てしまいます。
自分が悪くなくても顧客からクレームを受けることがあるといった点も、不動産営業の精神的につらいポイントといえます。
場合によっては自分が悪くないクレームに対して何時間も対応をしなければならないこともあり、大変な思いをするかもしれません。
8. 古い体質の会社がある
不動産業界は非常に歴史の長い業界のため、いまだに古い体質の会社が多く見られます。
上司と部下の壁が厚く風通しの悪さを感じるような会社であったり、業務システムがデジタル化されておらず、非効率さを感じる会社もあるでしょう。
古い体質の会社で働いていてもスキルを身に付けることはなかなか難しいものです。
将来のキャリアを考えた際にスキルアップができないという観点で、不動産営業はやめとけと言っている人も少なくありません。
やめとけと言われても不動産営業で働くメリット5選
就職はやめとけと言われやすい不動産営業ですが、働くことで以下のようなメリットを享受することも可能です。
- 努力次第で稼ぎやすい
- 若いうちからマネジメントになれる
- 未経験から就職しやすい
- 専門的なスキルがなくても活躍できる
- 需要が高い業界で長く働ける
これらのメリットを合わせて理解した上で、自分は不動産営業を目指すのか検討してみてください。それぞれ詳しく解説します。
1. 実力次第で稼ぎやすい
不動産営業は経験や学歴に関係なく稼ぎやすい仕事というメリットがあります。
多くの不動産営業は基本給に加えて歩合給(インセンティブ)が設けられている傾向にあります。歩合給が設けられている会社であれば、契約をすればするほど収入を増やすことができます。
特に高単価の物件を取り扱っている不動産営業だと、1件契約を取っただけで数十万円の歩合給が支給されることもありますので、努力次第で稼げるというのは大きなメリットです。
2. 若いうちからマネジメントになれる
不動産業界は店舗数と売り上げが相関しやすいビジネスです。また、不動産営業の人員数も売り上げと相関しやすい傾向にあることから、資金力のある不動産会社はどんどん新しい店舗を出店する傾向にあります。
新しい店舗が増えるということは、その分マネジメントのポストが多く必要になるということになります。実力主義の世界でもあることも相まって、実績さえ出せていれば若いうちからマネジメントとして活躍することも可能です。
不動産営業のマネジメントは他の営業に比べても大変と言われることが多いですが、高い給料が目指せるだけでなく、社会的信用を引き上げることにも繋がりますので大きなメリットと言えるでしょう。
3. 未経験から就職しやすい
不動産営業はコミュニケーション能力と不動産に関する知識さえあれば、誰でも活躍することができます。学歴や職歴がなくても活躍している不動産営業の人は多くいますので、未経験者でも就職しやすいといったメリットがあります。
今までアピールできるような学歴や職歴を持たない人が、スーツを着て高い収入を目指して働くために不動産営業として就職するケースは多く見られます。
4. 専門的なスキルがなくても活躍できる
不動産営業として活躍するためにはコミュニケーション能力が最も重要です。
不動産の知識に自信がなかったとしても、顧客とうまくやりとりができる対話力さえあれば誰でも活躍できるというのはメリットと言えます。
勉強をするのが苦手であったり、他人にアピールできるようなスキルがない人でもコミュニケーション能力1つで多額の収入を稼げる可能性があるというのは、嬉しいポイントと言えるでしょう。
5. 需要が高い業界で長く働ける
人が住む以上、不動産会社が介入できる領域はなくなりません。
今でこそ日本は少子高齢化や人口減少といった社会問題が見られますが、少なくとも今後数十年は一定数の人口推移がされると言われています。
したがって、不動産業界は今後も需要があり続けると考えられ、不動産営業が活躍できるフィールドはなくならないといえるでしょう。実績を身につけ、長く働きたい人には不動産営業がおすすめできます。
こんな求人はやめとけ?不動産営業のブラックか見極めるポイント
不動産営業はブラックな求人が多いと言われています。以下のようなポイントをしっかりと認識した上で求人を比較検討するようにしてください。
- 固定残業制で平均残業時間の記載がない
- 歩合給が高いが基本給が低い
- 不自然なほど若手が管理職になっている
それぞれ詳しく解説します。
1. 固定残業制で平均残業時間の記載がない
不動産営業の求人の中には、固定残業制となっているものが少なくありません。
固定残業制というのはみなし残業とも言われ、あらかじめ数十時間分の残業代を基本給に上乗せするといった制度です。定められた時間分を超過して残業した場合であっても、残業代が支払われないことがあります。
固定残業制の場合、会社側が残業代をカットする目的で定めていることがあるため、長時間労働をしても給料が増えないといったブラックな状況に陥るリスクが高まります。
また、平均残業時間の記載がない求人もブラックな職場である可能性が高いです。
平均残業時間を書かないという事は「平均残業時間が書けない」ことの裏返しとも捉えられます。
毎日3時間から4時間を超えるような残業をしている実態も考えられますので、就職口コミサイトなども合わせて確認しておくことがおすすめです。
2. 歩合給が高いが基本給が低い
不動産営業の求人の中には歩合給が高く設定されているものが見られます。歩合給が高いこと自体はポジティブなポイントとなりますが、基本給が10万円台などの水準の場合は注意が必要です。
基本給が低いと、契約が取れないときに月収が大きく下がることになります。加えて月の収入に波がある状態になると、家計を安定的に保つことができなくなります。
プライベートや生活において焦りを感じることが多くなってしまうため、結果的に仕事を辞めることができなくなることも考えられるでしょう。
もう一つ知っておきたいポイントとして、ボーナスは基本給がベースとなって計算されるという事実があります。基本給が低いとその分ボーナスが低いことにも繋がりますので、求人票の給与欄は基本給を必ずチェックしておいてください。
3. 不自然なほど若手が管理職になっている
不動産営業は実力主義のため、若手でも管理職になりやすい仕事です。しかし、あまりにも不自然に若手が管理職になっている場合はいくつかのリスクが考えられます。
管理職に対しては会社が残業代を支払う必要がありません。つまり、若手であってもどんどん管理職にすることで会社側は残業代の支払いを削減できるということです。
加えて管理職になれば責任が重くなってしまうことから、若いうちに管理職にさせられ残業代が出ない中プレッシャーばかりを感じて働くこともあるでしょう。
求人を検討する際は、若手がどれぐらい管理職になっているのかを確認することをおすすめします。
ブラックではない不動産営業に就職するコツ
ブラックではない不動産営業に就職することとしては以下の3点が挙げられます。
- 取り扱う物件について調べる
- 企業口コミサイトを確認する
- 就職エージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
1. 取り扱う物件について調べる
不動産会社によって取り扱う物件は大きく異なってきます。エリアや価格帯、商談する顧客の属性によって不動産営業の難易度は大きく変わってきますので、求人を調べる際はその会社が取り扱う物件についてしっかりと調べることがポイントです。
都心であれば不動産の種類や営業先となる顧客が多いため、不動産営業として活躍しやすい環境といえます。反対に地方の場合は営業先を見つけること自体のハードルが高いため、契約実績を取ることが相対的に難しくなると考えられます。
会社のホームページから取り扱う物件の特徴を確認することができますので、意識してみてください。
2. 企業口コミサイトを確認する
働く実態は求人票からは確認することができません。そのため、気になる企業を見つけたら就職口コミサイトを確認することがポイントです。
就職口コミサイトで企業名を入力し、どういった働き方になるのかの解像度を上げるようにしてください。ネガティブな口コミが多い傾向にありますので、その会社で働くメリットだけでなく、デメリットも合わせて認識しましょう。
3. 就職エージェントを活用する
自分に合っている不動産営業の求人を効率よく見つけたいのであれば、就職エージェントを活用することがおすすめです。就職エージェントを活用することで、自分の希望条件を満たした求人を紹介してもらえます。
また、就職エージェントは求人募集元の企業の内情までを理解しています。ネットにはない生の働き方を教えてもらいつつ求人を比較検討できるため、ブラックな会社に就職してしまうリスクを減らせると考えられます。
不動産営業に就いて向いてないと感じた時の対処法
不動産営業に就職したあとに仕事に向いてないと感じた時は、以下のような対処法が考えられます。
- 活躍している先輩営業にアドバイスをもらう
- 自身の営業スキルを引き上げる
- 自分の仕事方法を見直す
- 上司にありのままを相談する
- 人事に異動申請を出す
- 自身のキャリアを見直して転職する
不動産営業として向いてないと感じるのは、実績が出ていないからだと考えられます。
そのため、信頼できる先輩営業にアドバイスをもらったり、自身の営業スキルを引き上げることで不動産営業のやりがいを感じられるようになるでしょう。
どうしても今働いている会社で活躍するイメージが持てない場合は転職がおすすめです。
しかし転職先で同じようにネガティブな感情にならないようにするためにも、しっかりと自身のキャリアを見直してから行動することを意識してみてください。
よくある質問
最後に不動産営業に関するよくある質問を3つ取り上げて解説します。
不動産営業の離職率は?
厚生労働省の雇用動向調査結果の概要によれば、不動産業に関する離職率は15.1%となっています。入職者12万人に対して離職者が11万人となっており、人の出入りが激しい仕事と言えるでしょう。
同調査によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は33.6%、生活関連サービス業・娯楽業の離職率は20.5%となっていますので、世間一般のイメージよりは低い離職率と言えるかもしれません。
しかし、離職率は会社によっても大きく異なりますので、気になる会社がある場合は企業ホームページや求人票などを確認して個別離職率をチェックしてみてください。
不動産営業ってきつい?
不動産営業は一般的にはきついと言われています。
行動量が求められ、難易度の高い新規顧客の開拓をしなければならないため、ハードな営業をすることになるでしょう。
しかし、きつい中で努力をして実績を出せるようになれば、他の仕事よりも稼げる可能性が高いといったメリットもあります。一概にきついからといって就職を諦めてしまうのではなく、不動産営業の楽しさややりがいも合わせて理解することが重要です。
不動産営業のやりがいは?
不動産営業のやりがいとしては以下のようなものが挙げられます。
- 不動産に関する専門知識が身に付く
- 努力した分稼げる
- 人の人生に大きな影響を与えられる
- 様々な業界で活かせる営業の基礎知識を学べる
- 多額のお金を動かせる
やればやった分稼ぎやすいという点は不動産営業の大きなやりがいです。学歴やスキルに自信がない人が稼いでいきたいのであれば、不動産営業を検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
不動産営業をやめとけと言われる理由を詳しく解説しました。
不動産営業は精神的にも身体的にもきつい働き方が求められますが、やればやった分給料に反映されやすい仕事のため、とにかく稼いでいきたいという人や営業スキルを身に付けたいという人にはおすすめできます。
自分が不動産営業として活躍できるか不安に感じている場合は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
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