不動産営業に就職したいと考え、理解を深めていきたい人も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産営業の仕事内容や求められるスキル、就職で役立つ資格について解説します。
加えて、不動産営業を目指す上で知っておきたい知識を網羅的にご紹介しますので、就職活動に役立ててみてください。
この記事の目次
不動産営業とは?
不動産営業とは、不動産に関わるあらゆるニーズを解決する営業職です。
戸建て住宅やマンションなどを販売したり、賃貸住宅の仲介を行うなどの業務がイメージしやすいでしょう。
不動産営業は会社や配属される部署によって、取り扱う物件や土地の種別も変わってきます。また、求められるスキルや仕事内容もそれに応じて変わってくるといった特徴があります。
それだけでなく、営業する相手が個人だけでなく法人である場合もありますので、応募する求人によって細かな働き方の違いが出てくる点は認識しておく必要があるでしょう。
不動産営業は多くの会社と求人がありますので、自分に向いてる不動産営業の種類を理解することが非常に大切です。
不動産営業の種類
不動産営業には大きく分けると以下の4種類があります。
- 賃貸営業
- 住宅営業
- 投資用不動産営業
- 土地仕入営業
どれも不動産を扱う営業職ですが細かな仕事内容が異なりますので、それぞれしっかりと理解しておきましょう。
1. 賃貸営業
賃貸営業とは賃貸不動産の仲介を担う仕事です。イメージとしては、上京する学生や転勤する社会人に対してアパートや賃貸マンションの物件を紹介する不動産営業となります。
賃貸物件は非常に数が多く、かつ自社の保有している物件ではありませんので、物件の広告や所在・地域などを見てすぐに顧客に説明できるような臨機応変さが求められます。
加えて、賃貸営業は不動産の売買営業よりも契約までのスピード感が早いことから、ノルマとしては契約件数が重要になるケースが多いといった特徴も見られます。
賃貸営業は店舗に来店した個人に対して賃貸物件の仲介をするだけでなく、そもそも仲介する物件を増やすためにオーナーや家主を開拓するといった仕事もあります。
より良い条件の賃貸物件を取り扱うことができれば契約件数を増やすことができるため、独占的に仲介してもらえるような契約先を開拓していく行動力も重要です。
2. 住宅営業
住宅営業はハウスメーカーや建設会社に勤め、戸建て住宅やマンションの販売を行います。
住宅営業の中でも主に自社で建築した物件を販売する「建売住宅営業」と、個人の要望を受けて設計から取り組む「注文住宅営業」の2種類に分かれます。
建売住宅営業は既に完成された物件を販売しますので、専門的な不動産の知識がそこまでなくても取り組める業務です。
また、大手の不動産会社であれば、土地仕入れや建築を自社のグループで行っていることもあり、一つ一つの物件に対する情報量が多く商談でのアピールポイントを多く伝えやすい点が特徴です。
注文住宅営業は、これから戸建て住宅を建築したいと考えている個人と打ち合わせを行い、どういった仕様の住宅にするのかを決め、建築指示を行うところまで担います。
設計の詳細は自社の設計士に説明を依頼することもありますが、そもそもどういった物件を作れるのか理解できていないと商談にならないため、専門的な不動産の知識が求められます。
また、注文住宅営業の場合は物件の注文から引き渡しまでが1年以上かかることも多く、1人の顧客を長く担当するといった特徴も見られます。
まさに人の人生に大きな影響を与えることのできる不動産営業ですが、やることや求められる知識もその分ハイレベルとなる点は理解しておきましょう。
3. 投資用不動産営業
投資用不動産営業は投資目的で購入される物件の仕入れと販売を行う不動産営業です。
どういった物件であれば投資用不動産として魅力になるのかを見定め、適切なリフォームを行って販売提案を行うことまで一気通関して不動産に関わることができます。
最近では資産形成目的で投資用不動産を購入する個人も増えてきていますが、物件がそもそも数千万円しますので、なかなか契約を取ってくることが難しいといった実態があります。
様々な場所で名刺交換やアンケートを行い、連絡先を取得してからひたすらテレアポを行うといった、泥臭い営業を行うケースが多いです。
不動産に関する知識だけでなく、ファイナンシャルプランニングなど投資に関する知識も強く求められます。利回りの計算や銀行の融資の制度、他の投資商品との違いなどの知識があると、若くして年収1,000万円以上を狙うこともできるでしょう。
ちなみに、投資用不動産営業を主なビジネスとしている不動産会社にはベンチャー企業が比較的多く、結果を出せるとすぐに上の役職に昇格しやすいといった特徴も見られます。
4. 土地仕入営業
土地仕入営業は、注文住宅や投資用不動産を販売できる状態にするために土地を仕入れる営業です。これまでの不動産営業の種類とは異なり、「売れる状態にするために買う」ことを目的とした営業職のため、不動産購入のプロとも言えるでしょう。
不動産に関する幅広い情報を収集するだけでなく、仕入れようとしようとしている不動産の現地調査をしたり、地主との価格交渉を行います。
当然安く買えれば買えるほど会社としての利益に貢献することになりますので、確かな知識と高いコミュケーション能力が非常に大切です。
土地仕入営業が土地を仕入れることで、その土地に物件を建築し販売できる状態になります。不動産会社の要とも言えるポジションのため、高い実績を残している不動産営業がキャリアアップのために転職するような仕事でもあります。
不動産営業に共通する仕事内容
不動産営業は種類ごとに仕事内容が細かく分かれていきますが、共通して以下のような業務の流れとなります。
- 商談の獲得
- 商談
- 契約
- 引き渡し
このように仕事の流れは比較的シンプルですが、取り扱う金額が大きいためそれぞれの工程において相応の時間がかかります。
不動産営業を目指すのであれば、まずはこれらの仕事内容について詳しく理解を深めておきましょう。
1. 商談の獲得
不動産営業は個人のリストを持っているわけではありませんので、見込み顧客を開拓するところから営業を始める必要があります。
街頭に立ってビラを配ったりアンケートを実施するなどして、まずは不動産を買ってくれそうな個人を見つけます。見込み顧客の獲得は体力と精神力が求められ、見込み顧客が獲得できないとそもそも商談をすることすらできません。
また、見込み顧客を見つけた後もテレアポやメールを活用して商談のアポイントが取れるように動いていきます。とにかく数が必要なため、行動力を発揮し続けることが求められます。
賃貸営業の場合は会社のマーケティング部門が見込み顧客の開拓を代わりに行ってくれることもありますので、店舗で来店客を待つだけの場合もあります。
自分から見込み顧客を開拓していく自信がない人は賃貸営業の方が向いていると言えるでしょう。
2. 商談
見込み顧客から無事にアポイントを獲得できたら商談を行います。
商談ではいきなりおすすめの物件を提案するのではなく、まずはヒアリングを行うことが大切です。質の高いヒアリングができれば質の高い提案が可能になるため、成約率を高めることができるでしょう。
ヒアリングではとにかく相手の話に耳を傾けることが大切です。
緊張をほぐすためのアイスブレイクを行った上で、相手がどういった物件を、なぜ購入したいと考えているのか聞き出していきます。
最低でも以下の情報は商談において必ずヒアリングする必要があります。
- 物件の条件や希望
- 物件を購入する背景
- 今の悩みや課題に感じていること
- 物件の予算
これらの情報をヒアリングした上で、できるだけ全てを満たす不動産を提案します。
また、勤めている会社によって紹介できる不動産の数が変わってきます。一般的には大企業であるほど取り扱っている不動産が多いため、提案の幅も広がります。
なお、商談は1回で成約に至ることはほとんどありません。特に住宅営業や投資用不動産営業の場合は顧客が支払う金額も高くなるため、複数回に分けて商談を行うこともあります。
そのため、顧客ごとの特性や情報をしっかりと管理しておくような能力も大切です。
3. 契約
商談や内見を経て、購入する物件が固まれば契約になります。
契約をする際は物件に関する重要事項説明を行わなければなりません。この説明を1つでも省いてしまうと、後々大きなトラブルやクレームだけでなく、最悪の場合裁判に発展することもありますので慎重に行っていく必要があります。
また、契約において必要な書面に全て署名や捺印をしてもらわないと手続きを進めることができない点にも注意が必要です。会社によってはチェックリストなども用意されていますので、必要な手順に従って確実に事務手続きを進めていけるような丁寧さも求められます。
多くの場合は不動産売買契約と同時にローンの申し込みが行われます。
不動産営業は融資はできませんので、契約と同時に個人の信用調査を行い、協業している金融機関を紹介します。無事に金融機関の融資審査を通過できたら、物件の引き渡しに進むことができます。
なお、賃貸営業の場合は金融機関の審査がありませんので、引き渡しまでがスムーズに進みます。
4. 引き渡し
契約から引き渡しまでの管理も不動産営業が担います。特に注文住宅営業の場合は契約から引き渡しまでが1年以上かかることもありますので、顧客が望んだ物件を確実に引き渡せるように丁寧なコミニケーションを行うことも大切です。
引き渡す物件が完成したら顧客に最終チェックをしてもらい、確認書を書いてもらえれば無事に引き渡しが完了します。顧客の新生活が始まる瞬間を目の当たりにできますので、不動産営業としてもやりがいを感じる瞬間と言えるでしょう。
不動産営業に必要なスキル
不動産営業として活躍していくために必要なスキルとして、以下の5つのポイントが挙げられます。
- ヒアリング能力
- 行動力
- コミュニケーション能力
- 見極め力
- お金や不動産に関する法律知識
これらのスキルをバランスよく発揮できれば不動産営業として活躍していけるでしょう。それぞれ詳しく解説します。
1. ヒアリング能力
不動産は数多く存在しますが、全く同じ物件というものは1つもありません。そのため、成約率を高めたいのであれば顧客がどういった不動産を購入・住みたいと思っているのかを確実に聞き出し、できるだけ条件に合った不動産を紹介することが求められます。
そのためにも、不動産営業には高いヒアリング能力が重要になります。
ヒアリングをする際は基本的に見込み顧客と相対していることになりますが、顧客も自分のことをいきなり根掘り葉掘り聞かれてしまうと、まるで尋問を受けているような感覚になってしまいます。
ヒアリングをする際は聞くべきことをただ聞いていくのではなく、自然な話の流れで話を引き出す意識が重要です。慣れるまでは苦戦してしまうかもしれませんので、ハイパフォーマーの先輩の商談に同席するなどしてヒアリング能力を高めていきましょう。
2. 行動力
不動産営業はとにかく数が求められる仕事のため、行動力は不可欠です。
見込み顧客が潤沢にある場合であればそこまで行動力を発揮する必要はありませんが、そもそも商談の件数が不足している場合は、自分で町に繰り出し声かけを行うなど、物怖じせずに行動することが重要です。
不動産会社は世の中に無数にありますので、1番最初に声をかけた会社が契約を取れるといった傾向も見られます。
また、顧客も不動産の購入や引っ越しに興味はあるものの、なかなか行動できていないという人も珍しくないため、そうした顧客の後押しをするためにも積極的に行動していくことが重要になります。
3. コミュニケーション能力
不動産営業は営業職の1つのため、コミュニケーション能力の高さが求められます。
ヒアリング能力もコミュニケーション能力の1つにはなりますが、顧客が安心して契約ができる不動産営業だと感じてもらうためにも、まずは不快感のないコミュニケーションをするよう心がけてください。
また、不動産営業は1人の顧客に対して複数回の商談を行うことも珍しくありません。
顧客の忙しさや性格を考慮した上で次のアポイント設定をできるような、気配りを持ったコミュニケーションをすることも大切になってきます。
不動産営業として求められるコミュニケーション能力は「聞く力」だけでなく、不動産の専門的な領域の情報をわかりやすく「伝える力」も含まれます。
どんな人でも理解できるようなわかりやすい言葉を使って、相手の理解度に合わせて説明をしていくことを意識していきましょう。
4. 見極め力
不動産営業で活躍していくためには見極め力も大切になってきます。
就職後ある程度自分で考えて行動できるようになってくると、多くの見込み顧客と商談を重ねていくことになります。その際、対峙する顧客が不動産の契約に対してどれぐらい真剣に考えているのかを見極めることができると、効率的に営業実績を上げていくことが可能になります。
また、土地仕入営業として活躍する場合も見極め力が大切です。
購入を検討しようとしている土地の今後の評価額であったり、将来的に売れる物件になるかなどを見極めていけると、評価される不動産営業となれるでしょう。
5. お金や不動産に関する法律知識
不動産営業は不動産に関する知識のプロフェッショナルであることが求められますが、それと同じくらいお金や不動産に関する法律知識を持っておくことが大切です。
不動産は様々な法律のもとで売買や仲介がされています。特に必要な法律知識を持っておかないと法律違反となり、懲戒処分を受けることも考えられます。
また、お金に関する周辺知識も持っておけると良いでしょう。
特に戸建営業の場合は人のライフプランに対するアドバイスをすることもあります。現在の家計の状態を鑑みた上で、物件のローン支払い計画までアドバイスできると、物件の成約率を高めることも期待できます。
このように不動産営業は行動力やコミュニケーション能力のみでなく、知識のインプットも重要な仕事であるということを認識しておいてください。
不動産営業向けの資格
不動産営業として活躍するため、以下のような資格を取得しておけると良いでしょう。
- 宅地建物取引士
- ファイナンシャルプランナー
- 不動産コンサルティング技能士
求人の応募前にこれらの資格を取得できておくと、内定をもらえる可能性も高められます。
それぞれ合格率や目安勉強時間も解説しますので、気になる資格を見つけたらまずは参考書をチェックしてみてください。
宅地建物取引士
宅地建物取引士とは「宅建」とも呼ばれ、毎年20万人程度の受験者がいる最大規模の国家資格です。不動産取引における専門的な知識を持っている証明ともなり、資格があることで不動産契約における「重要事項の説明」が可能になります。
不動産営業として働くためには必須になる資格のため、就職直後に宅地建物取引士の資格取得を義務付けられる会社も少なくありません。
合格率は高くても20%程度と難しい資格となっていますので、独学だけでなく通信講座やスクールに通うことも検討すると良いでしょう。
合格率目安 | 15〜20% |
勉強時間目安 | 300〜400時間 |
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーとは、個人のライフプランや将来希望する生活を叶えるための家計管理・貯蓄計画に関する知識があることを証明できる資格です。
不動産営業は、不動産だけでなく顧客の将来の生活についてもアドバイスすることがあります。ファイナンシャルプランナーの資格を持っておくことで、将来設計のアドバイスに説得力が増すため、物件の契約を取りやすくなるかもしれません。
ファイナンシャルプランナーは1級から3級まで難易度が分かれていますが、3級は比較的取得が容易なため、不動産営業を目指しながら資格取得をすることもできるでしょう。
合格率目安 | ・3級:70〜80%・2級:50〜60% |
勉強時間目安 | ・3級:80〜150時間・2級:150〜300時間 |
不動産コンサルティング技能士
不動産コンサルティング技能士とは、不動産コンサルティング業務を行うだけの知識やスキルがあることを証明する資格です。受験資格として宅地建物取引士や不動産鑑定士資格の取得者である必要があるため、未経験者がいきなり受験することができないので注意が必要です。
不動産事業に関する知識はもちろん、経済知識や金融知識、税制など幅広い分野で問題が出題されますので勉強には相応の時間がかかります。
もし宅地建物取引士がスムーズに取得できたら、ステップアップとして不動産コンサルティング技能士の資格を検討してみるのも良いでしょう。
合格率目安 | 40〜50% |
勉強時間目安 | 150−300時間 |
不動産営業の仕事に就く方法
不動産営業の仕事に就くためには以下のような方法が挙げられます。
- 求人サイトを使う
- 就職エージェントを活用する
- 1Day選考会に応募する
それぞれ詳しく解説します。
求人サイトを使う
不動産営業を目指すのであれば求人サイトを使うのが一般的です。
不動産営業の求人はその多くが求人サイトに掲載されています。自分の希望する勤務地や働き方などをたくさんの求人の中から比較検討できるため、自分にマッチした求人を見つけやすいといった特徴があります。
また、求人サイトであれば未経験から不動産営業を募集する求人が多く掲載されていますので、学歴や職歴に自信がない人であっても就職しやすい求人を見つけることができるでしょう。
ただし、求人サイトの場合は履歴書の作成や企業との面接日時の調整などを全て1人でやる必要があります。
就職活動に困ったときにアドバイスをもらうことができませんので、自分1人で就職活動を進めることが不安という人は、この後解説する就職エージェントも併用することがおすすめです。
就職エージェントを活用する
少しでも就職成功率を高めたいのであれば、就職エージェントの活用がおすすめです。
就職エージェントに登録することで自分専任のアドバイザーがつき、以下のようなサポートをしてもらえるようになります。
- 履歴書や職務経歴書の添削
- 模擬面接の実施
- キャリアカウンセリングの実施
- 自分にマッチした求人の紹介
- 企業との面接日時の調整代行
- 入社時期の調整
このように、就職活動のスタートからゴールまでを全てサポートしてもらえますので、就職活動が初めて・久しぶりといった人でも迷わず内定獲得を目指すことができます。
就職エージェントの登録や利用にはお金がかかりませんので、少しでも気になるサービスを見つけたらまずは登録してみることがおすすめです。
1Day選考会に応募する
不動産営業は1度の募集で大人数の採用枠を設けていることが多いため、1Day選考会と銘打ったイベントを行っていることがあります。1Day選考会に参加することで、1日の間で会社説明から最終面接までを終えることができますので、非常にスピーディーな内定獲得が見込めます。
とにかく早く不動産営業になりたいと考えている人は1Day選考会を活用すると良いでしょう。
1Day選考会は不定期に実施されていますので、気になる会社をあらかじめ見つけておくことが大切です。
1Day選考会が行われることは、企業の公式SNSや求人サイトなどで告知されている傾向にあります。どうしても入社したい会社がある場合は、企業のSNSをフォローしたり定期的に企業名で検索することがおすすめです。
不動産営業に向いてる人の性格
不動産営業に向いてる人の性格としては以下の5点が挙げられます。
- 目的達成志向が強い
- 人と関わることが好き
- 精神的にタフ
- 人の人生に寄り添う仕事がしたい
- フットワークが軽い
これらの性格に当てはまる人であれば、不動産営業になりやすいだけでなく、就職後に活躍していける可能性が高いでしょう。それぞれ詳しく解説します。
1. 目的達成志向が強い
不動産営業はノルマの達成に対して強い要求をされる仕事です。
月次の目標だけでなく日次単位での行動を徹底されますので、自分の目標を達成するといった目的達成志向の強い人が活躍できる傾向にあります。
自分に課されたノルマや目標は必ず達成したいと考える人はもちろん、他人よりも高い実績を挙げて評価を受けたいなど上昇志向が強い人も不動産営業として活躍できるでしょう。
反対に、誰かと競争することや、自分に課された目標の達成に興味がない人は不動産営業に向きませんので注意してください。
2. 人と関わることが好き
不動産営業は不動産知識があることはもちろんですが、1番重要になってくるのがコミュニケーション能力です。不動産会社がたくさんある現状において、個人は営業担当に感じる印象やコミュニケーション能力によって最終的には契約判断をすることも珍しくありません。
多くの人と関わることが好きな人であれば自然と見込み顧客をたくさん作れるため、商談の件数が増え、結果的に契約件数を高めることにも繋がるでしょう。
見ず知らずの人と会話をすることを楽しめるような人は、不動産営業としてやりがいを持って働けるはずです。
3. 精神的にタフ
不動産営業は数字に対するコミットメントを強く求められるため、上司から詰められるようなコミュニケーションを取られることがあります。特に自身の目標に対して実績が追いついていない時は精神的にも追い詰められることがありますので、精神的なタフさは必須のスキルと言えるでしょう。
逆境に打ち勝つ精神力や、困難な壁でも立ち向かっていけるようなタフさを持っている人は不動産営業としてストレスを感じにくいと考えられます。
反対に、心が弱い人だと不動産営業として就職してもすぐに退職してしまう可能性があるため注意してください。
4. 人の人生に寄り添う仕事がしたい
賃貸営業にしろ住宅営業しろ、不動産営業が取り扱う住宅用の不動産は人の人生を左右すると言っても過言ではありません。不動産営業が介在することによって新しい住居を手にした個人は、その住居で新しい人生を歩んでいくことになります。
したがって、不動産営業は人の人生に直結するような仕事とも言えますので、誰かの人生に寄り添う仕事がしたいという人はやりがいを持って働けるでしょう。
5. フットワークが軽い
不動産営業は実績を出すためにフットワークを軽くして行動力を発揮していくことが求められます。「悩むよりもまずは行動をする」といったアクティブな人であれば、不動産営業として実績を残していきやすいと考えられます。
フットワークが重いと競合の不動産会社に顧客をとられてしまったり、タイミングを逃して契約を白紙に戻さざるを得ないこともあるでしょう。
「自分は悩んだときにすぐに行動ができる人間か」という点は、不動産営業を目指すのであれば自己認識しておくことをおすすめします。
未経験から不動産営業を目指すには
不動産営業は未経験からでも就職できる仕事ですが、実際にどのように不動産営業を目指していけばいいのかわからない人も多いでしょう。
未経験から不動産営業を目指すのであれば、以下のような行動を取るようにしてください。
- どの種類の不動産営業になりたいか決める
- 企業研究を念入りに行う
- 未経験歓迎の求人に応募する
それぞれ詳しく解説します。
どの種類の不動産営業になりたいか決める
記事の冒頭でも解説した通り、不動産営業には大きく4つの種類に分かれます。
- 賃貸営業
- 住宅営業
- 投資用不動産営業
- 土地仕入営業
それぞれの不動産営業に求められるスキルや働き方は異なってきます。
また、不動産会社だからといって、これらすべての不動産営業の部署があるというわけではありません。会社によっては賃貸営業しか募集していないこともありますし、全ての不動産営業の種類の部署があることもあります。
したがって、あらかじめどの種類の不動産営業になりたいのか決めておくことで、求人を比較検討する効率を引き上げることにも繋がります。
未経験から不動産営業を目指すのであれば、それぞれの不動産営業の種類を詳しく理解した上で求人を調べるように意識してみてください。
1. 企業研究を念入りに行う
不動産営業を募集する不動産会社は非常に数が多いこともあり、中にはブラックな働き方を強要してくる会社も少なくありません。実際に不動産営業として就職したものの、働き方が過酷で早期離職してしまう人の声は少なからず見られます。
ブラックな不動産営業にならないためにも、企業研究を念入りに行うことをおすすめします。
企業研究とは、求人票や企業ホームページ、就職口コミサイトなどを見て就職後のイメージを具体的にすることを言います。
特に、就職口コミサイトには実際にその会社に就職した人の口コミが掲載されていますので、社員の生の声を調べることができます。社風や働き方についての解像度を高めることが可能なため、特に気になる会社がある場合は就職口コミサイトをチェックしてみてください。
2. 未経験歓迎の求人に応募する
未経験者が不動産営業を目指すのであれば、未経験歓迎の求人に応募することを意識してください。
「未経験歓迎」とは、文字通り実務経験がない人であっても内定をもらえる求人のことであり、特に不動産営業はコミニケーション能力を強く求められるため、未経験歓迎の求人が多い傾向にあります。
未経験歓迎と書かれていない求人であっても未経験者は応募することができますが、基本的に経験者を募集している求人になりますので、書類選考で落とされてしまうことが考えられます。
求人サイトによっては未経験歓迎の求人のみを表示するようなチェックボックスが設けられていることもあります。検索機能をうまく使って効率よく就職活動を進めていきましょう。
不動産営業のキャリアパス
不動産営業として経験を積むことで、以下のようなキャリアパスを歩むことができます。
- エキスパートとして不動産営業を極める
- 管理職になる
- 経験を活かして別業界の営業職に転職する
- 営業代行などで独立する
不動産営業には様々なキャリアパスが存在しますので、それぞれしっかり理解しておきましょう。
1. エキスパートとして不動産営業を極める
不動産営業は契約が取れれば取れるほど稼げる仕事です。
不動産営業の仕事そのものに楽しさややりがいを感じていたり、契約実績を誰よりも上げられるような人であれば、エキスパートとして不動産営業を極めるキャリアを歩むことができます。
いわゆるプレイヤーとして働き続けるキャリアであり、常に顧客と商談を重ねることからハードな働き方が想定されます。
その分、管理職ならではの悩みを感じることなく、純粋に営業スキルだけを極めていくことができるため、不動産営業が得意だったり好きという人は長く働いていけるでしょう。
2. 管理職になる
不動産営業において業績が高い人は基本的に管理職になることが多い傾向にあります。
特に不動産営業の世界においては実力主義である会社がほとんどであり、実績さえ出せれば若くして管理職に昇格することも可能です。
また、不動産業界は店舗数や営業人員の数が売り上げの増加に直結するようなビジネスモデルのため、資金力がある不動産会社は新しい店舗や支社を積極的に立ち上げる傾向にあります。
このことから課長や営業所長等のポストが増えやすく、物理的に管理職になりやすいという特徴も見られます。
20代で管理職になるということも珍しくない業界のため、早い段階から管理職の経験を積みたい人にもおすすめできます。
3. 経験を活かして別業界の営業職に転職する
不動産営業として培った営業スキルをベースに、別業界の営業職に転職するといったキャリアも歩めます。
不動産営業は数ある営業職の中でも特に行動力やコミニケーション能力を鍛えることができますので、不動産営業として活躍できれば別の会社でも営業職として実績を残せるでしょう。
不動産営業は残業が多かったり数字に対するプレッシャーが重かったりと、長期間働き続けることを諦めてしまう人が少なくありません。今よりも給料が下がってでも別業界の営業職に転職したいという人は一定数見られますので、メジャーなキャリアパスとも言えます。
4. 営業代行などで独立する
不動産営業で人一倍高い営業スキルを身に付けることができたら、営業代行会社として独立することも可能です。営業代行会社になれば不動産だけでなく様々な種類の商材を営業できるようになりますので、自由度の高い働き方を叶えられます。
営業という仕事はあらゆる業界でニーズが高い仕事のため、不動産に限らず人の課題を解決できるような商材を提案したいと考えていたり、独立して今よりももっと自由な働き方を実現したいという希望を実現することができるでしょう。
不動産営業の一日のスケジュール
不動産営業の1日のスケジュール例としては以下のようなものになっています。
- 9:00 出勤・朝会
- 9:30 見込み顧客発掘の営業
- 12:00 昼食
- 13:00 商談
- 17:00 事務処理
- 18:00 商談
- 19:00 退社
不動産営業としての働き方の解像度を上げるためにも、スケジュールのイメージを持っておくようにしましょう。それぞれ簡単に解説します。
9:00 出勤・朝会
不動産営業は基本的にリモートワークがないため、営業所に出社するところから始まります。
基本的に定時は9時となりますが、残業務次第では早めに来て事務処理の対応などを行うこともあります。
定刻になったら朝会が行われます。
朝会では今月のノルマに対する進捗や本日商談が何件あるかの報告をすることもありますので、自分の数字をしっかりと認識しておくことが大切です。
9:30 見込み顧客発掘の営業
朝会が終わったら早速営業活動が始まります。
多くの場合は朝のうちに見込み顧客を発掘する営業を行います。これまで連絡先を取得していた個人に対して電話やメールを行ったり、街に出てチラシを配るといったこともあります。
午前の時間全て使っても見込み顧客を数件取れるレベルですので、根気強く仕事に向き合う必要があります。
12:00 昼食
午前中にある程度の見込み顧客が発掘できたら昼食に入ります。
ただ、不動産営業の場合は現役世代をターゲットに営業することも多いため、多くの人が昼食をとっている12時台にテレアポを行うこともあります。
また、外回りをしている場合は昼食を外出先や社用車の中で取ることも珍しくありません。1時間の昼休憩が取れるようなことは中々ないことを認識しておいてください。
13:00 商談
午後からは商談を行います。顧客に合わせて物件を提案したり、興味のある物件の内見に付き合ったりなど、あらゆる方法で顧客に契約をしてもらえるように行動していきます。
商談は店舗だけでなく、喫茶店や顧客の自宅など様々な場所に分かれます。移動時間を考慮した上でスケジュールをうまく組むように意識することが重要です。
17:00 事務処理
夕方になってきたら事務処理を行います。不動産営業は多くの契約書や同意書などの書類を管理して適切に手続きを進めていく必要がありますので、営業と同じレベルで事務処理が重要になってきます。
また、書類関係の事務処理だけでなく、その日にあった商談の報告書などをまとめることもあります。見込み顧客についてはその日の商談の内容をメモしておくことで、次の商談に活かすことができます。
18:00 商談
不動産営業は仕事終わりのビジネスパーソンと商談をすることもあるため、夜時間に商談が入ることも珍しくありません。
1日も終盤に差し掛かっている時間ですが、18時以降でないと商談ができない顧客もたくさんいます。
19:00 退社
19時には退社します。しかし、先ほども解説した通り夜にしか商談が組めない顧客も多くいることから、19時以降にも商談を行うことがあります。
どうしても残業時間が多くなりやすいという点は、不動産営業を目指す上で知っておかなければならないでしょう。
不動産営業のやりがい
不動産営業のやりがいとしては以下の3点が挙げられます。
- 取り扱う金額が大きく影響力がある
- 業績が収入に影響しやすい
- 不動産に関する専門知識が身に付く
体力的にも精神的にもタフさが求められる不動産営業ですが、これらのやりがいは不動産営業でないと感じることができないと言えます。
不動産営業を目指す上では、これらのやりがいがあることも加味した上で就職するか検討してみてください。
1. 取り扱う金額が大きく影響力がある
特に住宅営業を担当する場合は、数千万円単位の物件を取り扱うことになりますので、大きなお金を動かすというやりがいを感じることができます。一般の人が何十年にもわたって支払うような不動産を日常的に販売することは不動産営業ならではの特徴とも言えるでしょう。
一般的に営業の難易度は、取り扱う商材の金額が大きければ大きいほど難しくなると言われています。100円のものを販売するよりも10,000円のものを販売する方が難しいように、不動産営業が取り扱う数千万円の不動産は早々契約できるものではありません。
その分、契約が1件取れたときのやりがいや達成感はひとしおです。
会社の業績に対しても大きな影響を与えることができるため、こういった点に魅力を感じる人は不動産営業に強いやりがいを感じられるはずです。
2. 業績が収入に影響しやすい
不動産営業は歩合給と呼ばれるインセンティブを設けている会社が多くあります。インセンティブの計算は不動産会社によって様々ですが、大きな契約を取れれば取れるほど自分の収入を上げていくことが可能です。
高いインセンティブ料率を設けている会社だと、1件の不動産を販売しただけで100万円ほどのインセンティブが月収として追加されることもあります。仕事の頑張りが収入に直結することで多くの人はやりがいを感じて働けるでしょう。
3. 不動産に関する専門知識が身に付く
不動産営業として働くことで不動産に関する専門知識を見つけられます。
不動産営業は関連する不動産知識をたくさん持っておけるほど商談をスムーズに進められるようになるため、自己成長を感じやすい仕事ともいえます。
また、将来的に自分が不動産を購入する時や周囲の友人に不動産のアドバイスを求められた時には、不動産営業として培った知識を活かすこともできるため、やりがいを感じることもあります。
不動産営業に就いて良かった人の声
ここからは実際に不動産営業に就職して良かったと回答する人の声を2つご紹介します。
体験談①
家庭の事情で大学を中退し、家業を手伝った後に不動産営業として就職した人の声をジェイック独自のインタビュー記事から抜粋してご紹介します。
「大学では、勉強だけでなくサークル活動にも熱心に取り組んでいましたが、母から家計が厳しいという声を聞いたことをきっかけに、大学を中退して家業を継ぐことにしました。
父は職人をしていたので見習いという形で職人の世界に入ったのですが、半年ほど経ち、給料や自分の視野を広げたいという気持ちが強くなったため、正社員就職を目指す決意をしました。
なかなか就職活動はうまくいかなかったのですが、就職エージェントを活用して紹介された不動産会社に興味を持ち応募しました。
無事に不動産営業として就職でき、現在は日々学びながら成長できていることを実感できています。賃貸営業として顧客からの問い合わせ対応や物件の案内を行っていますが、無事に部屋が決まったときには1番のやりがいを感じます。
これからは宅地建物取引士の資格を取って、マネジメントを目指していきたいと考えています。」
大学を中退していて未経験であっても、不動産営業として活躍できている人の声をご紹介しました。この人の就職成功体験談を深く知りたい人は、以下の記事も参考にしてみてください。
玉木 諒さんの就職成功体験談 – ジェイック 就職カレッジ®︎
体験談②
やむを得ない事情で大学を中退した後、地域密着型の不動産会社で不動産営業として活躍している人の声を、再びジェイック独自のインタビュー記事から抜粋してご紹介します。
「通っていた大学の制度で2年の後期から留学が必須となっていたため、バイトに明け暮れていました。しかし、どうしても留学費用を工面することができず、泣く泣く大学を中退することになりました。
中退を決めた段階ですぐに就職活動を始めるため、大学中退者の就職支援に強い就職エージェントに登録し、求人を選び始めました。
様々な会社を比較検討しましたが、中でも会社の雰囲気に惹かれた第一志望の不動産会社に内定をもらうことができ、すぐに就職を決意しました。
不動産会社ということで最初は緊張していましたが、想像以上に社内の雰囲気が良く、上司や先輩が寄り添ってくれていることを感じます。
現在は自分1人で顧客を担当させてもらえていて、紹介した物件を満足そうに契約してくれる瞬間にやりがいを感じます。
仕事では大変なことも多いですが、上司や先輩が優しく相談に乗ってくれるため、これからも長く働いていけそうだと思っています。」
思っていたよりも就職した不動産会社の雰囲気が良く、働きやすさを感じている人の声をご紹介しました。この人の就職成功体験談を詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてみてください。
和地 あおいさんの就職成功体験談 – ジェイック 就職カレッジ®︎
不動産営業になるメリット
不動産営業になるメリットとしては以下の5点が挙げられます。
- 実力に応じて稼ぎやすい
- キャリアパスが幅広い
- 社割で自分もお得に不動産が買える
- 度胸が身に付く
- 幅広い規模の会社がある
それぞれ詳しく解説します。
1. 実力に応じて稼ぎやすい
不動産営業では基本給に加えて歩合給が設定されているケースがほとんどです。歩合給とは、契約金額に応じて追加でもらえるお金のことを指します。歩合給の相場としては10%から30%程度が主となってきます。
どういった条件で歩合給がもらえるかは会社によって様々です。営業成果に基づいてシンプルに計算されるパターンもあれば、営業ノルマを達成した場合のみ歩合給が付与されることもありますので、求人をしっかりとチェックしておく必要があります。
会社によってはどれだけ実力を示していても、年齢が上がらないと給料が上がらないような年功序列型の会社もあります。
その点、不動産営業は年齢にかかわらず、実力さえあれば誰でも稼げる環境にありますので、頑張った分を正当に評価してもらいたいと考える人は大きなメリットを感じられるでしょう。
2. キャリアパスが幅広い
不動産営業として実務経験を積むことができると、以下のようなキャリアパスを歩むことができます。
- 不動産営業のスペシャリスト
- マネージャー
- 不動産コンサルタント
- 別業界の営業職
- 自社グループの別職種
- 独立
特に不動産営業の経験は独立にも活かせるという点が特徴です。
不動産契約の形態にもよりますが、やり方によっては不動産会社が自社で不動産を保有しなくても営業することができます。いわゆる不動産仲介や紹介といった方法でもお金を稼ぐことができるため、1人社長で不動産事業を営む人も少なくありません。
不動産営業として実績を積んだ後、さらに自由度を高く稼いでいきたいという人は独立というキャリアパスを歩むことができます。
不動産営業以外ではなかなか選択できないキャリアパスのため、大きなメリットといえます。
3. 社割で自分もお得に不動産が買える
会社にもよりますが、自社で物件を建築して販売しているようなケースだと、社割で自社物件を購入することができます。
ある会社の例で言えば、福利厚生の一環として住宅購入の支援金として上限200万円の支給をしているといったケースも見られます。
不動産営業として働いていると様々な物件を目にすることができるため、物件の良し悪しを見極める力を身に付けることができます。
良い物件を自分で購入することができれば働くモチベーションにもなりますし、将来的に不動産賃貸によって収入源とすることもできるでしょう。
4. 度胸が身に付く
不動産営業は、老若男女問わず様々な人に対して営業を仕掛けていきます。特に営業相手の年齢によって適切なコミュニケーションが異なってきますので、慣れないうちは相手を怒らせてしまったり、失礼な態度をとってしまったりすることも考えられます。
どうしても不動産営業は他人から冷たくあしらわれたり、怒られたりすることの多い傾向にあります。その分、他の営業で働くよりも度胸を身に付けられるといったメリットが考えられます。
不動産営業にかかわらず、何らかの業界で営業職として働く場合は度胸を持っていることが大切になりますので、今後も将来的に営業職として働いていきたい人にはメリットとなるでしょう。
また、強い度胸を持っていると、仕事だけでなくプライベートでも役立てることができますので、不動産営業として培った素養を日常的に活かしていけるともいえます。
5. 幅広い規模の会社がある
不動産営業は誰もが知るような大手の不動産会社だけでなく、地域密着型の不動産会社や数人だけの従業員で構成されているベンチャー企業でも働くことができます。
大企業で不動産営業として働く場合は、月々のノルマが厳しくなる傾向にありますが、取り扱える物件や営業ノウハウが豊富に蓄積されていることから、営業スキルを早く身に付けられるでしょう。
反対に、中小企業で不動産営業として働く場合は競争相手が少なくなる分、実力次第ですぐに上のポジションに昇格できる可能性が高いといったメリットがあります。
勤める会社の規模によって向き不向きは異なりますので、自分の特性を理解した上でマッチした規模の会社で就職するよう意識してみてください。
不動産営業になるデメリット
不動産営業になるデメリットとしては以下の5点が挙げられます。
- ノルマのプレッシャーが強い
- 心身ともにハードな働き方を強要されやすい
- 給料が不安定
- 業界の市場規模が縮小するリスク
- 土日出勤や残業が多い
不動産営業を目指す際はメリットだけでなく、デメリットもしっかりと理解しておきましょう。それぞれ詳しく解説します。
1. ノルマのプレッシャーが強い
不動産営業は特にノルマの達成を重要視される仕事です。
契約件数だけでなく契約金額も重要な評価指標になりますので、マネージャーから毎日営業進捗について厳しい指摘を受けることも考えられます。
ノルマの達成ができないと、自分だけでなく周囲のメンバーにも迷惑をかけることになるため、数字に追われながら働き続けなければならないという点はデメリットと言えるでしょう。
中にはノルマのプレッシャーから解放されるために、自分の友人や家族に対して不動産を営業する人も見られます。
友人への声かけをやりすぎてしまうと、友人の中で自分の悪評が広まってしまい、友達をなくすことにも繋がりかねません。
また、プレッシャーに押しつぶされる形で精神的に病んでしまう不動産営業の人も少なくないのが実態です。
2. 心身ともにハードな働き方を強要されやすい
不動産営業はハードな働き方を強要されやすいといったデメリットがあります。
精神的な面で言えば、ノルマの達成に向けた厳しい指摘だけでなく、個人の顧客から心ない言葉を投げかけられながらも営業を続けなければならないといった点が挙げられます。
身体的な面で言えば、残業の多さだけでなく、とにかく行動力が求められるという点が挙げられます。既に解説した通り、不動産営業は契約を達成するためにいかにしてたくさんの商談をこなせるかが重要な指標になります。
商談は数時間に及ぶことがあり、かつ夜遅い時間や休日に行われることも珍しくないため、身体的なつらさを感じざるをえません。
心身ともにタフな人でないと、不動産営業としての仕事についていけないことが考えられます。
3. 給料が不安定
不動産営業によっては歩合給の割合が多いケースも見られます。固定給が10万円程度で歩合給の割合が多いといった会社の場合、契約実績に応じて給料が不安定になるといったデメリットも挙げられるでしょう。
歩合給の割合が多ければ多いほど、契約を1件取ったときの収入の跳ね幅が大きくなります。
一時的に月収を3桁にすることもできる期待が持てますが、その反面、契約が取れないと極めて低い収入の中で家計をやりくりする必要が出てしまいます。
収入が不安定だと、仕事だけでなくプライベートにおいてもストレスを感じやすくなってしまいます。心が休まる瞬間がなくなることも考えられるという点は、不動産営業を目指す上で認識しておかなければならないでしょう。
4. 業界の市場規模が縮小するリスク
人が生活する上では不動産はなくてはならないものです。
しかし、日本の現状を見てみると少子高齢化かつ人口減少といった社会問題が発生していることが分かります。
日本に住む人がそもそも減ってくれば、その分不動産の需要が減少していくことになります。
今でこそ不動産の価格指数は右肩上がりとなっている実態がありますが、今後日銀による金融引き締めや金融緩和などの政策によっては、不動産の需要が極端に縮小することも考えられます。
不動産はどうしても景気に左右されやすい商材のため、自分ではどうすることもできないまま営業が難しくなるといったデメリットも考えられます。
5. 土日出勤や残業が多い
不動産営業は個人を相手にすることが多い仕事のため、仕事終わりの19時以降や土日に商談が入ることも珍しくありません。残業や休日出勤が多いというのは不動産営業の大きなデメリットの1つと言えます。
また、不動産営業は土日にモデルルームを開催し、見込み客を増やすといった業務もあります。1日中展示住宅の前に立ち内覧者を案内することになるため、肉体的な疲労を軽減する暇がありません。
加えて、会社によっては固定残業制を設けており、残業や休日出勤をいくらしても給料が増えないと言ったこともあります。勤務時間が長くなると精神的にもきつい状況になりますので、就職先の平均残業時間をチェックしておくことは非常に大切と言えます。
不動産営業の求人選び
不動産営業の求人はたくさんありますが、以下のポイントは特に意識した上で求人選びを進めてください。
- 平均残業時間や年間休日数をチェック
- 固定残業制の有無を確認する
- 基本給がいくらかを確認する
特に未経験から不動産営業を目指す際は、これらのポイントを意識した上で就職活動を進めることがポイントです。それぞれ詳しく解説します。
1. 平均残業時間や年間休日数をチェック
不動産営業は残業や休日出勤が多くなる傾向にある仕事のため、実際にどれぐらいの残業や休日出勤があるのかを求人票で必ずチェックしておきましょう。
一般的には、平均残業時間が20時間程度であれば体調をきたすことがなく、45時間以上超えてくるようであればハードな働き方になると言われています。
また、年間休日数についても120日以上あると十分な休日数があると言え、100〜105日程度だと休日数が少ないと言われる傾向にあります。
平均残業時間や年間休日数は求人票に書かれていないケースもあります。
どうしても行きたい会社でそれらの情報が書かれていない場合は、就職口コミサイトを確認したり、就職エージェントから生の情報をもらうことがおすすめです。
2. 固定残業制の有無を確認する
不動産営業の求人では、固定残業制を採用しているケースも少なくありません。
固定残業制はあらかじめ数十時間分の残業代を基本給に組み込んでいる制度のことを言います。
固定残業制が適用されていると、固定残業時間を超過した残業時間において残業代が発生しない可能性が出てきます。これによって、長時間労働をしているにもかかわらず給料が増えないといった状況に陥ってしまうため、確実にチェックしておきましょう。
ただし、固定残業制を採用していても固定残業時間を超過した分の残業代を支払うような制度を設けている不動産会社もあります。給与の計算方法について求人票だけでは読み取れない場合は、面接で聞いてみることもおすすめです。
3. 基本給がいくらかを確認する
不動産営業の求人によっては、応募を集めるために基本給に加えて歩合給の平均を加味した給料を記載しているケースがあります。
「月収50万円以上」と打ち出して応募を集めている求人もありますが、よくよく内訳を見てみると基本給が10万円台といったことも少なくありません。
未経験から不動産営業を目指すのであれば、不動産の契約を取れるようになるまで相応の時間がかかると思っていた方が良いでしょう。
そのため、最初のうちは基本給しかもらえないと前提に立ち、求人を比較検討するよう意識してください。
不動産営業志望のひとから「よくある質問」
最後に、不動産営業を志望する人からよくある質問を3つ取り上げて解説します。
不動産営業のつらいことは何ですか?
不動産営業のつらいこととしては以下のようなものが挙げられます。
- ノルマの達成を強く求められる
- 休みが取りづらい
- 家族との時間が取れない
- 飛び込み営業を強要されることがある
- 実力主義で給料が決まってしまう
- 個人からのクレーム対応をしなければならない
- 職場の雰囲気が自分に合わない
このように不動産営業にはつらいと感じるポイントがたくさんあります。こうした事実をしっかりと認識した上で、不動産営業を目指すのか検討してください。
不動産営業の離職率は?
厚生労働省の「雇用動向調査結果の概要」によると、不動産業界の離職率は15.1%といった水準になっています。
同調査における宿泊業・飲食サービス業の離職率は33.6%、生活関連サービス業・娯楽業の離職率は20.5%となっていますので、そこまで高い水準ではないと考えられます。
しかし、実態として不動産営業はハードな仕事を求められる関係で、会社によっては入社後3年内の離職率が30%以上となるケースも珍しくありません。
不動産営業の働きやすさは勤める会社によって大きく異なるため、気になる企業のホームページや就職口コミサイトなどで離職率をチェックするようにしてください。
不動産営業は未経験でもなれますか?
不動産営業は未経験でも就職することができます。
実際に求人サイトで不動産営業の募集要項を見てみると、「コミュニケーション能力がある人ややる気がある人であれば誰でも歓迎」としている求人は多く見つけられるでしょう。
もちろん、不動産営業の実務経験があれば就職直後に活躍しやすいと考えられますが、実態として不動産営業としてのキャリアを歩み始める人の多くは、営業職すら未経験という人が多く見られます。
まとめ
不動産営業を目指す上で知っておきたい知識を網羅的に解説しました。
不動産営業はとにかくハードな働き方を求められる仕事ですが、契約実績次第では若いうちから高い年収を稼げたり、昇格をすることもできる夢のある仕事と言えます。
自分が不動産営業に向いているか分からないという人は、就職エージェントのキャリアカウンセリングを受けてみることもおすすめです。
こんな人におすすめ!
- 自分に合った仕事や場所を見つけたい
- ワークライフバランスを重視したい
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